この章では、TOEICとはどういったテストなのかをおさらいし、スコアの仕組みや平均スコア、スコアの確認方法について解説していきます。
TOEIC受験にあたって押さえておきたい情報ですので、ぜひチェックしてください。
就職活動や進学において英語力をアピールする際、自己申告では当然ながら証明にはなりません。
履歴書には、英語力を証明するための取得資格などを記載するのが一般的です。
かつては、英検が人気だった時代もありました。現在、英語力の証明としてもっとも人気といえるのがTOEICです。TOEIC L&Rを就職や進学のために受験する人が増えています。
合否判定ではなくスコアで英語力が測れるため、正確な英語力を確認する指標として活用しやすいのが人気の理由です。
TOEIC L&Rは、リスニングとリーディングの能力を測る試験であり、ハイスコアホルダーであれば英語を使う現場で活躍できることの証明になります。
多くの企業がこちらの試験のスコアを採用基準にしているようです。
とくに、外資系企業などでは一定ラインのスコア取得が必須といえます。
また、TOEIC L&Rほど一般的ではありませんが、TOEIC S&Wの受験者も増えてきています。
こちらは、スピーキングとライティングというアウトプットの技能を測る試験です。
英語で意思を伝えなければならない場面では、こうした技能が役立ちます。
TOEIC L&R、TOEIC S&Wでどちらも高得点を取得すれば、4技能を総合的に証明できます。
各技能のレベルは数値で出るため、他者にもわかりやすい形で4技能をアピールできるのがTOEICの魅力です。
TOEICのスコアはリスニング5点〜495点、リーディング5点〜495点、計10点〜990点の5点刻みで採点されます。
TOEICに合格・不合格はありません。公式認定証と呼ばれるスコアの証明書には、取得点数のみ表示されます。
最低点数は0点ではなく10点です。全問不正解でも10点取れるので、不思議に思う人もいるかもしれません。
なぜ全問不正解でも10点取れるのかというと、TOEICのスコアが「スコアの同一化」と呼ばれる統計処理によって算出されているからです。
TOEICでは、テストの難易度にスコアが左右されないように、単純に正答数×〇点といったそのままの素点ではなく換算点が使用されています。
そのため全問不正解でも10点取れたり、全問正解しなくても満点が取れたりする場合があるのです。
なお、TOEICのスコアは正答数をもとに採点されます。間違えても減点されることはありません。
マークシート方式なので、答えがわからなくても回答しておくとよいでしょう。
TOEIC公式サイトでは、過去1年分のTOEIC平均スコアやスコア分布が紹介されています。
このページを見れば、受験した回の平均点や、自分の成績が全受験者の中でどのあたりに位置するかを確認できます。
公式サイトによると、2022年度のTOEIC平均スコアは608点。
595点〜640点の人がもっとも多く、600点台前半がボリュームゾーンとなっていることがわかります。
過去3回(第331回・第330回・第329回)のデータを参考に、もう少しくわしい数字も見てみましょう。
セクション別に見ると、リスニングの平均点が330点~340点前後、リーディングの平均点が270点~280点前後と、リスニングのほうが平均点が高くなっています。
TOEICではリーディングよりリスニングの方が点数を取りやすい傾向があります。
また、795点以上取得した人は全体の15%~18%程度です。
TOEICで795点以上のスコアを取得するには、かなり高い英語力が必要になることがわかります。
参考サイト:IIBC「公開テスト 平均スコア・スコア分布 一覧」
TOEICのスコアはいつ、どのように確認できるのでしょうか。
TOEIC公開テストの場合、スコアは最短で試験日から17日後に確認できます。
結果が公開されると、申し込み時のメールアドレスに案内メールが届くので、TOEIC申し込みサイトにログインしてスコアを確認しましょう。
試験日から19日後には、同じくTOEIC申し込みサイトにて、デジタル公式認定証を確認することが可能です。
デジタル公式認定証にはスコアだけでなく、現時点での英語能力の長所や、項目別の正答率も記載されています。
なお紙の公式認定証は、試験日から30日以内に申し込み時の住所に郵送されます。
記載内容はデジタル公式認定証と大きく変わりません。
TOEICでは「公開テストスコア確認サービス」を実施しています。
これは受験者本人がTOEIC申し込みサイトを通じて、大学や企業にスコアを提出できるサービスです。
このサービスを使えば、大学や企業はWeb上で受験者のスコアを閲覧したりダウンロードしたりすることができます。
受験者にとっては、TOEICのスコアを簡単に大学や企業に提出できるというメリットがあります。
利用イメージは以下のとおりです。
ただし、提出先の大学や企業がこのサービスを採用していない場合は利用できません。
あらかじめ確認しておきましょう。
ここからは、TOEICのスコア別に英語スキルの目安を解説します。
