
転職活動のためにTOEIC®を受験すべきか迷っている人もいるのではないでしょうか。
「TOEIC®は転職に意味がない」という声もあるので、不安に感じてしまうこともあるでしょう。
結論、TOEIC®の受験歴やスコアは転職で有利になり得ます。
この記事では、なぜTOEIC®が転職に有利なのか、その理由を具体的に解説します。
「意味がない」と言われる理由や目的別のスコア目安についてもみていきましょう。
TOEIC®が転職で有利になる5つの理由
TOEIC®の受験歴やスコアが転職で有利になる理由には次の5つがあります。
- TOEIC®スコアを採用の参考にしている企業にアピールできる
- TOEIC®スコアを条件としている企業の求人に応募できる
- 英語力を証明できる
- 学ぶ力を示せる
- 好印象を与えられる
ひとつずつ解説します。
TOEIC®スコアを採用の参考にしている企業にアピールできる
TOEIC®のスコアは、転職時のアピールポイントとして有効です。
IIBC(一般財団法人 国際ビジネスコミュニケーション協会)がTOEIC Programを活用している企業や団体を対象に行った調査によると、
約5割が「採用時にTOEIC®スコアを要件・参考としている」、もしくは「新たに要件・参考とする可能性がある」と答えています。
合否に直接関わるわけではないものの、TOEIC®スコアを考慮している企業は多いため、受験しておいて損はないと言えます。
TOEIC®スコアを条件としている企業の求人に応募できる
求人情報の「応募条件」に、TOEIC®スコアを記載している企業があります。
自身のスコアが条件を満たしていれば応募できます。まずは応募条件を確認してみましょう。
条件を確認する際は点数以外に、「〇〇点以上」「〇〇点程度」といった文言にも注意してください。
たとえば「TOEIC®700点以上」と記載している企業の場合、応募するには700点以上のTOEIC®スコアが必要です。
保有するスコアが700点に満たない場合は、応募する資格がありません。
応募条件が「TOEIC®700点程度」となっている場合は、700点に達していなくても応募が可能です。
ほかのアピールポイントを活用することで、選考に進める可能性もあるでしょう。
TOEIC®スコアを条件としている企業に転職したい場合は、あらかじめ条件を確認し、求められるスコアを取得しておきましょう。
英語力を証明できる
TOEIC®のスコアは英語力の客観的な証明になります。
TOEIC®以外の英語学習をしていたり、海外での生活経験があったりなど、英語を話せる人は一定数いるでしょう。
しかし、単に「英語が話せます」と主張するだけでは、どのくらいの英語力があるのかを第三者が判断することはできません。
TOEIC®なら、スコアをみればどのくらいの英語力があるのかが明確です。
500点台だと基本的な英語力が身についているレベル、800点台だと十分なコミュニケーションが取れるレベルなど、英語力を客観的に示せます。
TOEIC®のスコアを提示することで、英語力のある人材を求めている企業への転職が有利になる可能性が高まります。
学ぶ力を示せる
TOEIC®スコアは、高ければ高いほど英語力があることのアピールになります。
しかし、それほど高いスコアでなくても学びへの意欲を示すことは可能です。
TOEIC®で目標スコアに到達するまでの道のりは平坦ではありません。勉強時間を捻出し、受験まで努力を続けることは大変なことです。
TOEIC®のスコアを通じて、自主的に目標を持つことや、目標に向けて継続的に学び続けられることをアピールできれば、
学ぶ力の高い人材であると評価してもらえ、採用につながる可能性もあるでしょう。
好印象を与えられる
IIBCが人事担当者500人に行った調査によると、TOEIC® Testsの受験歴がある方に対して「ポジティブな印象を持つ」と答えた人は、全体の7割以上にのぼることがわかりました。
評価されるスコアの中央値は「600点以上」であるものの、TOEIC®の受験歴があること自体に好印象を持つ企業は多いようです。
目標スコアに達していると感じていなくても、まずは受験してみることが大切です。
TOEIC®スコアを活用し、キャリアチェンジ・キャリアアップにつながる可能性を高めましょう。
【参考】IIBC「人事のリアルな意見が明らかに! 履歴書に記載してもいい「TOEICL&R」のスコアは何点?」
【年代別】TOEIC®が転職で有利になる理由
