TOEICとは「英語力をはかる試験のひとつ」
TOEICは、日常生活やビジネスシーンでの英語力をはかる世界共通のテストです。
社会的な信頼性が高いことから、学校では入学試験の基準として、企業では社員の英語能力の測定としても活用されています。
まずは、TOEICの概要や種類について解説します。
TOEICの概要
TOEICはアメリカの非営利団体・ETSが運営する世界共通の英語試験です。
正式には、Test of English for International Communication(国際コミュニケーション英語能力テスト)と呼ばれます。
日本で実施しているのはIIBC(一般財団法人 国際ビジネスコミュニケーション協会)です。
スコアで判定されるのがTOEICの大きな特徴といえます。
合格・不合格ではなく、自分の現在地を数字で把握できるのが魅力です。
アカデミックな内容ではなく、日常やオフィスなど実際のコミュニケーションを意識した問題の内容となっている点も高く評価されています。
TOEICは全部で5種類
TOEICの種類は全部で5種類あります。
1.「TOEIC® Listening & Reading Test」
リスニングとリーディングの能力を測る、最も一般的なテスト。
通常、TOEICというときはこのテストを指します。
2.「TOEIC® Speaking & Writing Tests」
スピーキングとライティングの能力を測るテスト
3.「TOEIC® Speaking Test」
スピーキング単体の能力を測るテスト
4.「TOEIC Bridge® Listening & Reading Tests」
初中級者向けのリスニングとリーディングの能力を測るテスト
5.「TOEIC Bridge® Speaking & Writing Tests」
初中級者向けのスピーキングとライティングの能力を測るテスト
このように、確認したいスキルや英語力に応じてテストを選べる点もTOEICの魅力のひとつです。
TOEFL・英検とTOEICの違いとは?
TOEIC以外の英語試験としてTOEFL・英検が挙げられます。それぞれについて簡単にご紹介しましょう。
TOEFLとTOEICの違い
TOEFLはTOEICと同じく、ETSが運営する英語試験です。
母国語が英語以外の人を対象としており、大学をはじめとしたアカデミックな環境で必要な英語力を測定します。
そのため、世界にはTOEFLのスコアを入学や奨学金選考の際に求める大学は少なくありません。
TOEFLでは、「読む」「聞く」「話す」「書く」の4技能が評価されます。
また、現在はインターネットを経由して実施する「TOEFL iBT®テスト」が主流です。
TOEICと同じようにスコアで技能を測定します。
英検とTOEICの違い
英検(実用英語技能検定)は日本英語検定協会が実施する日本発の英語試験です。
「読む」「聞く」「話す」「書く」の4技能を測定します。
5級(初級)、4級、3級、準2級、2級、準1級、1級((上級))の7つのグレードに分かれている合否型の試験です。
試験が一次試験と二次試験に分かれている点も特徴です。
一次試験ではリーディング、リスニング、ライティングの試験が、二次試験ではスピーキングの試験が行われます。
一次試験で基準を満たさない場合は、二次試験に進めません。
最終的に資格を取得するためには、一次試験・二次試験の双方に合格する必要があります。
TOEICを受験する際に知っておくべき基礎知識
TOEICでは、公正かつ適切に英語力を測れるよう、独自のルールが設けられています。
受験前の準備として、TOEICの基礎知識について確認しておきましょう。
ここでは、「問題形式と配点」「受験情報」についてお伝えします。
TOEICの問題形式と配点
TOEICは、リスニング(100問・約45分)、リーディング(100問・75分)の2つのセクションで構成されています。
問題形式は、3つまたは4つの選択肢の中から最も適当なものを選ぶ択一形式です。
解答はマークシート方式のため、答えがわからなくてもどれか1つにマークさえすれば、正解する可能性があります。
配点は、リスニング5〜495点、リーディング5〜495点、合計10〜990点。5点刻みで採点されます。
TOEICのスコアは、試験回や問題、受験集団などの違いによって評価に影響がでないよう、特殊な計算方法によって算出されます。
正答数そのままの素点ではないため、「正答数×5点」のような単純計算でスコアを算出することはできません。
【あわせて読みたい】TOEICでわかる英語レベルを点数別に紹介!目指すべきスコアも
TOEICの受験情報
TOEICの受験制度は2種類あります。