リスニング・リーディングのセクション別にそれぞれどのくらいの英語力なのか、英検(実用英語技能検定)に置き換えると何級に相当するのかなどを確認していきましょう。
TOEICで400点未満というと、まだまだ基本的な英語力が身に付いていない状態です。
TOEICを運営しているIIBCによると、400点未満は「通常会話で最低限のコミュニケーションを取れる」レベルと表現されています。
リスニングレベルは、ゆっくり繰り返し話してもらえば、なんとか相手の発言を理解できる程度です。
基本的な短文なら聞き取れることもあるでしょう。
また、文法・語彙ともに基本的な英語力が不十分な状態なので、リーディングにおいて少し長めの文章になると理解できないことが多いと思われます。
TOEIC400点未満は、英検でいうと3級から5級相当です。
TOEIC400点台は基本的な英語力が付き始めた段階です。
ある程度の日常会話や、仕事における限定的なコミュニケーションはできるでしょう。
リスニングでは基本的な短文や、長文の一部分などは聞き取れるようになります。
ただし、このスコアで英語力が十分にあるとはアピールできません。
自らの意志を伝えたり複雑な質問に答えたりするのはまだ難しいでしょう。
知っている文法や語彙が限られているため、リーディングにおいても理解できない部分が多い状態です。
身近な話題なら理解できる場合もありますが、なじみの薄いテーマだと難しく感じてしまうこともあるでしょう。
なおTOEIC400点台は英検でいうと準2級レベル、中学卒業程度の英語力になります。
TOEIC500点台は、基本的な英語力が身に付いているレベルです。
知っている語彙や文法も増え、リスニング・リーディングともに理解できることが増えてきます。
複雑な会話は難しい場合もありますが、日常会話は問題なくこなせるでしょう。
リスニングにおいては、長文も少しずつ聞き取れるようになってきます。
とはいえ、細かい部分の聞き取りはまだ難しいと感じることが多いでしょう。
リーディングでは、基本的な文法や文章の構造を理解できるようになり、長文も簡単なものなら読み解けます。
文章を読むだけでなく、簡単な内容であれば自分の意見を書くこともできるでしょう。
TOEIC500点台は英検でいうと、2級相当といわれています。
TOEICで500点台が取れれば、高校卒業程度の英語力が身に付いているといえるでしょう。
TOEIC600点台は、仕事関係の短い文章を理解できる、海外旅行で買い物や食事に困らないといった程度の英語力です。
履歴書に書いて英語力のアピールになるのも、TOEIC600点からといわれています。
リスニングでは長文も聞き取れるようになります。文法構造が理解できるようになり、話の要点を正しく聞き取ることも可能です。
しかし、文章の細部まで正確に理解するのはまだ難しい状態です。
リーディングにおいても長文を理解できるようになります。
知らない単語が出てきた場合に文脈から推測できるなど、応用的な力も付き始めたレベルといえるでしょう。
TOEIC600点台を取る力があれば、英語で文章を書く際、自分の意見だけでなく理由も添えられるようになります。
また会話においても、自分の意見をある程度伝えられるようになるでしょう。
IIBCによると、TOEIC700点台の英語力は「どんな状況でも適切なコミュニケーションができる素地を備えている」状態と表現されています。
仕事や日常生活においても、英語で不自由なくコミュニケーションが取れるでしょう。
リスニングに関しては、日常会話は完全に理解でき、早い受け答えも可能になります。
話題が特定の分野にわたっても、対応できる力を持っています。
またリーディングにおいても、難易度の高い長文問題に対応できるレベルです。
TOEIC700点後半から800点前半にかけては、英検でいうと準1級相当にあたります。
TOEICで800点台を取得していると、ノンネイティブとして十分なコミュニケーションが取れるレベルの英語力があるとみなされます。
リスニング・リーディングともに、英語で意思疎通を図るのに十分な英語力が身に付いている状態です。
自分がくわしくない話題でも十分に理解でき、それに対して適切な対応も可能でしょう。
会議で自分の意見を述べたり、複雑な会話に参加したりすることもできるようになります。
ネイティブスピーカーの域には一歩隔たりがあるとはいえ、文法や語彙を正確に習得しており、英語を自由自在に活用できるでしょう。
TOEIC800点後半からは、英検でいうと1級に相当する英語力です。
TOEIC900点以上というと、あらゆるシーンにおいて英語で困ることはないレベルです。
ネイティブレベルでディスカッションをしたり、専門書を読んだりすることも可能です。
リスニングでは、英語を英語のまま理解する力があり、TOEICのテストで9割以上の問題を正確に回答できます。
またリーディングにおいても、文法や語彙、文章の構成などを正確に把握できる力があります。
難易度の高い長文問題をかなり速いスピードで回答できるでしょう。
TOEIC受験者の中で900点以上を取っているのは全体の約4%です。
このことからも、TOEIC900点以上を取るには非常に高い英語力が必要なことがわかります。
TOEICでは何点を目指すべきなのでしょうか?
