弁護士としての生き方は、独立事務所を立ち上げたり、法律事務所に勤務したりするだけではありません。組織団体に属して企業法務のスペシャリストとして勤務する「インハウスロイヤー」という働き方もあります。
企業内弁護士とも呼ばれるインハウスロイヤー。一般的に企業の法務部門に属し、M&A案件や知的財産権管理、外資系企業相手の契約書類の作成といった高度な法律知識を必要とする案件の処理を任されます。
同じく企業の法律事務をサポートする「顧問弁護士」と呼ばれる存在があります。顧問弁護士の多くは法律事務所に所属し、第三者的な立場から企業法務のアドバイスを担ったり、法的トラブルの解決に従事したりします。対してインハウスロイヤーは、完全に企業の一員として業務を任され、企業利益を第一に動きます。業務範囲も、問題が起きた際のトラブル処理にとどまらず、知財戦略の立案や契約書の作成まで、幅広い法律業務を担うのが特徴です。
インハウスロイヤーとして働く弁護士は年々増加傾向にあります。日本組織内弁護士協会(JILA)によると、会社員として働く弁護士は2017年6月時点で1,931名。統計がはじまった2001年は66名だったのが、右肩上がりに増加、ここ数年は毎年200名規模のペースで増えています。
企業内弁護士を雇うのは、主に大企業です。同協会のデータによると、インハウスロイヤーをもっとも抱えているのがヤフーで28名。以下、メガバンクや総合商社といった日本を代表する企業がランキングに名を連ねています。
<インハウスロイヤーの企業別人数ランキング(2017年6月)>
業種をみてみると、金融機関や総合商社、通信・製造系などが目立ちます。高度な法律事務が必要となるM&Aや企業再編などが重要な戦略案件が飛び込む企業ほど、組織内で法律のプロを抱えることにメリットがあるようです。
インハウスロイヤーとして働くメリットは、働いた分だけ報酬がもらえる安定性にあるでしょう。現在、国内の弁護士は飽和状態で、難関の司法試験に合格しても必ずしも法律事務所に就職が決まるとは限りません。競争も激しい世界だけに、そう簡単に安定した生活が送れるとはいえないのです。そんな状況を考えると、まずは企業に属して法律実務の経験を積み、収入を確保しながら着実に成長していくキャリア形成のほうが合理的といえるのでしょう。
インハウスロイヤーを欲しているのは大企業が多いだけに、そこで活躍の場が与えられるとさまざまな業界やポジションのビジネスパーソン、プロフェッショナルと顔を合わす危機会が持てて、人脈構築にも生かせます。「弁護士としてさまざまな法律実務の経験を積み、着実に収入をえながら顔と名前を広めていきたい」というプランを描くなら、インハウスロイヤーがおすすめです。
日本組織内弁護士協会が実施したアンケート調査によると、2016年におけるインハウスロイヤーの平均年収は1,143万円。1,000万円という大台は、法律事務所勤務の弁護士や独立して活動する法律家でもそう超えられるものではありません。希望の仕事をしながら、高収入も期待できる点にやりがいを覚える企業内弁護士もいるのではないでしょうか。
もちろん、初任給からいきなり高収入は望めないと思われますが、会社員である以上、安定性は保証されると思ってよいでしょう。どんなに理想を描いても、まずは仕事の現場に立たないことには弁護士としてのキャリアはスタートできません。高度な法律知識を持った人材の獲得に動く企業も少なくないだけに、司法修習を終えたばかりの弁護士の卵にもチャンスはあるといえます。
参考サイト:
http://jila.jp/material/questionnaire.html
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