司法試験とは

受験資格、実施時期、受験料、合格率(難易度)
司法試験対策の第一歩は試験制度の仕組みを理解すること。受験資格、実施時期、受験料、合格率(難易度)等、司法試験を初めて調べる方が知っておくべき情報をまとめました。

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司法試験とは

司法試験とは、法曹三者である裁判官、検察官又は弁護士となろうとする者に必要な学識及びその応用能力を有するかどうかを判定することを目的とする国家試験です。(司法試験法第1条)。法科大学院修了者又は司法試験予備試験の合格者を対象に、毎年1回、7月中旬に中一日の休みを挟んだ4日間で実施されます。試験の出題内容や難易度、合格水準は極めて高く、法律系資格試験のまさに最高峰です。

司法試験の受験資格、実施時期、受験料、合格率(難易度)目次


司法試験の受験資格Q&A

知りたいことに端的にズバリ回答!

司法試験の受験資格は?誰でも受験できるの?
司法試験の受験資格が与えられるのは、次の二者に限られます。
1.法科大学院を修了した者(2023年・令和5年から法科大学院修了見込み者は在学中に受験可能)
2.司法試験予備試験に合格した者

なお、司法試験予備試験には受験資格に制限はありません。

ちなみに、法科大学院修了と予備試験合格の2つの資格を同時に取得される方もいます。

なぜ、法科大学院生なのに予備試験を受験するかというと、司法試験と予備試験は、出題形式で異なるところはありますが、試される知識や思考力、分析力、論述力においてかなりの部分が共通しており、司法試験の模擬試験代わりに受験しておくと経験値がつめるというメリットがあるからです。

また、在学中に予備試験にも合格しておくと、自身の能力の高さをアピールしやすくなるからです。予備試験の合格率が約4%、司法試験の合格率が40%で、合格率の逆転現象が起こっているためです。実際、予備試験合格者は大手法律事務所や大企業の法務部への就職で有利になると言われております。

なお、法科大学院在学中に予備試験に合格された方の中には、法科大学院を退学せずに最後まで在学して修了し、司法試験を法科大学院修了資格で受験する方もいます。なぜなら、法科大学院入学時に自校出身者として司法試験を受験することが学費免除、奨学金返済免除の条件とされているからです。その理由ですが、毎年、各法科大学院別に司法試験合格者数や合格率が計算され、大学院への補助金等の算定の資料とされるので、予備試験に合格する優秀者層を途中退学させず、自校出身者として受験させる必要があるからです。

予備試験とは?予備試験の仕組みが知りたい方はこちら


司法試験の受験制限とは?何年間、何回まで受験できるの?
現在は、受験資格取得後の最初の四月一日から五年を経過するまでの期間までです。
法科大学院修了資格は修了した年から、
法科大学院修了見込(法科大学院在学中受験資格)はその資格で最初に司法試験を受けた年から、
予備試験合格資格は予備試験に合格した翌年から、
それぞれの5年間の受験期間がカウントされます(司法試験法第4条)。

司法試験は毎年に1回実施されていますので、5年間で5回まで受験することができます。

かつて2014年の司法試験までは、長らく「5年間で3回」までに受験を制限されていました。そのため、2014年以前では受験資格を取得してから毎年連続で3回受験し不合格を繰り返してしまうと、受験期間が2年残っていても受験資格が失われました。こうした試験制度の問題があったため、法科大学院出身者の方の4人に1人が、受験資格はあっても「今年は合格できる自信がないので受験を控える」という選択をとることになり、問題視されておりました。実際に、3回の不合格で受験資格を喪失した法科大学院修了生は相当おり、俗に野球になぞられて「三振者」と言われております。古い合格体験記や少し前の法科大学院出身の話に「三振の恐怖」という言葉が出てきたら、この制度変更の経緯を思い出してください。


受験可能期間の5年間で合格できなかったら、もう二度と司法試験を受けられないの?
もう一度、法科大学院に入りなおして修了する、予備試験に合格する、ことで新たな受験資格を取得すれば、再度5年間に渡って司法試験を受験することができるようになります。

実際に、法科大学院出身者の方で、受験制限内に司法試験に合格されなかった場合に、翌年から予備試験を受験されて合格し、予備試験合格者として司法試験に再挑戦し合格された方が一定数いらっしゃいます。

もちろん、法科大学院出身者の方が、もう一度法科大学院に入りなおすケースも相当数あります(ただし、自校修了者のみ、あるいは他の法科大学院修了者も含め、再入学を認めない法科大学院もあります)。


