司法試験・予備試験の選択科目の選び方は?科目別勉強法も解説

司法試験と司法試験予備試験(以下、予備試験)は、いずれも論文式試験に「選択科目」があります。多くの受験生は、選択科目の対策にあまり時間をかけません。しかし、効率よく対策して高得点を取れれば総合点で差がつき、合格を後押ししてくれます。

この記事では、選択科目の選び方や科目別の特徴と勉強法などを解説します。

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目次 Contents

司法試験・予備試験の選択科目の選び方は?科目別勉強法も解説


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司法試験・予備試験の選択科目の選び方

司法試験や予備試験の選択科目は、法律基本7科目よりも勉強の優先順位が低いものの、得意にしておけば合格への大きな力となります。

前述のとおり総合点で他の受験生に差がつくほか、近年の司法試験においては1日目の最初の科目であるため、選択科目が得意であればメンタル面に余裕が生まれていいスタートを切ることができるでしょう。

まず、多くの受験生にとって最初の疑問となる選択科目の選び方について解説します。


おすすめは「学習時間」と「興味」のバランスで選ぶこと

仕事などと両立しながら受験する場合は、そもそも受験勉強に使える時間が限られています。

そのうえ学習の中心は法律基本7科目になるため、選択科目にかけられる時間は少ないでしょう。

このような場合は、自分にとって「合格に必要な学習時間が比較的少ないこと」「科目の内容への興味」のバランスがとれる科目を選ぶことをおすすめします。


例えば、労働法は受験参考書も多く出版されており、比較的学習しやすい科目と言えます。

しかし、労働法は暗記が多く、選択する受験生が多いためレベルの高い戦いを求められ、論点落としなどが致命的なミスになりうるというデメリットもあります。

学習しやすいものの、他の選択科目に比べると多くの学習時間を要するでしょう。


一方で、いくら学習時間が少ない科目でも、まったく興味のない法律を勉強するのは非常に苦しいことなので、「科目の内容への興味」も重要な要素となります。

労働法に興味があり意欲的に学習できそうなら、選択するメリットがあるでしょう。

なお、受験生の中には科目の選択において「実務で役に立つかどうか」を考慮すべきか悩む方もいますが、

いずれの科目の法律も実務に出ればいくらでも勉強できます。まずは合格できることを最優先に考えましょう。


スタディング講師の体験談

選択科目について、スタディング公務員講座の講師が受験生だったころの体験談をご紹介します。

公務員をしながら受験勉強をしていた私は、選択科目を「環境法」にするか「労働法」にするかで迷ったことがありました。

環境法は、公務員として環境行政に携わった経験があり、興味を持って学べる点がメリットでしたが、当時は受験用の書籍が充実していない点がネックでした。このため「受験用の書籍が充実している労働法に変更するべきか?」と考えたのです。検討の末、私が選んだのは環境法でした。

当時、フルタイムで働いていたため、選択科目の対策に使える時間は限られていました。環境法は比較的学習時間が少なく、また行政法や民法とのシナジーもある点は大きなメリットだったのです。また、元々興味のある分野だったので、楽しく「息抜き」的に勉強できた点もよかったと感じています。受験用書籍が充実していないという点で苦労もありましたが、それは他の受験生も同じだと割り切って勉強を続けました。

その結果、環境法が司法試験で最も成績のいい科目となり、総合点の底上げに大きく貢献してくれました。あのとき環境法を選んでよかったと思います。



司法試験論文式試験の選択科目

司法試験の流れ

ここからは、司法試験論文式試験における選択科目の具体的な科目や試験日程、試験時間や問題数といった概要について解説します。


科目・試験日程・時間・問題数

▼科目

倒産法、租税法、経済法、知的財産法、労働法、環境法、国際関係法(公法系)、国際関係法(私法系)


▼試験日程・時間・問題数

1日目の9時30分〜12時30分(3時間)、2問


選択科目の試験は、1日目の最初に実施されます。試験時間は他の科目より長く3時間となっていますが、余裕があるわけではありません。試験が始まったら、まずは第1問、第2問の両方をナナメ読みしてボリューム感を確認しましょう。その上で、あらかじめ各問題に割く時間を決めてから、問題文を読み込んでいくのがいいでしょう。


選択科目は、答案用紙の使い方が特殊です。4枚組の答案用紙が2通配布されて、それぞれを第1問、第2問に使用します。例えば第1問で5枚、第2問で3枚といった使い方はできないため、注意してください。


