司法試験の受験資格を得る方法は、大きく分けて2つあります。「予備試験ルート」と「法科大学院ルート」です。どちらのルートを選ぶべきか迷う人も多いのではないでしょうか。
この記事では、予備試験ルートと法科大学院ルートについて、司法試験の合格率、費用、年数などを比較します。また、大学生と社会人にはどちらのルートがおすすめか、それぞれのルートに臨むための受験資格は何かも解説します。
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受験資格を得る2つのルート
司法試験の受験資格を得るには、以下の2つのルートがあります。
- 予備試験ルート
- 法科大学院ルート
予備試験ルート
予備試験ルートは、予備試験に合格して司法試験の受験資格を得るルートです。
予備試験は、法科大学院課程を修了した者と同等の学識およびその応用能力、法律に関する実務基礎的素養があるかどうかの判定を目的とした試験で、最終学歴や年齢に関係なく、誰でも何度でも受験することができます。
そのため、大学生が学部在学中に受験したり、社会人が働きながら挑戦したりすることも可能です。
予備試験に合格すると、合格発表後の4月1日を起点とする5年間に司法試験の受験が可能になります。
予備試験は合格率が3〜4%程度と非常に低く、難関の試験ではありますが、短期で合格できれば法科大学院に通うよりも時間的・金銭的負担が少なく済むでしょう。
また、予備試験の合格者は司法試験の合格率が高く、就職やキャリアで高く評価されることもあります。
法科大学院ルート
法科大学院ルートは、法科大学院に進学して司法試験の受験資格を得るルートです。
以前は、法科大学院を修了しなければ受験資格を得られませんでしたが、令和5年(2023年)司法試験からは、在学中であっても所定の単位を修得し、1年以内に修了見込みであれば、受験が可能となっています。
なお修了までは、法学既習者は2年、法学未修者であれば3年の期間が必ずかかります。
受験資格の有効期限は、卒業した次の年から5年が経過するまでです。
また、2020年度からは法曹コースが新設されています。
従来の法科大学院ルートは、司法試験の受験資格を得るまでに時間的・経済的負担が大きいことが課題であり、これを解決すべく整備されたのが法曹コースです。
【画像引用】文部科学省「法曹コースとは」
法曹を目指す学生は、従来の法学部(4年間)に代わる法曹コースに入学して3年間で早期卒業し、法科大学院(既修者コース)で2年間学びます。
つまり最短5年間で、司法試験の受験資格を手に入れることができるのです。
予備試験と法科大学院 2つのルートを比較
ここからは、予備試験ルートと法科大学院ルートを合格率、費用、期間の面から比較してみましょう。
- 司法試験の合格率が高いのは?
- 費用が安いのは?
- 短い年数で受験資格を得られるのは?
- 大学生が受験資格を得るには?
これらのトピックを1つずつ解説します。
司法試験の合格率が高いのは?【予備試験ルート】
司法試験の合格率(全体)は30〜40%台で推移していますが、これを受験資格別に見ると大きな差があることがわかります。
法科大学院出身者が30%台なのに対し、予備試験合格者は70〜90%台とかなり高い傾向にあります。
▼司法試験の合格率
試験実施年 | 予備試験合格者 | 法科大学院出身者 | 全体 |
令和6(2024) | 92.84% | 34.84% | 42.13% |
令和5(2023) | 92.63% | 40.67% | 45.34% |
令和4(2022) | 97.53% | 37.65% | 45.52% |
令和3(2021) | 93.50% | 34.62% | 41.50% |
令和2(2020) | 89.36% | 32.68% | 39.16% |
令和元(2019) | 81.82% | 29.09% | 33.63% |
平成30(2018) | 77.60% | 24.75% | 29.11% |
【参考】法務省「司法試験の結果について」
予備試験合格者の司法試験合格率が高い理由は、いくつかあります。
まず、予備試験の難易度が非常に高いことです。
最終合格率は例年3〜4%程度で推移しており、非常に難関の試験です。
そのため、多くの合格者には司法試験にも合格できるレベルの実力が身についていると言えるでしょう。
また、予備試験の試験制度は司法試験とよく似た設計になっています。
合格者にとって、司法試験は予備試験の延長線上にあるため、特別な対策をせずとも合格できる人も少なくないのです。
費用が安いのは?【予備試験ルート】
法科大学院ルートの場合、当然ながら大学院に通うための学費が必要です。
国立の法科大学院では、入学金と修了までの学費をあわせて、未修者なら300万円弱、既修者なら200万円弱がかかります。
私立大学院では、授業料は学校によって異なりますが、どこの大学院に入る場合も、数百万円単位の学費が必要です。
予備試験ルートの場合は、予備校や通信講座、参考書などを使って予備試験対策を行います。
予備校などに通うとしても、法科大学院ほどの学費はかからないため、費用面では予備試験ルートのほうが安く済むでしょう。
短い年数で受験資格を得られるのは?【場合による】
1〜2年程度の短期間の勉強で予備試験に合格できれば、当然ながら予備試験ルートのほうが短い年数で司法試験の受験資格を得られます。
ただし予備試験は非常に難易度が高く、合格率の低い試験です。
合格までに3〜5年程度かかる人も珍しくありません。
一方、法科大学院の修了までにかかる年数は、法学既習者で2年、法学未修者で3年です。
法科大学院ルートのほうが、早く受験資格を得られる場合もあるでしょう。
大学生が受験資格を得るには?【まず予備試験】
法務省が、司法試験を突破した司法修習生を対象におこなったアンケートを見ると、
大学生の場合、まずは3・4年生で予備試験に初挑戦し、在学中に合格できなかった場合は法科大学院に進学するという流れが一般的であるようです。
ちなみに、進学後に「法科大学院ルートに完全にシフトせず、予備試験にも引き続き挑戦する」という人も少なくありません。
予備試験には「早く受験資格が得られる」「就職で有利になる」といったメリットがあるからです。
【参考】法務省「司法試験予備試験に関するアンケート調査結果」
予備試験・法科大学院の受験資格
ここまで、司法試験の受験資格を得るための予備試験ルートと法科大学院ルートを比較をしてきました。
では、各ルートへ進むにはどのような準備が必要なのでしょうか。予備試験と法科大学院の受験資格について解説します。
予備試験の受験資格
予備試験は、最終学歴や年齢などに関係なく、誰でも何度でも受験できます。
大学生が学部在学中に受験したり、社会人が働きながら挑戦したりすることが可能です。
法科大学院の受験資格
法科大学院を受験するには、4年制大学を卒業している、もしくは卒業見込みとなっている必要があります。
なお、法科大学院には、法学の未修者を対象とした3年コースと、既修者を対象とした2年コースがあるため、法学を学んだ経験がない人でも受験が可能です。
まとめ
今回は、司法試験の受験資格を得るための予備試験ルートと法科大学院ルートについてご紹介してきました。
- 予備試験は誰でも挑戦できて、合格すれば受験資格を得られるが、難易度が高い
- 法科大学院は修了または修了見込みで受験資格を得られるが、高額な学費が必要
- 予備試験は短期で合格できれば早く受験資格が得られるため、挑戦する人が多い
予備試験は非常に難易度の高い試験ですが、「スタディング 司法試験・予備試験講座」は短期合格を目指す学習ツールとして、独学合格を強力にサポートしています。
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