法科大学院の選び方は?司法試験の合格率・合格者数ランキングも

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法科大学院ルートで司法試験を目指したい方にとって、各校の合格率や合格者数は必ず目を通しておくべきデータです。

この記事では、法科大学院を選ぶ際におさえておきたい最新の司法試験合格率・合格者数のほか、チェックしたいポイントについても解説します。

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法科大学院出身者の司法試験合格率

まずは、法科大学院出身者の司法試験合格率について解説します。

直近5年のデータをもとに合格率や合格者数、合格占有率などを見ていきましょう。

【直近5年】法科大学院出身者の合格率

下記の表は、直近5年の司法試験における法科大学院出身者に関するデータをまとめたものです。

令和6
(2024)
令和5(2023)令和4(2022)令和3(2021)令和2(2020)
受験者数3,304人3,575人2,677人3,024人3,280人
受験者占有率87.43%91.01%86.86%88.32%88.58%
短答合格者数2,486人2,797人2,090人2,272人2,374人
短答合格率75.24%78.24%78.07%75.13%72.38​​%
総合合格者数1,151人1,454人1,008人1,047人1,072人
総合合格率34.84%40.67%37.65%34.62%32.68%
総合合格占有率72.30%81.64%71.85%73.68%73.93%

【参考】法務省「司法試験の結果について」>各年の「法試験法科大学院等別合格者数等」

法科大学院出身者の合格率は30〜40%程度となっています。また、司法試験合格者のうち、法科大学院出身者の割合は、70〜80%程度と大多数を占めます。

【既修/未修】合格率を比較

法科大学院には、「法学既修者コース」と「法学未修者コース」があります。

既修者コースは大学で法律の基礎知識を既に修得している人向けで、修了までの期間は2年間。

未修者コースは今まで法律の学習をしたことがない人向けのコースで、期間は3年と既修者コースよりも長くなっています。

司法試験の結果について、既修者と未修者に分けて見てみましょう。

司法試験の合格率は、法科大学院に入る前から法律の勉強をしていた既修者のほうが高い傾向です。

▼既修者

令和6(2024)令和5(2023)令和4(2022)令和3(2021)令和2(2020)
受験者数1,298人1,598人1,656人1,824人1,895人
合格者数372人670人790人829人828人
合格率28.87%41.93%47.71%45.45%43.69%

▼未修者

令和6
(2024)
令和5(2023)令和4(2022)令和3(2021)令和2(2020)
受験者数774人907人1,021人1,200人1,385人
合格者数99人147人218人218人244人
合格率12.79%16.21%21.35%18.17%17.62%

