現行の司法試験(新司法試験)は、法曹人口の拡大を目指し、平成18年(2006年)に始まりました。
当初は「平成22年(2010年)頃には3,000人の合格者を出す」ことを目標としていました。
【画像引用】日本弁護士連合会「弁護士白書 2022年版」>「第1編 弁護士等の実勢」>「1-2 法曹等に関する人口」>「2 司法試験合格者の状況」>「資料1-2-5 司法試験合格率の推移」
▼司法試験の出願者数・受験者数・合格者数・合格率
試験実施年 | 出願者数 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
令和5(2023) | 4,165人 | 3,928人 | 1,781人 | 45.3% |
令和4(2022) | 3,367人 | 3,082人 | 1,403人 | 45.5% |
令和3(2021) | 3,754人 | 3,424人 | 1,421人 | 41.5% |
令和2(2020) | 4,226人 | 3,703人 | 1,450人 | 39.2% |
令和元(2019) | 4,930人 | 4,466人 | 1,502人 | 33.6% |
平成30(2018) | 5,811人 | 5,238人 | 1,525人 | 29.1% |
平成29(2017) | 6,716人 | 5,967人 | 1,543人 | 25.9% |
平成28(2016) | 7,730人 | 6,899人 | 1,583人 | 22.9% |
平成27(2015) | 9,072人 | 8,016人 | 1,850人 | 23.1% |
平成26(2014) | 9,255人 | 8,015人 | 1,810人 | 22.6% |
平成25(2013) | 10,315人 | 7,653人 | 2,049人 | 26.8% |
平成24(2012) | 11,265人 | 8,387人 | 2,102人 | 25.1% |
平成23(2011) | 11,891人 | 8,765人 | 2,063人 | 23.5% |
平成22(2010) | 11,127人 | 8,163人 | 2,074人 | 25.4% |
平成21(2009) | 9,734人 | 7,392人 | 2,043人 | 27.6% |
平成20(2008) | 7,842人 | 6,261人 | 2,065人 | 33.0% |
平成19(2007) | 5,401人 | 4,607人 | 1,851人 | 40.2% |
平成18(2006) | 2,137人 | 2,091人 | 1,009人 | 48.3% |
【参考】法務省「司法試験の結果について」>各年の「総合評価」
制度開始から増加傾向にあった受験者数は、平成23年(2011年)の8,765人をピークに、減少に転じました。
近年の司法試験の受験者数は3,000〜4,000人程度で、10年ほど前のピーク時と比較して半分以下に。
一方で合格者数は、減少してはいるものの1,500人前後で安定しています。
これは平成27年(2015年)に、政府が司法試験の合格者数を「当面1,500程度」に下方修正した影響があります。
受験者数の減少に伴って合格率が上昇し、令和4年(2022年)は45.5%に達しました。
司法試験の受験者数が減少している理由の1つとして、法科大学院の減少が挙げられます。
司法試験を受験できるのは、法科大学院修了者か予備試験合格者です。
近年の予備試験の合格者数は450人程度でほぼ一定であり、法科大学院修了者数の減少がそのまま司法試験受験者数の減少に直結しています。
最も多い時で74あった法科大学院ですが、定員割れで募集停止が相次ぎ、令和5年度の入学者選抜実施校は34に。
多様なバックグラウンドを持つ法曹を輩出するために設けられた「法学未修コース」の志願者が激減した影響が大きく、令和4年度の未修コース入学者数はピーク時の6分の1です。
未修コース修了者の司法試験合格率が既習コース修了者と比べ低く、人気が低迷していると言われています。
前述のとおり、司法試験を受けられるのは法科大学院修了者か予備試験合格者です。
次は、予備試験の受験者数や、予備試験合格者の司法試験受験者数についても見ていきましょう。
予備試験の受験者数は増え続けています。令和5年(2023年)は1万3,372人で、スタート時と比較して2倍以上です。
▼予備試験の出願者数・受験者数・合格者数・合格率
試験実施年 | 出願者数 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
令和5(2023) | 16,704人 | 13,372人 | 479人 | 3.6% |
令和4(2022) | 16,145人 | 13,004人 | 472人 | 3.6% |
令和3(2021) | 14,317人 | 11,717人 | 467人 | 4.0% |
令和2(2020) | 15,318人 | 10,608人 | 442人 | 4.2% |
令和元(2019) | 14,494人 | 11,780人 | 476人 | 4.0% |
平成30(2018) | 13,746人 | 11,136人 | 433人 | 3.9% |
平成29(2017) | 13,178人 | 10,743人 | 444人 | 4.1% |
平成28(2016) | 12,767人 | 10,442人 | 405人 | 3.9% |
平成27(2015) | 12,543人 | 10,334人 | 394人 | 3.8% |
平成26(2014) | 12,622人 | 10,347人 | 356人 | 3.4% |
平成25(2013) | 11,255人 | 9,224人 | 351人 | 3.8% |