TOEIC®が転職で有利になる理由は、年代ごとに異なります。年代によって、評価の対象や求められる英語力が異なるからです。
ここでは、TOEIC®が転職で有利になる理由を、20代・30代・40代の年代別に解説します。
20代の場合
20代の転職では、経験の豊富さよりも成長意欲や学習能力などのポテンシャルの高さが評価される傾向にあります。
転職成功のカギは、企業に将来の可能性を感じさせることです。
TOEIC®の受験歴やスコアは、ポテンシャルをはかる材料として活用できます。
転職する時点では、企業が求める知識・経験が不足しているかもしれません。
しかし、TOEIC®スコアを提示することによって、自主的・積極的な学びができる人材であることをアピールできます。
ポテンシャルの高い人材として評価されれば、転職活動が有利に進む可能性があります。
高いスコアを保有していれば、英語力のある魅力的な人材として、選考時に加点されることも期待できるでしょう。
30代の場合
30代の転職では、即戦力であるかが重視される傾向にあります。スキルや実務経験を持っているかどうかが、転職の成功を左右します。
外資系の企業や海外との取引がある企業への転職を望む場合、高い英語力が求められる場合が多いです。
これまでの経験や実績、知識とともに、TOEIC®の高いスコアを提示することで、「今すぐ活躍できる人材」としてアピールできます。
スキルや実務経験が不足している場合でも、TOEIC®にチャレンジした証として、学ぶ姿勢や向上心を評価してもらえる可能性もあるでしょう。
40代の場合
40代での転職ではこれまで重ねてきたキャリアや経験とともに、求められる英語力も高まる傾向にあります。
IIBCによると、TOEIC®スコアを昇進・昇格の要件としている・参考にしている企業は全体の約4割です。
TOEIC®の高いスコアを保有していることは、40代の転職時に大きな武器となります。
40代の転職は20代・30代よりも難しいと言われています。競争力を高めるために、少しでも高いスコアを取得しておくとよいでしょう。
なぜTOEIC®は転職で「意味がない」と言われるの?
TOEIC®は転職で有利になることが多いにもかかわらず、「意味がない」と言われることもあるようです。
「意味がない」と言われる理由には、次の3つがあります。
- 資格ではないから
- 英語を必要としない企業もあるから
- 低いスコアでは評価の対象にならないから
それぞれについて解説します。
資格ではないから
1つ目の理由は、TOEIC®が資格ではないからです。
TOEIC®は英語のコミュニケーション能力を測るためのテストであり、合格・不合格がある資格ではありません。
しかし、履歴書の「免許・資格」欄に、TOEIC®スコアを記載することは可能です。
高いスコアの場合はスコアそのものが評価の対象となります。
また、それほど高いスコアでなくても、学習意欲や自主性などが評価されるケースもあります。
TOEIC®は資格ではありませんが、TOEIC®の受験歴やスコアを通して、さまざまなものをアピールできるでしょう。
英語を必要としない企業もあるから
2つ目の理由は、英語を必要としない企業もあるからです。
英語力を求めている企業は多いものの、すべての企業に当てはまるわけではありません。
せっかく英語力を身につけても、活用できる場がなければ「意味がない」と思われてしまうのも仕方のないことです。
しかし、今英語を必要としない企業が、これからもずっと英語力が必要ないかどうかはわかりません。
事業の拡大や外国人の雇用などで英語が必要になることも考えられます。
いざ英語が必要になってから勉強をはじめたのでは、英語力が身につくまでに時間がかかってしまいます。
将来の可能性を広げるという意味でも、TOEIC®の勉強をする価値は大きいと言えるでしょう。
低いスコアでは評価の対象にならないから
3つ目の理由は、低いスコアでは評価の対象にならないからです。
TOEIC®スコアを保有していることで企業に好印象を与えられるものの、低いスコアでは英語力をアピールできないというのは事実です。
とくに、企業が応募者に対して高い英語力を求めている場合、低いスコアの提示はかえってマイナス要素になる可能性もあります。
英語力不足が露呈してしまい、転職の成功が遠のいてしまうこともあるかもしれません。
履歴書に書けるTOEIC®スコアに明確な決まりはありませんが、志望する業界や業種によって、スコアを書くかどうかを見極めることが必要です。
【目的別】転職で有利になるTOEIC®スコアは何点?
