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スコアアップに必要な勉強時間の目安と目標スコア別学習法

スコアアップに必要な勉強時間の目安と目標スコア別学習法

TOEICでスコアアップするには、どれくらいの時間が必要なのでしょうか?

本記事では、スコアアップに必要な勉強時間の目安目標スコア別学習法を早川講師が徹底解説します。「勉強を始めたいけれど、何から計画すれば良いのか分からない」と悩んでいる方は、ぜひご覧ください!

一般的な勉強時間の目安

一般的に、100点アップさせるのに200~300時間が必要と言われています。もちろん、これまでどのような学習をしてきて、どのような基礎力が身についているかによっても変わりますし、これからどのような学習をしていくかによっても変わってきますので、あくまで目安として考えてください。

以下の表は、少し古い情報ではありますが、Oxford University Pressから出されているA Teacher’s Guide to TOEIC® Listening and Reading Test Preparing Your Students for Successにて紹介されているものです。

Current scoreの縦の列が現在のスコア、そして、Target scoreの横に伸びているのが目標スコアです。現在450点の人が650点を目指す場合、450時間が目安となります。また、650点から750点の100点アップよりも、750点から850点の100点アップのように、現在のスコアが高くなるほど、そこから100点伸ばすために費やす時間は多くなります。

出典:Grant Trew, “A Teacher’s Guide to TOEIC® Listening and Reading Test Preparing Your Students for Success,” Oxford University Press


なお、英検準2級を持っている人のTOEIC平均スコアは370点程度、英検2級を持っている人のTOEIC平均スコアは520点程度と言われています。

しかし、私の指導経験を通して受講生のスコアアップを見ていると、英検準2級の力を持っている人がTOEICに特化した学習をすることで450時間もかけることなく550点に到達しているケースが多く見られます。英検2級を持っている場合は、450時間もかけずに500点レベルから750点や800点まで伸びるケースもあります。

現在持っている英語力に応じて、大幅に短縮されるケースもあります。しかし、学習前には実際にスコアアップにかかる時間を把握することは難しいため、上の表を目安にすることをお勧めします。


まず勉強時間の確保から!

「私はコツコツタイプではないので」と自信を持って話す方がいらっしゃいます。おそらく、これまでのテストを一夜漬けで切り抜けてきたかもしれません。テスト範囲が決まっていて、その範囲を暗記すればよいだけであれば、一夜漬けでもなんとかなるかもしれませんが、TOEICはそのようなタイプのテストではありません。

TOEICの学習とは、筋肉をつけながら技術力を磨くようなものです。1日だけ筋トレをしたからといって、明日にはムキムキになっていることはありません。

そこで、コツコツと時間をかけて学習する必要があります。そのために大切なことが、勉強時間の確保です。「時間ができたら勉強する」という意識では、時間ができることはありません。よく、「時間を作る」と言いますが、もう一歩アグレッシブに「時間を埋める」が効果的です。

まずは、「いつ学習するか」「どこで学習するか」を決めて、時間を埋めてください。移動中に向いている学習もありますし、机の上に向いている学習もあります。無理のないプランを立てることが、継続のコツです。

まずは3日坊主を乗り越えるためにも、3日分だけスケジュールを作ってみてください。たったの3日分でOKです。なぜなら、1カ月後をイメージすることはできませんが、3日後であればイメージしやすいはずです。1カ月というのは3日×10です。3日分のスケジュールを立てて、実践してみます。うまくいったら、次の3日分のスケジュールを立てて実践してください。うまくいかなかったらスケジュールに無理があるため、次の3日分のスケジュールで軌道修正をかけてください。

プラン作りと実践の関係は、飛行機の飛行経路に似ています。飛行機が飛び立つ前には、当然計画された飛行経路があります。その経路通りに飛べる確率はどのくらいだと思いますか?80%くらいでしょうか。はたまた50%くらいでしょうか。

実は、飛行機が経路通りに飛べる確率は、限りなくゼロに近いのです。予定経路はあるものの、風向き、気流などを計算しながら、その都度軌道修正をかけて目的地まで飛んでいきます。しかし、軌道修正をかけるためには、予定経路が必要なのです。