法科大学院・予備試験の2つのルートと司法試験の関係

司法試験の受験資格を得て、司法試験に合格し、法曹資格を得るまでを、図でご紹介します。

法曹資格を得るためには『法科大学院ルート』と『予備試験ルート』のいずれかで司法試験受験資格を得て、その後司法試験、司法修習の修了試験に合格する必要があります

法科大学院ルート

法科大学院ルートは、全国にある法科大学院34校(最大74校のうち、2022年2月25日現在までに学生募集停止を発表した大学院を除く)のうちいずれかに入学し、2年あるいは3年の課程を修了することで、受験資格を得るルートです。

入学金・学費等の金銭的負担、単位取得のための時間的負担がかかりますが、後述する予備試験の激しい競争を突破せずとも受験資格を得ることができます。

予備試験ルート

予備試験ルートは、令和5年(2023年)以降、毎年7月から翌年1月にかけて行われる「司法試験予備試験」を受験し、最終合格することで司法試験の受験資格を得るルートです。
最終学歴や年齢に関係なく誰でも受験可能ですが、最終合格率が例年3%前後で推移しており、非常に難関の試験とされています。

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司法試験の日程と合格発表の時期

ここ数年では、司法試験は毎年7月の第2週の水・木・土・日曜日を使って実施されています。
そして8月の上旬に、短答式試験(後述)の合格発表が行われます。短答式試験の不合格者を除外した上で論文式試験(後述)の採点がされ、
11月中旬に最終的な合格者の発表がされます。

試験日程

参考に令和5年(2023年)の試験日程は下記となります。

例年、ほぼこの時期の水曜から始まり真ん中の金曜の試験休みを挟んで日曜にかけて計4日間・19時間55分で行われます。

日程 試験科目
第1日目 7/12(水) 論文式試験 選択科目・計2問
論文式試験 公法系 第1問・第2問
第2日目 7/13(木) 論文式試験 民事系 第1問・第2問・第3問
―――― 7/14(金) ―――――――――――
第3日目 715(土) 論文式試験 刑事系 第1問・第2問
第4日目 7/16(日) 短答式試験 民法・憲法・刑法



司法試験の受験料は?

司法試験の受験料は28,000円です。

ちなみに予備試験の受験料は17,500円です。


司法試験に合格した後は?

司法試験に最終的に合格した者は司法修習生として採用され、11月から1年間の司法修習を受けることになります(裁判所法66条・67条)
合格したその年に行かなければならないと決まっているわけではなく、修習を受けることを遅らせることはできます。
司法修習生がその1年後の「二回試験」という試験に合格すれば、晴れて法律家として働けることになります。


司法試験はどんなことが問われるの?

出題形式

司法試験は短答式と論文式の2つの形式があります。

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短答式試験とは?

短答式試験はマークシート形式で行われます。ここでは「法曹三者」に必要な法律の専門知識や法的論理に基づいて未知の事象を推測する力などが問われています。

[例題] 平成28年度 司法試験 短答式試験
[憲法]
〔第1問〕(配点:3)
私人間における人権保障に関する次のアからウまでの各記述について,判例の趣旨に照らして,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。(解答欄は,アからウの順に[No.1]から[No.3])

ア.企業者は,雇用の自由を有するから,労働者の思想,信条を理由として雇入れを拒んでも当然に違法ということはできないが,労働者の採否決定に当たり,その思想,信条を調査し,労働者に関連事項の申告を求めることまでは許されない。[No.1]

イ.大学は,その設置目的を達成するため,必要な事項を定めて学生を規律する権能を有するから,私立大学が,その伝統,校風や教育方針に鑑み,学内外における学生の政治的活動につき,かなり広範な規律を及ぼしても,直ちに不合理ということはできない。[No.2]

ウ.長期間にわたり形成された地方の慣習に根ざした権利である入会権については,その慣習が存続しているときは最大限尊重すべきであるから,権利者の資格を原則として男子孫に限る旨の特定の地域団体における慣習も,直ちに公序良俗に反するとはいえない。[No.3]


論述式試験とは?

論述式は全て筆記形式で行われ、ここでは専門的な学識だけでなく、法的な分析や構成ができるかどうかなどの論述の観点も評価され、この2つの形式によって「法曹三者」にふさわしいかどうかの判断がくだされます。

論述式試験では、問題文だけで数ページ以上に渡りますので、こちらでは割愛しますが、法務省のホームページでは過去問が無料で閲覧できますので、ご覧下さい。

法務省ホームページ掲載:令和2年司法試験問題 http://www.moj.go.jp/jinji/shihoushiken/jinji08_00016.html
  • 旧司法試験や現在行われている予備試験とは異なり、今の司法試験には口述試験がありません。

司法試験の出題範囲

短答式試験の出題範囲

憲法・民法・刑法の3科目です。法学部の授業科目のように「刑法総論」「民法・契約法」という分節がされているわけではなく、刑法なら刑法の、民法なら民法の全範囲から出題されます。

