「学生時代にやっておけばよかったこと」というアンケートで常に上位にくるのが、英語学習です。しかし、後悔しても始まりません。
今回は忙しい社会人におすすめのTOEIC勉強法をご紹介します。
この記事を書いた人 早川 幸治
スタディング TOEIC講座主任講師。株式会社ラーニングコネクションズ代表取締役。 |
まず、大前提として学習時間の量は大切です。本気で英語力を伸ばすためには1日3時間以上確保することが必要ですので、なるべく早く英語を使えるようになる必要があるという方は、とにかく時間を確保して学習することを優先してください。
一方で、「今すぐには必要ないが、将来のためにTOEICのスコアを取っておきたい」という方や「忙しくてなかなか時間は確保できないが、やる気はある」という方は、ぜひ日々の生活の中に工夫して学習を取り込むことで、英語力を高めスコアアップを目指してください。
以前、雑誌の企画として「社会人にアドバイスして、3カ月でTOEICスコアアップを目指す」というものがありました。私が担当させていただいた方は、毎日仕事で忙しいということだったので、ヒアリングをしながらアドバイスさせていただきました。
その方は、時間を有効活用し、TOEIC 470点から3か月で800点へと大幅なスコアアップを達成されました。飛躍につながった理由は、通勤時間の学習と週末の学習に分けて、学習を体系化したことです。やみくもに学習するのではなく、使える時間や場所に合わせて学習内容を工夫することで高い学習効果を出すことができます。以下でご紹介するもので取り入れられそうなものから挑戦してみてください。
仕事が忙しい中でも英語学習で成果を上げる方に共通しているのが、スケジュールが明確であることです。モチベーションの高さや意志の強さも大切ですが、明確なスケジュールがあることで、モチベーションや意志に頼らなくなります。大切なことは、「いつ」「どこで」「何を」を明確にすることで、どんな学習をするかで悩まない状態を作ることなのです。
電車通勤をされている場合は、通勤時間が「いつ」であり、電車の中やが「どこ」となります。車通勤の場合は、通勤時間が「いつ」であり、車の中が「どこ」です。また、通勤時間をさらに細かく見ると、電車に乗っている時間も「いつ」ですし、歩いている時間も「いつ」ですね。それぞれの時間において、それぞれの場所に合った学習をするのが「何を」です。
まずは、通勤時間の「いつ」「どこで」を明確にするために、書き出してみるとよいでしょう。そのうえで、その時間・場所に合った学習法を考えてみましょう。車通勤なのにリーディングというわけにはいきませんし、電車内なのに音読トレーニングというのも厳しいでしょう。場所に合った学習法としては、以下のようなものがあります。
電車内:リスニング/単語学習/リーディング
運転中:リスニング/単語学習
歩いている時:リスニング/単語学習
耳が空いていればできるのがリスニングと単語学習です。そのため、通勤時間に行う学習を、リスニングと単語学習に絞ってしまうとよいでしょう。
さらに、電車内での学習と運転中の学習もタイプが異なります。電車内では教材やスマホを見ることができますが、運転中や歩いている時は、目を使った学習はできません。それぞれの場所に合った学習法として、以下をオススメします。
単語学習:混雑具合にもよりますが、教材を開いたりアプリを見たりできる場合は、イヤホンやヘッドホンをしながら学習するとよいでしょう。電車の時間が短い場合は、単語学習をする際には、新しいことを学ぶよりも、復習する時間として使うと効果的です。
また、ある程度の時間(30分以上)がある場合は、半分から4分の3くらいを新しい単語を覚えることに充て、最後の4分の1程度を復習に割くのがオススメです。
すでに解答し終えて、事前に英文・日本語訳を確認したPart 2(応答問題)、Part 3(会話問題)、Part 4(説明文問題)を活用するとよいでしょう。英文を見ながら、頭の中でオーバーラッピング(音声に重ねて音読する)したり、すでに英文の内容も覚えている場合は、頭の中でシャドーイング(音声を聞きながら、後からついていく)をしたりすることなども短時間でも効果的なトレーニングとなります。
