司法試験過去問の出題パターン 短答編

短答式試験の出題傾向と対策について

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司法試験の短答式試験の出題傾向と、対策や勉強方法について教えてください。

短答式試験は憲民刑3科目になりましたが、科目ごとに出題形式や内容が異なります。まずは過去問を解いてみて本番の感覚をつかみ、やみくもな勉強をしないようにしましょう。

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合格のために短答式はどのくらい得点が必要?

現行制度のもとでの短答式試験は、民法75点、憲法50点、刑法50点の合計175点が配点されています。問題数はおおむね民法36問(令和3年度は37問)、憲法20問、刑法20問で、1問あたり2~3点が配点されています。

 司法試験では1科目でも40%未満の点数を取ってしまうと、他の科目がどれだけ高得点でも、その時点で短答式試験不合格になってしまいます。民法なら30点、憲法と刑法は20点です。また、その条件を満たした場合でも、合計点が一定の得点に達しなければ短答式試験不合格になります。短答式試験不合格の場合、論文式試験の採点が行われません。
 この「一定の得点」は受験生の平均点を考慮して算出され、毎年6月上旬に発表されます。この「足切りライン」は受験生の平均点によって上下しますが、全体の7割を得点することができれば、おおむね足切りの心配はないといえるでしょう。もっとも、最終合格者の短答平均点はさらに高いものになるので、最終合格のためには短答式試験で8割の得点を目指すべきといえます。

まとめ
憲民刑のうち1科目でも得点が40%を下回ると足切り。
①を満たす場合でも、憲民刑の合計点が一定の得点に達しないと足切り。

令和4年

令和3年

令和2年

民法平均点
(75点満点)

47.3点

48.9点

43.8点

憲法平均点
(50点満点)

31.6点

34.2点

35.6点

刑法平均点
(50点満点)

36.8点

34.3点

29.6点

受験者合計平均
(175点満点)

115.7点

117.3点

109.1点

短答合格者合計平均
(175点満点)

123.3点

126.4点

118.1点

足切りライン

96点

99点

93点


科目別・出題形式の分析

総 論

どの科目も六法の貸与はなく、マークシート方式で回答します。そのため解答欄がずれてしまうと、せっかく正しい答えを導いたのに点数がまったく取れないという事態も起こりうるので、マークミスには細心の注意が必要です。


民 法

36~37問を75分で解くことになります。1問あたりにかけられる平均時間は2.03~2.08分となり、後述する憲法や刑法よりも時間はシビアです。

その分、出題形式には「正しいものを選べ」などシンプルなものが多く、形式に慣れるのは比較的容易です。ただし、「正しいものを選べ」「誤っているものを選べ」「正しいものの組合せを選べ」「誤っているものの組合せを選べ」など、問題文中の指示を取り違えてしまうと、せっかく肢の正誤は合っているのに得点に結びつかないという事態が生じます。出題形式に慣れるだけではなく、問題文をよく読むことを忘れないようにしましょう。

<例題>担保物権に関する次のアからオまでの各記述のうち、誤っているものを組み合わせたものは、後記1から5までのうちどれか。

ア.
留置権は 担保物権である。
イ.質権は担保物権ではない。
ウ.地役権は担保物権である。
エ.抵当権は担保物権である。
オ.永小作権は担保物権ではない。

1. アウ 2.アエ 3.イウ 4.イオ 5.エオ

(正解:3)


憲 法

20問を50分で解くことになります。1問あたりにかけられる平均時間は2.5分です。もっとも、憲法は1問あたりの肢数が3つであることが多く、基本的に肢数が5つある刑法よりも体感的には時間に余裕が出てくると思います。

出題形式としては、3つの肢の正誤を選ばせて、「正しいものには○、誤っているものには×を付した場合の組合せ」を選ばせる問題と、「正しいものには1、誤っているものには2」をマークさせる問題がメインです。後者の場合は部分点が配点されているものもありますが、やはり全ての肢を正答するに越したことはありません。

<例題>憲法上の人権に関する次のアからウまでの各記述について、判例の立場に従って正しいものには○、誤っているものには×を付した場合の組合せを、後記1から8までの中から選びなさい。

ア. 学問の自由は憲法23条で保障される。
イ.意に反する苦役に服せられない自由は憲法上保障されていない。
ウ.髪型を決める自由は憲法21条の表現の自由として保障される。

1.ア○イ○ウ○ 2.ア○イ○ウ× 3.ア○イ×ウ○
4.ア○イ×ウ× 5.ア×イ○ウ○ 6.ア×イ○ウ×
7.ア×イ×ウ○ 8.ア×イ×ウ×

(正解:4)


刑 法

20問を50分で解くことになります。1問あたりにかけられる平均時間は憲法と同じ2.5分ですが、刑法は問題文がやや長く、1問あたりの肢数が5本(4本のこともある)であるため、苦手な人にとってはややシビアなものになります。

出題形式は憲民刑の中でもっともバラエティに富んでいます。下記の例題のように事案を読んで回答するものから、民法同様の「正しいものの組合せ」「誤っているもの」などを選ばせる正誤問題、さらには学生と教師の会話形式での穴埋め問題などがあります。