学習計画も同じです。計画通りにスムーズに進むことは、もしかしたら限りなくゼロに近いかもしれません。しかし、そこで大切なことは、軌道修正をかけることなのです。今日または明日からの3日分の計画を立てて、実践してみてください。


スコア別学習法

勉強の時間を確保できたとしても、やみくもに問題を解くだけではスコアアップにつながりません。ここからは、目標スコア別にどのような学習が効果的かをご紹介します。

450点突破のための学習法

450点レベルとは、全体的な意味はつかめないものが多くありますが、理解しやすい内容や求められている具体的な情報を特定することができるようになってくる状態です。この状態へと高めるためには、徹底的な基礎固めが必要です。

スポーツや楽器演奏と同様に、難しいことをやれば速く上達するわけではありません。まずは基本的な単語や文法、リスニング・リーディングなどに反復して取り組むことで、土台となる英語力を身につけることができます。

単語学習は全ての基礎になります。レベル別・ジャンル別の教材で学ぶことで、リスニングやリーディングの中でよく出合う単語を、よく出合う文脈の中で学ぶことができるため効果的です。

単語学習は一度で覚えようとせずに、何度も復習することで確実に思い出せるようになります。学習の際には文字と意味を覚えるだけでなく、音声を活用して音読することで定着しやすくなります。人の名前を覚える場合にも、名刺を見るだけでは覚えにくく、実際に相手の名前を呼ぶことで覚えやすくなりますよね。

また、単語学習だけを進めるのではなく、単語学習を起点として、文法やリスニング・リーディング学習にも広げていくことで、学習した単語が文法問題に登場したり、会話の中に登場したり、Eメールの中に登場したりと、覚えた単語が使われている状態で触れることでより深く理解することができます。

さらに、問題を解いて正解できるかどうかを優先せずに、理解できるかどうかを優先することが大切です。もちろん、問題を解くことは大切ですが、問題を解くのは理解できているかどうかを確認するための行為です。問題に正解するためには理解できていることが前提となりますので、まずは理解できることをしっかりと進めていくことにより、結果として正解できるようになります。

初級学習者に圧倒的に足りないのが、音声を活用した学習です。音声はリスニングの問題を聞くときだけに使えばよいわけではありません。英語に限らず、世界中の言語を調べると文字のない言語は存在します。

しかし、音のない言語は存在しません。また、日本語においても詩や俳句、短歌などを覚える場合にも、文字だけでなく音と一緒に覚えているはずです。松尾芭蕉の有名な句、「古池や」に続く言葉を思い出してみてください。文字で思い出すのではなく、音で思い出したはずです。これが言語なのです。ちなみに、「古池や かわず飛び込む 水の音」ですね。

実際に学習を進める時には、タイプ別に学習をすることで、効率的に学ぶことができます。掛け算九九も2の段、3の段、4の段を、それぞれの段にまとめて覚えるほうが、2の段、3の段、4の段をごちゃまぜにして覚えるよりも効率的なのはイメージしやすいでしょう。

英語も、項目別に学ぶことにより、スムーズな理解へと高めやすくなります。文法であれば品詞をまとめて、受動態をまとめて、関係代名詞をまとめて、のように文法項目別に学ぶことで、感覚的な理解も進みます。リスニングについても、パート別だけでなく、各パートをさらに細かく問題タイプ別に学んだり、会話やトーク、文書の内容タイプ別に学んだりすることで、知識とスキルの積み重ねが起こってきます。

そのうえで、解き方を学ぶと、限られた理解の中でも易しめの問題に対応できることが少なくないことに気づくはずです。なお、解き方についても解法タイプ別に取り組むことで、コツをつかみやすくなりますよ。

600点突破のための学習法

600点とは限られた理解の中でも、ある程度意味を理解しながらポイントを特定できるレベルです。500点を超えてくると、比較的易しめの内容やパターンが決まっている問題であれば十分に対応できる状態となっています。