【参考】法務省「司法試験の結果について」>各年の「法試験法科大学院等別合格者数等」

【修了者/在学中】合格率を比較

従来は法科大学院を修了しなければ司法試験を受験できませんでしたが、令和5年(2023年)試験からは一定の要件を満たしていれば在学中でも受験が可能となりました。

下記は令和6年(2024年)の修了者・在学中の司法試験合格率をまとめた表です。

修了者在学中
受験者数2,072人1,232人
合格者数471人680人
合格率22.73%55.19%

【参考】法務省「令和6年司法試験法科大学院等別合格者数等」

修了者よりも在学中のほうが合格率が高い結果となっています。

令和6年(2024年)司法試験 法科大学院別 【合格率】ランキング

順位法科大学院名受験者数合格者数合格率
1予備試験合格者475人441人92.8%
2慶應義塾大法科大学院246人146人59.4%
3愛知大法科大学院9人5人55.6%
4京都大法科大学院217人107人49.3%
5一橋大法科大学院123人60人48.8%
6東京大法科大学院255人121人47.5%
7中央大法科大学院181人83人45.9%
8早稲田大法科大学院330人139人42.1%
9大阪大法科大学院177人72人40.7%
10神戸大法科大学院136人51人37.5%
11同志社大法科大学院111人41人36.9%
12九州大法科大学院107人37人34.6%
13名古屋大法科大学院103人32人31.1%
14南山大法科大学院18人5人27.8%
15上智大法科大学院44人12人27.3%
15専修大法科大学院33人9人27.3%
17広島大法科大学院34人9人26.5%
18北海道大法科大学院65人17人26.2%
19大阪公立大法科大学院36人9人25.0%
19金沢大法科大学院16人4人25.0%
21関西学院大法科大学院41人10人24.4%
22筑波大法科大学院60人14人23.3%
23東北大法科大学院95人21人22.1%
24立命館大法科大学院132人29人22.0%
25明治大法科大学院115人25人21.7%
26関西大法科大学院70人15人21.4%
27千葉大法科大学院52人11人21.2%
28岡山大法科大学院25人5人20.0%
28近畿大法科大学院5人1人20.0%
30日本大法科大学院100人19人19.0%
31創価大法科大学院34人6人17.7%
32福岡大法科大学院23人4人17.4%
33琉球大法科大学院29人5人17.2%
34横浜国立大法科大学院13人2人15.4%
35桐蔭横浜大法科大学院8人1人12.5%
36法政大法科大学院58人7人12.1%
37学習院大法科大学院36人4人11.1%
38東京都立大法科大学院92人10人10.9%
39駒澤大法科大学院32人2人6.3%
40甲南大法科大学院18人1人5.6%
41青山学院大法科大学院5人0人0.0%
41成蹊大法科大学院9人0人0.0%
41西南学院大法科大学院21人0人0.0%
41大東文化大法科大学院11人0人0.0%
41北海学園大法科大学院12人0人0.0%
41名城大法科大学院0人0人0.0%
41立教大法科大学院0人0人0.0%

【参考】法務省「令和6年司法試験法科大学院等別合格者数等」

法科大学院別の合格者数ランキングや、予備試験の大学別ランキングについては、こちらの記事で詳しく解説しています。

法科大学院を選ぶポイントとは?

法科大学院コースで司法試験の合格を目指すには、どの法科大学院に進学するかが非常に重要です。ここからは法科大学院を選ぶ際に、司法試験の合格率や合格者数以外でチェックしておきたいポイントは次のとおりです。

  • カリキュラム・教員
  • 学習環境・学習サポート
  • 入試の難易度
  • 奨学金制度

1つずつ見ていきましょう。また、社会人が法科大学院を選ぶ際のポイントについても解説します。

カリキュラム・教員

カリキュラムの内容や教員の教え方は、法科大学院での学習経験やモチベーションを大きく左右します。

著名な大学院や教授の授業だからといって、必ずしも自分に合っているとは限りません。特に興味のある分野や学びたい内容が明確な人は、カリキュラムの内容や講師陣について詳しくチェックしておくのがよいでしょう。

教員の顔ぶれから法科大学院を選ぶ場合、「法律科目全体の教科書(基本書)を書いている研究者がいるか」に着目する方法があります。

なぜかといえば、研究者の中には専門とする分野以外にあまり関心がない人も少なくないからです。

例えば「ドイツの裁判制度」が専門の教授が「日本国憲法」全体の講義を受け持つ場合などもありますが、講義を聴いて疑問が浮かび、質問に行っても満足のいく回答を得られないということもありうるのです。

一方、法律全体を横断的に説明する教科書を書いている研究者は、幅広い見識を備えていることが多いと言えます。

例えば、学習院大学法科大学院は、東京大学を定年退官した研究者が多く在職しています。

東京大学で教鞭を取っていた(取っている)研究者には、法律科目全体の教科書(基本書)を執筆されている方も多く、司法試験の受験範囲全体について幅広い見識を持っています。​​

