TOEIC®650点はどんなレベル?大学・就職でのメリットや勉強法を解説

TOEIC®650点とはどんなレベルか知っていますか。

レベルを理解できれば、目標を立てたり学習を進めたりする際の役に立つでしょう。

この記事では、TOEIC®650点のレベルや取得するメリットなどをお伝えします。

勉強法や参考書の選び方なども紹介するので、学習の進め方に悩んでいる方もぜひ参考にしてください。

TOEIC®650点レベルはどのくらい?

まずTOEIC®650点はどのくらいのレベルなのか、押さえておきましょう。

ここでは、受験者全体の平均スコアや英検(実用英語技能検定)とも比較しながら、解説していきます。

TOEIC®650点は平均スコアよりもやや高い

TOEIC®の主催団体であるIIBC(国際ビジネスコミュニケーション協会)は、TOEIC®の受験者全体の平均スコアを公表しています。

近年のデータをみてみると、平均スコアは以下のようになっており、610点前後で推移していました。

  • 2021年:611点
  • 2022年:608点
  • 2023年:612点

このデータから、TOEIC®650点は「受験者の平均スコアよりもやや高いスコア」であることがわかります。

TOEIC®で650点を取得する受験者の割合

IIBCが公表している2023年度のデータによると、TOEIC®で645点以上を取得した人は全受験者の上位44.2%、695点以上取得した人は33.8%でした。

650点以上を取得した受験者の正確な割合は公表されていませんが、上記データより、全体の約4割と考えられます。

TOEIC®650点は平均よりも少し高いスコアではありますが、受験者全体の10人に4人程度が取得していると考えれば、努力次第でじゅうぶん手の届くスコアといえるのではないでしょうか。

TOEIC®650点の英語レベル

TOEIC®650点の英語レベルはどのくらいなのか、IIBCが公表している「TOEIC®のスコアとコミュニケーション能力レベルの相関表」を参考にみてみましょう。

相関表のレベルはAからEまでに分けられており、各レベルのスコアと評価(ガイドライン)は以下のとおりです。

レベルTOEIC®スコア評価
A860文法・語彙・構文が正しく身についており、ノンネイティブとして高い英語力が備わっている。
B730文法などには多少不正確な部分もあるが、日常会話は応答も早く、仕事でも英語を使用できる。
C470日常生活では問題なくコミュニケーションが可能。基本的な英語力が身についている。
D220簡単な日常会話は可能だが、英語力としては不十分なところも多い。
E部分的にしか会話を理解できず、意思疎通は難しい。

【参考】IIBC「PROFICIENCY SCALE」

上記の表にあてはめると、TOEIC®650点は「レベルC」に相当します。

これは、文法や構文など基本的な英語力が身についており、日常生活の範囲内であれば問題なくコミュニケーションが可能なレベルです。

簡単な内容であれば、仕事で英語を使うこともできるでしょう。

TOEIC®650点は英検2級〜準1級レベル相当

TOEIC®650点の英語力について、英検(実用英語技能検定)とも比較しながら確認してみましょう。

TOEIC®と英検はどちらも英語能力を測る試験ですが、試験方法や評価方法が異なるため、単純にスコア換算をすることはできません。

ただし、CEFR(セファール)という指標を用いることで、両者の比較が可能です。

CEFRとは外国語の習熟度レベルを示す際に使われる基準で、欧米を中心に世界で広く活用されています。

習熟度は高い順に「C2、C1、B2、B1、A2、A1」の6段階で表されます。

TOEIC®650点はCEFRにあてはめると「B1レベル」で、これは英検でいうと「2級から準1級」相当です。

B1レベルは「自立した言語使用者」と表現され、標準的な話し方であれば、仕事・学校・娯楽などの身近な話題の主要な部分を理解できます。

身の回りの出来事や興味関心のある話題については、筋の通った簡単な文章が作成可能なレベルです。

TOEIC®650点を取得する4つのメリット

TOEIC®で650点を取得するメリットとして、次の4つがあげられます。

  • 大学受験で優遇措置が受けられる
  • 大学などで単位が認定される
  • 就職や転職時にアピールできる
  • 社会人としてキャリアアップを目指せる

くわしく解説していきます。

大学受験で優遇措置が受けられる

TOEIC® Programは、全国の国公立大学・私立大学の入学試験で活用されています。

基準となるスコアを取得することで、英語試験の免除や得点換算、判定の優遇などを受けることが可能です。

学校によってはTOEIC®のスコアが出願資格となっている場合もあります。

以下は、2022年度実施の入学試験において、TOEIC®650点で優遇措置を設けていた大学の一例です。

大学学部・学科【試験形態】入試名TOEIC®活用方法
立命館大学経営学部国際経営学科【総合型】英語重視出願資格
同志社大学商学部【総合型】アドミッションズオフィス出願資格
愛知県立大学外国語学部【学校推薦型】大学共通テストを課さない推薦(愛知県内枠)出願資格

