【この人に聞きました】
スタディング事業部 プロダクトマネージャー 鈴木康之
老舗の資格スクールの講座開発責任者として、教材企画開発、販売促進、マネジメントなどを17年間担当したのち、年々勢いを増すオンライン講座の大きな可能性を感じ、2018年にKIYOラーニング入社。現在はプロダクトマネージャーとして「スタディング」の大型講座の企画・開発・運営・販促を担当。趣味は旅行とドライブ。
法曹三者(弁護士、検察官、裁判官)を目指すのであれば、司法試験に合格しなければなりません。
この司法試験の受験資格を得るには、次の2つのルートがあります。
この記事では予備試験ルートの勉強時間について、司法試験受験業界で多くの短期合格者を目撃してきた鈴木さんに解説していただきます。
――予備試験ルートでは、予備試験に合格し、さらに司法試験(本試験)に合格する必要があります。それぞれの勉強時間はどれくらい必要でしょうか。
目安を立てるとすれば、次のようになります。
▼予備試験・司法試験(本試験)の勉強時間の目安
予備試験 | 司法試験(本試験) | 合計 | |
一般的な勉強法 | 6,000〜8,000時間 | 1,800〜2,000時間 | 7,800〜1万時間 |
短期合格者の勉強法 | 3,000〜5,000時間 | 1,500時間 | 4,500〜5,600時間 |
――勉強時間の配分を見ると、予備試験対策が中心になってくるんですね。
予備試験は合格率が3~4%程度の非常に狭き門となっていますからね。
ただし予備試験合格者の司法試験合格率は、令和元年(2019年)以降は80%以上で、法科大学院出身者(30〜40%程度)と比べて圧倒的に高くなっています。
――予備試験の勉強時間について「3,000〜8,000時間」とありますが、すごく幅があります。なぜでしょうか。
受験生から関心が高い情報なので、一応の目安として具体的な数字に落とし込んでみましたが、実際のところ、司法試験・予備試験の勉強時間は個人差がこれほど大きい資格試験は他にないんじゃないかというくらい、ばらつきがあります。
私は受験生を20年近く見続けてきましたが、短期間で合格する人やなかなか合格できない人など、さまざまなタイプがいました。
――鈴木さんのご経験から、受験生のタイプ別に予備試験に「何年で」「1日何時間で」合格しているのかをおしえてください。
司法試験・予備試験の学習は「わかる」と「解ける」の間に大きな壁があり、この壁の乗り越え方によってタイプが分かれます。
短期合格者の代表格は、司法試験・予備試験の予備校で指導されているような「王道」の勉強法を着実に実行できるタイプです。
講義をまじめに聞いて知識をしっかりインプットして、講師から「そろそろ問題を解く勉強を」と言われたらすぐに移行できる人。
指導を素直に受け入れて自己流にならない人ですね。
このタイプは、「わかる」と「解ける」の間の壁を比較的スムーズに越えていけます。
1日10時間の勉強をコツコツ続けて2年で合格できる、といったところでしょうか。
具体的にどういう人かというと、やはり勉強経験が豊富で、効率的な勉強法をわかっている人です。
結果的に、東大といった超難関大学の学生に多いと言えます。
――3年以上かかるのは、どんなタイプですか?