そこから600点以上に伸ばすには、「聞けないから聞ける部分だけで解答する」や「読めないから読める部分だけで解答する」という状態から、「聞ける/読める」のレベルを高めていく必要があります。

そのために、単語力や文法力などの英文理解の土台となる力をさらに高めることに加えて、知識とスキルのギャップを埋めるための学習が効果的です。まずはリスニングを活用した学習を行うことで、このギャップを埋めていくとよいでしょう。特に「読めばわかるのに聞くとわからない」というものが多い場合には効果が大きいです。

リスニングを活用することをお勧めする理由は2つあります。それは、リスニングのほうがリーディングよりも単語レベルが易しめであること、さらにリスニングの場合は、聞ければ解きやすい選択肢が多いこと、です。すなわち、スキルアップをすることで正解しやすくなり、スコアに直結しやすいという特徴があります。リーディングの場合は、リスニングと比べると単語のレベルも高く、本文と選択肢で大きく言い換えが行われているため、読む力が上がってから正解数が高まるまでに若干の時差が発生することが多いのです。

ここでは、600点突破のための課題となりやすいPart 3(会話問題)とPart 4(説明文問題)の学習法をお伝えいたします。Part 3とPart 4の解き方としては、設問を先に読んで問われている内容を確認したうえで音声を聞くという流れが一般的です。これは450点を目指す場合でも同じです。設問の先読みができるようになると、正解数が安定してきますが、これはリスニング力が上がったわけではありません。

Part 3とPart 4の学習に必要なことは、問題を解く練習をすることに加えて、英語を英語のまま処理できるようになるリスニング力を磨くためのトレーニングです。私は、これを「システムリスニング」と呼んでいます。情報の流れを理解するシステムを脳内に作るべく、リスニングのパターンを習得することで、聞けたはずなのに思い出せないという状態に陥らないようにしていきます。

Part 3・Part 4ともに、正解したかどうかにかかわらず、答え合わせをした後には必ず英文と日本語訳を確認し、内容を理解してください。そのうえで、5回連続1セットで音読を行います。内容を理解しているものを使って音読することで、使われている英語の表現を学びながら話の展開を頭にインストールすることができます。

音読すればするほど上手になっていきますが、これは表現が口から自然に出るようになるからです。このトレーニングを実施することで、知識とスキルを同時に高めることができます。

こうして、英語のリズムと英語表現を身につけることができ、その結果、話の展開にそってしっかりと英語が理解できるようになります。5回1セットのうち、最初の3回は音声を止めながら後から真似して声を出すリピート、最後の2回は音声を流しっぱなしにしてピッタリ重ねて声を出すオーバーラッピングというように工夫してもよいでしょう。

Part 3の場合は、教材に出てくる順番に取り組む形で問題ありませんが、Part 4にはトークタイプ別に。話の展開に「型」があります。たとえば、留守番電話の場合、「名乗る」→「目的を伝える」→「詳細を伝える」→「しめる」という決まった流れがあります。そのため、いくつかの留守番電話問題を集中的に学習することで、話の展開のほか、留守番電話で使われる慣用表現も身につけることができ、リスニングの精度が上がります。

ほかにも、トーク/アナウンス/会議の「型」、宣伝の「型」、ニュースの「型」とあるため、タイプ別にトレーニングすることにより効率的に学習効果を高めることができます。

また、リーディングも同様です。Eメール/手紙/お知らせには、「目的」→「詳細」という「型」があります。問題を解いて解説を確認した後には、同じ文書タイプを集中的に学習することで、文書の展開や慣用表現を身につけることができます。

音声を活用したほうが学習効果も高いため、リーディングにも音声がついている教材を活用するのがオススメです。こちらもリピートやオーバーラッピングなどのトレーニングをすることで、英文を読むスピードも徐々に速くなってきます。このトレーニングは700点突破のための学習としても効果的です。

800点突破のための学習法

600点までは、知識やスキルを高めながらも、解答の際は限られた理解の中で正解を増やす対策法が主流でした。600点を目指す場合には捨ててもよい難しい問題がありますが、800点を目指す場合には最初から捨ててよいものはありません。ここからさらに高いスコアを目指すためには、知識やスキルをつけながら、ほぼ理解できる状態へと高める必要があります。

