大きな書店でTOEIC教材の棚の前に立ったり、Amazon等のオンラインストアで検索したりすると、膨大な量の書籍があり、一体どれを選べばよいのかわからなくなりますよね。何が自分に合っているのかわからずに、「売れています!」と書かれた教材やレビューがたくさんついている教材を買ってみたものの、レベルが合わずに挫折してしまったという方も少なくありません。
私自身、学習者から「どの教材がオススメですか?」という質問をいただくことも多いのですが、残念ながら万人に共通して効果的な教材というのはありません。現在のレベルによって、効果的な教材が異なります。学習者にオススメ教材を選ぶ際に私が重視しているのが、その方が現在持っている力です。
その力とは、私がTOEIC対策指導やTOEIC教材執筆において重視している「TOEICに必要な3つの力」で、「英語力」「情報処理能力」「対策力」です。
TOEIC教材を活用した学習においても、この3つの力を伸ばすことで、スコアアップへとつながります。
ちなみに、1つめの英語力とは、単語力や文法力などの知識のことです。英語力を高めることがスコアアップの基礎となります。2つめの情報処理能力とは、リスニング力やリーディング力に相当する英語を素早く理解するスピード処理能力です。「見ればわかるが、聞くとわからない」とか「ゆっくりなら読めるが、速く読めない」といった場合は、英語力はあるものの情報処理能力が欠けている状態です。そして、3つめの対策力とは、TOEICの傾向に合わせて英語力や情報処理能力をチューニングしたものです。問題タイプ別アプローチや時間配分などが対策力に相当します。
教材選びにおいても、TOEICに必要なこれら3つの力のうち、どの力を伸ばすのかを意識することで、無駄のない選択へとつながります。
いずれにしても、大切なことは「使いこなせる教材」を選ぶことです。
この記事を書いた人 早川 幸治
スタディング TOEIC講座主任講師。株式会社ラーニングコネクションズ代表取締役。 |
教材選びとは、まさに「相棒」を選ぶようなもの。とはいえ、教材があなたのスコアを伸ばしてくれるわけではなく、あなたが教材を活用して英語力を伸ばし、その結果スコアが上がるのです。難しいものに挑戦したほうが速く上達するというものではないため、あなたのレベルに合ったものに取り組むことが何よりも大切です。そこで教材を選ぶ際にチェックすべきポイントをご紹介します。
信頼できる教材かどうかは、著者プロフィールを見て、TOEICを実際に受験しているかどうか、TOEICに熟知していそうかどうかを判断してください。英語ができればTOEICで高いスコアを出すことはできますが、テストの傾向を知らないことには適切な教材を作ることはできません。TOEICの知識という意味で信頼できる著者かどうか、まずはプロフィールを確認してみてください。
使う教材のレベルが合わないと、挫折一直線です。特にこれまで英語が苦手で、改めて学習し始めるという方にとっては、レベルに合った教材レベルは何よりも肝心です。「難しいをじっくり」ではなく、「易しいをたくさん」が重要な学習戦略です。まずは教材をパラパラめくってみて、知らない単語が多すぎないかどうか、解説を読んでみて、理解しやすいかどうかを確認してみてください。英語学習に慣れていない場合は、「少し簡単かも」と思うくらいから始めることで、基礎固めをしながら英語力を高めることができます。
教材にはいくつかタイプがあります。パート別や問題タイプ別に学習するものなのか、模試のように問題を解くことで解答に慣れるための教材なのか、音読などのトレーニングを実施する教材なのかなどなど、様々なものがあります。
単語力が不足している場合は、大量に問題を解くだけでは英語力が付くことはないため、しっかりと知識をつけるための教材を活用することが効果的です。一方で、単語や文法はある程度知っているものの、リスニングに弱点があったり、速く読めないなどの悩みがあったりする場合には、知識を増やす教材ではなく、リスニングやリーディングに特化したスキルを高める教材を活用することで、弱点克服につながります。
また、ある程度英語力はあるもののTOEIC対策を行ったことがない方は、そのままテストを受けるだけだと実力がスコアに反映されないことがあります。そこで、テスト形式や傾向を知るためにも、パート別に学ぶ教材や模試教材を活用することで、TOEICに特化した学習ができ、本来のスコアを手にすることができます。
知識がつくのは、「知らないこと」が「すでに知っていること」に結び付いた時です。そのため、文法解説や正解の根拠などを理解できることが重要です。そのため、解説を読んでみて、理解できるかどうかを確認してください。ハイスコアを目指す教材では、すでに基礎力があることを前提に解説が書かれている場合も多くあります。
