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仕事が多忙で、なかなか学習の時間を取れずにいます。こんな状態で司法試験を目指すのは難しいでしょうか。予備試験の合格に必要な勉強時間がどのくらいかを含め、教えてもらえればと思います。 |
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予備試験合格に必要な時間は人それぞれ。まずは今の自分が1日24時間をどのように過ごしているかを正確に把握し、勉強への可処分時間を計った上で、ムリのない学習計画を立てるところから始めてみましょう。
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一般に予備試験の合格に必要な勉強時間は3,000時間~8,000時間、中には10,000時間という方もいます。それぞれの受験生の置かれた環境や能力に依存する部分が大きいため、合格に必要な勉強時間を一概に決めつけることはできません。
予備試験対策講座で、代表的な基本講座を調べたところ、講義時間は概ね250時間〜600時間でした(独自調査)。
一方で、合格に必要と言われている学習時間は、3,000時間から10,000時間と言われていますが、ここからわかることは、合格するための学習に必要なことは、インプットよりもアウトプットの質と量が大事ということです。
予備校に通い始めた初学者の前に立ちはだかる最初の壁が、大量に届くテキストとの格闘ではないでしょうか?
申し込んだはいいけど、なかなか手をつけられない。という受験生を多く見てきています。
まず最初に伝えるべきオススメの学習方法は、インプット学習をいかに効率よく、楽しく学ぶかです。
アウトプットのウエイトを重要視しておくだけでもインプットには時間やコストをなるべく掛けない方が良いということがわかります。
司法試験予備試験(以下予備試験)は、①短答式試験、②論文式試験、③口述試験の3つの試験から構成されています。
しかし試験形式や科目数から、上記①②③それぞれの対策に割くべきおおまかな時間の割合を見積もることはできます。あくまでおおまかな割合ですので、自身に合わせて微調整は必要となります。
まず、①短答式試験は法律の知識を単体で問われる試験です。その対策は法律科目のインプット学習を始めたらすぐに、同時併行で行うべきものです。
ここでアウトプットを後回しにした結果、不合格になってしまう人がたくさんいます。
たしかに知識を有機的に結びつけ、体系立てて法律を理解することは重要です。
しかし短答式試験はそうした理解が備わっていなくともある程度正解できる試験ですし、何よりも短答式試験の問題を使って知識の定着度を確認することができます。
短答式試験の問題を利用しない手はありません。
もっとも、短答式試験は全受験生の2割程度が毎年合格する試験ですし、特に法律初学者にとっての最大の関門は次の論文式試験なので、割く時間の割合としては2~3割程度にとどめておくべきでしょう。
次に②の論文式試験ですが、これは試験の形式に慣れることがもっとも難しい試験であり、一番対策に時間をかけなければならない試験でもあります。
たとえば1年間の学習で翌年の予備試験合格を目指すのであれば、年内には法律科目のインプットと短答式試験の対策をある程度終え、年が明けてからはフルスロットルで論文式試験の対策をするくらいのイメージを持つ必要があります。それほどまでに予備試験の論文式試験はハードルが高いのです。
具体的な対策としては、予備校の答案練習会を受験し、実際の合格者の採点を受けることで改善点を見つけ、自分の答案の悪いクセを修正していくという方法があります。
最後に③の口述試験ですが、例年合格率は9割前後と高く、論文式試験に合格する実力がある者であれば落ちる可能性は比較的低いので、ウェイトとしては低くなります。具体的には、論文式試験が終わってから対策を始めることで十分に間に合います。
実は予備試験は、法律の勉強を始めたばかりの初学者(特に大学3、4年生)ほど、合格率が高い傾向にあります。逆に長期間法律の勉強をしているはずの法科大学院修了生などの合格率は低いです。これは何を意味しているのでしょうか。
受験通説としてよく言われているのは、「勉強すればするほど正確性の低い知識ばかりが身につき、それを論文等で書いてしまうため、得点に結びつかない、あるいはマイナスの評価をされてしまっている」というものです。
法律学の勉強というものは、それこそ無限にできます。しかし予備試験・司法試験はあくめで事案処理の試験なので、抽象的な勉強ばかりできても、それが得点に結びつくかはまた別の問題なのです。
そこで短期間で予備試験・司法試験に合格するためには、正確性の高い、質のよい勉強をすることが必須ということになります。
それでは、質のよい勉強とはいったいどんな勉強でしょうか。
一つの答えとしては、「きちんと段階を踏んだ勉強」であるということが挙げられます。
たとえば民法の論文式試験を、民法の基本的知識のインプットなしに解こうとしても、まったく意味のない勉強になります。そうかといって基本的知識のインプット講義を聴いてすぐに解いてみても、採点された答案を見てどこが間違っていたのかを自分で納得し理解することは難しいです。インプット講義の後、論文式試験問題を解く前に、「法律の基本的知識を踏まえた論文の書き方の基本」を学んでおく必要があるのです。そこまで徹底した段階的学習を行ってはじめて、無理なく合格できる実力を身につけることができるのです。
スタディングの段階的学習カリキュラムは、こうした無理なく合格できる実力を身につけるために最適化されています。
以上から、予備試験に短期で合格するためには、勉強時間ではなく勉強の質に着目する必要がある、ということになります。
質のよい勉強をするために大事なのは、学習期間を設計し、毎日のタスクを着実にこなしていくことです。そのためにまずは、今の自分の生活を正直に見直して、短期合格のための段階的な学習計画を立ててみることから始めてみましょう。