オススメは「5回連続1セット」での取り組みです。たとえば、Part 3の会話やPart 4のトークに対して、最初の1回は「内容を理解するために聞く」、続く2回は「英文を見ながら脳内オーバーラッピング」、最後の2回は「何も見ずに脳内シャドーイング」などとプログラムを決めることで、たった5分であっても効果の高いトレーニングをすることができます。
同じものを繰り返すことで、頭の中にパターンができあがり、話の展開に沿って聞けるシステムが脳内にできあがります。私は、このトレーニングを「システムリスニング」と呼んでいます。
電車内であれば、リーディングも可能です。リーディング教材が重たい場合は、使うページのみコピーしておくとよいでしょう。また、アプリを活用することもできるでしょう。電車内ですので、じっくり内容を分析しながら読解力を高める学習というよりは、すでにある知識を活用して読むことに慣れたり、読むスピードを上げるために意識的に速く読んだりする練習が適しています。長くても5分程度で読み終えられるくらいの量の英文がよいでしょう。
本やアプリを見ることができないため、すでに学習済みの教材を使って、音声のみを活用して復習をメインに学習するとよいでしょう。「英語を聞いて日本語を思い出す」といった復習や「日本語を聞いて英語を思い出す」といった復習もできるほか、英文を聞いて英語のまま理解する練習などもできます。
また、途中で英文を確認できないため、車に乗る前または出発前に、その日に復習する箇所に目を通しておくとよいでしょう。これで、その日はどのような単語や英文に触れるのかを事前確認することができます。
さらに、必ず取り入れていただきたいのが「音読」です。車の中ですから、好きなだけ声を出すことができます。学習済みの内容であれば、「覚える」という学習ではなく「思い出す」という復習となるため、音読を活用することで、さらに思い出しやすくなります。
単語学習同様、出発前にその日に取り組む英文の内容を確認しておきます。そのうえで、上でご紹介した5回連続1セットの「システムリスニング」に取り組むと効果的です。なお、英文を見ることはできないため、最初の2回はストーリーを追ったり表現を確認したりという目的で聞き、後半の3回をシャドーイングに充てるとよいでしょう。しっかりと声を出すことで表現を身につけることにもつながり、リスニング力アップに大きな効果があります。
本やアプリを見ることができないという点からも、運転中の学習とほぼ同様ですが、声に出すことはできないかもしれません。人が周りにいない場合には、小声でシャドーイングをするとよいでしょう。
週末など、まとまった時間が取れる場合には、移動時間ではできない学習を取り入れることで日頃の学習で身につけた単語力やリスニング力を実際に活用する練習へとつながります。
パート別対策教材などを活用し、パート別に学習することで各パートに必要な知識を増やしスキルを高めながら、問題タイプ別のアプローチを学ぶことで、解答スキルを磨くことができます。
オススメの学習の流れは、1つのパート別対策を終えたら、模試教材の該当パートを使って解答練習を行うことです。この流れにより、学習と演習をつなぐことができ、知識やスキルを実際の形式でしっかりと活用できるようになります。
テスト本番直前には、模試教材を活用して2時間の受験がオススメです。理想は2時間確保して本番と同様に取り組むことですが、2時間の確保が難しい場合には、リスニング・リーディングを分けての取り組みでも問題ありません。
これまで身につけてきた知識やスキルをフル活用して問題を解く練習となります。実力で解けるものに正解し、実力を超えるものに悩み過ぎない練習をすることで、テスト本番の予行練習をすることができます。
Part 5(短文穴埋め問題)において、文法が苦手だと感じた場合には、まとまった時間を活用して文法を学習するのもよいでしょう。文法とは「文の法則」ですから、文法の理解とは、法則(パターン)の把握です。このパターンを把握するためには、同じ文法項目を集中的に学習するのが効果的です。
どうしても時間がかかるのがPart 7(読解問題)の対策です。効果的な学習は、やはりタイプ別の学習です。情報の展開が似たものや、問題タイプ別に学習することで、パターンを把握することができます。パターンの把握はスキルアップに効果的です。
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