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36歳の会社員です。毎日片道1時間半の通勤で毎日会社に通っています。しかし中学生の頃からの夢だった弁護士を諦めきれず、司法試験を受験しようと思っています。金銭的な蓄えは少しあるので法科大学院に進むことも考えていますが、やはり予備試験ルートよりも合格しにくいでしょうか?また、今からでも予備試験の対策は間に合うでしょうか? |
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司法試験の合格率を考えるなら、圧倒的に予備試験ルートが有利です。予備試験の合格には年単位での集中的な対策を要しますが、自分の学習スタイルに合った予備校を選ぶなどすれば、短期合格が不可能ということはないです。 |
順位 | 出身法科大学院名 | 合格者数 | 合格率 |
1 | 予備試験合格者 | 395 | 97.5% |
2 | 京都大法科大学院 | 119 | 68.0% |
3 | 東京大法科大学院 | 117 | 60.9% |
4 | 一橋大法科大学院 | 66 | 60.0% |
5 | 慶應義塾大法科大学院 | 104 | 57.5% |
6 | 東北大法科大学院 | 27 | 56.3% |
7 | 愛知大法科大学院 | 2 | 50.0% |
8 | 神戸大法科大学院 | 54 | 48.6% |
9 | 大阪大法科大学院 | 51 | 45.9% |
10 | 早稲田大法科大学院 | 104 | 44.8% |
順位 | 出身法科大学院名 | 合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|
1位 | 予備試験合格者 | 374人 | 93.5% |
2位 | 愛知大法科大学院 | 2人 | 66.7% |
3位 | 京都大法科大学院 | 114人 | 61.6% |
4位 | 一橋大法科大学院 | 64人 | 58.2% |
5位 | 慶應義塾大法科大学院 | 125人 | 55.1% |
6位 | 東北大法科大学院 | 20人 | 51.3% |
7位 | 東洋大法科大学院 | 1人 | 50.0% |
7位 | 山梨学院大法科大学院 | 2人 | 50.0% |
9位 | 早稲田大法科大学院 | 115人 | 49.8% |
10位 | 岡山大法科大学院 | 16人 | 48.5% |
順位 | 出身法科大学院名 | 合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|
1位 | 予備試験合格者 | 378人 | 89.4% |
2位 | 愛知大法科大学院 | 7人 | 77.8% |
3位 | 一橋大法科大学院 | 84人 | 70.6% |
4位 | 東京大法科大学院 | 126人 | 59.4% |
5位 | 京都大法科大学院 | 107人 | 57.8% |
6位 | 東北大法科大学院 | 26人 | 53.1% |
7位 | 鹿児島大法科大学院 | 1人 | 50.0% |
8位 | 慶應義塾大法科大学院 | 125人 | 49.8% |
9位 | 神戸大法科大学院 | 62人 | 49.2% |
10位 | 九州大法科大学院 | 21人 | 46.7% |
予備試験合格者の司法試験合格率は、法科大学院出身者に対して圧倒的に高く、2022年試験の合格率は97.5%とほぼ9割に達しました。
予備試験合格者の司法試験の高い合格率は、いったい何によってもたらされているのでしょうか。
予備試験の最終合格率は例年3%前後で推移しており、非常に難関の試験とされています。
突破すること自体が難関である予備試験の合格者ですから、司法試験に合格するための能力については十分に担保がされているというわけです。もっとも、これはあくまで数字を見た上での結果論なので、より実質的な理由を考える必要があります。
予備試験は試験制度が司法試験と非常に似た設計になっています。短答式・論述式の試験を課す点や、論文式試験の採点が相対評価である点も司法試験と同じです。そのため、予備試験合格者にとって司法試験は予備試験の延長線上にある存在であり、特別な対策を要さずともそのまま合格してしまうことが多いのです。このことも、予備試験合格者の司法試験合格率が高い理由の1つといえるでしょう。
【予備試験と司法試験、両試験制度の共通点】
・短答式と論文式の試験形式(口述式は予備試験のみ)
・論文式の採点が相対評価であり、みんなが出来なかったところが出来なくてもあまり痛手にはならない
令和3年予備試験合格者の内訳(※4)を見ると、大学在学中の合格者は252人で、全体467人の中で53.96%と多数を占めています。
大学生というのは一般的に大学受験を終えたばかりで知識の吸収力が高く、長い論証や判例の規範もすんなり覚えてしまう傾向にあります。特に予備試験は短答式試験の科目が司法試験に比べて多く、純粋に知識量が試される部分も大きいので、知識吸収力というアドバンテージを活かすことのできる若年受験生の合格者が多いといえます。
そのような若い予備試験合格者が、司法試験にもそのまま合格していると考えれば、予備試験の高い合格率にも納得がいきます。
もっとも、社会人にとって予備試験が合格しにくい試験かといえば、必ずしもそうではありません。法律の知識は繰り返しの反復学習によって身についていくものです。毎日決まった生活リズムを守れる社会人受験生は勉強をすぐに習慣化できるので、大学生に知識量で追いつくことはさほど難しいことではないのです。
以上からすれば、これから司法試験を受験するという方にとって、予備試験を受験しない手はない、ということが言えると思います。
実際に、法科大学院生の中にも在学中に予備試験を受験し、合格して他の大学院生より一足早く司法試験を受験する方も多くいます。
予備試験自体は非常に少ない人数しか合格しませんが、20歳で合格する人もいるなど、必ずしも絶対的な勉強量だけが合否を決めるものではありません。特に社会人受験生にとっては、自分の生活スタイルの中に勉強をすんなりと組み込んでいくことが出来れば、予備試験合格は決して夢ではありません。
自分の生活スタイルにあった予備校を選んで、効率的に合格していくのが、法曹への近道といえそうです。
【参考】
※1 令和4年司法試験法科大学院等別合格者数等(法務省ホームページ)
※2 令和3年司法試験法科大学院等別合格者数等(法務省ホームページ)
※3 令和2年司法試験法科大学院等別合格者数等(法務省ホームページ)
※4 令和3年司法試験予備試験口述試験(最終)結果・参考情報(法務省ホームページ)