<例題>次の【事例】における甲および乙の罪責に関する後記アからオまでの各【記述】を判例の立場に従って検討し、正しいものには1を、誤っているものには2を選びなさい。

【事例】

 甲は帰宅途中に路上で倒れているAを発見した。Aは死んでいたのではなく単に意識を失っており、そのことに甲も気づいたが、甲はAが意識を回復しないうちに何か金品を盗もうと思い、Aの胸ポケットから財布(3万円が入っていた)を抜き取りその場を立ち去った。翌日、甲はAの財布の中に入っていたお金で何かおいしいものを食べようと思い、Aの財布をそのまま持っていって高級料理店Bでフルコース(25千円)を食べ、代金を払って店を出たところ、酒に酔ったCとすれ違い様に肩がぶつかった。Cが「痛いじゃないか」と怒鳴って甲の顔や胸に複数回殴りかかってきたため、甲は身の危険を感じ、たまたま持っていたバタフライナイフでCの肩を1回刺して重傷を負わせた(甲に殺意はなかった)。大変なことをしてしまったと後悔した甲は、たまたま通りかかった通行人の乙に対して「この人を頼む」とだけ言い、Aの財布から残りの5千円を何も言わずに渡してその場を立ち去った。乙がこの5千円をタクシー代金として使って重傷のCをタクシーに乗せて病院まで同乗し、病院で応急処置を受けたCは一命を取りとめた。

ア.意識のないAの胸ポケットから財布を抜き取った行為には、占有離脱物横領罪が成立する。
イ.自分のではなくAのお金でフルコースを食べた行為には、Bに対する詐欺罪が成立する。
ウ.Cをバタフライナイフで刺した行為について、Cが複数回殴りかかってきたのに対して1回しか反撃していない以上、正当防衛が成立し、過剰 防衛となることはない。
エ.Cに重傷を負わせた甲が通行人の乙に対して「この人を頼む」と言って立ち去った点につき、判例の立場に立てば中止犯は成立しない。
オ.甲から5千円を受け取った乙について、もともと甲がAの胸ポケットから抜き取った金銭である以上、乙に盗品等無償譲受罪が成立する。

(正解: ア:2 イ:2 ウ:2 エ:1 オ:2)


科目別・出題内容の分析

民 法

条文や判例から幅広く出題されます。特に条文は民法だけで1000条以上あることに加え、一般法人法や任意後見契約に関する法律などの特別法からの出題も過去にはあり、学習範囲は膨大です。一方で、論理問題(法律の知識というより、論理操作だけで解ける問題のこと)や学説に関する問題は少なめです。

判例の知識は論文式試験の勉強の中で頭に定着するものも存在しますが、条文の知識のほとんどは論文ではなかなか出題されず短答式でしか出題されない、いわゆる「短答プロパー」の知識です。したがって、他の科目より多い配点を占める民法では特に、短答式試験に焦点を据えた学習が必要になります。


憲 法

条文や判例を中心に出題されますが、民法と異なり条文は100条程度と少なく、特別法からの出題もほとんどありません。もっともその分、判例からの出題の比重が大きいです。しかも判例もただ漫然と判例の文言を頭の中に入れていたのでは太刀打ちできないような、「内在的な理解」を問う問題が多いです。そのため、憲法の短答学習の中心は、判例の読み込みによる内在的理解の獲得に充てられることになります。一方で条文学習については、制度や関係する学説の比較などを行うとよいでしょう。たとえば天皇の国事行為に関する4条に紐づけて、公的地位に基づく公的行為に関する二行為説や三行為説を整理して理解することで、条文問題と学説問題、両方の対策になります。


刑 法

民法が条文に比重を、憲法が判例に比重を、それぞれ置いているのに対し、刑法はその半々といったところです。判例知識の問題は、「条文解釈⇒規範⇒あてはめ」という事案の処理の流れに沿った学習をしていれば解けるような素直な問題が多く、論文式試験の学習との相乗効果がもっとも高く見込める科目といえるでしょう。もっとも、刑法は判例と有力学説を対比させて、それぞれどのような結論が導かれるかという「学説」問題も存在します。そのため、学習においては判例だけを唯一の正解として機械的に暗記するのではなく、有力学説が判例にどのような批判をしているか、判例の不都合性をどう解決しようとしているのかについても学習をすることで、さらに高得点を狙うことができます。


過去問の重要性を認識すること

出題形式がある程度パターン化していること、加えて重要な知識は形を変えて何度も出題されていることから、短答式試験は何よりも先に過去問を解くことで、その先の学習が楽になることがわかります。

もっとも司法試験の短答式試験は出題範囲がとにかく広いため、ただやみくもに過去問を解いていても、単一のバラバラな知識が身につくだけで未知の問題には対応できません。そこで出題範囲ごとに体系づけられた過去問集を使うことで、知識を体系づけて整理することができます。

「まだまだインプットに不安があるから過去問には手を出せないかな・・・」と思う方であれば、予備校の基礎講座や基本書を読み進めていくのと併行して、今自分が学んでいる範囲の過去問を解いていくという「インプット・アウトプット併行型」の学習をおすすめします。効率よく学習を進めて、高得点を目指しましょう。

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