TOEIC®730点が基準となる理由は?レベルやシーン別評価、効果的な勉強方法も解説

730点はTOEIC®で基準となるスコアのひとつです。

日常生活や仕事で問題なく英語を使えるレベルであり、就職・転職活動やキャリアアップに役立つことも多いです。

この記事では、TOEIC®730点が基準となる理由・レベル感から勉強方法まで、網羅的に解説します。

730点がどう評価されるのかについてもシーン別に紹介しますので、役立つシーンや評価内容を知りたい人は参考にしてください。

TOEIC®730点が基準となる理由は?

TOEIC®で平均点の約600点を取得できるようになったら、次に目標にしたいスコアは730点です。

少し中途半端な数字に感じるかもしれませんが、730点はTOEIC®の平均点600点から満点の990点までを3等分(600~730・730~860・860~990)した数値のひとつです。

いきなり満点を目指すのは難しいので、平均点から満点までの間に730点、860点という2段階の中間目標を設定します。

600点を達成したら、次は730点を目標に勉強を進めていきましょう。

TOEIC®730点のすごさはどれくらい?

ここからは、TOEIC®730点がどのくらいすごいのか解説します。

TOEIC®730点のコミュニケーション能力のレベルや、730点以上を取得する受験者の割合をもとに、みていきましょう。

TOEIC®730点の英語レベル

TOEIC®主催団体であるIIBC(国際ビジネスコミュニケーション協会)より、「TOEIC®スコアとコミュニケーション能力レベルの相関表」が公表されています。

これによると、TOEIC®730点は上から2番目の「レベルB」相当です。

レベルBの英語力は、「どんな状況でも適切なコミュニケーションができる素地を備えている」とされています。

レベルBでは、通常会話は完全に理解できており、テンポのよい応答が可能です。

話題が特定の分野に及んでも、問題なく対応できる力をもっており、ビジネスにおいても支障なく英語を使えるでしょう。

ただし、正確さや流暢さについては個人差があります。

文法・構文に誤りがあることもありますが、意思疎通のうえで問題になるほどではありません。

【参考】IIBC「PROFICIENCY SCALE」

TOEIC®730点以上を取得する受験者の割合

IIBCは、「TOEIC® Listening&Reading Test(公開テスト)」の過去2年間の平均スコアとスコア分布を年度別に公表しています。

これによると、2023年度の受験者全体の平均スコアは612点でした。

また、695点以上取得した人は全受験者の上位33.8%、745点以上取得した人は上位24.4%でした。

このデータから、730点以上取得した人の割合は33.8%〜24.4%の間、全体の3割弱であると推測できます。

TOEIC®730点は平均点よりも100点以上高く、全体の3割弱の受験者しか取得できないことから、比較的高い英語力があるといえるでしょう。

【シーン別】TOEIC®730点はどう評価される?

TOEIC®730点がどう評価されるかについて、下記のシーン別にみていきましょう。

  • 大学入試
  • 大学での単位取得
  • 就職・転職活動
  • 昇進や昇給、キャリアアップ
  • 海外出張や海外赴任

ひとつずつ解説します。

大学入試

IIBCの調査では2022年度入学試験において、調査を実施した788校中332校の大学が、TOEIC® Programのスコアを活用していました。

これらの大学では、英語試験免除や推薦入試の出願要件、合否判定の基準などにTOEIC® Programのスコアが用いられています。

基準スコアは大学によって異なりますが、比較的高スコアである730点を取得することにより、優遇措置を受けられる大学も増えるでしょう。

以下は、2022年度の入学試験においてTOEIC®700点・730点で優遇措置を設けていた大学の一例です。

大学名学部入試名活用方法基準スコア
大阪教育大学教育学部【一般】前期〈共通テスト〉加点(合計点/30点)730点
青山学院大学地球社会共生学部【総合型】自己推薦(英語資格試験高得点者)出願資格700点
同志社大学法学部【総合型】自己推薦出願資格、判定優遇・合否参考700点

