
「自分のTOEIC®スコアはCEFRレベルでどのくらいなのだろう」と、気になる人もいるでしょう。
TOEIC®スコアをCEFRに換算すると、自分の英語力が国際基準でどのレベルに相当するのかを把握できます。
この記事では、TOEIC®スコアをCEFRに換算する方法を解説するとともに、換算できるTOEIC®以外の英語試験やメリット、注意点についてもお伝えします。
TOEIC®スコアを換算するCEFR(セファール)とは
CEFR(セファール)とは、ヨーロッパで策定された外国語の能力レベルを示す国際基準です。
Common European Framework of Reference for Languages(外国語の学習・教授・評価のためのヨーロッパ言語共通参照枠)の頭文字を取って、CEFRと呼ばれています。
CEFRを使えば、言語や国境を超えて、外国語に関する4技能(聞く・読む・話す・書く)の力を総合的に測定可能です。
CEFRでは、言語能力の習熟度が高い順にC2・C1・B2・B1・A2・A1の6つのレベルに分けられます。
レベルごとに「言語を使って何ができるか」が表記されており、その言語に対する習熟度をより正確に把握できる点が特徴です。
TOEIC®のスコアをCEFRに換算すると、英語の習熟度を世界共通の基準で判断できます。

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TOEIC®スコアをCEFRに換算にする2つの方法
TOEIC®スコアをCEFRに換算する方法について紹介します。
TOEIC® Programのテスト開発機関であるETSと文部科学省が、TOEIC®とCEFRの対照表を公開しています。
それぞれ換算方法が異なるので、具体的にみていきましょう。
ETS(TOEIC® Programテスト開発機関)が公開しているCEFR対照表
ETSが公開しているTOEIC®スコアとCEFR対照表は以下のとおりです。
CEFRレベル | TOEIC® Listening&Reading | TOEIC® Speaking&Writing | ||
---|---|---|---|---|
リスニング | リーディング | スピーキング | ライティング | |
C2 | – | – | – | – |
C1 | 490~495 | 455~495 | 180~200 | 180~200 |
B2 | 400~485 | 385~450 | 160~170 | 150~170 |
B1 | 275~395 | 275~380 | 120~150 | 120~140 |
A2 | 110~270 | 115~270 | 90~110 | 70~110 |
A1 | 60~105 | 60~110 | 50~80 | 30~60 |
リスニング、リーディング、スピーキング、ライティングの4技能のスコアそれぞれをCEFRに換算できます。
自分のTOEIC®スコアがどのレベルに該当するのか、技能ごとに確認することが可能です。
TOEIC® Bridge Testsについての対照表も公開されています。
TOEIC® Bridge TestsのCEFRレベルを知りたい方はこちらをご参照ください。
【参考】IIBC「TOEIC® Program各テストスコアとCEFRとの対照表」
文部科学省が公開しているCEFR対照表
文部科学省が公開しているTOEIC®スコアとCEFR対照表は以下のとおりです。
CEFRレベル | TOEIC® Listening&Reading / TOEIC® Speaking&Writing |
---|---|
C2 | – |
C1 | 1845~1990 |
B2 | 1560~1840 |
B1 | 1150~1555 |
A2 | 625~1145 |
A1 | 320~620 |
こちらの方法では、TOEIC® Listening&ReadingとTOEIC® Speaking&Writing、両方のスコアを合算したスコアで換算します。
TOEIC® Speaking&Writingのスコアは、2.5倍にしてから合算する必要があります。
単純に両方のスコアを合わせたものではないため、換算する際は注意しましょう。
たとえば、TOEIC® Listening&Readingが600点、TOEIC® Speaking&Writing270点の場合、600 +(270×2.5)=1275点となり、CEFRではB1レベルに該当します。
TOEIC®スコアごとのCEFRレベルと英語力
TOEIC®のスコアごとのCEFRレベルと、その英語力についてみていきましょう。
TOEIC® Programには複数の種類がありますが、ここではTOEIC® Listening&Readingのスコアについて解説します。
またスコア換算はETSのCEFR対照表を参考にしています。
TOEIC®945点以上はCEFRのC1レベル
TOEIC®945点以上はCEFRのC1レベルに該当します。
熟練した言語使用者に分類され、CEFRでは上から2番目に高いレベルです。
あらゆる分野において、問題なく英語を使用できる高度な英語力があることを示します。
具体的には、難しい内容の長文も正確に内容を理解し、含意の把握が可能です。
複雑な話題についても、構成の整った正確な文章を作れます。
会話もスムーズで、言葉を探しているという印象を与えずに、スムーズかつ自然な自己表現ができます。
学問や仕事においても、柔軟かつ効果的に英語を使えるでしょう。

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TOEIC®785点以上はCEFRのB2レベル
TOEIC®785〜940点はCEFRのB2レベルに該当し、自立した言語使用者に分類されます。
自分の専門分野に関する技術的な議論も含め、複雑な文章でも理解できる英語力があります。
抽象的な内容でも、具体的な内容でも対応可能です。
ライティング力も高く、幅広い話題について、明確で詳細な文章を作れます。
会話においても、ネイティブスピーカーとも緊張せず、流暢でナチュラルなやりとりができるでしょう。
英語を使って問題なくコミュニケーションが取れるレベルと言えます。