平成24(2012) | 9,118人 | 7,183人 | 219人 | 3.0% |
平成23(2011) | 8,971人 | 6,477人 | 116人 | 1.8% |
【参考】法務省「司法試験予備試験の結果について」>各年の「口述試験(最終結果)」>「参考情報」
法科大学院に通う場合、最も安い公立でも授業料が年間66万円かかりますが、予備試験に合格できれば費用を節約できます。
予備試験は、経済的負担が大きい法科大学院に進学できない人のための措置という位置付けでスタートしましたが、「法曹への近道」として人気が高まっています。
ただし、合格率3〜4%程度の非常に狭き門です。
予備試験の合格率は低い反面、予備試験合格者が司法試験を突破する確率は高く、受験者全体の合格率を大きく上回っています。
司法試験受験者数の減少と反比例するように上昇し、近年の合格率の平均は9割弱。令和4年(2022)は97.5%という極めて高い合格率となりました。
▼【予備試験合格者】司法試験の出願者数・受験者数・合格者数・合格率
試験実施年 | 出願者数 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
令和5(2023) | 358人 | 353人 | 327人 | 92.6% |
令和4(2022) | 410人 | 405人 | 395人 | 97.5% |
令和3(2021) | 412人 | 400人 | 374人 | 93.5% |
令和2(2020) | 435人 | 423人 | 378人 | 89.4% |
令和元(2019) | 393人 | 385人 | 315人 | 81.8% |
平成30(2018) | 442人 | 433人 | 336人 | 77.6% |
平成29(2017) | 408人 | 400人 | 290人 | 72.5% |
平成28(2016) | 395人 | 382人 | 235人 | 61.5% |
平成27(2015) | 307人 | 301人 | 186人 | 61.8% |
平成26(2014) | 251人 | 244人 | 163人 | 66.8% |
平成25(2013) | 184人 | 167人 | 120人 | 71.9% |
平成24(2012) | 95人 | 85人 | 58人 | 68.2% |
【参考】法務省「司法試験の結果について」>各年の「法科大学院等別合格者数等」
予備試験合格者の受験生が増えているのとは対照的に、法科大学院修了者の受験生は減少しています。
令和4年(2022年)の受験者数は、予備試験スタート時の約3分の1以下でした。
合格率は上昇傾向であるものの、予備試験合格者に大きく引き離されています。
▼【法科大学院修了者】司法試験の出願者数・受験者数・合格者数・合格率
試験実施年 | 出願者数 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
令和5(2023) | 3,807人 | 3,575人 | 1,454人 | 40.7% |
令和4(2022) | 2,957人 | 2,677人 | 1,008人 | 37.7% |
令和3(2021) | 3,342人 | 3,024人 | 1,047人 | 34.6% |
令和2(2020) | 3,791人 | 3,280人 | 1,072人 | 32.7% |
令和元(2019) | 4,537人 | 4,081人 | 1,187人 | 29.1% |
平成30(2018) | 5,369人 | 4,805人 | 1,189人 | 24.7% |
平成29(2017) | 6,308人 | 5,567人 | 1,253人 | 22.5% |
平成28(2016) | 7,335人 | 6,517人 | 1,348人 | 20.7% |
平成27(2015) | 8,765人 | 7,715人 | 1,664人 | 21.6% |
平成26(2014) | 9,004人 | 7,771人 | 1,647人 | 21.2% |
平成25(2013) | 10,131人 | 7,486人 | 1,929人 | 25.8% |
平成24(2012) | 11,170人 | 8,302人 | 2,044人 | 24.6% |
平成23(2011) | 11,891人 | 8,765人 | 2,063人 | 23.5% |
【参考】法務省「司法試験の結果について」>各年の「法科大学院等別合格者数等」
司法試験の論文式試験には、憲法、民法、刑法などの必須科目7科目のほかに、選択科目があります。
受験生は、倒産法、租税法、経済法、知的財産法、労働法、環境法、国際関係法(公法系)、国際関係法(私法系)の8科目から1つを選択します。
選択科目の科目別受験者数はどのような状況か、見てみましょう。
▼司法試験の選択科目別の受験者数
【参考】法務省「司法試験の結果について」>各年の「受験状況」
最も多く選択されているのは労働法で、過去5年間変わらずほぼ3割となっています。
選択者数が微増傾向にあるのが経済法と知的財産法です。
独占禁止法(経済法)や特許法、著作権法(知的財産法)など、企業法務に関連する選択科目の人気が上昇していることがうかがえます。
【あわせて読みたい】司法試験・予備試験の選択科目の選び方は?科目別勉強法も解説
この記事では、司法試験の受験者数の減少傾向やその理由について見てきました。
予備試験から司法試験に挑戦する人は年々増えています。予備試験の合格率はとても低いですが、反対に突破できれば司法試験合格にグッと近づきます。
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