5分でわかる司法試験論文式試験科目の分類と特徴

論文式試験の出題科目と特徴について
論文式試験の科目は公法系、民事系、刑事系、選択科目があり、それぞれに特徴があります。あらかじめ出題形式や範囲を知っておくことで、対策が立てやすくなります。

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司法試験論文式試験の科目の分類と、おおまかな特徴について教えてください。

論文式試験の科目は公法系、民事系、刑事系、選択科目があり、それぞれに特徴があります。あらかじめ出題形式や範囲を知っておくことで、対策が立てやすくなります。

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司法試験論文式試験の概要

司法試験論文式試験には、大きく分けて4つの分類があります。
① 選択科目(労働法・倒産法・知的財産法・経済法・租税法・環境法・国際公法・国際私法から願書提出時に選んだ任意の1科目)
② 公法系(憲法、行政法の2科目)
③ 民事系(民法、商法、民事訴訟法の3科目)
④ 刑事系(刑法、刑事訴訟法の2科目)

すべての科目で六法が貸与され、2時間(選択科目のみ3時間)の制限時間内に最大で8枚の答案を書き上げます(答案用紙の追加配布はされません)。


<試験日程(参考:令和4年度試験)>

※4枚組の答案用紙を2通割り当てられ、それぞれを第1問、第2問に使用します。

※※2日目との間に「中日(なかび)」として1日、試験が実施されない日があります。


それぞれの科目の分類と特徴

4つの試験科目にはそれぞれ特徴があり、それをおさえておくことで対策が立てやすくなります。特に近年の出題傾向を踏まえて勉強の指針を立てることは、働きながら合格を目指す受験生にとって非常に有益です。
科目ごとの過去の出題内容や出題パターンについては、「司法試験過去問の出題パターン 論文編」をご参照ください。

選択科目

選択科目は1日目の最初に実施されるトップバッター的な科目です。試験時間も3時間と他の科目より長く、選択科目の出来がそれ以降の試験のテンションを左右することもあります。
また、選択科目は答案用紙の使い方が少々特殊で、4枚組の答案用紙を2通配布されます。そしてそれぞれを第1問、第2問に使用するため、第1問で5枚、第2問で3枚書くなどといった記述量の配分を行うことはできません。
試験時間は3時間ですが、意外に時間的余裕はありません。試験が始まったら第1問、第2問の両方を「ナナメ読み」して問題文のボリュームを確認し、それぞれに割く時間をあらかじめ決めてから、問題文を本格的に読み込むようにしましょう。

公法系

 公法系科目は選択科目と同じ日に、お昼休みを挟んで実施されます。そのため選択科目の出来次第でテンションが上がっていたり下がっていたりして、実際の実力どおりの答案が書きにくい科目でもあります。
 公法系の特徴は、問題文中に「誘導」(受験生に一定の内容を書いてもらうために試験委員があえて書いているヒント)が存在する点です。憲法の誘導はややわかりにくいですが、当事者の依頼を受けてその利益を実現する弁護士の立場で起案することが求められているので、問題文中の当事者の主張に注目することで、試験委員が書いてほしい事柄が浮かび上がります。たとえば当事者の主張として「法令自体が違憲であると考えている」と書いてあれば法令違憲を書くことになりますし、「○○と△△を区別したことに問題があると考えている」との記載があれば平等原則違反の主張をすることが求められていると読み解くことができます。行政法については、例年「当事者から相談を受けた法律事務所の会議録」のような形で詳細な参考資料が存在し、その中の指示に従う形で答案の骨格を組み立てることになります。「○○については綿密に検討してください」などのように特に厚く書くことを示唆した誘導がある一方、「△△については今回は検討の対象から外してください」などのように答案に書かないことを指示した誘導もあります。特に後者を書いてしまうとまったく点数がつかないばかりか、時間と答案枚数のムダにもなるので、細心の注意を払う必要があります。


民事系

 民事系は2日目を丸一日使って実施されます。長丁場であった1日目に続く長丁場であるため、特に後半は疲労が溜まっていることが多く、受験生にとってはここが正念場といえます。
 民事系全般として、新司法試験制度移行当初には手続法(民事訴訟法)と実体法(民法・商法)を組み合わせた複合問題である「大大問」として出題されていたものの(平成18~22年度)、近年では民法・商法・民事訴訟法としてそれぞれ分離独立した出題がされています。しかしそのことは、たとえば民事訴訟法の問題を解く際に民法の知識がまったく不要であることを意味しません。むしろ実体法では手続法の、手続法では実体法の、それぞれ正確な理解をしていることが前提となっており、それを上手く答案上に表現することで、高得点に結びつきます。
民事系の特徴は何といっても事案の複雑さにあります。訴訟が複数提起されていることもあれば、当事者が多数出てくることもあり、問題文を読みながら関係図を自分で書いて頭の中を整理しなければ、正確に事案を把握することは困難です。
その一方で、民法・商法・民訴法いずれも設問ごとの配点が明示されているため、答案の記述量のバランスを保ちやすいという受験生にとってはありがたい側面もあります。たとえば、配点割合が【設問1:設問2:設問3=2:5:3】で、答案用紙6枚まで書ける受験生であれば、【設問1:設問2:設問3=1.2枚:3枚:1.8枚】のようにあらかじめ記述量を決めておくことで、バランスのよい答案に仕上げやすくなるのです。
なお、商法について、平成29年度まで商法総則・商行為法や手形・小切手法からの出題はありません。しかし、予備試験では平成24年度に商法・手形法からの出題がされました。したがって、この先の司法試験で出題がないとは言い切れません。

刑事系

 刑事系は中日(なかび)を挟んで実施されるため、受験生はある程度リフレッシュした状態で刑事系の試験を迎えることになります。実施科目数も2科目と1日目・2日目に比べ少ないため、体力的負担は少ないです。
刑事系共通の特徴として、配点が明示されていないという点があります。配点が明示されないということは、2時間という時間制限の中で各論点についてどのようなバランスで論じたかについても評価の対象になるということを意味します。また、問われている論点自体は基本的なものが多く、判例などにより判断基準(規範)がある程度確立しています。そのため受験生の多くが論証を正確に書き出してくる分、あてはめ部分の説得力で点数に差がつくことになります。初学者としては判例学習を重点的に行って論証や規範を正確に暗記し、あてはめを書く時間をなるべく多く確保できるようになることが重要です。公法系・民事系に比べ、あてはめの記述量を多くしなければ、他の受験生との間で「書き負ける」(書いたあてはめの記述量で点数に差がついてしまう)ことになりかねません。具体的には答案用紙6枚以上、7枚目あるいは8枚目まで書くことが望ましいです。

とはいえ、いくら重要論点でも、当該事案の中で当たり前に成立させられるものについて大量に記述しても、得られる点数は少ないです。刑事系は他の科目に比べて検討すべき論点が多くなるので、当該事案での重要度ごとにバランスよく論じる必要があります。

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