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TOEIC®500点以上はCEFRのB1レベル
TOEIC®500〜780点は、CEFRに換算するとB1レベルです。
B2レベルと同様、B1レベルも自立した言語使用者に分類されます。
学校や仕事、娯楽などを含む日常会話に関して、標準的な話し方であれば要点を理解できる英語力があります。
日常生活においても、たいていのことであれば英語で対処が可能です。
身近な話題や興味のある話題については、筋の通った簡単な文章が作れるでしょう。
自分の身の回りのことであれば、英語で対応できる能力があると言えます。

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TOEIC®225点以上はCEFRのA2レベル
TOEIC®225〜495点は、CEFRのA2レベルに該当します。
基礎段階の言語使用者に分類され、簡単な英語であればわかるレベルです。
自分や家族の情報、買い物、住んでいる地域についてなど、直接自分と関係がある話題に関しては、よく使われる文や表現などの理解が可能です。
簡単で日常的な範囲であれば、身近な話題について答えられるでしょう。
ただし、内容に関しては単純で直接的なものになります。
ゆっくり話してもらったり、特別な配慮をしてもらったりすれば、意思疎通できるでしょう。
TOEIC®120点以上はCEFRのA1レベル
TOEIC®120〜220点は、CEFRのA1レベルに該当します。
基礎段階の言語使用者に分類され、CEFRの中では一番下のレベルです。
基礎的な英語力はあるとされ、よく使われる日常表現や基本的な言い回しであれば理解できます。
自分や他人の紹介、住んでいるところ、持ち物についてなど、ごく簡単な内容であれば、質問したり答えたりすることが可能です。
複雑な会話は難しいものの、相手がゆっくりと話してくれたり手助けがあったりすると、簡単なやりとりはできるでしょう。
CEFRに換算できるTOEIC®以外の英語試験
TOEIC®以外にもCEFRで換算できる英語の試験がいくつかあります。
ここではケンブリッジ英語検定や英検をはじめ、6つの試験について紹介します。
ひとつずつみていきましょう。
ケンブリッジ英語検定
ケンブリッジ英語検定は、CEFRの開発に関与しているケンブリッジ大学英語検定機構が実施している世界的に有名な英語試験です。
英語の4技能をはかる試験で、日本でも一部の大学入試で活用されています。
ケンブリッジ英語検定は5レベル、8種類に分かれています。
受験者2名がペアになって対面で受けるスピーキング試験は、ケンブリッジ英語検定の特徴のひとつです。
単なる発語にとどまらず、生きたコミュニケーション能力をはかれます。
ケンブリッジ英語検定はCEFRのC2〜A2レベルまで測定可能です。
英検(実用英語技能検定)
英検は日本で広く実施されている英語試験です。
小学生から社会人まで、幅広い年齢層を受験の対象としています。
試験は、1級・準1級・2級・準2級・3級・4級・5級の7段階に分かれており、初心者から高度な英語力を持つ人まで、自分のレベルに応じて受験可能です。
4級・5級はリスニングとリーディングのみですが、3級以上は面接によるスピーキング試験もあります。
英検ではCEFRのC1〜A1レベルまで測定可能です。

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GTEC(ジーテック)
GTECはベネッセが運営する英語試験です。
英語4技能をはかる試験で、日常で使える英語力を測定できます。
TOEIC®と同じく結果はスコアで示され、合否はありません。
試験は小学生〜中学1年生向け、中学生〜高校生向け、大学生〜社会人向けの3種類10タイプに分かれています。
年齢に合わせて継続的に英語力をはかれるため、英語学習のモチベーションアップに効果的です。
GTECではCEFRのC1〜A1レベルまで測定可能です。
IELTS(アイエルツ)
IELTSは、世界各国1万1,000以上の機関に採用されている国際的な英語試験です。
国際通用性が高く、留学の際に英語力を証明したり、海外移住を申請したりする際にも最適です。
世界で年間300万人が受験しており、日本の大学入試でも推進されています。
IELTSには、大学進学向けのアカデミック・モジュールと、移住申請向けのジェネラル・トレーニング・モジュールの2種類の試験があります。
出題内容は異なるものの、どちらも英語4技能を総合的にはかる試験です。
試験結果は合格・不合格ではなく、1.0から9.0のバンドスコアで示されます。
IELTSではCEFRのC2〜B1レベルが測定可能です。
TEAP(ティープ)
TEAPは、上智大学と公益財団法人日本英語検定協会によって共同開発された英語試験です。
おもに日本の高校生を受験対象としているため、試験内容も大学教育(留学も含む)で遭遇するシーンを考慮して作成されています。
TEAPでは、英語で資料や文献を読む、講義を受ける、意見を述べる、文章を書くといった、大学で学習や研究する際に必要な英語運用力を正確に測定することが可能です。
英語4技能をはかる試験内容となっており、結果は合否ではなく、スコアおよびバンドで示されます。
TEAPでは、CEFRのC1〜A2レベルまで測定可能です。
TOEFL iBT(トーフル アイビーティー)
TOEFL iBTは、大学や大学院レベルのアカデミックな場面で必要となる英語力を測定できる試験です。
世界でもっとも多くの教育機関が入学審査に採用しており、留学や大学入学の際に英語力を証明するために広く活用されています。
TOEFL iBTでは、幅広い分野の教養科目や大学内で起こる、さまざまなトピックが出題されます。
英語を読んだり聞いたりしたうえで、自分の考えを「話す」「書く」といった、総合的な問題も含まれており、より実践的な英語力の測定が可能です。
TOEFL iBTではCEFRのC1〜B1レベルが測定できます。