2年で合格する人と同様に「王道」の勉強法でスタートしたものの、いつのまにか自己流の勉強法に変わっているタイプです。
前者と同じ1日10時間の勉強をしても、合格に3〜5年かかります。3〜5年でも、決して遅くはありませんが。
このタイプは勉強が苦手な人ではなく、むしろ難関大学の学生に多いと言えます。
勉強ができるだけに、予備校の指導内容から外れてやりたいようにやってしまいがちなのです。
法律学は奥が深いので、勉強ができる人は「わかる」を追求するインプット学習がおもしろくなってしまい、やってもやってもきりがありません。
その結果、問題を解く勉強の開始が遅れて、「わかる」と「解ける」の間の壁を超える時期も遅れ、合格に時間がかかるというわけです。
同じ罠にはまって、合格できない人も大勢います。
――問題を解く勉強をいかに早く開始するかが、合格までの期間の差になっているのですね。
そのとおりです。実は、極端な例では「1年」で一発合格する人も存在していて、彼らはなんとインプットをすっとばして、いきなり問題を解き始めるんです。
私が実際に見た受験生に、Aさんという男子大学生がいました。
Aさんは、まず受験用の書籍を読んで知識をインプットしようとしましたがちっとも頭に入らず、「これでは何年もかかる」と危機感を抱いたそうです。
そこで次に手に取ったのが、過去問集。いきなり過去問に着手するなんて、難易度が高すぎて非常識なやり方です。
しかしAさんは、過去問から問題を解くにはどんな知識が必要かを把握し、そこから逆算してインプットをおこなうという戦略をとったのです。
インプットの量も「合格に必要な知識だけあればいい」と考えて、必要最小限にとどめたそうです。
その結果、Aさんは予備試験に1年で一発合格することができました。
――ここまでのお話を聞いて、司法試験・予備試験は「1日何時間勉強すれば合格する」というものではなく、「勉強のやり方」が命運を分けることがよくわかりました。
Aさんのやり方は誰にでもまねできるものではありませんが、肝心なのは「問題を解く勉強」を早く始めた方が早く合格できるという点です。
これは2年で合格する人と3〜5年で合格する人の違いからも明らかです。
このやり方は、学歴やこれまでの学習経験を問わずすべての受験生が再現可能で、効果が出やすいと断言できます。
その人にとっての最短ルートで合格を目指せる方法です。
さらに具体的な話は、この記事の後半でお伝えしたいと思います。
――次は勉強のスケジュールについてお聞きします。大学生が予備試験ルートで司法試験に合格するには、いつから勉強を始めればいいのでしょうか?
前提として、予備試験ルートの受験生が一般的にどのような流れで司法試験に合格しているのかを説明しましょう。
法務省が、司法試験を突破した司法修習生を対象におこなったアンケートから、予備試験ルートで司法試験に合格した人(※)の回答を見ていきます。
※:「 法科大学院修了資格は有しておらず、予備試験合格資格で合格した」または「 法科大学院修了資格も有しているが、予備試験合格資格で合格した」と回答した人。
【参考】法務省「司法試験予備試験に関するアンケート調査結果」
調査対象者:平成27年(2015年)から司法修習を受けた第69期司法修習生
調査実施:平成28年(2016年)
まず、予備試験の受験時期(複数回受験した場合はすべての受験時期)は、1位が「大学4年生」、3位が「大学3年生」となっていて、大学在学中に最初のチャレンジをしている人が多いことが伺えます。
▼予備試験の受験時期(複数選択可)
順位 | 受験時期 | 割合 |
1位 | 大学4年生のとき | 52.9% |
2位 | 法科大学院2年次(未修・既修)のとき | 41.2% |
3位 | 大学3年生のとき | 36.1% |
4位 | 社会人のとき | 19.3% |
5位 | 無職のとき | 8.4% |
一方、予備試験を受験したとき(司法試験の受験資格を取得できた年)の職業については、「法科大学院生」が1位です。
「予備試験の受験時期」でも「法科大学院2年次(未修・既修)のとき」が2位となっていて、法科大学院に進学しても引き続き予備試験を受験していることがわかります。
▼予備試験受験時の職業等
順位 | 受験時の職業等 | 割合 |
1位 | 法科大学院生 | 44.4% |
2位 | 大学生 | 29.9% |
3位 | 無職 | 7.7% |
4位 | 公務員 | 5.1% |
5位
(同率) |
会社員
自営業 |
4.3% |
そして「予備試験を受験した理由」は次のようになっています。
▼予備試験を受験した理由(上位3つまで選択可)
