TOEIC®オンライン受験はIPテストのみ!個人での受験は?
TOEIC® Listening & Readingは大きく分けると、個人で受験を申し込む「公開テスト」と、団体を通じて申し込む「IPテスト」の2つに分けられます。
さらにIPテストは、会場での受験とオンラインでの受験に分かれています。
オンライン受験を選択できるのは、団体が実施するIPテストのみです。
個人の場合は、各テスト会場に出向いて受験する公開テストしか申し込みができません。
TOEIC®IPテストとは
TOEIC®IPテスト(Institutional Program)とは、時間や場所を問わずに受験ができる団体向け制度です。
企業や学校などの団体が、テスト実施期間を任意に設定できます。
テストをオンライン化すれば、テスト会場を用意したり、資材を準備したりといったテスト運営にかかる手間は不要です。
手軽にテストを実施できるようになるため、企業や学校での受験機会を増やせます。
インターネット環境さえあればどこでも受験できるなど、IPテストにより受験の自由が高まることは、受験者にとっても嬉しい点です。
IPテストは、テストを実施する団体と受験者、両者にメリットがある制度といえます。
個人でのオンライン受験は不可
時間や場所の自由が効くオンライン受験は魅力的な制度です。
しかし、TOEIC®では個人でのオンライン受験を実施していません。
TOEIC®IPテストは、TOEIC®IPテストを実施している団体に所属している人のみが受験可能です。
企業や学校などの団体に所属していたとしても、その団体がIPテストを実施していなければオンライン受験はできません。
オンライン受験を希望する場合は、企業や学校など所属している団体がIPテストを実施しているかどうか、事前に確認しておきましょう。
海外からのオンライン受験は不可
TOEIC®プログラムは世界共通のテストではあるものの、国によって実施方法が異なります。
日本国内でTOEIC®テストの実施・運営を行っている一般財団法人国際ビジネスコミュニケーション協会(IIBC)では、オンラインであっても海外からの受験は認めていません。
海外在住でTOEIC®を受験したいという場合は、各国のTOEIC®実施団体へ直接問い合わせるとよいでしょう。
問い合わせ先は、「ETS TOEIC® ブログラム トップページ」より確認が可能です。
TOEIC®のオンライン受験、公開テストとの違いは?
TOEIC®IPテスト(オンライン)と公開テストの違いについて、以下の項目に沿って解説します。
・申込方法
・受験料
・受験場所と日程
・解答形式
・試験時間と出題数
・結果通知
ひとつずつくわしく見ていきましょう。
申込方法
TOEIC®IPテスト(オンライン)は、所属する団体を通じて申し込みます。
申し込み方法は団体によって異なりますが、申込用紙への記入と受験料の支払いのみで完了する場合もあるため、手続きがシンプルです。
一方、公開テストの場合は、自分でTOEIC®申込サイトへ登録し、受験の申し込みをしなければなりません。
個人情報の入力のほか、日時や受験地、支払い方法の選択などが必要で、申し込み完了までのプロセスがIPテストよりも長いと感じる場合があるでしょう。
公開テストは受験票に顔写真を貼らなければなりませんが、IPテストはその必要がないことも異なるポイントです。
受験料
TOEIC® Listening & Reading の場合、IPテストの受験料は4,230円(税込)です。
公開テストの受験料は7,810円(税込)なので、IPテストは公開テストの約半分の受験料で受験が可能です。
公開テストには、リピート受験割引制度があります。
これは受験した月の半年後から7ヵ月間に実施する公開テストのうち1回を、割引価格7,150円(税込)で申し込める制度です。
IPテストには、リピート受験割引制度がありません。
とはいえ、公開テストの割引価格と比較してもIPテストの方が2,920円も安く、受験料を抑えられます。
受験場所と日程
IPテスト(オンライン)は、団体が許可した場所であれば、どこでも受験が可能です。
団体によって異なりますが、基本的にはインターネット環境のある場所であれば、どこでも受験できます。
テスト実施期間中であれば、受験する日時は受験者が自由に決められます。
自分のスケジュールに合わせられるため、時間の有効活用ができるでしょう。
一方、公開テストは決められた会場および指定された日時で受験しなくてはなりません。
開催される受験地は、試験日程によって異なるため注意が必要です。
公開テストの年間実施スケジュールはTOEIC®公式サイトに記載されているため、事前に確認しておきましょう。
解答形式
IPテスト(オンライン)の場合はパソコンで、公開テストの場合はマークシートで解答していきます。
基本的に問題形式や出題される内容は、オンラインになっても変わりません。
どちらもリスニング、リーディングの順に出題され、すべて4択、もしくは3択の選択問題です。
点数もそれぞれ10〜990点の5点刻みで表示され、点数に対する英語レベルも同じです。
試験時間と出題数
IPテスト(オンライン)の試験時間と出題数は、公開テストと大きく異なります。
IPテスト(オンライン)は、リスニング約25分間・45問、リーディングセクション37分間・45問の合計約1時間・90問のテストです。
一方公開テストは、リスニング約45分・100問、リーディング75分・100問の合計約2時間・200問のテストです。
点数はどちらも同じように10〜990点の5点刻みで表示されますが、IPテスト(オンライン)は試験時間・出題数ともに公開テストの約半分と大きな違いがあります。
なぜ半分の時間・出題数で正確な点数が算出できるのかというと、IPテスト(オンライン)では、CATというシステムが導入されているからです。
CAT(Computer Adaptive Test)とは、受験者の能力に合わせて問題の難易度を自動調整する適応型テストシステムです。
TOEIC® IPテスト(オンライン)では次のように活用されています。
・ユニット1で、全受験者に同じ問題が25問出題される
・次のユニット2では、ユニット1での正誤度合に応じて、受験者ごとに異なる20問が出題される
受験者のレベルに応じて試験問題を出題することで、少ない問題数、試験時間で受験者の能力を正確に測ることができます。
その場で採点されるため、テスト終了後すぐに点数を表示することも可能です。
結果通知
IPテスト(オンライン)の場合、受験直後にパソコンの画面で結果を確認できます。
紙のスコアレポートは発行されませんが、後日PDFで結果をダウンロードすることが可能です。
ただし、IPテストでは公式認定証の発行はありません。
公開テストの場合は、試験日から17日後にオンラインで結果を閲覧できます。
公式認定証は試験日から30日以内に自宅に発送されます。
IPテスト(オンライン)の方が2週間以上早くテスト結果がわかるため、すぐに提出したい履歴書に点数を書けたり、次の勉強計画を立てやすかったりと、魅力的に感じる人もいるでしょう。
TOEIC®はオンライン受験ならカンニングできる?
