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【TOEIC満点講師が解説!】 リスニング学習法〜英語が聞こえるようになるには?〜

【TOEIC満点講師が解説!】<br />リスニング学習法〜英語が聞こえるようになるには?〜

私が英検準2級に合格した頃、リスニングが散々でした。当時専門学校生だった私は、TOEICの授業を履修していました。

毎週、Part 2(応答問題)を15問解いて、解説を聞くというものでした。4月から始まった授業も6月に差し掛かりましたが、当時の私のリスニング力は壊滅的で何もわからなかったため、適当に答えを選んで15問中3~4問正解というものでした。3択にもかかわらず、3分の1の5問に正解が届いたことはありません・・・当時の私の感想は、「速すぎる」でした。

同じように、「英検準2級以上に合格している。でもリスニングが苦手・・・」という方は多くいらっしゃいます。
中には、英語の受験勉強はしっかりとやってきたため、豊富な単語力や高い読解力を持っているにもかかわらず、リスニングが苦手という方もいらっしゃいます。

その中でも、多い悩みが以下のようなものです。

・スピードが速すぎてついていけない。
・読めばわかるのに、聞くとわからない。
・聞いている途中で、わからない単語があると聞けなくなってしまう。
・聞いている時はわかる気がするけれど、あとで思い出せない。
・正解はできているけれど、細かい意味はつかめていない。

そもそも「聞ける」とは何か

英語学習で悩んだ場合、「日本語の場合はどうなんだろう?」と考えるとヒントになることが多くあります。私たちは日本語をどのように理解しているのでしょうか。

  • 単語の意味を認識できる
  • 単語の発音を認識できる
  • 意味の切れ目を認識できる

前提となる大きなものは、この3つでしょうか。リスニングにおいては、発音されたものを意味に転換して理解する必要があります。「読めばわかるのに、聞くとわからない」という悩みは、単語や文法を知っているのに、発音されたものを意味に転換できないという現象です。リスニング力とは、知識ではなくスキルです。そのため、文字で理解する単語力を伸ばしても、問題を解くための文法力を伸ばしても、聞けるようになるわけではないのです。

リスニングが苦手な方でも、以下の英語であれば、日本語訳することなく理解できるはずです。

Thank you very much.
I’m sorry.
Nice to meet you.

もしかしたら、以下のようなものも英語のまま理解できるかもしれません。

May the force be with you.

スターウォーズ・ファン限定かもしれませんが(笑)

なぜ、これらは英語のまま理解できるのでしょうか。「簡単だから」で済ませずに、「なぜ簡単だと思えるのか」に踏み込むと見えてくることがあります。

それは、文法や単語という細かい知識を経ずに表現として頭に入っているからです。Nice to meet you.を理解する場合、「不定詞」という意識は頭にないでしょう。さらに、文字を知っているだけでなく、音も知っています。そのため、Nice to see you.やGreat to meet you.のように一部が変わっても、何となく理解できるのです。ここに英語のまま理解できるヒントがあります。


そもそも「英語は速い」のか

日本語と比べると、英語ってものすごく速く感じますよね。「よく舌がもつれずに、こんなに速く話せるなぁ」と思ったことがあるかもしれません。ところが、英語のネイティブスピーカーに「日本語と英語ではどちらが速く感じますか?」と聞くと、「ニホンゴ」という答えが返ってくることも多くあります。私たち日本語話者にとっては圧倒的に速さに勝る英語ですが、英語話者にとっては日本語の方が速く感じるのです。

不思議ですね。

すでに英語をある程度聞き取れる方も、「英語のスピードは速く感じないけど、フランス語やスペイン語は英語よりも速く感じる」とか「韓国語や中国語が速く感じる」ということはありませんか?