TOEIC L&Rテストのスコアは、各問題の難易度により配点が変わるのではなく、リスニングとリーディングそれぞれの「正解数」に応じてスコアが決まります。そのため、スコアアップのための学習とは、正解数を増やすために現在の力を基準に、さらに一歩力をつけるための取り組みです。単語がわからない人が、難易度の高い教材に取り組んでも、わからない状態を抜け出すことはできません。
ここからは、現在のレベルと目標スコアに応じたオススメ教材をご紹介します。
TOEIC 200点~300点レベルの方にとっては、テストでは適当にマークしているものがほとんどかもしれません。そこで、まず目指すべきスコアは450~500点です。これらのスコアは、基礎力があるかどうかの証明となるスコアのため、「わかる」「解ける」を体感しながら徹底的に基礎固めができる教材がオススメです。
書きながら学習することで、理解できていないところを明確にすることができます。また、基礎単語や基礎フレーズが何度も繰り返し登場するため、先に進みながら表現の復習ができるため、学習効果が高いのも特徴です。それぞれ1日4~6ページの学習で、20日または30日で完成します。1度の学習でどこまで進めばよいかも決まっているため、1冊終わらせやすいという特徴もある教材です。
ジャンル別に学習する単語教材です。イラストもあるため、記憶しやすいでしょう。さらに思い出しやすくするために、音声を活用して音読なども取り入れると効果的です。
TOEICに出題される基本的な場面について基本的な単語や表現で構成された全パート対策のための教材です。基礎単語や基礎文法、基本的なリスニングやリーディングの学習を通して正解できる問題を増やします。
リスニングセクションに特化して、Part 1~Part 4まで基本的な内容を聞き取れるようになるためのトレーニングや解答練習ができます。実際よりも遅いスピードを活用することで、「聞ける」という状態を体感できます。
解答パターンを身につけることで、知識化していく教材です。
Part 5(短文穴埋め問題)とPart 6(長文穴埋め問題)に頻出する文法項目別に、問題を解きながら学習することができます。短く易しい英文から始まり、徐々にTOEICレベルの長い英文へと難易度が上がります。(音声付き)
Part 2(応答問題)を活用して、問題タイプ別のアプローチを徹底練習したり、音の変化を学習したりすることで、パターンを習得することができます。全ての英文を音読をすることで、学習効果がさらに高まります。
ある程度英語力が付いてきたら、パート別に対策をすることでテストに向けた学習をさらに進めることができます。
解説が丁寧なパート別対策教材です。Part 1~Part 7まで、各パートの傾向や解法を理解することができます。
テスト直前には、本番レベルの問題を用いた準備が不可欠です。これまでの学習で培ってきた力で解ける問題に確実に正解し、難しい問題には悩み過ぎずに適当にマークをして先に進む練習をしておくことで、本番の難しさにも慣れておくことができます。
テスト制作団体が作っている公式教材です。本番と同じナレーターも登場するため、声に慣れておくという効果もあります。
600点とは知識がスキルに高まってきたことを意味するスコアです。単語力や文法力などの英語力を基礎として、情報を処理できるリスニング力やリーディング力へと転化させる必要があります。スポーツや楽器演奏同様に、スキルを身につけるには反復練習や時間をかけた取り組みが不可欠です。英語に触れる量を増やしていきましょう。
全ての理解の土台となるのが単語力ですから、単語力によってスコアは変わります。仕事の場面で使われるTOEIC頻出語を身につけることで、全体の知識やスキルが高まりやすくなります。
単語を「英語=日本語」という対訳で覚えるのではなく、よく使われるフレーズとして学習することができます。単語の使い方も学べるため、Part 5の語彙問題や文法問題にも効果的なだけでなく、リスニングやリーディングの力にも応用できます。
1冊がストーリーの中で単語を学べるようになっているため、従来のような暗記型の学習が苦手な方にオススメです。ストーリーを通して学べるため、単語が使われる文脈を通して学びやすく、音読をすることで単語力だけでなくリスニング力アップにもつながります。
TOEICの文法問題のレベルは、英検でいえば4級~2級レベルまでの文法が多く出題されます。ただし、単語がビジネス寄りのものが多いため、TOEICに特化した文法教材を活用することで、単語力も高めつつ、文法力をつけることができます。