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TOEIC®スコアをCEFRに換算する3つメリット
TOEIC®スコアをCEFRに換算するメリットを3つ紹介します。
- 世界共通の基準で自分の英語力を示せる
- 英検などほかの英語試験と比較できる
- 学習目標を設定しやすくなる
ひとつずつみていきましょう。
世界共通の基準で自分の英語力を示せる
TOEIC®スコアをCEFRに換算すると、世界共通の基準で自分の英語力を示せます。
TOEIC®はグローバルスタンダードとされる試験ですが、その認知度は国や地域によって異なります。
いっぽう、CEFRは英語の習得状況を示す国際的な基準です。
世界中で広く知られているCEFRに換算すると、TOEIC®を知らない人にも自分の英語力を証明できます。
英検などほかの英語試験と比較できる
TOEIC®以外にも、英検やIELTSなど英語の試験はたくさんあります。
試験によって問題形式や試験方法が異なるため、それらすべて受験するのは大変です。
あくまで目安にはなりますが、TOEIC®スコアをCEFRに換算すれば、ほかの英語試験とのスコア比較が可能です。
わざわざ複数の試験を受験しなくても、「TOEIC®900点は、CEFRB2レベル。英検だったら準1級、TOEFL iBTなら72〜94点くらい」と、CEFRをものさしに、ほかの英語試験と比較できます。
学習目標を設定しやすくなる
TOEIC®スコアをCEFRに換算すると、学習目標の設定もしやすくなります。
TOEIC®のスコア目標とCEFRの目標を組み合わせると、単なるスコアの達成だけでなく、具体的に「どのようなことが英語でできるのか」を意識した学習計画を立てられます。
たとえば、「TOEIC®700点+CEFR B2」といった目標を設定するとしましょう。
するとスコアに加えて、「複雑な文章を読み解ける」「ネイティブスピーカーとも緊張せず、普通に話せる」といった具体的な英語力の目標が立てられます。
リスニングとリーディングだけでなく、スピーキングとライティングも合わせた総合的な英語力向上を目指せるでしょう。
TOEIC®スコアをCEFRに換算する際の注意点
TOEIC®スコアをCEFRに換算する際に、押さえておきたい注意点があります。
- TOEIC® L&Rのみでは正確なCEFRに換算できない
- TOEIC®で換算できるCEFRレベルはC1まで
それぞれ確認しておきましょう。
TOEIC® L&Rのみでは正確なCEFRに換算できない
TOEIC® Programには複数の試験がありますが、一般的にTOEIC®と言えばTOEIC® Listening & Reading Tests(L&R)を指すことが多いです。
このTOEIC® L&Rは、名前のとおりリスニング力とリーディング力をはかる試験です。
CEFRはリスニング、リーディング、スピーキング、ライティングの4技能の習熟度をはかるガイドラインのため、TOEIC® L&Rだけでは正確に換算できません。
ETSが公開している対照表を使用すれば、TOEIC® L&Rだけでも換算が可能です。
しかし、より正確なCEFRレベルを知りたい場合は、TOEIC® L&RだけでなくTOEIC® S&Wのスコアも必要です。
TOEIC®で換算できるCEFRレベルはC1まで
TOEIC®スコアで測定できるCEFRレベルはC1〜A1です。
もっとも高いC2レベルは、TOEIC®スコアでは測定できません。
TOEIC®で満点である990点を取得しても、CEFRは上から2番目のC1レベルです。
C2レベルを目指す場合は、C2まで対応しているケンブリッジ英語検定やIELTSを受験する必要があります。
まとめ
TOEIC®スコアとCEFRの換算について解説しました。
本記事のポイントは以下のとおりです。
- CEFRとは、外国語の習熟度レベルを示す国際的なガイドライン
- TOEIC®スコアをCEFRに換算するには、ETSや文部科学省が公開している対照表を参考にしよう
- CEFRに換算できる英語資格はTOEIC®以外にもある
- TOEIC®スコアをCEFRに換算すると、世界共通の基準で自分の英語力を示せたり、ほかの英語試験と比較できたりする
- TOEIC®スコアを正確にCEFRに換算するには、TOEIC® L&RだけでなくS&Wのスコアも必要
CEFRのC2レベルはTOEIC®では測定できないので注意しよう
総合的な英語力向上を目指すには、TOEIC®スコアの目標だけでなく、CEFRのレベルも参考にしながら勉強を進めていくのがおすすめです。
まずは今の英語力をCEFRで確認してみてください。