転職で有利になるTOEIC®スコアは、以下のように目的によって異なります。
- 履歴書に書くなら600点
- 人気企業への転職を目指すなら700点
- 外資系企業への転職を目指すなら800点
- 英語を専門とする職種への転職を目指すなら900点
自分の目的にそって、目指すべきスコアを設定してみましょう。
履歴書に書くなら600点
履歴書に書くことが目的なら、まずは600点台を目指しましょう。
TOEIC®600点台のレベルは、仕事関係の短い文章を理解できる、海外での買い物や食事の際に困らない程度の英語力です。
文章の細部まで正確に理解するのは難しいものの、自分の意見を添えて表現できる力が身についています。
企業が社員に期待するTOEIC®のスコアは、技術部門で平均560点、営業部門では平均575点です。
2023年度におけるTOEIC®の平均スコアが612点だったことからも、600点台を取得していれば、履歴書に書いて英語力をアピールできるでしょう。
人気企業への転職を目指すなら700点
人気企業への転職を目指すなら、700点台を目指すのがおすすめです。
TOEIC®700点台を取得できれば、日常会話を完全に理解できるリスニング力や、難易度の高い長文に対応できるリーディング力が身についています。
仕事や日常生活において、不自由することなく英語でコミュニケーションが取れるレベルです。
TOEIC®で700点台を取得できれば、転職時に高い英語力があることをアピールできます。
とくに、競争率の高い人気の企業への転職を希望する場合は、700点以上のスコアを保有することでグローバル人材としての価値が上がり、有利になりやすいです。
また700点あれば、入社後に活躍できる場が広がり、昇進や海外赴任などのキャリアアップに生かすこともできます。
高い英語力を武器にチャンスを掴みやすくなるでしょう。
外資系企業への転職を目指すなら800点
外資系企業への転職を目指すなら、スコアの目安は800点台です。
800点台は、英語で意思疎通を図るうえで、じゅうぶんなリスニング・リーディング力が身についているレベルです。
ビジネスにおけるコミュニケーションも申し分なく、会議で自分の意見を述べたり複雑な内容を理解したりすることもできます。
IIBCの調査によると、企業が海外部門の社員に求めるTOEIC®スコアは570〜810点です。
また、英語で頻繁にコミュニケーションを取るような職種を目指すなら、TOEIC840点以上が必要とも考えられています。
さらにグローバル企業のなかにはTOEIC®800点を応募要件としている場合もあることから、外資系企業に転職したいなら、目標スコアを800点以上に設定しましょう。
英語を専門とする職種への転職を目指すなら900点
英語を専門とする職種への転職なら、900点台を目指しましょう。
TOEIC®900点台は、どんな場面においても英語で困らないレベルです。
英語を英語のまま理解する力があり、ネイティブレベルでのディスカッションを行ったり、英語の専門書を読んだりすることもできます。
TOEIC®900点以上を取得できるのは、受験者全体の約4%と非常に難関です。
900点以上を取得できれば、英語を専門とする職種へ転職する際に大きなアピールポイントとなるでしょう。
通訳や翻訳の求人では、TOEIC®900点以上を応募条件にしているケースもあります。
英語を専門とする職種への転職を目指す場合は、900点以上を目標にチャレンジしてみてください。
TOEIC®を転職で生かしたい人におすすめの勉強法
TOEIC®を転職で生かしたいけれど、どのように勉強すべきかわからない人もいるでしょう。
大前提として学習時間の確保は大切です。
1日3時間以上の学習時間を確保することで、目標スコアへの道筋がみえてきます。
仕事で忙しい人は、通勤時間や移動中など、スキマ時間を活用するのがおすすめです。
普段使用している教材を持ち歩いたり、スマートフォンで学習できるアプリやオンライン教材を活用したりするなど、スキマ時間に勉強を進められるよう工夫してみましょう。
まとまった時間が取れた場合は、模試教材を活用し実力を試してみてください。
スキマ時間での基礎力アップと、まとまった時間での実践練習を繰り返すことで、自分が目標とするスコアへと近づけます。
TOEIC®のおすすめの勉強法については以下の記事でも解説しています。自分に合った勉強法に迷いがある人は、ぜひ参考にしてください。

忙しい社会人におすすめのTOEIC勉強法
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まとめ
TOEIC®が転職で有利になる理由や、スコアの目安について解説しました。
- TOEIC®は、英語力や学ぶ意欲を示せるため、転職時のアピールポイントとなる
- 年代によって転職における評価のポイントが異なるため、TOEIC®が転職で有利になる理由も年代で違いがある
- TOEIC®が転職で「意味がない」と言われるのは、資格ではないことや、英語を必要としない企業もあることなどが理由
- 転職で有利になるスコアは目的ごとに異なるため、自分の目的にあった目標設定が大切
- 目標のスコアを達成するには、しっかりと学習時間を確保することが大前提TOEIC®は転職時の武器になり得ます。
自分に合った勉強法で目標スコアを目指し、転職を成功させましょう。