
TOEIC®でスコアアップを目指すなら文法対策を軽んじてはいけません。
基礎的なスキルである文法力を磨いてこそ、英語を正しく読み解くことができるのです。
この記事では、文法力を向上させる方法についてくわしく解説しています。
なんとなくの感覚で問題を解いている人や、TOEIC®のスコアが伸びない人は、文法力を上げることでスコアアップできるかもしれません。
この記事を参考に、文法力を磨いてください。
TOEIC®対策に文法はいらない?英文法の必要性
TOEIC®を受験するにあたり、やみくもにTOEIC®の問題集を解こうとする方がいます。
しかし、英語のスキルが十分ではない場合、この方法はかならずしも正しいとはいえません。
まずは、基礎力を培わなければ、効率的な学習はできないのです。
文法力は基礎的なスキル
英語の基礎力はいくつかの分野に分けられます。単語力とともに基礎的なスキルといえるのが文法力です。
単語の意味だけではなく、日本語とは違う英語のルールを知らなければ英語を読み解くことはできません。
出てくる単語の意味はわかるのに英文の意味がわからない、解説と自分の理解が異なっている、という場合は英文法が理解できていない証拠です。
そのままTOEIC®の実践的な対策を続けてもあまり効果は得られませんので、英文法の理解を深めるような対策を行いましょう。
TOEIC®そのものからは離れますが、結果的にはスコアアップの近道になります。
教材として、TOEIC®対策ではない英文法に特化した参考書なども読んでみてください。
英文法は概念的なものなので、まずは説明をしっかりと読み、イメージで理解することが大切です。
その後、演習などで把握したイメージを脳に定着させます。
TOEIC®対策に文法対策が必要な理由は、次の2つです。
- 文法知識がないと解けない問題がある
- リスニングや長文のスコアアップにつながる
具体的に解説していきましょう。
文法知識がないと解けない問題がある
TOEIC®のリーディング問題であるPart5(短文穴埋め問題)、6(長文穴埋め問題)にはダイレクトに文法知識を問う問題が出題されます。
たとえば、品詞の使い方や、代名詞に関するもの、時制に関するものなどです。
これらは文法知識がないと解けませんが、言い換えると、文法がわかっていれば正解できる問題でもあります。
文法問題は出題傾向がわかりやすく、対策の成果が出やすいものでもあるので、ここで確実に正解し、スコアアップを狙いましょう。
リスニングや長文のスコアアップにつながる
文法対策はTOEIC®のPart5、6の文法問題にのみ有効なわけではありません。
文法を理解していることで、リスニングや長文問題でも、英文の正確な意味を理解できます。
たとえば以下の2つの英文をご覧ください。
これらは同じ単語を使っていますが、意味が異なります。
- Only they speak Japanese. (彼らだけが日本語を話せます。)
- They speak only Japanese. (彼らは日本語だけ話せます。)
このように、単語の意味がわかっていても、文法がわかっていなければ、正確な英文の意味がわからないこともあるのです。
徹底した文法対策を行えば、リスニングや長文問題でも、英文の正確な内容が把握でき、スコアアップにつながるでしょう。
TOEIC®でよく出るのは中学校レベルの英文法
一口に英文法といっても範囲は広大です。
対策に取り掛かろうとしても、どこから手をつければよいのかわからない方が多いかもしれません。
まずは、特定のレベルの学習にフォーカスし、英文法のベースを固めましょう。
文型
文型を理解することで長文の読解が大幅に楽になります。
文型の学習では文のなかでどの単語がS(主語)、V(動詞)、O(目的語)、C(補語)に該当するのか把握することが重要です。
TOEIC®のリーディングパートにおいては長文の「理解する必要がない部分」がわかるようになるため、解答のスピードアップにつながります。
時制
時制とは、単純に過去・現在・未来という概念ではありません。
「ずっと~している」という継続用法や「過去に~したことがある」という経験用法、「(ちょうど)~したところだ」といった完了用法も覚える必要があります。
TOEIC®のPart5、6では時制の問題が数多く出題されます。
いくつかの問題は、全体の意味を理解しなくても時制を判断するだけで解答可能です。
TOEIC®で頻出する英文法一覧
TOEIC®で頻出する英文法とその問題数は以下のとおりです。
- 品詞(6~8問程度)
- 代名詞(2問程度)
- 動詞の形(2~3問程度)
- 接続詞&前置詞(2~3問程度)
このように品詞に関する問題がもっとも多くなっています。
名詞・動詞・形容詞・副詞などの使い方を問う問題です。
加えて、語順によって単語の形が変わるものを正しく理解できているかどうかも問われます。
こちらが品詞問題の一例です。
Customer reviews indicate that many modern mobile devices are often unnecessarily ——- .
