
TOEIC®850点は、どんな状況でも英語で柔軟なコミュニケーションができる英語上級者です。
「TOEIC®850点の取得はどれくらい難しいのだろう」と疑問に思う人もいるでしょう。
本記事では、TOEIC®850点の英語レベルや難易度について紹介します。
取得するメリットや勉強のポイントについてもお伝えしますので、ぜひ参考にしてください。
TOEIC®850点の英語レベル
まずは、TOEIC®850点の英語レベルはどれくらいなのか、具体的なスキルや相当する英検のレベルについてみていきましょう。
TOEIC®850点は「どんな状況でも柔軟なコミュニケーションができるレベル」
TOEIC®︎主催団体のIIBC(国際ビジネスコミュニケーション協会)は、「TOEIC®スコアとコミュニケーション能力レベルとの相関表」を公開しています。
これによると、TOEIC®850点はレベルBに分類され、「どんな状況でも適切なコミュニケーションができる素地を備えている」と評価されています。
通常会話は完全に理解でき、幅広い話題に対応することが可能です。
流暢さや正確さに個人差はあるものの、英語での会議や交渉にも柔軟に対応ができ、業務に大きな支障はありません。
つまり「どんな状況でも英語で柔軟なコミュニケーションができるレベル」と言えます。
ちなみに、TOEIC®860点以上は最上級のレベルAに分類されます。
レベルAは「ノンネイティブとして十分なコミュニケーションができる」レベルです。
TOEIC®850点はレベルBに該当するものの、あと10点で860点に達するスコアであることから、レベルAの評価に近いスキルが身についていると考えられます。
【参考】IIBC「TOEIC®スコアとコミュニケーション能力レベルとの相関表」
TOEIC®850点を英検に換算すると準1級〜1級レベル
TOEIC®と英検(実用英語技能検定)は単純に比較できるものではありませんが、「CEFR(セファール)」という指標を使うと、TOEIC®850点が英検何級に相当するかを確認できます。
CEFRによるとTOEIC®850点はB2レベルであり、英検準1級〜1級に相当します。
CEFRのB2レベルは、複雑な文章を理解し、ネイティブとも緊張せずにやり取りができるレベルです。
幅広い話題について、流暢で自然なコミュニケーションができる英語力を備えているとされており、IIBCの「TOEIC®スコアとコミュニケーション能力レベルとの相関表」と同様の認識であることがわかります。
TOEIC®と英検とでは、試験問題の出題傾向や試験の実施方法、評価基準が異なります。
英検への換算は目安のひとつとして捉えてください。
TOEIC®850点の難易度
ここからは、TOEIC®︎の公式データをもとに850点の難易度をみていきましょう。
受験者全体の平均点やスコア分布を参考に、レベルや位置づけを考察します。
TOEIC®850点は平均スコアより200点以上高い
TOEIC®では実施回による差が生まれないよう、一貫した評価基準でスコアが算出されているため、平均スコアは毎回600点前後で推移しています。
たとえば2023年度の受験者全体の平均スコアは608点でした。
属性によって平均スコアは異なり、大学生の平均スコアは581点、社会人の平均スコアは638点となっていますが、いずれにしてもTOEIC®850点は平均スコアよりも200点以上高いスコアです。
TOEIC®850点は平均スコアを大幅に上回るスコアであるため、850点を取得していれば優れた英語力があることを客観的に証明できます。
ビジネスや学業の場で、大きなアピールポイントとなるでしょう。
【参考】IIBC「TOEIC Program DATA&ANALYSIS 2023」
TOEIC®850点以上取れるのは全体の10%以下
TOEIC®で850点以上取れるのは、全体の10%に満たない成績上位者です。
2023年度の公開テストにおいて得点スコアの人数分布を確認すると、845〜894点は5.0%、895点以上は4.4%となっており、845点以上のスコアを取得した受験者は上位9.4%となっていました。
TOEIC®850点以上の取得者は、多くの受験者の中でも限られた存在であるため、スコアを提示することで他者との差別化もはかれるでしょう。
【参考】IIBC「公開テスト 平均スコア・スコア分布 一覧」
TOEIC®850点取るには何問までならミスできる?
