TOEIC®900点のすごさは?レベルや勉強法、取得するメリットも解説

TOEIC®900点を突破することは、高い英語力を持っていることの証明となります。

夢のスコア帯である900点を取得するには、勉強する努力だけでなく、情報収集などの事前準備も必要です。

本記事では、勉強方法や勉強時間、900点を取得することのメリットなど、TOEIC®900点突破に必要なことを紹介します。

TOEIC®900点突破のすごさ

TOEIC®は990点満点のテストですので、900点は非常に高いスコアです。

TOEIC®で900点を突破することがどのくらいすごいのか、数値情報をもとにくわしく見ていきましょう。

TOEIC®900点を取る受験者の割合は?

TOEIC®公開テストでは、受験者全体のスコア分布が公表されています。

2022年度のTOEIC®公開テストでは、895点以上取得した受験者はわずか4.2%でした。

つまり900点以上を取得した受験者は、4.2%よりも少ないことが推測できます。

公開テストの全受験者は約97万人だったため、約4万740人の人が895点以上を取得したことになります。

約4万人というと多いようにも感じるかもしれませんが、100人に4人の割合です。

この結果から、TOEIC®で900点を取得するのは難しいことがおわかりいただけるでしょう。

ミスが何問までならTOEIC®900点を取れる?

TOEIC®は全200問のテストです。

スコアは10〜990点の5点刻みで採点されます。

このスコアは、正答数そのままの素点ではなく、スコアの同一化とよばれる統計処理によって算出された換算点です。

900点を取るには、単純に180問(5点×180問=900点)正解すればよいという訳ではありません。

900点を取れる目安は、9割以上の正解率とされています。

全200問中、180問以上の正解数が必要となり、ミスできるのは約17〜19問程度と考えられます。

TOEIC®900点の英語レベル

TOEIC®900点の具体的な英語レベルについて確認していきましょう。

英語でのコミュニケーション能力は最上級レベル

TOEIC®公式「TOEIC®スコアとコミュニケーション能力レベルとの相関表」によると、860点以上はノンネイティブとして十分な会話ができる最上級のAレベルに該当するとされています。

具体的な評価は以下の通りです。

自己の経験の範囲内では、専門外の分野の話題に対しても十分な理解とふさわしい表現ができる。

Native Speaker の域には一歩隔たりがあるとはいえ、語彙・文法・構文のいずれも正確に把握し、流暢に駆使する力を持っている。

【引用】【公式】TOEIC Program|IIBC「TOEICスコアとコミュニケーション能力レベルとの相関表」

TOEIC®900点取得していれば、ネイティブスピーカーには及ばないものの、正しい英語力を身につけており、どんな分野でも英語で意思疎通ができる力がある証明になります。