言語には客観的なスピードの違いというものは存在しないのかもしれません。あるのは、母国語レベルになっていない外国語のほうが速く感じるという現象です。その理由は、言語ごとに異なるリズムのせいなのです。このリズムを身につけることで、速く感じる英語をそのまま理解できるようになってきます。

日本語のリズムは、文字数の分だけ時間がかかります。「ありがとうございます」よりも「ありがとうございました」のほうが1文字多い分、言い終わるのに時間がかかるのです。
一方で英語は、文字数ではなく音節の数がポイントです。たとえば、importantは「イ・ン・ポ・ー・タ・ン・ト」という7個の音ではなく、im・port・antという3つの音(音節)ですし、appleは「ア・ッ・プ・ル」の4つではなく、appleという1つの音(音節)なのです。
そのため、importantを7つの音だと思って聞いていると、音が3つしかないために速く聞こえてしまうのです。

さらに、日本語は「お伝えしたいことがあります」のように全ての文字を発音しますが、英語の場合はLet me tell you something.をレット・ミー・テル・ユー・サムシングのように全てを発音するのではなく、レミテゥユサムスィンのように、音の連結や脱落、変化、弱く発音する音などが混在しています。このような特徴を持つ英語に対して、日本語と同じように聞こうとすると、速く聞こえてしまうのです。

以上のことからもわかるように、日本語と英語のリズムの違いが「速すぎて英語が聞けない」という状況を作り出しているのです。それを克服するためにオススメしたいのが、トレーニングです。


リスニングスキルの構成要素

すでに見てきたように、一言で「リスニング」といっても様々な要素で構成されています。まずは、リスニングスキルを細分化することで、構成要素を確認してみましょう。

単語力&文法力

前提として「読めばわかる」ことが大切で、意味を知らないものは聞いてもわかりません。その大前提となるのが、単語力です。しかし、文字としての意味を知っているだけでなく、音を聞いて意味を認識できる力が不可欠です。また、文法力についても「beautiful flowerは形容詞+名詞」という品詞の順番や、過去形と現在完了形の違い、比較級の作り方や関係代名詞の使い方などといった知識だけでなく、beautiful flowerと聞いて「美しい花」のことだと理解したり、eat lunch quicklyと聞いて「素早くランチを取ること」だと理解したりできる、英語の語順のまま意味を取らえられる力が必要です。

英語の音を処理する力

「単語や文法を知っているのに聞き取れない」という悩みを持っている場合、身につけた英語力の中に音の要素が欠けている状態です。カラオケでいえば、歌詞を覚えているけれど、メロディがわからないという状態です。モッタイナイですよね。

英語の音を処理するために必要なのが、「発音」「アクセント」「イントネーション」「リズム」です。

発音とは、母音や子音で構成される音を正確にとらえる力です。アクセントは、語句において強勢がおかれる部分です。たとえば、importantにおいても、improvementにおいてもoが強く発音されます。続いて、イントネーションとは、抑揚のことを言い、英文の中にある音の高低です。そして、リズムとは、「アクセントが置かれる単語」と「弱く発音される単語」の連続性の中で発生するものです。

たとえば、To cancel your reservation, please contact us at least a week in advance.という英文においては、アクセントがある単語は、cancel / reservation / please / contact / least / week / advanceです。これらは「内容語」と呼ばれ、単語自体に意味があり、はっきりと発音する必要があるためです。一方で、それ以外のto / your / us / at / a / inのように、代名詞、冠詞、前置詞などは「機能語」と呼ばれます。これは、文法的な機能を果たし、弱く短く発音されます。はっきり発音される内容語と弱く短く発音される機能語の間でリズムが生まれ、英語を速く感じさせているのです。

体系的に学習したい方は、以下のような発音系の教材を使うとよいでしょう。

  • 小川直樹『耳慣らし英語リスニング2週間集中ゼミ』(アルク)
  • 谷口恵子『3ヶ月で英語耳を作るシャドーイング 改訂版』(プチ・レトル)

英語のリズムを身につけて、リスニング力を高める方法

英語の聞き取りを難しくしている主な原因は、日本語と英語のリズムの違いにあることを述べてきましたが、ここからは英語のリズムを体得するトレーニング法についてご紹介します。ちなみに、「聞く」とは誰かが話したものを理解する作業です。つまり、英語のリズムで話されているものを理解するためには、英語のリズムで発話するトレーニングをすることが効果的です。

