書店で売っている六法の種類があまりに多く、どれを選べばよいか分かりません。司法試験の勉強におすすめの六法と、効果的な使い方について教えてください。 | |
市販の六法には様々な特徴があります。ここでご紹介する情報をもとに実際に書店等で条文を読み、引き比べてみて、あなたがもっとも使いやすいと思った六法を選びましょう。また、六法は常に最新年度版を持っておくことをおすすめします。 |
六法という名のとおり、6つの法律のことを指します。一般的には、日本の法律の中で特に重要とされている、「憲法」「民法」「刑法」「商法」「民事訴訟法」「刑事訴訟法」を指しています。
市販の六法にはこれらの法律に加えて、関連する法律(民法に関連する「借地借家法」など)や関連する政省令(商法に関連する「会社法計算規則」)など、一見するとこれら6つの法律とはまったく別物にも思える法律(行政不服審査法、独占禁止法など)もたくさん載っているため、非常に分厚く、最初のうちは目当ての条文を引くのも大変です。
なお、短答式試験の本番では、六法を参照することはできません。
また、選択科目は倒産法、租税法、経済法、知的財産法、労働法、環境法、国際公法、国際私法の中から選ぶことになります。
予備試験のみですが、民事実務基礎・刑事実務基礎から出題です。
このように、司法試験で実際に引かなければならない法令の種類は6つどころではありません。そのため、普段の学習からよく条文を引き、目当ての条文がすぐに見つけられるようにするトレーニングが欠かせません。
*1 司法試験の試験科目について(司法試験に関するQ&A)
*2 司法試験予備試験の科目について(司法試験予備試験に関するQ&A)
法律家になった後であればこの六法全書を引く機会も増えるので、そのときの楽しみにとっておきましょう。
『判例六法』の特徴は、条文のすぐ後ろに関連する判例が載っていることです。普段の学習の中で条文を引くと同時に判例の知識を確認することができ、学習効率が高いことから、司法試験受験生からの人気も高いです。ただし、判例が挟み込まれている分、条文と条文の間の間隔が開いてしまっているので、目当ての条文を引く際に時間がかかってしまうという短所もあります。
『判例六法Professional』は判例六法よりも多くの法令を収録したものです(判例六法が140件程度に対し、Professionalは400件程度)。あれば心強いですが、2分冊になっており、受験生が持ち運ぶのには適していません。
以前のポケット六法には「準用先の条文が条文番号のみで書かれていて、どんな規定が準用されるのかが実際に引いてみないと分からない」という弱点があったのですが、近年度の版ではデイリー六法同様に準用先の条文も書かれるようになり、改善されました。
ポケット六法と異なり、改正・新設条文に分かりやすい目印がないのが残念な点です。もっとも、デイリー六法もポケット六法も、改正前の条文も載せているので、どのような点が改正されたのか、比較しながら勉強することができる点は強みです。
司法試験では試験本番日に施行されている法令に基づいて出題されます。
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*3 司法試験の出題にかかる法令について(司法試験に関するQ&A)
そのため、普段の学習の段階から、法改正情報についてはある程度アンテナを張っておくことをおすすめします。たとえば、ポケット六法を使用している場合、メールサービス(「ポケ六通信」)に登録することで、刊行後の改正情報を配信してくれます。
ただし注意しなければならないのは、「公布」と「施行」は違うという点です。「公布」は成立した法律を公表して一般国民が知ることのできる状態に置くことです。官報に掲載して公布することが慣例となっています。「施行」とは実際に法律の効力を発生させることです。たとえば現在話題になっている改正民法ですが、既に「公布」はされているものの、「施行」は「公布の日から起算して3年を超えない範囲内において政令で定める日」とされており、改正の大きさからみて2018年の司法試験までには施行されないだろうと考えられています。
普段の学習から六法を引いていれば、引くスピードはどんどん速くなり、その分だけ試験本番で答案を書くのに割ける時間が増えるからです。
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