【参考】IIBC「TOEIC Program 大学入学試験における活用状況_2022年4月版」

大学によっては650点よりも低いスコアを基準としているケースもあるので、650点を取得しておけば、優遇措置を受けられる大学が増えるでしょう。

なお、入学試験の詳細な要件や最新情報については、必ず各大学の募集要項などで確認するようにしてください。

大学などで単位が認定される

TOEIC® Programは、大学や短大、高等専門学校の単位認定にも活用されています。

2021年度は、1135校中434校と4割近くの学校がTOEIC® Programのスコアを単位認定に活用していました。

以下は、IIBCが公表している活用校の一覧のうち、TOEIC®650点以上で単位を認定している学校の一例です。

学校名学部認定単位数
富山大学全学部2単位
新潟大学全学部2単位
東京経済大学全学部4単位
明石工業高等専門学校全学年3単位

【参考】IIBC「単位認定におけるTOEIC Program活用状況2021」

学校によっては、500点で1単位、600点で2単位など、取得スコアに応じて認定単位数が増える場合もあります。

単位認定の詳細な要件は、各学校の案内などでご確認ください。

就職や転職時にアピールできる

就職や転職時にアピールできることも、TOEIC®で650点を取得するメリットです。

2019年のIIBCの調査では、調査対象となった企業・団体の約半数が採用時にTOEIC® Programのスコアを参考にしていると回答しています。

この調査結果によると、企業が新入社員に期待するTOEIC®のスコアは535点、中途社員では560点となっています。

しかし、実際の新入社員の平均スコアは人気業界になると600点を超えているため、就職活動で英語力をアピールするのであれば、それ以上のスコアを目指しておきたいところです。