(A) complication
(B) complicates
(C) complicate
(D) complicated
語尾が異なる単語が並んでいるのが特徴です。
英文をすべて読まなくても、空欄前後の部分を確認するだけで、正解がわかります。
ちなみに正解は(D)です。
初心者必見!TOEIC®の英文法対策5ステップ
ここからはTOEIC®の英文法対策について、次の5つのステップに分けて紹介します。
- 自分の文法レベルを知る
- 英文法の基礎を勉強する
- 問題のタイプを見極める
- 自分の苦手を把握する
- スピードを意識する
順番に確認していきましょう。
1.自分の文法レベルを知る
はじめに自分がどのくらい文法を理解しているのかをチェックします。
正確に自分の文法レベルを知ることで、レベルに合った対策が可能になり、効率よく勉強を進められるでしょう。
自分の現在の文法レベルを知る方法はいくつかあります。
たとえばTOEIC®公式問題集や文法に関する問題集などを活用する方法です。
TOEIC®公式問題集には、本番の試験と同形式で問題が記載されているので、実際にPart5やPart6を解いてみることで、自分がどのくらい文法問題に対応できるか確認が可能です。
また文法に関する問題集を使えば、自分の苦手な分野をあぶり出せます。
問題を解くことで簡単に英語力をチェックできる無料サイトなどもありますので、そちらを活用するのもよいでしょう。
2.英文法の基礎を勉強する
TOEIC®では高度な文法知識が求められるわけではありません。
中学卒業レベルの文法があれば大丈夫です。
現在の文法レベルにもよりますが、まずは中学レベルの文法をマスターしましょう。
文法に関する問題集などを使って、ひとつずつ確実に習得していくのがおすすめです。
文法はただ暗記するのではなく、正しく理解する必要があります。
なぜその語順になるのか、その形になるのか、理論的に理解しておかなければ、実際の問題で対応できません。
教材の解説文などを丁寧に読み、問題文のなかでどういった文法が使われているかを理解できるようにしておきましょう。
3.問題のタイプを見極める
TOEIC®で出題される問題のタイプを知っておくことも大切です。
問題のタイプがわかれば、英文をすべて読まなくても問題が解けることがあります。
読むべき英文が減れば、大幅な解答時間の短縮につながり、高得点も狙えるでしょう。
ここでは、Part5とPart6それぞれの問題のタイプの見極め方について紹介します。
Part5の問題は2タイプ
Paet5の問題は語彙タイプと文法タイプに分けられます。
どちらも選択肢で見分けが可能です。
語彙タイプの問題は、選択肢に品詞が同じで意味が違う単語が並んでいます。
解くためには単語の意味を知っていなければなりません。
また正しい選択肢を選ぶためには、英文を最初から最後まで読み、英文の意味を正確に理解する必要があります。
文法タイプの問題は、選択肢に同じ単語の品詞違い(名詞・動詞・形容詞・副詞など)が並んでいます。
語尾のみ異なる選択肢が並んでいるのです。
このタイプは前後の単語から空欄の品詞が決まるので、細部まで英文の意味を読み解く必要はありません。
問題を解く際に、その問題が語彙タイプなのか文法タイプなのかを即時に判断できると、英文の精読が必要かどうかも判断でき、解答スピードのアップにつながります。
Part6の問題は3タイプ
Part5と同様に、Part6にも問題のタイプがあります。
Part6の問題は独立型、文脈型、ハイブリッド型の3つに分けられます。
独立型は、空欄がある文だけを読めば解答が可能です。
品詞を選ぶ問題や、正しい前置詞や接続詞を選ぶ問題などがあります。
文脈型の問題は空欄がある文だけでなく他の文も読まなければ、正しく解答できません。