TOEIC®900点は英検準1級レベル

各英語資格のレベルは、「CEFR(セファール)」という指標を使って比較できます。

CEFRは、ヨーロッパで作成された外国語学習者の習熟度レベルを示すガイドラインです。

言語能力の習熟度が高い順に、C2〜A1の6段階のレベルに分けられます。

文部科学省が発表している「各資格・検定試験とCEFRとの対照表」によると、TOEIC®900点はCEFRレベルB2、英検の準1級レベル相当に該当します。

自立した言語使用者とされ、ネイティブとも自然にやり取りができるレベルです。

TOEIC®950点以上になると、CEFRはレベルC1、英検は1級レベルに相当します。

熟練した言語使用者とされており、より高度な英文を理解できたり、複雑な話題も正確に理解できたりします。

TOEIC®800点との違い

TOEIC®800点も、900点と同様に高いスコアですが、難易度に違いがあります。

TOEIC®895点以上取得した受験者が、全体の4.2%であるのに対し、795点以上取得した受験者は15.9%です。

895点以上は100人中わずか4人の割合ですが、795点以上は100人中15人とその割合は大きくなります。

900点を達成するには9割以上の正解率が必要ですが、800点の場合は8割程度の正解率が目安です。

このことからも、900点のほうがより正確な回答が求められることがわかるでしょう。

なお、TOEIC®800点の英語力としては、通常会話は完全に理解しており、業務でも問題なく英語を使用できるレベルとされています。

しかし、文法や英文の構造上の間違いはまだ見受けられることもあり、900点取得者に比べるとやや英語力は劣っているといえるでしょう。

TOEIC®900点を突破するための勉強法4選

TOEIC®900点を突破するための勉強法について、ここでは次の4つを紹介します。

  • 単語力を強化する
  • 問題集を解いて形式に慣れる
  • Part別対策用書籍を活用する
  • 模試テストを繰り返し実施する

ひとつずつ確認していきましょう。

単語力を強化する

問題の中に知らない単語があると、正確な意味を理解できず、ミスにつながります。

知らない単語が出題された場合、文脈から意味を推測することは可能です。

しかし、単語の意味を知っていたほうが、読み取りが早くなります。

意味の取り違えも起こりにくく、スコアアップが目指せるでしょう。

TOEIC®900取得には、1万語以上の単語が必要とされているため、徹底的に単語力を強化する必要があります。

1万語というと、とてつもなく多い数に感じますが、英語学習中の方なら現時点で知っている単語も多数あるでしょう。

1万語をあらたに学習するのではなく、既存の知識に不足している部分を補うことが重要です。

単語力を強化するには、スキマ時間などを活用し、毎日コツコツ学習を続けるのがおすすめです。

地道な学習と復習の繰り返しが、単語の定着につながります。

問題集を解いて形式に慣れる

TOEIC®では全200問の問題を約2時間で解かなければならず、スピードが求められます。

900点を取得するには、問題形式を把握し、形式に慣れておくことが必要です。

現在、日本ではTOEIC®の過去問は公表されていません。

しかし、TOEIC®主催団体であるIIBCは公式問題集を販売しています。

公式問題集は本番の問題と同じ形式、同じプロセスで作成されているため、問題形式に慣れるにはおすすめです。

問題集を繰り返し解いて、形式に慣れ、本番でもスムーズに解けるようにしておきましょう。

公式問題集以外にも各出版社からは予想問題集などが販売されているため、あわせて活用するのもおすすめです。

Part別対策用書籍を活用する

自分の弱点を把握している場合は、補強するためにそのPartに特化した書籍を利用しましょう。

スコア帯別にさまざまな書籍が出版されているため、900点を目標とした受験者用のものを選ぶ必要があります。

とくに以下のような書籍は、多くのハイスコアホルダーに愛用されているベストセラーなのでおすすめです。

  • 新TOEIC TEST サラリーマン特急 満点リスニング
  • 音声DL付 TOEIC(R)テスト Part 3 & 4 鬼の変速リスニング (TTTスーパー講師シリーズ)
  • 新TOEIC TEST 900点特急 パート5&6
  • TOEIC(R) L&R テスト 究極のゼミ Part 7

模試テストを繰り返し実施する

模試は目標スコアにかかわらず、有効なTOEIC対策です。

ハイスコアを目標にしている受験者ほど、試験直前は何度も模試を実施する傾向があります。

とくに公式問題集は実際のTOEICにもっとも近い模試が収録されているため、TOEIC対策では欠かせません。

900点を目指すのであれば、現在出版されている4種類の公式問題集をすべて解いておくとよいでしょう。

それぞれテスト2回分の問題が収録されています。

TOEIC®900点突破に必要な勉強時間

TOEIC®900点突破に必要なスコアは、現在のスコアによって異なります。

一般的にスコアを100点あげるのに200〜300時間の勉強が必要です。

オックスフォード大学の発表によると、現在450点の人が950点を目指すには1,300時間、現在650点の人が950点を目指すには825時間の勉強時間が必要とされています。

1日1時間勉強しても、550点から950点を目指すには約3年半、650点から950点は2年あまりかかる計算です。

短期間の詰め込み型の勉強法では900点を突破することは難しく、コツコツ継続した勉強が必要です。

TOEIC®900点を取得する4つメリット

難易度が高いTOEIC®900点を取得するメリットは、以下の4つです。

  • 大学受験で活用できる場合がある
  • 就職・転職で有利になる
  • 年収アップが目指せる
  • 海外赴任・海外駐在に選抜対象になる

それぞれのメリットを具体的に解説します。

大学受験で活用できる場合がある

大学が指定するTOEIC®︎スコアを取得すれば、大学入試優遇制度を活用できる場合があります。

IIBCの調査によると、TOEIC®のスコアを活用している学校は200校以上にものぼるとされています。

以下は、TOEIC®のスコアに応じて優遇措置のある大学の一例です。

学校名入試方法基準スコア活用方法
横浜市立大学(医学部医学科)学校推薦型900点以上加点
横浜市立大学(国際商学部)総合型・科学オリンピック入試800点以上加点
京都大学(農学部)総合型・特色入試800点以上出願資格・判定優遇・合否参考
関西外国語大学(英米語学科・スペイン語学科)一般860点以上加点