オンライン受験は会場で受験するテストと違い、カンニングができそうと考える人がいるかもしれません。
しかし、カンニングは違反行為です。
もし見つかった場合は、受験資格のはく奪や点数の無効化などの対応がとられる場合があります。
カンニングをしても点数は上がらない
カンニングは違反行為ですが、もしカンニングができたとしても、TOEIC®では点数が上がることはほとんどないと考えられます。
リスニングでカンニングを試みたとしましょう。
TOEIC®のリスニング音声は一度しか読み上げられないため、そもそも聞き取れなければ、単語の意味を調べることもできません。
調べている間に問題はどんどん先に進んでしまい、その後の問題が解けず、カンニングする意味がなくなってしまうでしょう。
リーディングについても同じです。
タイトな時間で多くの問題を解かねばならず、そもそもカンニングをしている時間がないと考えられます。
オンライン受験では「AI監視サービス」が利用されることがある
IPテスト(オンライン)実施団体は、オプションサービスとして「AI監視サービス」の利用が可能です。
AI監視サービスでは、受験前に受験者本人の顔と本人確認書類を撮影した後、試験中の様子を動画で記録します。
録画した動画から、「受験者の入れ替わり」「複数人の映り込み」「不正の可能性が高い目線の動き」などをAIが解析する仕組みです。
団体の担当者はWebの管理画面で、解析結果や録画動画のチェックができます。
AI監視サービスが利用されていた場合、カンニングをしても見つかる可能性が高いと考えられます。
TOEIC®をオンライン受験する際のコツ2つ
IPテスト(オンライン)は公開テストと比べ、試験時間や出題数など、異なる部分が多くあります。
ここからは、そんなオンライン試験だからこそ意識しておきたい2つのコツについて紹介します。
1. 制限時間を意識する
2. リスニングは音声に集中する
それぞれのコツをくわしく解説します。
1. 制限時間を意識する
IPテスト(オンライン)は公開テストとは異なり、リスニング、リーディングともに2つのユニットに分かれています。
リスニングは音声に沿って進められますが、リーディングはこのユニットごとに制限時間が設けられており、その時間内に解く必要があります。
たとえユニット1を制限時間よりも早く終えられたとしても、あまった時間をユニット2に繰り越すことはできません。
ユニット2からユニット1にさかのぼって解答することもできません。
それぞれのユニットを制限時間内に解ききる意識を持って勉強に取り組みましょう。
2. リスニングは音声に集中する
公開テストでは、設問は問題用紙に記載されていますが、IPテスト(オンライン)では1問ずつパソコンに表示されます。
公開テストの点数アップのコツとして、問題の先読みが推奨されています。
しかし、IPテスト(オンライン)では、音声が読み上げられる直前に問題が表示されるため先読みができません。
先読みができないため、公開テスト以上に集中して英文を聞き取る必要があります。
流れる音声一つひとつに集中し、一回の聞き取りで正確に問題を理解し、解答する練習をしておきましょう。
TOEIC®をオンライン受験する際に必要な準備2つ
自宅でオンライン受験する際に必要な準備について解説します。
1. パソコンの動作確認をする
まず、パソコンのブラウザなどの動作確認をしましょう。
対応ブラウザは、WindowsはGoogle chromeもしくはMicrosoft Edge、MacはGoogle chromeのみです。
いずれも最新版にアップデートしておきましょう。
タブレット(iPad)の場合は、専用アプリを使うため、事前のインストールが必要です。
スマートフォンでの受験はできないので注意しましょう。
2. 最適な受験環境を整える
公開テストや、IPテスト(会場型)ではIIBCやテスト実施団体が会場を用意してくれますが、自宅でIPテスト(オンライン)を受験する場合は、自分で環境を整えなければなりません。
IPテスト(オンライン)の受験には、安定したインターネット環境の確保が必要です。
リスニング音声が問題なく聞き取れるか、イヤホンやスピーカーの確認も行いましょう。
部屋やデスク周りの整理整頓もしておくと、テストに集中しやすくなります。
テスト中に困ることのないよう、事前に準備をしておきましょう。
まとめ
TOEIC®のオンライン受験について紹介しました。
ポイントは以下のとおりです。
・TOEIC®ではIPテストのみオンライン受験が可能
・公開テストとIPテスト(オンライン)は、申し込み方法や受験料など異なる点がある
・オンライン受験でもカンニングは違反行為
・IPテスト(オンライン)は、ユニットごとに制限時間があり、リスニングの先読みができないので注意
・受験前に、対応ブラウザやインターネット接続など受験環境を確認しよう
IPテスト(オンライン)のメリットとして、公開テストと比べて、短い時間で受験ができたり、受験料が安かったりすることがあげられます。
受験資格のある人は、IPテスト(オンライン)も活用してみてはいかがでしょうか。