【参考】IIBC「TOEIC Program 大学入学試験における活用状況_2022年4月版」

詳細や最新情報については、各大学の募集要項を必ず確認してください。

大学での単位取得

TOEIC® Programは、大学や短期大学の単位認定にも活用されています。

2021年度のIIBCの調査によると、調査を実施した1135校中434校でTOEIC® Programのスコアが単位認定に活用されていました。

以下は、IIBCが公表している活用校の一覧のうち、TOEIC®730点で単位を認定している学校の一例です。

大学名学部/学科単位数基準スコア
小樽商科大学全学部2単位730点
同志社女子大学全学部4単位730点
関西外国語大学短期大学部全学科2単位730点

【参考】IIBC「単位認定におけるTOEIC Program活用状況2021」

学校によって求められるスコアは異なりますが、600点で2単位、730点で4単位、860点で6単位などのように、スコアが上がるにつれて認定単位数が増えるケースもあります。

単位認定の詳細な要件については、各学校で出されている案内などを確認してください。

就職・転職活動

現在、多くの企業でグローバル化が進められており、英語力のある人材が求められています。

そのため、TOEIC®のスコアは就職や転職の場面でも評価基準のひとつとなっています。

2019年のIIBCの調査でも、対象となった企業・団体の約半数が、採用の際にTOEIC® Programのスコアを参考にしていると回答していました。

TOEIC®730点を取得していれば、ビジネスでも使える英語力があることをアピールできるでしょう。

募集要項に「TOEIC®730点以上取得」と明記している企業もあり、事前に取得しておけば就職・転職活動の幅が広がります。

以下は、応募時にTOEIC®730点が求められている企業の一例です。

  • 株式会社ゆうちょ銀行/総合職(マーケット):一定の語学力を有する方(目安TOEIC 730点程度)
  • 第一三共株式会社/コーポレートスタッフ:TOEICスコア730相当以上が望ましい

こちらも詳細な要件は、各企業の募集要項で確認してください。

4.昇進や昇給、キャリアアップ

TOEIC®のスコアは、企業の人事考課などにも活用されています。

2019年のIIBCの調査では、調査対象の約4割の企業がTOEIC® Programのスコアを昇進・昇格の要件や参考としている、新しく要件や参考とする可能性がある、と回答していました。

