【入門編】講師が解説!司法試験論文式試験の勉強の始め方

法曹三者(弁護士・検察官・裁判官)はいずれも、法律文書を書き、論証し、主張を展開することが重要な仕事です。このため司法試験では論文式問題が重視されています。

しかし、法律を初めて学ぶ人の中には「論文なんてどう書けばいいのかわからない、イメージができない」という方も多いのではないでしょうか。

この記事では、現役弁護士であるスタディング講師が、司法試験論文式試験の勉強の始め方について解説します。

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初学者必見!論文の勉強を始める前に知っておきたいこと

最初に、司法試験論文式試験の科目と、論文の形式面・内容面のポイントについて解説します。

また、「そもそも何をどう書けばいいのかイメージできない」という方に向けて、法学初心者でも無理なく取り組める方法もお伝えします。

司法試験論文式試験の科目は?

科目は全8科目(公法系・民事系・刑事系・選択科目)

公法系憲法、行政法
民事系民法、商法、民事訴訟法
刑事系刑法、刑事訴訟法
選択科目倒産法、租税法、経済法、知的財産法、労働法、環境法、国際公法、国際私法の8科目の中から1つ

論述式はすべて筆記形式で行われます。専門的な学識だけでなく、法的な分析や構成ができるかどうかなどの論述の観点も評価されます。

なお、司法試験全体の配点割合は「短答:論文=1:8」です。

つまり合否の鍵を握るのは配点が圧倒的に高い論文式試験であり、受験勉強は論文対策が中心となります。

論文の形式面のルールとは?

まず、論文は形式面においてやってはいけないことや、取り入れると良いことがあります。

やってはいけないこと

  • 一行おきに書く
  • 極端に行の左端を空ける
  • 欄外に文字を書く
  • 漢字を省略する(権→权、第→㐧など)
  • 語句を省略する(損害賠償→損賠、代表取締役→代取、公務執行妨害→公妨など)【★】
  • 誤字、脱字

取り入れると良いこと

  • 大きくはっきりとした字で書く
  • 一文の長さをなるべく短くする(長くても一文は3行程度に収める)【★】
  • 主語と述語は一文に一つずつにする【★】
  • ナンバリングは正しく、上手に使う(第1→1→(1)→ア……)【★】

【★】マークは、令和8年(2026年)の司法試験から実施されるパソコン受験(CBT方式)においても共通する部分です。

パソコン受験がスタートすると、特に論文式試験が大きく変わります。こちらの記事で詳しく解説しています。

論文の内容で大事なポイントは?

続いて、論文対策の実践編として、内容面で大切なポイントを4つ解説します。

設問に答える

当たり前ですが、最も重要な部分です。

例えば、「甲の請求が認められるか」という設問に対し、「民法●●条は適用できる」と答えるのはNGです。

学習が進んでいくとつい法的な論点に飛びつきがちですが、常に「問われていることは何か」ということを意識しましょう。

条文を必ず明記する

法律家にとって最も重要なものは、最高裁判例や有名な学説などではなく、明文のある条文です。

これは司法試験・予備試験においても変わりません。たとえ、素晴らしい文章を書けたとしても、条文に基づく解釈でなければ点数は入りません。

「条文に始まり、条文に終わる」ということを意識しましょう。

事実関係を豊富に拾い、評価をする

問題文の事実はすべてに意味があると考えましょう。そして、事実は拾えば拾うほど加点につながります。また、拾った事実には必ず評価を加えましょう。

「1事実1評価」を基本とし、豊富に事実を拾い、評価をする癖付けをしましょう。

法的三段論法を意識する

「規範→当てはめ→結論」という枠組みを守りましょう。法的三段論法については、こちらの記事で詳しく解説しています。

「論文を書ける気がしない……」そんな場合は?

ここまで形式面と内容面のポイントについて解説してきましたが、勉強を始めたばかりの段階では、そもそも論文を書くことに対して心理的ハードルを感じる方もいらっしゃるでしょう。

司法試験の答案が書けるようになるためには、わからなくてもまずは書いてみることがとても大切です。

そうは言っても、「何から書けばいいのか、どう書けばいいのかわからない」という不安があると思います。

そこで、まずは参考となる問題及び答案を用意し、参考答案を書き写すことで答案作成のイメージを掴んでみましょう。

「書き写すだけでは何も頭を使っていないので、勉強にならないのではないか?」という疑問もあるかもしれません。

しかし、答案を書き写すことで答案作成者の思考回路が分かり、どのような流れで検討しているのかという感覚を掴むことができます。

また、どこが設問に対する答えなのか、法的三段論法の適用箇所はどこに当たるのかという、答案作成に必要な要素を分析することができます。

ただ答案を書き写すだけでも、答案がどのように構成されているのかを分析することができ、答案のイメージを掴めるのです。

スタディング司法試験・予備試験講座では、論文対策講座(基本フォーム編及び論文実践編)において、答案の書き方を学べるだけでなく、講師が作成した参考答案も見ることができます。

こうした参考答案を利用し、答案を書き写すことで、まずは答案の全体像を掴んでいただきたいと思います。

【Q&A】司法試験論文式試験に関するよくある質問

最後に、司法試験論文式試験に関するよくある質問に回答します。

論文式試験の選択科目はどう選べばいい?

司法試験や予備試験の選択科目は、法律基本7科目よりも勉強の優先順位が低いものの、得意にしておけば合格への大きな力となります。

科目選択の成功のポイントは次の2つです。

  • 興味が持てる内容で選ぶ
  • 総学習時間の目安・試験対策のしやすさで選ぶ

詳しくはこちらの記事で解説しています。

司法試験の「採点実感」はどう活用すればいい?

司法試験の採点実感とは、司法試験委員がその年の試験問題の出題趣旨、採点にあたってどのような点を重視しているか、高い評価を与える例などをコメントしたものです。

合格へのヒントが詰まった貴重な資料である採点実感は、次の3点を意識して勉強に活用しましょう。

  • 採点の方針を確認する
  • 合格に必要なレベルを把握する
  • 形式面をチェックする

詳しくはこちらの記事で解説しています。

 まとめ

今回は、司法試験論文式試験の勉強の始め方について解説しました。

  • 形式面のルールとして、漢字・語句を省略しないこと、一文をなるべく短くすることなどがある
  • 内容面では、条文を必ず明記すること、事実関係を豊富に拾って評価することなどが重要
  • どう書けばいいのかわからない場合は、参考答案を書き写す勉強法がおすすめ

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