TOEICに頻出する文法を基礎から学べます。正解の解説だけでなく、英文の構造についての説明も多いため、文法力だけでなく、読解力にもつながります。
基礎力が安定してきた後は、各パートにおける問題タイプ別アプローチを学ぶことで、これまで伸ばしてきた知識やスキルをテスト向けにチューニングすることができます。
説明はシンプルでわかりやすさを重視しているため、基礎力がついていればスラスラと進めることができます。各パートが求めているものがまとめられており、ポイントに絞って取り組める教材です。
どのレベルにおいても、本番レベルの模試を活用した準備は不可欠です。スポーツでいえば練習試合に相当します。日頃の学習で身につけた英語力・情報処理能力・対策力を実際にテストで発揮するための練習に取り組んでください。
テスト制作団体が作っている公式教材です。本番と同じナレーターも登場するため、声に慣れておくという効果もあります。
より具体的に弱点を知り克服したいという方向けに、間違いやすいポイントの解説も詳しい教材です。特典として全問解説動画もあり、問題を解いて終わりではなく、じっくりと学習することができます。
ある程度理解できることに満足せずに、スコアアップの足を引っ張っているものを明確にして、その弱点を克服することが求められるのが800点です。また、800点到達には高い英語力だけでなく、素早く英語を処理する情報処理能力も求められます。また、600点までは、制限された理解の中で正解を出す力で対応していた部分もありますが、800点を取るためには、問題とは直接関係のない箇所についても正確に内容を把握する力が必要です。
600点を超えてくると、ある程度は解ける状態になってきますが、なんとなく理解できていることに満足してしまいスコアが停滞しやすくなる傾向もあります。そこで、苦手なパートや弱点を克服するための教材に取り組むことで、ブレイクスルーを起こしましょう。
「Part 2&1」、「Part 3&4」、「Part 5&6」、「Part 7」とパート別に学習できる分厚い教材です。問題タイプ別のアプローチが学べるほか、TOEIC形式を少し離れたトレーニングなどもあり、問題を解くために必要な知識やスキルも一緒に磨くことができます。
「リスニング」、「Part 5&6」、「Part 7」があり、こちらも分厚い教材です。大量に問題を解くことで、解答パターンを体得することができます。すでに700点前後を取っている方が、さらに力をつけるために難易度の高い問題が多く収録されています。
すでに500点以上を取っている方が、さらに文法問題の正解率を高めるための教材です。項目別に1000問以上に取り組むことができるため、TOEICに出題される文法問題を体系的に学べるほか、TOEICスコアアップにつながる単語やフレーズも同時に学ぶことができます。
手軽に学習できる新書サイズで問題の質も高く、「文法特急」「読解特急」「パート5特急」「音読特急」など、種類も豊富にあります。スキマ時間などにも取り組めるため、どんな状況においても正確に理解する力を磨くことができます。
テスト本番前には、学習効果を見るためだけでなく、リーディングを最後まで終えられる時間配分の練習をしておくことが大切です。また、解説を確認する際には、「正確に理解して正解したかどうか」「間違えたものの中に、本来正解できたはずのものはないか」など、細かく確認することで、さらに精度を高め、ミスを減らすことができます。
易しめの問題は素早く正確に解くことを意識するほか、Part 3 / Part 4 / Part 6 / Part 7のような長文系の問題については、しっかりと理解して解答する練習をしておくことで、本番でも効果を発揮します。
本番直前だけでなく、学習前に弱点を知るためにも活用できます。弱点を事前に知ることで、どの部分を集中的に伸ばすべきかを把握することができ、より効果的な学習へとつながります。
移動時間やスキマ時間をはじめ、毎日手軽にスマホで学習したいという方には、スタディングの講座もオススメです。事前に設計された効果的な学習の流れの中で取り組めるため、スマホ1台で効果的な学習をすることができます。知識を増やしやスキルを伸ばすための毎日の学習のほか、ウィークリーテストやマンスリーテストなどもついていますので、目標スコアに必要な英語力・情報処理能力・対策力の3つの力を習得することができます。
TOEIC®L&Rテスト対策法を分かりやすく解説! |
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