受験者数と合格者数

▼司法試験の選択科目別の受験者数

選択科目別の受験者数


▼令和4年(2022年)司法試験の選択科目 受験者数・合格者数

科目 受験者 合格者
人数 割合 人数 割合
倒産法 420人 13.7% 207人 14.8%
租税法 208人 6.8% 78人 5.6%
経済法 583人 19.1% 276人 19.7%
知的財産法 464人 15.2% 219人 15.6%
労働法 911人 29.8% 435人 31.0%
環境法 129人 4.2% 41人 2.9%
国際関係法(公法系) 38人 1.2% 18人 1.3%
国際関係法(私法系) 307人 10.0% 129人 9.2%

【参考】法務省「司法試験の結果について」>各年の「受験状況」と「総合評価」


上記は、令和4年(2022年)司法試験の選択科目における受験者数・合格者数とその割合を示した表です。

受験者数、合格者数が最も多い科目は労働法となっています。労働法の次に受験者数、合格者数が多い科目は経済法です。逆に受験者数、合格者数がもっとも少ない科目は、国際関係法(公法系)となっています。

前述のとおり、労働法は比較的学習しやすい科目のため選択する受験生が多い傾向にあります。


予備試験論文式試験の選択科目

論文式試験 試験日:毎年7月中旬に2日間で実施 合格発表毎年10月 憲法・行政法・民法・刑法・商法・民訴・刑訴 各50点満点 民事実務 50点満点 刑事実務 50点満点 選択科目50点満点

ここまでは、司法試験論文式試験の選択科目に関する情報を見てきました。ここからは、予備試験論文式試験の選択科目における具体的な科目や試験日程、試験時間や問題数といった概要について解説します。


科目・試験日程・時間・問題数

▼科目

倒産法・租税法・経済法・知的財産法・労働法・環境法・国際関係法(公法系)、国際関係法(私法系)


▼試験日程・時間・問題数

1日目の16時30分〜17時40分(1時間10分)、1問


司法試験とは異なり、選択科目の試験は1日目の最後に実施されます。時間や問題数も司法試験より少なく、1時間10分で1問を解く形式です。


出願者数

▼令和4年(2022年)予備試験の選択科目の科目別出願者数

科目別出願者数


▼令和4年(2022年)予備試験の選択科目 受験者数・割合

科目 受験者数 割合
倒産法 2,923人 18.1%
租税法 912人 5.6%
経済法 2,288人 14.2%
知的財産法 1,921人 11.9%
労働法 5,546人 34.4%
環境法 420人 2.6%
国際関係法(公法系) 496人 3.1%
国際関係法(私法系) 1,639人 10.2%