個人で申し込んで受験する「公開テスト」と、企業や団体などが主催者となって実施する「IPテスト」です。
さらにIPテストは実施方式によって2種類に分かれます。
公開テスト |
IPテスト(会場) |
IPテスト(オンライン) | |
実施方式 | ・マークシート方式
・テスト時間:約2時間 |
・マークシート方式
・テスト時間:約2時間 |
・オンライン方式
・テスト時間:約1時間 |
受験料 | 7,810円(税込)
※割引あり |
4,230円(税込)
※割引あり |
|
試験日程 | 年間スケジュールから選択 (月1回程度) |
主催団体の都合に合わせて設定 | |
試験会場 | IIBCが指定 | 主催団体が希望するテスト会場 | 主催団体が希望するテスト会場および自宅 |
申込方法 | インターネット | インターネット・FAX | インターネット |
受験人数 | ー | 10名以上 | 1名以上 |
TOEICのメリット4選
TOEICの受験には以下のようなメリットがあります。
- 自分の英語力を客観的に把握できる
- ビジネスシーンで求められる英語力を習得できる
- キャリアアップに活用できる
- 就職・転職時にアピールできる
それぞれ解説します。
自分の英語力を客観的に把握できる
前述したとおり、TOEICの結果は特殊な計算方法によって算出されたスコアで表示されます。
どの試験回を受けても、一貫した評価基準でスコアが算出されるため、自分の英語力を客観的に把握することが可能です。
受験者に発行される公式認定証には、取得スコアに加え、英語能力の長所が書かれた「レベル別評価」や、項目別の正答回答率が示されています。
自分の得意分野や弱点をしっかり把握でき、今後の英語学習や目標設定にも生かせます。
ビジネスシーンで求められる英語力を習得できる
TOEICは、日常生活や国際的なビジネスシーンにおける、コミュニケーションを想定した内容で構成されたテストです。
そのため、TOEICの学習をすることで、ビジネスシーンで求められる実践的な英語力を習得できます。
インプットしたリスニング力とリーディング力を、実際のビジネスシーンでアウトプットできれば、スピーキング力やライティング力の向上も目指せるでしょう。
キャリアアップに活用できる
TOEICは英語力を証明するテストであるため、キャリアアップにも活用できます。
昇格や昇進を判断する基準として、TOEICのスコアを参考にしている企業は珍しくありません。
また中には、海外出張や海外赴任の要件としてTOEICのスコア基準を設けている企業もあります。
自身のキャリアアップを実現するためにも、TOEICは有効であるといえるでしょう。
就職・転職時にアピールできる
TOEICは、就職や転職時のアピール材料としても有効です。
IIBCの調査結果によると、人材を採用する際にTOEICのスコアを「要件」または「参考にしている」企業は、全体の半数以上にのぼります。
この結果から、多くの企業が社員に英語力を求めていることが明らかです。
また業種や職種によって異なりますが、新入社員に期待する平均スコアは535点、中途社員に期待するスコアは560点というデータもIIBCから公表されています。
就職や転職時にTOEICのスコアが600点以上あれば、高ければ高いほどアピールポイントになります。
【参考】IIBC「データでみるTOEIC Tests」
TOEICのデメリット3選
いっぽうでTOEICには、以下のようなデメリットも存在します。
- カジュアルな英会話力は身につかない
- 海外の企業にはあまりアピールできない
- TOEICに特化した対策が求められる
目的によってはTOEICが向かない場合もあります。
それぞれ見ていきましょう。
カジュアルな英会話力は身につかない
ネイティブが普段の会話で使うような、カジュアルな英会話力を身につけたい方に、TOEICは向いていません。
TOEICは、日常生活やビジネスシーンで活用できるフォーマルな英語表現が中心です。
フランクな場面で使う、カジュアルな英語表現とはニュアンスが異なります。
もちろんTOEICでも英会話の基礎は身につけられます。
しかし、カジュアルな英会話力をアップさせたいなら、会話を重視した英会話教室やオンラインレッスンのほうが効率的かもしれません。
海外の企業にはあまりアピールできない
TOEICは、世界160カ国で実施されているグローバル・スタンダードなテストであり、日本では有名な英語資格試験の一つとして知られています。
しかし、海外ではそれほど認知されていない側面もあります。
海外の企業への就職を目指し、TOEICでハイスコアを取得したとしても、必ずしも評価されるとは限りません。