600点程度でも優遇措置がある大学も多く見られます。

900点取得しておけば十分条件に当てはまるでしょう。

就職・転職で有利になる

IIBCの調査では、約半数の企業がTOEIC®のスコアを採用時の要件・参考にしています。

あらたに要件・参考にする可能性があるとしている企業もあり、多くの企業が採用の際にTOEIC®スコアに注目していることがわかります。

企業が社員に期待するTOEIC®スコアは、新入社員は平均535点、中途社員は560点、海外部門の社員は690点程度です。

したがって、TOEIC®900点取得しておけば、企業が期待するスコアよりもはるかに高く、就職や転職で有利になる場合があるでしょう。

英語力の証明になるだけでなく、TOEIC®で900点を取るだけの計画性や継続力のアピールにもなります。

年収アップが目指せる

TOEIC®900点を取得すれば、年収アップも目指せます。

なぜなら、約4割の企業がTOEIC®のスコアを昇進や昇格の要件にしているからです。

昇格要件として500〜600点程度を設定している企業も多く、900点取得しておけば要件をクリアできる可能性が高まり、年収アップの実現につながります。

TOEIC®のスコアが高い人のほうが、英語を使う仕事に従事することも多く、より広い市場で活躍できると考えられます。

TOEIC®900点を取得すれば比較的年収の高い外資系企業での活躍も可能でしょう。

海外赴任・海外駐在に選抜対象になる

海外出張者や海外駐在者の選抜時に、TOEIC®のスコアを要件または参考にしている企業も多くあります。

IIBCによると、約5〜6割の企業がTOEIC®のスコアを参考にしています。

多くの企業は海外出張や駐在者に570〜810点程度のスコアを期待しているため、900点取得しておけば十分なアピールになるでしょう。

900点あれば日常会話やビジネスにおいても、英語で適切なコミュニケーションが可能です。

選抜対象になるだけでなく、海外生活において英語で困ることもないでしょう。

TOEIC®900点を取っても英語がペラペラとは限らない

TOEIC® Listening & Readingは、英語の読み書きの能力を測るテストです。

900点取得したからといって、英語を自由に話せるとは限りません。

とはいえ、語彙や文法など英語力の下地は十分についている状態です。

アウトプットの経験さえ積めば、話せるようになると考えられます。

英語がペラペラになりたいという人は、英語を話すためのスキル習得も目指すとよいでしょう。

英語を話す・書く能力を測る試験に、TOEIC® Speaking & Writingがあります。

より包括的な英語能力を身につけるなら、TOEIC® Listening & Readingとあわせて、TOEIC® Speaking & Writingの受験も検討しましょう。

TOEIC®900点突破に必要な2つのこと

最後に、TOEIC®900点突破に必要な2つのことについて、確認しておきましょう。

  • 「目標達成後にしたいこと」の再確認
  • 弱点の把握・補強

一つずつ解説します。

「目標達成後にしたいこと」の再確認

TOEIC®900点は誰もが評価するスコアですが、簡単には到達できません。

700、800点と順調にスコアアップしてきた人でも、さらに英語力を向上させるために辛抱強さが求められます。

モチベーションを高く維持して、目標達成まであきらめない心構えを固めましょう。

今一度、「900点を突破して何をしたいのか」と自問してみてはいかがでしょうか。

目標達成後に享受できるメリットなどを思い浮かべてください。

とくになければ仮のものでもかまいません。

ここまでスコアアップしてきた人であれば、学習のノウハウなどはすでにわかっているかもしれません。

そうした人こそ、再度モチベーションを高めて、学習意欲を向上させることが大切です。

弱点の把握・補強

900点突破を視野に入れている段階で、英語力は高いレベルに到達していると考えられます。

すでに学習した内容を復習して定着させることは重要ですが、あわせて自分の弱点を把握しておきましょう。

全Partのうち、どのPartのどのような問題でスコアをロスしているのか把握し、弱点を補強していくことが主な対策となります。

自分が自覚している弱点があれば、その部分を積極的に勉強してください。

もし過去にTOEICを受験していれば、公式認定証に記載された項目別正答率(Abilities Measured)が利用できます。

900点突破を目指すうえでは、90%に到達していない項目が強化の対象です。

項目別正答率は実際のスコアをもとにした客観的な評価です。

効率的な勉強のためにぜひ役立ててください。

まとめ

TOEIC®900点の難易度や取得するメリットについて紹介しました。

ポイントは以下のとおりです。

  • TOEIC®900点は、全受験者の中でも上位4.2%以下しか達成できないほど難易度が高い
  • TOEIC®900点は、正しい英語力があり、ノンネイティブとして十分な意思疎通が可能なレベル
  • TOEIC®900点突破には、単語力の強化や問題形式への慣れなどが必要
  • TOEIC®900点は大学受験や就職で有利になるメリットがたくさんある
  • TOEIC®900点を取得するには、目的の再確認と弱点の把握・補強が必要

TOEIC®900点は難易度も高く、簡単に取得できるスコアではありませんが、取得すれば高い英語力の証明になるだけでなく、さまざまなメリットもあります。

ぜひTOEIC®900点を目指して、勉強を進めていきましょう。