弁護士の年収はいくら?平均・中央値を最新データで解説|勤務・独立・年代別の違いも

お金の上に咲く苗

弁護士の収入は、客観的なデータから見ればたしかに収入は減っているのは事実です。

しかし、近年は弁護士の新しい業務領域の開拓も進んでおり、やりがいを見出す若手弁護士も増えてきています。

また、検察官・裁判官は公務員であるため基本的に収入減はありませんが、公務員の給与体系に準ずるため、任検・任官して数年間の給与は、一般と同程度と言えるでしょう。

この記事では、司法試験合格後の収入について解説します。

この記事の結論

弁護士の年収(所得)は、中央値で約800万円、平均で約1,000万円です(日本弁護士連合会「弁護士白書2023年版」)。事務所からの収入(売上)ベースでは、中央値で約1,500万円、平均で約2,000万円ですが、経費を差し引いた所得では上記の水準になります。

▼弁護士の収入・所得(弁護士白書2023年版)
収入(売上):中央値1,500万円/平均2,083万円
所得(経費控除後):中央値800万円/平均1,022万円
※回答数 収入1,954人・所得1,839人

年収は経験年数や働き方によって大きく変わります。経験5年未満の所得は中央値300万円ほどですが、経験15〜20年では中央値1,100万円前後まで上がります。「弁護士=高収入」というイメージと「年収が下がっている」という話、その両方が部分的に正しいというのが実態です。

弁護士の平均年収、本当に下がっているの?

日本弁護士連合会は、弁護士に関する基本的情報や活動状況に関する統計などをまとめた「弁護士白書」を発行しています。

弁護士白書(2023年版)によると、弁護士の所得の中央値は、2014年の600万円から2023年の800万円へと回復傾向にあります。

長期的には2008年(所得の中央値1,100万円)から下がっていますが、近年は下げ止まり〜やや上昇に転じています。

▼弁護士の所得の経年推移(弁護士白書2023年版)

年中央値平均値
2008年1,100万円1,667万円
2010年959万円1,471万円
2014年600万円907万円
2018年650万円959万円
2020年700万円1,119万円
2023年800万円1,022万円

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弁護士の年収はなぜ減ってしまった?

背景にあるのは司法制度改革

グローバリゼーションにより日本がアメリカのような国際訴訟社会になった場合、日本の従来の司法制度ではこれに対応できないのではないかという懸念から、

わが国は裁判の迅速化、法律の簡易化、法律専門家の増加などの方策を進めました。こうした一連の動きが司法制度改革です。

制度変更で合格者増加による競争加速

しかし現実には、日本国内での訴訟数が増加したわけでもなく、法律専門家の国内需要は増加しなかったため、増えてしまった法律専門家、特に弁護士によるパイの奪い合いと言う現象が生じました。

法律事務所の雇用が狭き門となり、代表弁護士から給料を支払われる「イソ弁」ではなく事務所の机だけを間借りする「ノキ弁」が増加したことは、こうしたパイの奪い合いが激しいことを象徴しています。

人材の新陳代謝が悪い弁護士業界の性質

弁護士は自営業であり定年がないことから、老齢になっても依然現役で働くことができます。

法律家としての大きな仕事はこうしたベテラン弁護士に集中し、増えてしまった若手弁護士にはなかなか回ってこないという現象も生じています。

こうした現象も、弁護士全体の平均収入に影響していると考えられます。

悲観してはいけない!従業員規模が少ない方が、比較的年収が高いという統計も

*1厚生労働省「賃金構造基本統計調査」平成17年度から平成28年度までの弁護士の欄より抜粋し、筆者作成

この表を見ていただくとわかる通り、従業員規模が10名から99名までの事業所では、従業員規模の大きい事業所の平均と比べて、年収が高いことがわかります。

回答者の平均年収や勤続年数が異なるため、一概に言えるわけではありませんが、大きな事務所であればあるほど、それだけの従業員を養う必要があり、

事務員やパラリーガルなどにかかる人件費、地代家賃、社内システム・設備への投資、広告費等の販促費が掛かることもあり、収益性を圧迫することも考えられます。

独立弁護士と勤務弁護士、年収はどっちが高い?働き方別の違い

弁護士の年収を考えるうえで欠かせないのが、「独立開業しているか」「事務所に雇われている勤務弁護士か」という働き方の違いです。

勤務弁護士(アソシエイト)は、事務所から給与を受け取る働き方です。

大手・準大手の法律事務所では初年度から年収1,000万円を超えるケースもありますが、一般的な中小事務所では1年目で500万〜800万円程度が相場とされています。

収入は安定しますが、上限は事務所の給与体系に左右されます。

一方の独立弁護士(開業弁護士)は、自身が事務所の経営者となり、売上から経費を差し引いた分が所得になります。

顧客基盤と専門性を確立できれば所得2,000万円以上も可能ですが、軌道に乗るまでの数年間は収入が不安定になりやすく、事務所運営の経費や経営責任も自分で負います。

日弁連「弁護士白書2023年版」の経験年数別データを見ると、その差がよくわかります。

▼経験年数別の所得(弁護士白書2023年版・中央値/平均値)

経験年数中央値平均値
5年未満300万円351万円
5〜10年650万円685万円
10〜15年860万円989万円
15〜20年1,100万円1,252万円
20〜25年1,215万円1,692万円

まとめると、「安定とスタートダッシュの勤務弁護士」「上限のない独立弁護士」という構図です。どちらの道でも、早期かつ上位での司法試験合格が好条件のスタートにつながる点は共通しています。

職域ごとに弁護士の仕事のやりがいや報酬は異なる

ここまでは客観的なデータからわかる弁護士の年収についてお伝えしました。

一方で、弁護士が得られる報酬は、果たして収入だけでしょうか?弁護士を目指す動機は人それぞれ異なると思いますが、その仕事に魅力を感じてというケースも少なくないのでしょう。