TOEICのスコアよりも、パーソナリティやキャリアなどが重要視されるケースがあることを理解しておきましょう。
TOEICに特化した対策が求められる
英語力が高いからといって、TOEICでハイスコアを取得できるわけではありません。
TOEICでハイスコアを取得するためには、英語力の高さに加え、出題形式や問題の傾向を掴むといったTOEICに特化した対策が必要です。
約2時間で200問を解答しなければならないTOEICでは、時間配分も重要です。
これらの対策はTOEICのみに有効なものであり、他の資格試験に活用できない点はデメリットといえるしょう。
TOEICの点数と英語力の目安
TOEICの点数と英語力の目安は以下のとおりです。
スコア |
英語力の目安 |
400点未満 | 英語でコミュニケーションがとれるレベルに達していない |
400〜495点 | 短文であれば部分的に理解でき、必要最低限のコミュニケーションがとれる |
500〜595点 | 短文は理解できるが、長文を細部まで理解することは難しい |
600〜695点 | 簡単な業務連絡やビジネスメールのやりとりができる |
700〜795点 | 英語でのコミュニケーションに支障がない |
800〜895点 | 複雑な会話にも対応でき、海外に赴任しても困らない |
900点以上 | ネイティブレベルでの十分なコミュニケーションがとれる |
TOEICの平均スコアは600点前後で推移しています。
「新入社員や中途社員に期待するTOEICスコアは535~560点」というデータもあることから、履歴書で英語力をアピールするなら、600点以上のスコアを目指すと良いでしょう。
また700点以上あれば、状況によらずコミュニケーションが可能なレベルです。英語を使う仕事であれば、700点以上の取得を目指しましょう。
TOEIC受験者必見!勉強のコツ3選
TOEICで目標スコアを取得するには、どのような勉強が効果的なのでしょうか。ここでは、TOEICの勉強のコツとして以下の3つをご紹介します。
- 自分の英語力を把握する
- 英語の勉強を習慣化する
- 目標に応じた勉強法を実践する
それぞれくわしく見ていきましょう。
自分の英語力を把握する
効果的に勉強を進めるには、勉強をはじめる前に自分の英語力を把握することが大切です。
具体的には、実際にTOEICの問題を解いてみるのがおすすめです。
しかし、TOEICの過去問は公開されていないため、実際の過去問は利用できません。
そこで、公式サイトで公開されているサンプル問題や公式の教材・問題集、市販のTOEIC予想問題集などを利用して、自分の英語力を把握してみましょう。
【あわせて読みたい】TOEICの過去問はないってホント?過去問以外の対策方法とは
英語の勉強を習慣化する
TOEICで目標スコアを取得するには、英語の勉強を習慣化させることもポイントです。習慣化するには、仕事の休憩時間や移動時間などのスキマ時間を活用することが有効です。
たとえ5〜10分程度でも、繰り返せば十分学習効果が得られます。
スキマ時間を活用するのであれば、アプリ学習がおすすめです。アプリならスマートフォンで使えるので、外出先でも勉強を進められます。
勉強を習慣化できるよう、無理なく取り組める方法を検討してみましょう。
目標に応じた勉強法を実践する
TOEICで目標スコアを取得するには、目標に応じた勉強法を実践する必要があります。
たとえばTOEIC600点を目標にするなら、高校レベルの基本的な英語力に加え、長文を読み解く力が必要です。
読解力を身につけるには、単語や文法の基礎を復習したり長文をたくさん読んだりすることが有効です。
いっぽう、受験者の4%程度しか到達できない900点以上を目指すなら、パート別練習を徹底的に繰り返し、苦手パートを克服する必要があります。
このように目標とするスコアによって勉強法は異なります。自分の英語力を参考に目標スコアを定め、目標に合った勉強法を実践しましょう。
【あわせて読みたい】【初心者から】TOEICのおすすめ勉強法、参考書の選び方は?
まとめ
今回のポイントをおさらいしましょう。
- TOEICとは、英語力をはかる世界共通のテスト
- TOEICのメリットには、英語力の把握やビジネス英語力の取得などがある
- 履歴書で英語力をアピールできるスコアの目安は600点以上
- 英語で業務を行う仕事であれば、700点以上のスコア取得が望ましい
- 勉強のコツは、勉強を習慣化することと目標に応じた勉強法を実践すること
TOEICは、受験や就職、転職時のアピールに役立ちます。TOEIC受験の目標を明確にした上で、目指すべきスコアに適した勉強をはじめましょう。
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