代名詞や接続副詞などを問う問題が含まれます。
ハイブリッド型の問題は、この独立型と文脈型のどちらにもなり得るため注意が必要です。
時制や語彙の問題がハイブリッド型に当てはまる可能性があります。
Part6も瞬時に問題タイプを判断していくことで、解答スピードをあげることが可能です。
4.自分の苦手を把握する
ある程度文法の知識がついてきたら、苦手な分野をなくしていきましょう。
苦手分野をなくすことで、安定してスコアを取れるようになります。
レベルチェックや問題集を解く際に、間違いやすい問題をピックアップしておくと、苦手分野の把握に役立ちます。
自分の苦手な分野を把握できたら、その分野の問題を集中して解きましょう。
繰り返し問題を解き、解説を読むことで理解を深めてください。
文法問題はルールを知らなければ解けません。
よく出る問題や解きやすいものを優先して習得していくのもよいですが、さらに高得点を狙うには苦手な分野もマスターしておく必要があります。
5.スピードを意識する
音声に添って解答を進めるリスニングとは異なり、リーディングは自分で時間配分を決めて解答を進めなければいけません。
そのため時間配分がポイントになります。
リーディングにおいてもっとも時間がかかるとされているのが、長文問題であるPart7です。
このPart7に十分な時間を残すためにも、文法問題を含むPart5、6は解答スピードをあげる必要があります。
具体的にはPart5、6ともに、それぞれ10分程度で解答できるとよいでしょう。
Part5では1問20秒、Part6では1問40秒弱のペースです。
まずは問題タイプを理解して、瞬時に英文をすべて読む必要があるかどうかを判断し、問題を解いていく練習をしてください。
理想の時間配分で解答できるよう、繰り返し問題を解いていきましょう。
TOEIC®の文法対策に役立つ!おすすめ勉強方法3選
それではTOEIC®で必要な文法は、どのように勉強すればよいのでしょうか。
ここからは、TOEIC®の文法対策に役立つおすすめの勉強法を3つ紹介します。
- 文法アプリを利用する
- 参考書や問題集を解く
- 無料サイトを活用する
文法対策はもちろん、英語学習全般にも活用できるので参考にしてください。
文法アプリを利用する
文法を学ぶにはアプリを活用するのもよいでしょう。
スキマ時間に場所を問わず勉強できるのが、アプリを使うメリットです。
アプリなら、英語や勉強に抵抗がある人でも気軽に始められます。
自分のレベルに合わせて学べるものや、AI機能がついていて効率的に勉強を進められるものなど、さまざまな文法アプリがリリースされています。
いろいろ試して、自分に合ったものを選びましょう。
また文法に特化したものではありませんが、スマートフォンで勉強できるサービスとして「スタディング」もおすすめです。
動画講義や充実した問題演習など豊富なコンテンツで、効率よく勉強を進められますので、気になる方はチェックしてみてください。
参考書や問題集を解く
TOEIC®主催団体であるIIBCから、TOEIC®公式問題集が販売されています。
こちらには本番のTOEIC®の試験と同形式の問題が2回分掲載されています。
解答や解説もついているので、文法対策としての活用も可能です。
それ以外にも、文法に特化した市販の問題集や参考書は多数販売されています。
パート別、レベル別など種類もさまざまですので、自分に合ったものを探して取り組みましょう。
参考書や問題集の選び方については、後ほど紹介します。
無料サイトを活用する
TOEIC®対応の問題が無料で利用できるサイトもあり、こちらも文法の勉強に活用できます。
それぞれのサイトによって特徴が異なるので、自身の目的に合ったサイトを探してみるとよいでしょう。
たとえば、文法問題に特化しているものや、解説までついているもの、間違った問題を繰り返し解ける機能がついているものなどがあります。