実際に「課長以上へは700点が必要」「部長以上へは720点が必要」などのTOEIC®のスコアによる昇進・昇格の要件が設けられている企業もあります。

要件は企業によって異なりますが、TOEIC®730点を取得しておけば、要件を満たして昇進や昇給の対象となることも増えるでしょう。

このようにTOEIC®730点の取得は、ビジネスに使える英語力が身につくだけでなく、キャリアアップにもつながる可能性があるのです。

5.海外出張や海外赴任

TOEIC®のスコアを海外出張や海外赴任の要件としている企業もあります。

同じく2019年のIIBCの調査によると、企業が海外部門の社員に期待するTOEIC®のスコアは平均690点でした。

730点取得していれば、企業が求める英語力が身についているといってもよいでしょう。

一例として、双日株式会社では、TOEIC®730点を海外赴任の要件として設定しています。

以前は650点が基準でしたが、より高い英語力が求められていることから、現在の730点が基準となりました。

今後も多くの企業で高い英語力が求められるようになると考えられます。

TOEIC®730点を取得しておけば、海外出張や海外赴任のチャンスにつながり、仕事の幅も広がるでしょう。

TOEIC®730点をとるのに効果的な勉強方法3選

TOEIC®で730点をとるには、「英語力」「対策力」「情報処理能力」が大切です。

英語力

単語や文法などの基礎英語力を強化しましょう。

単語は単体で覚えるのではなく、フレーズで覚えると語彙問題や文法問題に対応しやすくなります。

文法についても高校卒業程度の力をつけておきましょう。

対策力

本番のテストで実力を発揮できるように、適切な時間配分や問題タイプ別の解き方などを身につけましょう。

TOEIC®の出題形式は基本的に毎回同じです。

TOEIC®の問題に慣れることで、それに応じたアプローチが可能になります。

情報処理能力

TOEIC®では解答する際にかなりのスピードを求められます。

英語を聞いた(読んだ)際に、一度日本語に訳してから理解するのではなく、英語のまま内容を理解する処理能力が必要です。

ここからは、上記の3つの力を伸ばすための具体的な勉強方法について紹介します。

テスト形式に慣れる

テスト形式に慣れるために、TOEIC®に即した問題を繰り返し解きましょう。

本番同様の問題を何度も解くことで、出題傾向を把握し、対策を立てられるようになります。

TOEIC®の過去問は公表されていませんが、公式問題集や市販の予想問題集などが販売されていますので、それらを活用するとよいでしょう。

なお、TOEIC®の問題は、難しい問題ほど配点が高いというわけではありません。

そのため、自分が解ける問題を落とさないことが、スコアアップのポイントです。

何度も問題を解いていくうちに、自分が解ける問題と解けない問題の見極めなどのテクニックも身につけられるでしょう。

解答スピードを上げる

TOEIC®でスコアアップをねらうには解答スピードを上げる対策と、タイムマネジメントが欠かせません。

問題を解く際には、正答率だけでなく、解答スピードを上げることも意識して取り組みましょう。

練習問題であっても時間を計り、制限時間内に解くようにするとよいでしょう。

TOEIC®はリスニング約45分(100問)、リーディング75分(100問)、合計約2時間で200問に解答するテストです。

リスニングは音声にそって進むため、自分で時間を管理する必要はありません。

しかし、リーディングは時間を意識しながら解く必要があります。

単純計算で1問に45秒しかかけられないため、じっくりと考えている時間はなく、テンポよく解答することが求められます。

単語・文法力はもちろん、できるだけ多くの英文に触れ、細部までくわしく読み込む練習をしてください。

英文の情報をよりスピーディーに把握する力も身につけていきましょう。

情報処理能力を伸ばす

とくにリスニングセクションでは、聞こえた英文を英語のままで理解する「情報処理能力」がスコアアップの鍵です。

この情報処理能力を伸ばすには、音読を取り入れるのがおすすめです。

ただ読むだけでなく、英語の音声を聞きながら真似して発音するシャドーイングや、音声にかぶせるようにスクリプトを読むオーバーラッピングなどを取り入れるとよいでしょう。

最初は難しくても、練習を重ねると音声に遅れることなくぴったりと発音できるようになります。

声に出すトレーニングを取り入れることで、英語のリズムが身につき、文字と音のギャップも埋まってきます。

英語の処理スピードが上がり、リスニング問題をすばやく理解できるようになるでしょう。

TOEIC®730点をとるのに必要な勉強時間は?