TOEIC®のスコアは「1問〇点」という配点は決まっていません。
正答数そのままの素点ではなく、統計処理による換算点でスコアが算出されます。
そのため、ミスできる問題数を一概には断言できません。
あくまでも目安ですが、TOEIC®は満点が990点なので、850点以上を目指すには約86%の正答率が求められます。
全200問のうち172問以上を正解する必要があると想定すると、ミスできるのはおおよそ28問です。
TOEIC®850点を目指すなら、28問までのミスにとどめるよう意識して対策することが必要です。
TOEIC®850点を取得するメリット3選
TOEIC®で850点を取得するメリットには、以下の3つがあります。
- 就職・転職を有利に進められる
- 昇進・昇格のチャンスが高まる
- 海外出張や海外勤務を目指せる
TOEIC®で850点取得することでキャリアの幅を広げることができます。
英語力を武器にして活躍できるでしょう。
それぞれのメリットについてみていきます。
就職・転職を有利に進められる
TOEIC®で850点取れれば、就職や転職を有利に進められる可能性が高くなります。
一定レベル以上の英語力があることをアピールでき、ほかの候補者との差別化をはかれるでしょう。
新卒・中途採用において、英語力を考慮する企業は多くあります。
応募要件にTOEIC®スコアや基準を設定している企業もあるようです。
近年は、英語を社内公用語とする日本企業も増加傾向にあります。
たとえば、楽天グループ株式会社や株式会社ファーストリテイリング、株式会社資生堂などです。
このような企業に向けても、TOEIC®850点は国際的なビジネス環境で活躍できる英語力を示す強みとなり得ます。
昇進・昇格のチャンスが高まる
TOEIC®850点を取得すると、昇進や昇格のチャンスも高まります。
IIBCによる調査では、調査対象企業の約4割が昇進や昇格の際に英語力を考慮すると回答しました。
将来的に考慮したいとする企業を含めると、その割合は約6割です。
グローバル化が進む現在では、TOEIC®スコアを昇進や昇格の条件としている企業もあります。
製造業界やエネルギー業界、食品業界など、さまざまな分野でTOEIC®スコアが評価基準として設けられているようです。
TOEIC®スコアが必須条件とはされない場合でも、スコアを評価の参考にする企業もあります。
TOEIC®850点を取得しておけば、昇進や昇格のチャンスを掴む可能性が高まり、キャリアアップを目指せるでしょう。
海外出張や海外勤務を目指せる
海外出張や海外勤務を目指す際にも、TOEIC®850点は重要な指標となる場合があります。
企業が海外部門の社員に期待するTOEIC® L&Rスコアは570〜810点というデータがありますが、850点はその基準を大きく上回っています。
TOEIC®で850点を取得していれば、海外出張や海外勤務の候補者として、注目される可能性が高まるでしょう。
海外勤務や社費留学の応募要件として、一定のTOEIC®スコアを設定している企業もあります。
語学力を備えていることで、キャリアの幅を広げやすくなり、国際的な経験を積むチャンスにもつながります。
TOEIC®850点達成に向けた勉強のポイント3選
TOEIC®850点達成に向けた勉強のポイントを3つ紹介します。
- 「正しく聞き取れるリスニング力」を鍛える
- 「正確に読み取れるリーディング力」を強化する
- 「使用頻度の低い、難解な単語」をカバーする
ひとつずつ確認していきましょう。
「正しく聞き取れるリスニング力」を鍛える
TOEIC®850点を目指すには、正確なリスニング力を鍛えましょう。
問題を消去法で解くのでなく、音声内容を正しく聞き取り、理解したうえで正しい答えを選ぶ力が欠かせません。
正しく聞き取るためには、例文的な決まり文句だけでなく、多様な表現や実践的な言葉づかいを知っておく必要があります。
英語のニュースやポッドキャスト、YouTubeを活用すると、豊富な表現やアクセントを知ることができ、実践的な英語も習得できます。
リスニング力アップには、聞こえてきた英語をそのまま声に出す「シャドーイング」や、英語を聞きながら文字を書き起こす「ディクテーション」も有効です。