問題演習や文法の理解に役立ててください。
TOEIC®対応の問題は、英語学習に関するサイトや、資格問題の過去問を紹介するサイトなどに載っていることが多いので、気になる方は一度探してみてください。
TOEIC®文法対策のための教材を選ぶ4つのコツ
英文法の対策ができる教材は数多く出版されています。
TOEIC®文法対策のための教材を選ぶコツは、次の4つです。
- 自分のレベルに合っているか
- 新形式問題に対応しているか
- 文法について丁寧な解説があるか
- 文法の問題数は多いか
ひとつずつみていきましょう。
自分のレベルに合っているか
教材を選ぶ際は自分のレベルに合ったものを選びましょう。
あまりに自分のレベルとかけ離れた教材では、効率よく勉強を進められません。
たとえば、現在のスコアが500点台の人が900点を目指す教材を使うと、内容を理解するのに一苦労でしょう。
あまりに問題が難しく、心が折れてしまうかもしれません。
反対に簡単すぎる教材を使っていても、レベルアップにはつながりません。
自分の現在のスコアよりも100〜200点程度高いレベルを目指す参考書を選び、徐々にレベルアップしていくとよいでしょう。
新形式問題に対応しているか
TOEIC®対策としては、英語力だけでなく、TOEIC®の問題形式に対応できる力をつけることが大切です。
出版から時間が経っているものは現在の試験と傾向が変わっている場合があります。
あまりに古い教材は避けた方が無難でしょう。
具体的には、2016年5月以前に出版された教材は選ばないようにしてください。
2016年5月に出題形式が変更されているため、2016年5月以前に出版された教材は、新しい出題形式に対応していないからです。
教材を選ぶ際は、出版年月日を確認するなどして、かならず新形式に対応したものを選びましょう。
文法について丁寧な解説があるか
文法は単語と違い、単に暗記するだけではいけません。
英文の構造を理解する必要があります。
たとえ問題を丸暗記しても、内容が理解できていなければ、応用して他の問題を解けないのです。
それではスコアアップにつながりません。
英文の構造や文法のルールを理解したうえで、勉強を進めていきましょう。
とくに初心者の人は、解説が簡素なものでは理解ができないかもしれません。
文法知識を深めるためにも、解説が丁寧な教材を使うとよいでしょう。
文法の問題数は多いか
習得した文法知識を実際の試験で役立てるには、問題演習が欠かせません。
繰り返し問題を解くことで文法知識も定着するうえに、応用力が身についたり解答スピードが上がったりということが期待できます。
また問題を解いていくなかで、理解できていない分野が見つかれば、その分野への対策を講じることも可能です。
そのため、文法問題が多く掲載されている教材を選ぶのがおすすめです。
TOEIC®でよく問われる文法に特化した教材もあるので、そちらを活用するのもよいでしょう。
まとめ
TOEIC®における文法対策の必要性や、具体的な対策方法、教材の選び方について紹介しました。
この記事のポイントは以下のとおりです。
- TOEIC®では直接文法の知識を問う問題が出されるので、文法対策が必須
- TOEIC®では中学レベルの文法知識が必要
- Part5、6では、問題タイプを判断することで、解答スピードのアップにつながる
- アプリや参考書、無料サイトなどを活用して勉強を進めよう
- 教材を選ぶ際は、自分のレベルにあったもの、新形式に対応しているものを選び、問題の多さや解答の丁寧さにも注目しよう
文法対策を行うことで、Part5、6の文法問題だけでなく、TOEIC®全体のスコアアップにつながります。
本記事を参考に、文法対策を進めたうえでTOEIC®受験に挑みましょう。