TOEIC®で730点をとるのに必要な勉強時間は、現在のスコアがどのくらいかによって変わってきます。

ここでは例として、現在630点の人が730点取得する場合に必要な勉強時間について、みていきましょう。

1カ月で730点を目指す場合

一般的にTOEIC®でスコアを100点アップさせるのに必要な勉強時間は、200〜300時間といわれています。

現在630点の人が1カ月で730点を目指す場合、1カ月で200時間とすると、1日あたり6.6時間程度の勉強が必要になります。

とくに社会人の場合、1日6.6時間の勉強時間を確保するのは、なかなか難しいのではないでしょうか。

1カ月で100点アップさせるのは、あまり現実的な目標ではないでしょう。

3カ月で730点を目指す場合

同じく現在630点程度の英語力がある人が、3カ月で730点を目指す場合は、1日あたり2.2時間程度の勉強時間が必要ということになります。

学生の場合、1日2時間くらいなら無理なく勉強を進められるでしょう。

また、社会人の場合も「出勤前に1時間と帰宅後に1時間」などのペースであれば、勉強時間を捻出できるのではないでしょうか。

なお、スコアアップを目指すには勉強時間を確保するとともに、効率よく学習を進めることも大切です。

こちらの記事では、スコアアップにつながる具体的な学習方法についても解説していますので、参考にしてみてください。

730点とるには無理のない学習計画を立てよう

TOEIC®のテストは、一夜漬けでなんとかなるタイプのテストではありません。

テストの直前だけ慌てて長時間勉強しても、あまりスコアアップにはつながらないでしょう。

スコアアップを目指すなら、毎日継続的に学習していく必要があります。

モチベーションを維持し、勉強を長続きさせるためにも、無理のない学習計画を立てましょう。

とはいえ、長期的な計画を立てるのは難しいものです。最初は3日分など短期間の計画を立てながら、少しずつ継続していくとよいでしょう。

また、学習を習慣化することも大切です。通勤時間や仕事の昼休みなどのスキマ時間を積極的に活用して、学習を習慣にしていきましょう。

電車に乗っている間にリスニング音声を聞く、昼休みに単語を少しでも覚える、など短い時間でも有効に使えます。

TOEIC®で730点をとるための参考書・教材選びのコツ3選

TOEIC®で730点をとるための教材選びのコツを3つ紹介します。

  • 自分の英語レベルにあうものを選ぶ
  • 丁寧な解説のものを選ぶ
  • スマートフォンで学習できるものを選ぶ

くわしくみていきましょう。

自分の英語レベルにあうものを選ぶ

まず、教材選びで大切なのは、自分の英語レベルにあうものを選ぶことです。

たとえば、同じように730点を目標にしていても、現在500点以下の人と、600点程度取得できている人とでは、選ぶべき教材は異なります。

難しすぎる教材は挫折の要因となりますし、あまりに簡単な教材もなかなかスコアアップにはつながりません。

TOEIC®ではレベル別の教材も販売されているので、自分のレベルにあったものを使いましょう。

こちらの記事では目標スコア別の教材の選び方について、くわしく紹介していますので、参考にしてください。

丁寧な解説のものを選ぶ

教材を選ぶ際は、丁寧な解説があるものを選びましょう。

解説が少なく、解答だけが載っているような教材を使った学習では、ひとつの問題で正解したとしても、似たような問題で正しい答えにたどり着けない可能性があります。

解説が不足している教材では、なぜ正解なのか、なぜ間違っているのかを理解するのが難しいからです。

解説が丁寧な教材を選んで、問題ごとに解説を読み込み、考え方や解き方のプロセスまで理解するようにしておけば、似たような問題が出た際にも対応できるでしょう。

スマートフォンで学習できるものを選ぶ

最近ではスマートフォンで学習できるアプリや、オンライン教材も豊富にリリースされています。

スキマ時間を活用するなら、スマートフォン学習がよいでしょう。

通勤時間や会社の昼休み、ちょっとした待ち時間など、時間や場所を問わず学習することが可能です。

具体的には、TOEIC®のテスト開発機関であるETSがリリースしている「TOEIC®公式教材アプリ」や、スタディングの「TOEIC® TEST対策講座」の活用がおすすめです。

【参考】IIBC「TOEIC公式教材アプリ」

スタディングTOEIC® TEST 対策講座なら、TOEIC®満点講師のわかりやすい講義動画や、豊富な問題演習でTOEIC®の対策力が身につきます。

学習ナビゲーション機能も搭載されており、効率よく学習を進められるでしょう。

まとめ

本記事では、TOEIC®730点の英語レベルやおすすめの勉強方法などについて紹介しました。

ポイントは以下のとおりです。

  • TOEIC®の平均スコア600点を取得したら、次は730点を目標にしよう
  • TOEIC®730点以上取得しているのは全受験者の3割弱。日常生活やビジネスにおいて、問題なく英語が使えるレベル
  • TOEIC®730点は、大学入試や単位認定、採用、人事考課など多くの場面で評価されている
  • TOEIC®730点をとるための勉強時間は現在のスコアによって異なる。無理のない学習計画を立てて、継続的に取り組もう
  • 教材は自分のレベルにあったものや解説が丁寧なものを選ぼう。スマートフォンで学習できるアプリもおすすめ

TOEIC®730点は大学入試や採用など、さまざまなシーンで活用されています。

本記事で紹介した勉強法などを参考に、スコアアップを目指していきましょう。