順位 | 理由 | 割合 |
1位 | 少しでも早く法曹資格を取得し,実務に就きたかったから | 66.9% |
2位 | 予備試験に合格した方が就職等の面で有利であると考えたから | 48.3% |
3位 | 経済的に法科大学院に通うことは可能であったが、経済的負担を少しでも軽減したかったから | 32.2% |
以上の内容をまとめると、次のとおりです。
――これから司法試験を目指す人は、スケジュールとしては「大学3年生で予備試験の1回目の受験」と考えればいいでしょうか。
そうですね。ですから、予備試験の勉強は大学1年生から開始するのがもっとも理想的で、遅くとも大学2年生には開始しておきましょう。
前述のとおり予備試験の合格には一般的に3〜5年程度かかるので、大学在学中に合格できなければ法科大学院への進学を選択することになるでしょう。
しかしその場合も、大学1・2年生から予備試験の勉強を開始した人は、そのぶん法律の勉強を早く開始できるので、法科大学院の受験や大学院での学びにスムーズに適応できます。
最終目標である司法試験合格に向けてメリットがあることは間違いありません。
▼法科大学院試験・予備試験・司法試験の科目の重なり
司法試験に興味があるものの、どのようなルートで目指せばいいのか悩んで勉強開始が遅れる人もいます。
しかし、短期合格者に多く見られる傾向は「とにかく予備試験対策を始める」ことです。
司法試験を目指そうと思ったら、まず予備試験を目指す。これが鉄則です。
ただし、司法試験・予備試験対策の予備校の場合、受講の日程があらかじめ決まっているため、乗り遅れてしまったり、都合が合わなかったりするケースもあるでしょう。
一方、「スタディング 司法試験・予備試験講座」はいつでも好きなタイミングで勉強を開始できるので、今日からでもスタートできます。
司法試験・予備試験に興味を持ち、なるべく早く勉強を開始したいと思った方にはぜひ試していただきたいですね。
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――さて、先ほど「問題を解く勉強を早く始めるほど、早く合格できる」という話が出ました。これについて詳しく教えてください。
少しおさらいすると、「2年で合格する人」と「3〜5年で合格する人」の違いは問題を解く勉強を開始する時期であること、また極端な例ですが、1年で一発合格した受験生はいきなり過去問を開いていたことを話しました。
なぜ問題を解く勉強が鍵になるのかというと、脳は必要に迫られたとき、知識を記憶にとどめようとするからです。
例えば、あいまいに記憶していた人の名前や作業の手順について、絶対に間違えてはならない場面になって初めて頭に入った、といった経験は多くの方にあるのではないでしょうか。
短期合格者はこの仕組みを最短距離で合格するために使っているのです。
司法試験・予備試験は、試験範囲の知識さえ暗記できれば合格できるような単純な試験ではありません。最も難しいのは問題を解くこと・答案を書くことです。
短期合格者は、必要なインプットをさっさと終わらせて、問題を解く・答案を書くためのスキル・ノウハウの習得に多くの勉強時間を早く始めるから、早く合格できるのです。
とはいえ、いきなり過去問を解くなんていう芸当は、一般の人にはまずできません。
過去問を開いてもちんぷんかんぷんで挫折するのが関の山です。
――では、どのようにまねればいいのでしょうか。
重要なのは、問題を解く・答案を書く勉強(アウトプット)に時間を多く配分することです。
「スタディング 司法試験・予備試験講座」は、短期合格者の学習法を取り入れたアウトプット重視の講座として開発しました。
インプットは合格に必要な最小限の時間・内容に抑え、早くアウトプットに移行できるように作っています。
例えば、スタディングの基礎講座(動画講義)は約198時間で完結します。
旧来型の大手予備校の講義時間数が500時間近くなので、大手予備校の講義をひととおり受講している間に、スタディングなら3回弱ほど繰り返して学習できることになります。
また、旧来型の講義は「法学者のテキスト内容を分かりやすくする」というスタンスであるのに対し、スタディングの講義は「答案に何をどう書くか」というゴールを見据えた「アウトプットのためのインプット」という発想で作っています。
動画講義は無料で体験できるので、ぜひ一度見てみてください。
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――ここまで、大学生が司法試験・予備試験を目指す場合についてお話しいただきましたが、社会人の場合のポイントについても教えてください。