目標スコアはどういった場でアピールしたいかによって異なります。
以下では、ビジネスにおいてアピールできるスコアをシーン別にご紹介しましょう。
就職活動で英語力を評価してもらいたい場合、600点が目安のボーダーラインだと考えられています。
600点に到達すると平均レベル以上なので、一般的な人の英語力よりも高い証明になるでしょう。
近年、企業の間では、TOEICを英語力の指標としてだけではなく、学ぶべき分野への意欲、情報の処理能力を評価する指標としても見る考え方が普及しているようです。
そのため今後は、英語を使う現場に限らず、TOEICのスコアが求められるようになるかもしれません。
どの業界に進むとしても、可能な限りハイスコアを取得しておいて損はないでしょう。
なお、600点以上が目安となる業界には、商社や金融、マスコミ、不動産などがあります。
これらの業界を目指す場合は600点を目標にしてみてください。
入社時や入社後1年程度でTOEIC600点取得を求めている法人・企業には、「日本自動車工業会」や「KDDI株式会社」などがあげられます。
企業によっては、一定のTOEICスコア取得を昇進の条件にしていることも少なくありません。
IIBCによると、TOEICのスコアを昇進の条件としている企業は、役職にかかわらず約4割に上ります。
グローバル展開を視野に入れている企業も増えてきており、今後ますます英語力は重要になるでしょう。
細かな条件は企業によって異なりますが、600点~700点を基準としている企業が多いようです。
高い評価を得て昇進するためには、700点以上を目指すのが賢明です。
また、海外駐在を目指す場合も700点以上の取得をおすすめします。
英語力は昇進の武器になります。入社後に自身の価値を高めるためにもTOEICのスコアアップを目指しましょう。
外資系企業など日常的に英語を使用する業務がある場合は800点以上が目安になります。
また、英語話者と頻繁にコミュニケーションを取るような現場でアピールするためには、TOEIC840点以上が必要だと考えられています。
例として、外国人観光客に観光案内をするような仕事では、840点、もしくはさらに高い英語力が必要です。
訪日外国人に向けた観光案内の資格として、通訳案内士という資格があります。
TOEIC840点を取得すると、通訳案内士資格試験のうち、「外国語(英語)」の科目が免除されます。
年に1回の通訳案内士試験に対し、TOEICは年10回開催されているため、TOEICでハイスコアを獲得してから通訳案内士に挑戦する人は少なくありません。
観光案内以外では、翻訳や通訳など英語のプロとして活動したい人も860点が最低ラインです。
このように英語でのコミュニケーションが必要な場合や英語で専門的な仕事をする場合は、800点以上を目指す必要があります。
企業別では、英語を公用語としている「楽天グループ株式会社」が入社までに800点の取得を求めています。
本記事では、TOEICのスコアの仕組みや、スコア別の英語レベル、目標にすべきスコア帯についてご紹介しました。
ポイントをまとめると以下のとおりです。
ハイスコアを取得するのは簡単ではありませんが、学習を重ねれば目標スコアを達成することも可能です。目標スコアに向けて、TOEICの勉強を進めていきましょう。
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