特に、歌を覚えるカラオケの練習と同じプロセスがオススメです。歌いたい曲を歌えるようになる過程において、歌を聴くだけでなく、歌詞カードを確認したり、一緒に歌ってみたりすることで、徐々に歌えるようになります。歌えるということは、当然、聞きながら歌詞の内容を理解できるようにもなっています。英語においても、同じプロセスを使うことで、英語のリズムで発話できるようになることで、英語のリズムで聞けるようになるのです。カラオケにおいての歌詞カードは、英語においての英文スクリプトです。何度も見て歌っているうちに歌詞カードを見なくても歌えるようになるように、何度も繰り返し声に出すことによって、英文スクリプトを見なくても正しい英語を口から出すことができるようになります。このトレーニングこそ、「音読」なのです。

ここからは、効果的な音読トレーニングをご紹介します。なお、使用する教材は、公式問題集などの模試教材でも、パート別対策系の教材でもよいですし、「本当に全然聞けません・・・」というリスニングが苦手な方は、収録されている単語も易しめで、スピードがゆっくりのものを使ってもよいでしょう。「読んでみたら少し簡単に思える」という教材がちょうどよいでしょう。

「見本」をとにかくマネる

英語学習に限らず、最速で上達させるコツは、見本を徹底的にマネることです。「ルールを知るだけ」や「聞くだけ」では上達のスピードは速まりませんし、また「自己流」でやっていても上達を感じにくいでしょう。上達が速い人の特徴のひとつとして、「素直にやる」というものがあります。まさに「素直にマネしてみる」ことが、上達のコツです。

なお、いずれも英文スクリプトと日本語訳を読み、内容を100%理解してからトレーニングを行ってください。理解していないものを聞くことは、勉強をしている気にはなれるのですが、実際に力が伸びないこともあります。理解しているものに取り組むことは、上達を加速させます

リピーティング

英語を流した後で音声を止め、聞いたものをマネして声に出すトレーニングです。短文だけでなく、長文であったとしても一文ごとにリピートしたい場合に効果的です。お手本を再現するという意識で取り組んでください。発音・アクセント・イントネーション・リズム、全てを意識してマネることが大切です。

リピーティングでのオススメは、自分の英語を客観的に把握するために録音することです。最初は自分の声を聞くのに抵抗があるかもしれませんが、上達させるために自己分析をすることは必須です(2週間で慣れます!)

考えてみてください。自分の走り方をビデオでチェックしない陸上選手はいませんし、打撃フォームをチェックしないプロ野球選手もいません。上達のために不可欠なのが、この客観視です。英語学習にビデオは必要ないかもしれませんが、録音は絶対必要です!

どうしてもうまく言えないという場合は、やみくもに取り組むよりも、英語の音の仕組みを学びながらのほうが効果的です。上でご紹介した本や、書店で立ち読みしてみて面白そうだと感じる本を活用するとよいでしょう。

オーバーラッピング

リピーティングができるようになったら、ワンステップ上のオーバーラッピングがオススメです。これは、英語を流しっぱなしにして、英文スクリプトを読みながらピッタリ重ねて声を出すトレーニングです。「重なるかズレるか」がはっきりわかるため、英語のリズムが身についているかどうかを確認することができます。音声のスピードにピッタリ重ねることが目標のため、意識すべきポイントはリズムです。

やってみると気づきますが、うまく重なるところとうまく重ならないところが出てきます。うまく重なるところは、正しい英語のリズムで言えていることを意味しています。その部分に関しては、英語が速すぎてわからないということはないはずです。一方で、うまく重ならないところは、英語のリズムで言えていないため、「速すぎる」という印象を持つでしょう。

どうしてもうまく重ならない場合には、オーバーラッピングの前に、しっかりとリピーティングを行うことをオススメします。もしくは、オーバーラッピング時に流す音声のスピードを、アプリの機能があれば0.5倍速などに設定してもよいでしょう。