社会人の場合もやはり、司法試験を目指すなら予備試験の勉強を今日から始めましょう、ということになります。
前出のアンケート調査結果の「予備試験を受験したとき(司法試験の受験資格を取得できた年)の職業」の項目で見たとおり、司法試験受験の中心は大学生と法科大学院生で、これら以外の属性を見ると、無職が7.7%、公務員が5.1%、会社員と自営業がそれぞれ4.3%となっています。
これを見て「法科大学院ルートを選んだ方がいいのではないか」と考える人もいるかもしれませんが、
法科大学院への進学は費用と時間の負担が大きいので、仕事と両立したい社会人は予備試験ルートで司法試験を目指すのがおすすめです。
――社会人が予備試験を目指す場合、何年で合格できるでしょうか。
大学生の場合と同じく、「何年やれば受かる」という試験ではないので明言できません。
特に社会人は、1日にどれくらいの勉強時間を確保できるかが人によってさまざまだと思います。
例えば仕事以外の時間をすべて勉強につぎ込める人だと、早くて3年で合格というところでしょうか。
ただし社会人は「プライベートは犠牲にしていいから短期合格したい」という人ばかりではありません。
「仕事と両立したい」「家事・育児をしながら長期戦で挑戦したい」という人もいて、その場合は日常生活でいかに勉強時間を確保できるかが合格までの年数に関わってきます。
社会人が1日の勉強時間を増やす方法は、スキマ時間の活用です。
「勉強時間を確保するのは大変だ」と考えている人は、「勉強=机に向かってやるもの」という思い込みがあるのではないでしょうか。
細切れの時間にどう勉強すればいいかわからない、教材を持ち歩くのは大変、という点もあるでしょう。
そこで「スタディング 司法試験・予備試験講座」は、スキマ時間を最大限に活用できるよう、スマホやタブレットで場所を問わず勉強ができるように開発しました。
基本知識をインプットする講義は細切れ時間に視聴しやすい長さの動画(5〜10分)で構成してあり、問題も数分あればスマホから1問解けるようになっています。
また、なるべく短期で合格するには、大学生の項目で述べたとおり問題を解く学習を早く開始することも重要で、スタディングはその点にも対応しています。
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――司法試験予備試験では3段階の選抜(短答→論文→口述)が行われます。各試験の勉強時間はどのように配分すべきでしょうか?
短答・論文・口述の対策の時間配分は下記のとおりで、受験生は論述式試験を中心に勉強することになります。
まず、法律の知識を単体で問われる短答式試験は、全体の2~3割です。
法律科目のインプットを始めたら、並行して短答式試験対策としてアウトプットの練習も始めましょう。
アウトプットを後回しにしてしまうと、合格レベルのスキルが身につくまでに時間がかかってしまいます。
法律全体を体系立てて理解することは重要ですが、短答式試験はそこまでの理解が追いついていなくても、単体の知識があればある程度正解できます。
また、短答式試験の問題をどんどん解いていけば、覚えた知識が定着します。
ただし、次に控える論文式試験の対策に勉強時間を使いたいため、短答式試験の対策にはあまり時間をかけすぎず、全体の2〜3割にとどめておくのがよいでしょう。
次に、論文式試験は試験形式に慣れることが難しく、対策に最も時間をかける必要があります。全体の6~7割が目安です。
例えば予備試験の1年前から勉強を開始して合格を目指す場合、年内には法律科目のインプットと短答式試験の対策をある程度終えます。
そのうえで、年明けから9月の試験本番までは、論文式試験対策に絞って勉強をするといったイメージです。
論文式試験は、それほど難易度の高い試験なのです。
最後に口述試験です。口述試験は合格率が9割程度と非常に高く、論文式試験に合格できるスキルがあれば、落ちる可能性は低いと言えます。
そのため、口述試験単体の対策は全体の1〜2割程度でOKで、論文式試験が終わってから始めれば十分間に合います。
――鈴木さん、ありがとうございました。
今回は司法試験・予備試験の勉強時間について、「スタディング」のプロダクトマネージャー鈴木康之さんに話を聞きました。
大切なポイントをおさらいします。
法曹資格を少しでも早く取得したい方は、上記のポイントを踏まえて開発された「スタディング 司法試験・予備試験講座」をぜひ無料体験してみてください。
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