また、法科大学院の講義を担当する教員には、研究者だけでなく、弁護士や裁判官などの経験がある実務家もいます。

実務家教員の割合は法科大学院によって異なります。それぞれの法科大学院の特色について知る、1つの手がかりになるでしょう。

どんなことが学べるのか、Webサイトやパンフレットだけでなく、先輩や在学生の声やオープンキャンパスなどを通して、できるだけ多く情報収集をするのもおすすめです。

学習環境・学習サポート

法科大学院は独立した施設ではなく、一般的な大学の敷地内にあります。

そのため図書館や自習室などの設備は、学部生や他の大学院生と一緒に使うことになります。大学によっては、利用者が多すぎるなど使い勝手が悪いこともあるかもしれません。

法科大学院を修了して司法試験に合格するには膨大な勉強が必要となるため、学習環境や学習サポート体制も重視したほうがよいでしょう。

法科大学院生向けに24時間いつでも使えるの自習室や個別デスクが備えられていたり、資料閲覧室を設置されていたりと、各校は学習環境の整備に力を入れています。

気になる法科大学院がある人は、見学会やオープンキャンパスなどに参加して、実際の設備を確認してみるとよいでしょう。

入試の難易度

司法試験の合格率が高い法科大学院に入りたいと考えている人は多いかと思います。ただし司法試験の合格率が高い法科大学院は、そもそも入試の難易度も高いため、入学者のレベル自体が高い傾向です。

入試に失敗してしまうと、法科大学院ルートで法曹を目指すプランが崩れてしまいます。入試の難易度についてはよく調べておきましょう。

奨学金制度

法科大学院の学費は、各校で異なります。国立の場合は比較的安価(入学金30万円程度、年間授業料80万円程度)ですが、私立の場合は高額となるケースも少なくありません。

各校には、こうした学費負担をサポートする独自の奨学金制度が用意されているケースが少なくありません。なるべく学費を抑えたい人は、奨学金を狙えそうな大学院を目指すのも一つの手です。

社会人が法科大学院を選ぶ際のポイント

法科大学院に通信制が存在しません。通学が必須となります。社会人が法科大学院を選ぶ際は、1日のうちどれくらいの時間を大学院に使えるかがポイントとなります。

例えば、個人事業主や自営業者など時間に融通がきく仕事をしている人であれば、仕事量やスケジュールを調整すれば日中の大学院に通うこともできるでしょう。

しかし、フルタイムで働いている会社員など日中の通学が不可能な場合は、夜間コースのある大学院で平日の夜間や土日に学ぶという選択肢もあります。

なお夜間コースのある大学院は全国的に見ても少なく、授業時間も限られるため卒業までの年数も多くかかります。

一方、社会人経験のある法曹を増やすために、社会人入試特別枠を設置している大学院もあります。受験の際は、こうした制度を活用するのもよいでしょう。

忙しい社会人が働きながら司法試験を目指すなら、好きな時間・好きな場所で学べるオンライン通信講座で予備試験ルートから狙う方法もあります。

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【Q&A】司法試験に関するよくある質問

最後に司法試験に関するよくある質問について解説します。

予備試験ルートと法科大学院ルート、合格率の違いは?

前述のとおり、司法試験の合格率は、予備試験ルートと法科大学院ルートで大きく異なります。法科大学院出身者の合格率が30〜40%前後なのに対し、予備試験合格者は90%以上となっています。

法科大学院出身者と予備試験合格者の司法試験合格率には毎年これくらいの差があり、予備試験合格者のほうが圧倒的に合格率が高い傾向です。

なぜこのような差がつくのか、そして近年の予備試験合格者の司法試験合格率はどのように推移しているのかは、こちらの記事で解説しています。

予備試験ルートのメリットは?

予備試験ルートには次のようなメリットがあります。

▼誰でも受験できる
予備試験は学歴などに関係なく、誰でも何度でも受験可能です。

▼時間と金銭の負担が少ない
短期で予備試験に合格できれば、法科大学院のような修了までの期間や学費をかけずに司法試験の受験資格を得られます。

▼司法試験の合格率が高い
司法試験の合格率は法科大学院出身者よりも予備試験合格者のほうが圧倒的に高い傾向です。

▼就職後も評価されやすい
就職後も難関の予備試験を突破している点を評価され、法科大学院出身者よりも厚遇を受けられる場合があります。

予備試験について詳しく知りたい方に向けて、必ず知っておきたいポイントをこちらの記事にまとめました。

まとめ

今回は、法科大学院出身者の司法試験合格率や法科大学院を選ぶ際のポイントについてご紹介してきました。

  • 法科大学院出身者の司法試験合格率は例年30〜40%程度
  • 既修者の合格率は40%台、未修者は20%前後
  • 法科大学院を選ぶポイントはカリキュラム・教員、学習環境、入試の難易度など

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