現在、多くの企業がグローバル市場へ進出しており、どの業界でも英語の必要性は高まっています。

650点を取得しておけば、平均以上の英語力があるという証明になり、入社時のアピールポイントのひとつにできるでしょう。

社会人としてキャリアアップを目指せる

TOEIC®のスコアを、昇進・昇給の要件や参考にしている企業も少なくありません。

なかには、係長・主任への昇進条件としてTOEIC®650点取得が設定されているような企業もあります。

企業や役職によって求められるスコアは異なりますが、TOEIC®で平均以上の650点を取得しておけば、昇進や昇給につながりやすくなるでしょう。

また、TOEIC®のスコアを海外赴任や海外出張者の選抜要件としている企業もあります。

620〜635点程度を選抜要件や参考としている企業が多く、650点を取得していれば対象者として選ばれる可能性も高まるでしょう。

社会人としてキャリアアップを目指すなら、TOEIC®650点以上をひとつの目標にするのがおすすめです。

TOEIC®650点突破!これだけは押さえておきたい勉強法2選

TOEIC®650点を突破するにあたって押さえておきたい勉強法を、次の2つに絞って紹介します。

  • 徹底的に基礎を固める
  • 問題形式に慣れる

それぞれみていきましょう。

徹底的に基礎を固める

TOEIC®650点を突破するには、基本的な英語力が不可欠です。

単語力、文法力を中心に徹底的に基礎を固めていきましょう。

スコアアップを目指そうとすると、つい難しい問題に手を出したくなりますが、難しい問題を解いたからといって、必ずしもスコアが上がるわけではありません。

基礎を固めるためには、易しいことを何度も繰り返すことが大切です。

TOEIC®ではよく出題されるテーマがありますので、それに関連する単語を優先的に覚えていくとよいでしょう。

文法についても、よく出題される内容を集中的に学習したうえで、高校卒業程度の内容は幅広く学習しておいてください。

また、勉強する際は、音読を取り入れるのもおすすめです。

声に出して読むことで、リスニング問題を聞き取れるようになったり、長文をスムーズに読めるようになったりします。

基礎固めについては、こちらの記事でもくわしく紹介しています。

問題形式に慣れる

TOEIC®の問題形式は基本的に毎回同じなので、事前に慣れておくことが大切です。

TOEIC®はリスニングが約45分間で100問、リーディングが75分間で100問、合計約2時間で200問のテストです。

リスニングの音声は一度しか流れませんし、リーディングも単純計算で1問あたり45秒しか時間を割けず、かなりの解答スピードが求められます。

実際のテスト形式に即した公式問題集などを使って、事前に出題傾向や問題のパターンを把握しておくようにしましょう。

本番と同じ形式の問題を繰り返し解くことで、時間配分や解き方のコツを掴めます。

また、問題形式に慣れるには、オンライン講座やアプリを使うのもひとつの方法です。

スキマ時間を使って、単語や文法なども効率よく学習しましょう。

TOEIC®650点を突破する参考書の選び方3選

TOEIC®650点を突破するための参考書の選び方を3つ紹介します。

  • 自分のレベルに合っているか
  • 目的に合っているか
  • 迷ったらTOEIC®公式の参考書がおすすめ

ひとつずつポイントを解説します。

自分のレベルに合っているか

参考書を選ぶ際は、自分のレベルに合っているか確認しましょう。

早くスコアアップしたいからといって、あまりに難しい参考書を選ぶのはおすすめできません。

難しすぎる参考書を無理して解こうとすると、挫折してしまう可能性があるからです。

反対に簡単すぎる問題集も、なかなか力にはなりにくいものです。

TOEIC®では目標スコア別の参考書や問題集が販売されているので、自分のレベルに合わせて活用するとよいでしょう。

目的に合っているか

目的に合った参考書を選ぶのも大切なポイントです。

TOEIC®対策として、文法に特化した問題集や、よく出る単語をまとめた頻出単語集などが販売されています。

基礎を固めたい場合はこれらを活用してみてください。

リスニングを強化したい、パート6や7の長文問題の読解スキルを伸ばしたいなど、苦手分野や伸ばしたい分野が明確な場合は、それに応じた参考書を選びましょう。

目的に合った参考書を使うことで、効率よく勉強を進められます。

迷ったらTOEIC®公式の参考書がおすすめ

なにから始めてよいかわからない、参考書選びに迷っている、という場合は、IIBCから発売されているTOEIC®公式の参考書を使うのがおすすめです。

とくに、650点になかなか到達できない方は、「公式TOEIC® Listening & Reading 650+」を活用してみてはいかがでしょうか。

650点を取得するにあたって、押さえておきたい問題が数多く収録されています。

TOEIC®公式の参考書は、定期的に最新版が発売されています。

古いものは現在の問題形式に沿っていない場合もあるので、最新のものかどうか確認して購入するようにしましょう。

【参考】IIBC「公式TOEIC Listening & Reading 650+」

TOEIC®650点からレベルアップ!勉強時間の目安と学習のコツ

TOEIC®650点を達成した人は、さらなるレベルアップを目指しましょう。

TOEIC®のスコアを100点アップさせるには、目安として200~300時間の勉強が必要といわれています。

ここからは、TOEIC®650点を取得した人が750点、850点、950点を達成するために必要な勉強時間の目安や学習のコツについてみていきましょう。

TOEIC®650点から750点

現在650点の人が750点を達成するには、約225時間の勉強時間が必要といわれています。

1日2時間勉強すると、4カ月弱かかります。

750点を目指すなら、基本的な問題を正解することに加えて、やや難易度の高い問題にも対応できる知識やスキルが必要です。

基礎英語力を上げるには、単語を単体で覚えるのではなくフレーズで覚えていきましょう。

また、英語を聞いた(読んだ)際にいったん日本語に訳すことなく、英語のまま理解する力も必要になります。

英語の処理スピードを上げるためにも、音読やシャドーイングを取り入れるとよいでしょう。

700点を突破するための勉強方法については、こちらの記事でも紹介していますので、参考にしてください。

TOEIC®650点から850点

現在650点の人が850点を達成するには、約500時間の勉強時間が必要といわれています。

1日2時間勉強すれば、8カ月と少しかかる計算です。

850点を取得するには、問題を解くためのテクニックだけに頼るのではなく、確実な英語力を身につけなければなりません。

問題を解く際は、すべての選択肢に対して「どうして合っているのか」「どうして間違っているのか」を考えながら解いていきましょう。

これまでの知識を定着させると同時に、あやふやな部分があれば必ずクリアにして、理解できない部分がないようにしていきましょう。

800点突破するための勉強のコツについては、こちらの記事でも紹介しています。

TOEIC®650点から950点

現在650点の人が950点を達成するには、約825時間の勉強時間が必要といわれています。

1日2時間勉強すれば、14カ月(1年2カ月)弱かかります。

TOEIC®の最高点は990点なので、950点は満点に近いスコアです。

つまり、950点を達成するには、かなり高い正答率が求められることになります。

950点を取るには、語彙力や文法を徹底的に強化し、しっかりと定着させましょう。

また、苦手な分野があると、950点を達成するのは難しくなります。

自分の弱点を把握し、苦手なパートがなくなるよう繰り返し問題を解いていきましょう。

900点突破のための勉強方法については、こちらの記事でも紹介しています。

まとめ

本記事では、TOEIC®650点の英語レベルや650点突破のための勉強法を紹介しました。

ポイントは以下のとおりです。

  • TOEIC®650点は受験者の平均よりやや高めのスコア。基礎英語力が身についているレベル
  • TOEIC®650点を取得すれば、大学受験で優遇措置が受けられたり、学校で単位として認定されたりする
  • TOEIC®650点を突破するには、基礎を固めて問題形式に慣れる必要がある
  • 自分のレベルや目的に合った参考書を選ぼう。迷った場合は公式の参考書がおすすめ
  • TOEIC®650点からさらにレベルアップを目指す場合は、必要な勉強時間を確保し、目標スコアに応じた方法で学習しよう

TOEIC®650点を最初の目標に設定している人も多いでしょう。

今回紹介した勉強法などを参考にしながら、効率的に学習を進めていきましょう。