シャドーイング

最後に、仕上げとしてのシャドーイングをご紹介します。シャドーイングとは、英語を流しっぱなしにして、聞こえてきた英語をそのまま影のようについていきながら声に出すトレーニングです。これは、英文スクリプトを見ずに行います。非常に難易度が高いため、仕上げに行うとよいでしょう。英文スクリプトを見ずに音声のスピードについていく必要があるため、事前にリピーティングとオーバーラッピングのトレーニングを取り入れて、英文の内容をしっかりと理解しておくことをオススメします。

オーバーラッピングと同様に、スムーズについていかれるところとそうでないところに分かれます。この違いも身についている英語のリズムによるものですので、何度も練習することでうまくなっていきます。


英語のリズムのまま処理する練習を取り入れる

リピーティング、オーバーラッピング、シャドーイングで英語のリズムを徐々に体得できますが、並行してやるべきことがあります。それが、初めて聞く内容に大量に触れることです。

ピンポイントでTOEICのスコアアップのために取り組みたいという方は、TOEIC教材を活用するのがよいでしょう。教材用に録音したものですから、音質も聞きやすく、英語にも訛りが少ないという利点があります。なお、問題を解いて答え合わせだけをしたもので、まだ英文や日本語訳を確認していない段階のもので取り組みます。
また、ニュースやエンターテインメント等でもよいでしょう。さらには、ネイティブスピーカーが紹介している英語学習系のYouTubeもオススメです。いずれにしても、難易度は難しすぎず、内容を理解したくなるものが理想的です。

いずれにしても、流しっぱなしにしながら、内容を理解するために聞いてください。TOEICの英語のように短いものであれば連続で5回程度聞くとよいでしょう。回数を重ねるごとに理解度が上がってくるようであれば、それは1回で理解できる潜在能力があることを意味しています。大量に英語を聞く中で、徐々に英語のまま意味をつかむことに慣れてくることで、より少ない回数で(理想は1回で)理解の量を増やすことができます。

  • NHK WORLD NEWS(https://www3.nhk.or.jp/nhkworld/
    日本のニュースを英語で聞くことができます。日本語ですでに背景知識を持っているニュースも多いため、海外のニュースを聞くよりも理解しやすいでしょう。映像があるニュースの場合は、何のニュースかを把握しやすい利点もあります。
  • VOA(https://www.voanews.com/
    Voice of Americaというネイティブスピーカーではない人向けのニュース番組です。CNNなどと比べるとスピードも遅いため、学習に活用しやすいでしょう。興味のあるニュースをピックアップして聞いてみてください。
  • Learning English(https://learningenglish.voanews.com/
    上でご紹介したVOAによる英語学習用のサイトです。レベル別のコンテンツもあり、学習の流れもわかりやすい特徴があります。ビジネス系の話題もあります。
  • TED Talk(https://www.ted.com/talks?language=ja
    興味のあるトピックを選ぶことで、「内容を理解したい」という思いが働きます。スライドなどが使われていることも多く、英文スクリプトを読むのとは違って、どのポイントについて話しているのかを参考に聞く力も磨くことができます。なお、日本語訳や英語字幕はオフにしてください。
  • Learn English with Bob the Canadian(https://www.youtube.com/c/LearnEnglishwithBobtheCanadian/
    カナダ人のボブさんが運営されている英語学習チャンネルです。数分のフレーズ紹介から、20分程度のレッスン、さらに長時間のライブがあったり、英語もわかりやすくオススメです。

ここでご紹介したもののほかにもたくさんのニュースサイトや英語学習サイト、YouTubeチャンネルもあります。
ぜひ興味のあるものを調べてみてください。

トレーニングにより英語のリズムを身につけつつ、内容を理解するために大量の英語を聞くことで効果的にリスニング力を伸ばすことができます。英語が聞けるようになると、TOEICのスコアアップだけでなく、日本に入ってきていない様々な情報をいち早く手にすることができますよ!