その際に、解答テクニックが邪魔になるケースがあります。600点までは、基本的な問題に正解するのに必要な部分だけを理解できれば問題ありませんでしたが、800点以上を取るとなると、問題として問われていない部分も含めて全体を理解することにより、論理的な展開や明示されていない意図まで正確につかめるようになります。

600点までの「聞ける/読める部分だけで対処する」という取り組みから、「全て理解する意識で取り組む」という意識の転換によるスキルアップが求められると考えてください。

そのため、Part 2(応答問題)の学習では、WhenやWhoなどの易しい問題であっても、WH疑問詞の聞き取りだけで解答せずに、しっかりと内容を理解したうえでの解答練習をしてください。消去法で解くのではなく、ピンポイントで解答する力を高めることで、ダイレクトな応答だけでなく、ダイレクトに答えているわけではないがコミュニケーションが成り立つという応答にも対応できるようになります。

また、学習においては正解できればOKではなく、内容を理解できたかどうかを基準にしてください。正解できたものの、内容を理解できていない場合には、音読などを通して、表現を身につけてください。

Part 5(短文穴埋め問題)についても、600点突破までは品詞問題など易しいものについては「空欄前後だけをヒントに解答する」という形でも問題ありませんが、800点以上を目指すには「意味を取って解答する」という練習をオススメします。

形だけで解けるものは空欄前後だけをヒントにしても正解できますが、実際には意味を取らなくては解けない品詞問題も混在しています。内容を読んで答える練習は、素早く読むことにもつながりますし、そのスピードはPart 6(長文穴埋め問題)やPart 7(読解問題)にも役立ちます。

Part 6(長文穴埋め問題)は空欄穴埋めではあるものの、16問中12問程度は文脈を理解しなくては解けない問題です。そのため、本文を全て読めるリーディング力が求められます。

単語や文法の知識はもちろんのこと、文の展開を正確に理解できるスキルを高めることを目指してください。前の文の内容は必ず次の文と関連しています。この関連を正確に読める力がPart 6の正解数アップにつながりますし、Part 7の読解力アップにもつながります。

ほとんどの方にとっては、全てのパートの中で、最も伸びしろが多いのがPart 7でしょう。600点突破のためには、本文から答えを探す力が重要でしたが、800点以上となると、それだけでなく、本文を正確に読み取る力が求められます。

特に、一般的に難易度が高い設問の正解率を高めるためにも、本文を正確に読み取れるだけでなく、大きく言い換えられている選択肢を選べる力を身につける必要があります。たとえば、What is indicated about…?(~について何が示されていますか)/What is mentioned about…(~について何が述べられていますか)?/What is suggested about…?(~について何が暗示されていますか)といった、やや抽象的な設問は、本文のどこにヒントがあるかわかりません。

また、選択肢がセンテンスとなるため、大きく言い換えられている特徴があります。そのため、本文の内容を幅広く理解できないと正解を選ぶことができません。表面的な理解ではなく、より深く理解していないと解けない問題も多いため、「答え探し」ではなく、「本文を読み取り、書かれていた内容と合致するものを選ぶ」というレベルを高めた学習が必要です。

解く量も大切ですが、様々な文書を読む量を増やすことで、読むスピードを速めることも忘れないでください。


まとめ

今回はスコアアップに必要な時間の目安と、目標スコア別の学習の違いについてお伝えしました。目標スコア到達までに膨大な時間が必要なことに失望された方もいらっしゃるかもしれません。

もちろん、簡単なことではありません。そこには決断と実行が伴います。継続が苦手という方も多いでしょう。たとえば、「700時間!」と考えると大変ですが、3日分を繰り返して計画し、1日1日学習に取り組むことで、自動的に700時間は突破できます。理解できてくると楽しくなってきます。

楽しくなると「もっとできるようになりたい!」という気持ちが溢れ出てきます。この溢れ出た気持ちがエネルギーとなり、計画を立てなくても自動的に取り組めるようになります。「楽しさ」を感じると、そこから先の上達は速いです。