TOEIC®の学習方法や教材の選び方については、こちらの記事でくわしく紹介しています。

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「正確に読み取れるリーディング力」を強化する
リスニング力に加えて、リーディング力を鍛えることも、TOEIC®850点を目指すうえで重要です。
TOEIC®で850点を取るには、答えに直結する情報を探すだけでなく、文章全体を理解し、論理や文脈を正確に読み取る力が求められます。
解答テクニックに頼らず、正しい選択肢を見極めるリーディング力が、TOEIC®850点達成への鍵となるのです。
幅広いジャンルの英文に触れると、リーディング力は着実に向上します。
新聞記事やビジネス文書などを通して、さまざまな表現や文体に慣れましょう。
日常的に読む習慣をつけて読む量を増やせば、速読の力も高められます。
正確性とスピードの両方のスキルを上げ、試験時間内に文章を正しく読み取る力を養いましょう。
こちらの記事では解答テクニックに頼らない学習法を解説しています。
850点を目指す人が知っておくべき内容を紹介していますので、あわせてご覧ください。

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「使用頻度の低い、難解な単語」をカバーする
TOEIC®850点を達成するためには、語彙力のさらなる向上が欠かせません。
リスニング・リーディングともに正答率を高めるには、語彙力が土台となります。
850点取るには、基礎的な単語だけでなく、使用頻度の低い単語や難解な言葉にも対応できるように学習しましょう。
試験では、同じ意味を別の単語で表現した選択肢も出題されます。
言い換え表現に対応するには、似たような意味の語を把握したり、文脈から論理的に推測したりする力が必要です。
850点を目指すなら、単語帳だけでなく、英語のニュースや解説記事なども活用しましょう。
難しい単語や表現に触れる機会を増やすと、語彙力の幅も広げられます。
語彙力については、こちらの記事でも紹介していますので参考にしてください。

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TOEIC®850点達成に必要な勉強時間
TOEIC®のスコアを100点上げるには、一般的に200〜300時間の学習が必要とされています。
平均スコアである600点レベルの人が850点を目指す場合、約500時間の勉強が目安です。
平日2時間と休日5時間の学習を行い、週20時間の勉強時間を確保できた場合でも、約6カ月かかる計算です。
継続する努力が求められますが、学習を習慣化できれば無理な目標ではありません。
スキマ時間も活用しながら、必要な勉強時間を確保しましょう。
TOEIC®850点から900点へ!さらなる高みを目指そう
850点を達成できたら、次なる目標として900点を目指してみてはいかがでしょうか。
TOEIC®は何度でも受験可能です。
TOEIC®850点達成で身についた学習習慣を継続すれば、英語力をさらに磨けます。
ぜひさらなる高みを目指して挑戦を続けてみてください。
TOEIC®900点突破については、こちらの記事をご覧ください。

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まとめ
本記事では、TOEIC®850点の英語レベルやおすすめの勉強方法などについて紹介しました。
ポイントは以下のとおりです。
- TOEIC®850点は「どんな状況でも柔軟なコミュニケーションができるレベル」
- TOEIC®850点は、受験者平均点から200点以上も高く、上位10%以内に位置する英語上級者
- TOEIC®で850点を取得できると、キャリアの選択肢を広げ、英語力を武器にした活躍が可能
- TOEIC®で850点を取得するには、正確なリスニング力・リーディング力と豊富な語彙力が必要
- TOEIC®850点を目指すには、継続的に勉強時間を確保することが重要
この記事で紹介した内容を参考に、TOEIC®850点に向けて挑戦してください。