論文式試験の出題範囲

公法系(憲法・行政法)、民事系(民法・商法・民事訴訟法)、刑事系(刑法・刑事訴訟法)に、各自で選んだ選択科目(倒産法・租税法・経済法・知的財産法・労働法・環境法・国際公法・国際私法の8科目の中から1つ)を加えた合計8科目です。

各法律の全範囲の中から出題される点は短答式試験と同じです。

司法試験の配点・試験時間

短答式試験の配点

科目 配点 試験時間
憲法 50点満点 50分
民法 75点満点 75分
刑法 50点満点 50分
3科目合計 175点満点 2時間55分

短答式試験の突破には、2つのハードルを越える必要があります。

  • 各科目とも、満点の4割以上を得点すること(最低ライン:憲法20点以上、民法30点以上、刑法20点以上)
  • 3科目の合計で合格最低点以上を得点すること(2022年は96点で満点の54.86%、2021年は99点で満点の56.6%、2020年は93点で満点の53.1%、2018年及び2017年は108点で満点の61.7%)

論文式試験の配点

必須科目は、受験生全員が同じ科目の試験を受けます。

必須科目は、公法系(憲法・行政法)、民事系(民法・商法・民事訴訟法)、刑事系(刑法・刑事訴訟法)で、それぞれ1問100点満点で試験時間は各2時間です。必須科目は科目の間に休憩時間が入ります。

選択科目は2問出題され合計100点、試験時間は3時間で2問の答案を一気に作成することになっています。

科目 配点 試験時間
公法系第1問(例年、憲法) 100点 2時間
公法系第2問(例年、行政法) 100点 2時間
民事系第1問(例年、民法) 100点 2時間
民事系第2問(例年、商法) 100点 2時間
民事系第3問(例年、民事訴訟法) 100点 2時間
刑事系第1問(例年、刑法) 100点 2時間
刑事系第2問(例年、刑事訴訟法) 100点 2時間
選択科目2問 計100点 3時間
8科目合計 800点 17時間

司法試験の合否判定・合格点・合格者数・合格率

司法試験の合否判定は以下の手順で行われます。

1.短答式試験ですべての科目で最低ライン(満点の40%以上)をクリアしていること

2.短答式試験3科目合計得点でその年の合格最低点をクリアしていること

3.短答式試験合格者(例年発表は8月上旬)のみ論文式試験の答案を採点する

※旧司法試験や予備試験とは異なり、今の司法試験では全員が論文式試験を受験し答案を作成しますが、採点されるのは短答式試験合格者のみとなります。

4.論文式試験ですべての科目の最低ライン(満点の25%点)をクリアしていること

※民事系:300点満点→最低ライン75点、公法系・刑事系:200点満点→最低ライン50点、選択科目:100点満点→最低ライン25点

なお、今の司法試験には、旧司法試験や予備試験のように論文式試験自体の合格点はありません。

5.以下の式で算出した総合得点により、その年の総合合格最低点をクリアしていること

※受験生の総合点は、①短答式試験と②論文式試験の比重を1:8とし,以下の算式で計算します。

※総合点 = 短答式試験の得点 + ( 論文式試験の得点 ×1400/800 )

司法試験の合格点は毎年異なります。

司法試験は絶対評価でなく相対評価の試験であるため、最低ラインを除き合格最低点は例年変動します。従って、○○点を取れれば合格する、という試験ではなく、受験者の中で相対的に高い点数を取らなければなりません。

司法試験の合格者数と合格率

令和4年の合格者数は1,403人で、対受験者数での合格率は45.50%となり、ひきつづき40%の大台に乗りました。

これは2015年6月30日に政府の法曹養成制度改革推進会議が決定した「年間1,500人程度以上」という方針に沿うものです。

合格率ではなく、合格者数を重視する姿勢を明確に打ち出したと言えます。

司法試験合格者・合格率の推移

全体
法科大学院修了+予備合格者
予備合格者のみ
合格者数 合格率 合格者数 合格率
2006年 1,009人 48.25% - -
2007年 1,851人 40.18% - -
2008年 2,065人 32.98% - -
2009年 2,043人 27.64% - -
2010年 2,074人 25.41% - -
2011年 2,063人 23.54% - -
2012年 2,102人 25.06% 58人 68.24%
2013年 2,049人 26.77% 120人 71.86%
2014年 1,810人 22.58% 163人 66.80%
2015年 1,850人 23.08% 186人 61.79%
2016年 1,583人 22.95% 235人 61.52%
2017年 1,543人 25.86% 290人 72.50%
2018年 1,525人 29.11% 336人 77.60%
2019年 1,502人 33.63% 315人 81.82%
2020年 1,450人 39.16% 378人 89.36%
2021年 1,421人 41.50% 374人 93.50%
2022年 1,403人 45.52% 395人 97.53%


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