TOEICスコアと英会話能力は必ずしも結びついていません。英会話能力を向上できない理由は何なのでしょうか?
今回は、ハイスコア取得者でも英会話ができない人が多い理由についてお話しします。
スコアが高くても英会話はできない?
「TOEICは英語力を証明する試験として信頼できない」という声は少なくありません。そのもっともたる理由が、「ハイスコア取得者でも英会話が満足にできない」という点です。事実、900点オーバーのハイスコアホルダーのなかにも、英語を上手に話せる人は多くありません。
理由はとても単純です。一般的なTOEIC® L&R TESTの試験科目はリスニングとリーディングのみ。スピーキングは含まれていません。そのため、ハイスコアであっても英会話ができることの証明にはならないのです。
もちろん、英会話能力だけが英語のスキルではありません。少なくともリスニングやリーディングの能力を測る試験としてTOEICは十分信頼できる試験です。「英語試験として信頼できない」とTOEICを断じてしまうのは的外れな指摘といえます。
一方で、TOEICスコアの向上を目指したところで英会話ができるようにならないのも事実です。TOEIC対策では、当然ながらリスニングとリーディングの対策を中心的に行うことになります。スピーキングのようなアウトプットのスキルが自然と伴ってくることはないでしょう。
TOEIC実施団体が発表している評価では、860点以上のAレベルに到達すると「Non-Nativeとして十分なコミュニケーションができる」としています。もちろん、英語を勉強していない人と比べて英語力が高いのは確かですが、一般的な「英語ができる人」のイメージにあるような流暢なコミュケーションはできない人がほとんどでしょう。
スピーキング力を伸ばせばスコアはついてくる
TOEICではスピーキング力は測定できませんが、学習する内容が英語であることには違いありません。そして、リスニングやリーディングの学習とスピーキングの学習を併行して行うこともできます。TOEIC対策本などの内容を学習する際に英文を声に出して読んでみるなど、アウトプットを意識すればよいのです。
リーディングとリスニングが出題されるTOEICの対策においてスピーキングを意識することが無駄だと指摘する人もいますが、そんなことはありません。スピーキングのトレーニングはネイティブに近い表現や正確な発音を脳に定着させることにつながるため、TOEICのスコアにも確実に反映されます。将来的にTOEICのスコアアップだけではなく英会話の上達も実現したい場合は、TOEIC対策にスピーキングのトレーニングを取り入れない手はありません。
TOEICにはスピーキングのテストもある
一般的なTOEIC Listening & Reading Testは、リスニングとリーディングの試験しかありません。このほかにも、運営団体はTOEIC® Speaking & Writing Testsというアウトプット能力の測定試験も実施しています。このテストでは、スピーキングとライティングの能力がそれぞれ0点から200点のスコアで測定されます。
スピーキング・ライティングを含めた総合的な英語力を測定し、向上させていきたいのであれば、TOEIC® Listening & Reading TestとTOEIC® Speaking & Writing Testsを合わせて受験していくのがおすすめです。
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TOEICのスコアが高くても英会話ができるとは限りません。一方で、アウトプットを意識しながら勉強することで、TOEICのスコアアップとスピーキング能力向上を同時に実現することは可能です。単なるスコアアップだけではなく本当の意味でコミュニケーションできる英語を身につけたい方は、日ごろのTOEIC対策にしっかりとスピーキングのトレーニングを取り入れましょう。
(参考)GOTCHA!