“基本的人権を擁護”し、”社会正義を実現”することを使命とする(弁護士法1条1項)弁護士のやりがいはどのようなものがあるのでしょうか?弁護士の雇用形態の違いから見ていきましょう。

街弁(マチベン)

街弁とは、一般民事事件(離婚、個人の金銭の貸し借り)や刑事事件など、個人を対象とした法律問題を取り扱う弁護士の総称です。

その職域は非常に幅広く、職域の広さから、働きながら自分のスキルを多方面に伸ばしていくことができることは大きな魅力です。

大手ローファーム

企業法務を中心とした業務に従事することになります。初年度からかなりの高収入を得られる法律事務所もありますが、非常な激務であるともいわれています。

高収入であることから近年では人気が高まっていますが、仕事の幅の広さでいうと、どうしても街弁に軍配が上がることになります。

インハウスローヤー

法曹資格を持ったまま、企業で会社員として働く方も近年増えています。企業によっては資格手当がありますが、業務内容については他の法務部の社員と同じという方もいるようです。

会社員として、様々な部門と共同しながら、メンバーの一員として企業が実現したい社会を築くことへの喜びは、その事業の内部にいる人だからこそ味わえることでしょう。

ここまで弁護士の年収を見てきましたが、同じ法曹三者である検察官・裁判官の年収はどうなっているのでしょうか。これらは公務員のため、弁護士とはまったく異なる仕組みで決まります。

検察官の年収は?

検察官の年収はこう決まる

検察官の給与は「検察官の俸給等に関する法律」で定められています。検事の俸給は1号から20号までに分かれており、最も低い20号の俸給月額は276,300円です(2025年4月1日以降の額)。

実際の支給額には、これに地域手当や期末・勤勉手当(いわゆるボーナス)などが加わります。

【参考】検察官の俸給等に関する法律 別表(e-Gov)(https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=323AC0000000076)

検察官の階級と一般的な昇格スケジュール

検察官は下から順に、副検事、検事、検事長、次官検事、検事総長という序列になっています。

司法試験に合格し司法修習を終えた方が検察官として任検すると、通常は検事(20号)からスタートします。

そこからの出世速度は人により大きく異なり、業務実績はもちろんですが、司法修習での成績や、年齢なども考慮されるようです。

区分俸給月額(円)
検事総長1,528,000
次長検事1,250,000
東京高等検察庁検事長1,358,000
その他の検事長1,250,000
検事(1号)1,224,000
検事(20号)276,300
副検事(1号)604,000
副検事(17号)257,800
【参考】検察官の俸給等に関する法律 別表(2025年4月1日以降の額)
(https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=323AC0000000076)

裁判官の年収は?

裁判官の年収はこう決まる

裁判官の給与は「裁判官の報酬等に関する法律」で定められています。任官後はまず判事補となり、判事補の報酬は1号から12号までに分かれています。最も低い12号の報酬月額は276,300円で、検事20号と同じ額です(2025年4月1日以降の額)。これに地域手当や期末・勤勉手当などが加わる点も、検察官と同じです。
出典:裁判官の報酬等に関する法律 別表(e-Gov)https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=323AC0000000075

裁判官の階級と一般的な昇格スケジュール

裁判官に任官されると、まずは判事補としてキャリアをスタートさせます。判事補として10年以上勤め、任命を受ければ判事となります。その後は異動により、全国各地の地裁・簡裁の判事となります。

高裁長官、最高裁判事になれるのはほんの一握りのエリートだけといわれています。全裁判官の頂点に位置する最高裁長官は、ただ1人です。

区分報酬月額(円)
最高裁判所長官2,095,000
最高裁判所判事1,528,000
東京高等裁判所長官1,466,000
その他の高等裁判所長官1,358,000
判事(1号)1,224,000
判事(8号)546,000
判事補(1号)459,000
判事補(12号)276,300
簡易裁判所判事(1号)852,000
簡易裁判所判事(17号)276,300
【参考】出典:裁判官の報酬等に関する法律 別表(2025年4月1日以降の額)
(https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=323AC0000000075)

まとめ 司法試験に合格しただけで高収入を見込めるわけではない!

ここまで、法曹三者の年収とやりがいについて確認してきました。

給与体系が法律で定められた公務員である裁判官・検察官は、司法試験や司法修習での成績によって採否を左右されます。

また、弁護士の中でも高収入の職種とされる企業法務系も、やはり採用段階で司法試験や司法修習での成績を考慮されます。

こうした高収入を望むなら、早期かつ上位での司法試験合格が必須といえるでしょう。

なお、ここで紹介した弁護士の年収は「ランダムに選ばれた弁護士による自己申告」を基にした平均年収です。

ここ数年ですべての弁護士の年収が減少しているというワケではなく、年収を増加させているという弁護士もいます。以前に比べ、年収が減少傾向とはいえ、実力や営業的努力次第で「いわゆる高収入」を実現させることも不可能になったというワケではありません。

司法試験は、合格するだけで高収入が約束されることをイメージされがちですが、合格しただけで高い収入を得られるという時代ではなくなりました(もちろん以前から努力が必要だったのですが)。

高い収入を得るためには、受験時代だけでなく、合格後にも努力も怠らないことが大切といえるのではないでしょうか。

最新の弁護士白書(2023年版)では所得の中央値が前回調査より上昇しており、長く続いた下落傾向には歯止めがかかりつつあります。

参考資料

厚生労働省 賃金構造基本統計調査(厚生労働省)
検察官の俸給等に関する法律(e-Gov)
裁判官の報酬等に関する法律(e-Gov)