上記は、令和4年(2022年)予備試験の選択科目における受験者数とその割合に関する表です。

司法試験と同じく、受験者数が最も多い科目は労働法となっています。ただ司法試験とは異なり、労働法の次に受験者数が多い科目は倒産法です。

また、受験者数がもっとも少ない科目は環境法となっています。

司法試験と同様に、予備試験でも労働法を選択する受験生が多い傾向にあります。


選択科目の科目別の特徴・勉強法

ここまでは、司法試験・予備試験における選択科目の概要を解説してきました。

ここからは、科目ごとの特徴や勉強法について解説します。選択科目を選ぶ際の参考にしてみてください。


【倒産法】特徴・勉強法

倒産法で主な出題範囲となるのは、破産法と民事再生法です。司法試験では、破産法と民事再生法から1問ずつの計2問が出題されます。

予備試験の出題は1問ですが、破産法か民事再生法に関する問題、もしくは破産法と民事再生法の比較問題が出題されると予想されます。

学習量は多いですが、ほかの民事系の科目とも親和性が高いため、学習効果は連動して高まるでしょう。


勉強においては、まずは破産法を学習して、破産手続を理解する必要があります。

その上で、民事再生法について学ぶとよいでしょう。

民事再生法には、破産法との共通点が多くあります。双方の共通点や違いを理解しながら勉強を進めましょう。


【租税法】特徴・勉強法

租税法で主な出題範囲となるのは、所得税法です。

最近は、所得税法と関連する範囲で法人税法や国税通則法からの出題もありますが、メインは所得税法と考えてよいでしょう。

そのため、まずは所得税法を理解する必要があります。

所得税法を学んだ上で、法人税法など関連法令の勉強を深めていくとよいでしょう。


租税は税理士などの専門分野であるため、司法試験・予備試験での人気はそれほど高くない傾向です。

学習用の教材も税理士試験や公認会計士試験用が多く、司法試験用のものは充実していません。

ただ租税法は、ほかと比べると勉強量がそれほど多くはない科目です。

勉強においては、よく出る判例をしっかり勉強して理解しておけば、合格が近づくでしょう。


【経済法】特徴・勉強法

経済法で主な出題範囲となるのは、独占禁止法です。

独占禁止法の学習では、行為要件と効果要件の理解が重要となります。

行為要件は刑法の構成要件と似ている部分が多く、親和性が高いと言えるでしょう。


経済法は、出題範囲が独占禁止法だけであるため、学習量が少なくて済むとされています。

独占禁止法は条文数も少ないため、ほかの科目と比べてもインプットを早めに終えられるでしょう。

そのため、近年は受験生たちの間で人気が高まっています。


【知的財産法】特徴・勉強法

知的財産法で主な出題範囲となるのは、特許法と著作権法です。

その中でもよく出題される分野は限られているため、勉強が必要な範囲はそれほど広くありません。

また知的財産法は民法や行政法との親和性が高いため、前提知識があれば理解しやすくなります。


勉強においては、裁判例が重要です。

特許法については、判例の射程を問う問題も多く出題されます。著作権法については、下級審レベルの裁判例を学習しておくとよいでしょう。


【労働法】特徴・勉強法

労働法で主な出題範囲となるのは、個別的労働関係法と集団的労使関係法です。

労働法は実務で扱う可能性が高く、選択する受験生が非常に多い科目です。

教材も充実しているため、勉強にも取り組みやすい科目であると言えるでしょう。

ただし、学習量は非常に多く、広い範囲の知識が必要となります。


勉強においては、判例学習が重要です。重要な判例が多く、インプットに時間がかかるでしょう。

まずは論証集などを使って、各論点についての判例の立場を論証できるようになりましょう。


【環境法】特徴・勉強法

環境法で主な出題範囲となるのは、環境10法と呼ばれる個別法です。

具体的には、環境基本法、環境影響評価法、大気汚染防止法、水質汚濁防止法、土壌汚染対策法、循環型社会形成推進基本法、廃棄物処理法、容器包装リサイクル法、自然公園法、地球温暖化対策推進法です。

法律の数は多いですが、一つ一つの条文数は少ないため学習量はそれほど多くありません。

ただし受験者数が少ないため、教材はあまり充実していない点に注意が必要です。


勉強においては、環境10法の構造を把握しておきましょう。

条文をすぐに引けるようにしておくこと、制度趣旨を理解しておくことが重要です。


【国際関係法(公法系)】特徴・勉強法

国際関係法(公法系)で主な出題範囲となるのは、国際法、国際経済法、国際人権法です。

主に、国家間の紛争や問題に対する解決策を考える問題が出題されます。

国際関係法(公法系)は、特定のキャリアに進まない限り、実務でもほとんど関わる機会のない分野です。

そのため選択する受験生はかなり少なく、教材も充実していません。


勉強においては、判例集を使う必要があります。

また、過去問と同じ問題点が出題されることが多いため、過去問対策が重要です。


【国際関係法(私法系)】特徴・勉強法

国際関係法(私法系)で主な出題範囲となるのは、通則法や訴訟法の国際裁判管轄に関する部分です。

私人間における国際的な紛争が起きた際に、解決策を考える問題が出題されます。

出題範囲はそれほど広くなく、学習量も多くはありませんが、教材は比較的充実しています。


勉強においては、条文を学ぶ際に各条文の趣旨まで理解しておきましょう。

出題パターンの傾向は比較的つかみやすいため、ある程度解答のパターンを身につけておくとよいでしょう。


選択科目を制する法律基本7科目の応用

ここまで選択科目の解説をしてきましたが、選択科目はあくまでも法律基本7科目の応用となります。

そのため、まずは法律基本7科目をしっかり勉強しておきましょう。

予備試験から司法試験まで、最も多く重なっている試験科目が法律基本7科目です。

法律基本7科目は配点割合も多いため、試験対策としてのコストパフォーマンスも高いと言えます。

法律基本7科目をしっかり対策しておけば、選択科目の基礎となる知識が身につき、短期合格が近づくのです。


まとめ

今回は司法試験・予備試験の選択科目について解説しました。

  • 選択科目は学習時間と興味のバランスを考慮して選ぶとよい
  • 司法試験・予備試験ともに受験者数がもっとも多い科目は労働法
  • 選択科目はあくまで法律基本7科目の応用であるため、法律基本7科目の対策が重要

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