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司法試験の在学中受験資格とは?要件・スケジュールなど基本情報

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司法試験の在学中受験資格とは

司法試験の在学中受験資格制度とは、法科大学院生が在学中に司法試験を受験できる制度です。従来は法科大学院修了が受験の条件でしたが、令和5年(2023年)試験から、大学院在学者のうち一定の要件を満たした人は、修了を待たずに司法試験を受験することが可能になりました。

在学中受験資格の制度が導入された目的は、法曹を目指す人の時間的・経済的負担の軽減です。

前述のとおり、令和4年(2022年)試験までは法科大学院ルートで司法試験の受験資格を得るには法科大学院を修了する必要がありました。

しかし法曹資格取得までに長い時間がかかり、経済的負担も大きいため、近年では法科大学院の入学希望者が減少中。それに伴って司法試験の受験者数も落ち込んでいます。

そこで法科大学院を中核とする法曹養成制度の安定のため、改革が行われることになりました。その一環で負担軽減策として導入されたのが、在学中受験資格の制度なのです。

在学中受験のスケジュール

では、法科大学院生が在学中受験資格を得て司法試験を受ける場合、どのようなスケジュールになるでしょうか。

法学既習コース(2年間)の学生が令和5年司法試験を在学中に受験して合格した、と仮定して具体的に見ていきましょう(司法試験は7月実施、司法修習は3月開始するものとして作成)。

在学時受験スケジュール

在学中受験の場合、修了後の受験よりも1年早い時期に司法試験を受けることができ、大学院修了後にそのまま司法修習に進めます。

時間のロスが少なく、従来の日程よりも1年早く法曹資格を取得することができます。

在学中受験資格の要件・所定科目単位 

法科大学院在学中に受験資格を得る条件は、以下の2つです。

  • 法科大学院で所定科目単位を修得していること
  • 法科大学院の課程を修了する見込みがあること(司法試験を受験する年の4月1日から1年以内)

つまり、定められた単位を修得した上で、法科大学院の課程を修了見込みであることが条件です。

法科大学院を設置している大学の学長から、上記2条件を満たしていると認定されれば、在学中に受験資格が与えられます。

▼所定科目単位とは?

受験資格を得るために修得しなければならない所定科目単位、つまり「どの科目の単位をどれだけ修得する必要があるのか」を見ていきましょう。

以下の3つの区分でそれぞれ修得するべき単位が定められています。

科目 単位
法律基本科目

憲法、行政法、民法、商法、民事訴訟法、刑法及び刑事訴訟法に関する分野の科目

30単位以上
法律基本科目の応用科目 18単位以上
選択科目

倒産法、租税法、経済法、知的財産法、労働法、環境法、国際関係法<公法系>または国際関係法<私法系>

4単位以上

法科大学院での開講科目と所定科目単位の各科目がどのように対応しているかについては、各法科大学院に確認してください。

▼いつまでに修得?

上記各科目の単位を司法試験を受験する年の3月31日までに修得することが求められます。

例えば、令和5年7月の司法試験を受ける場合であれば、期限は令和5年3月31日までとなります。

司法試験の在学中受験資格のメリット・デメリット

法科大学院在学中に司法試験の受験資格を得られるようになると、修了が条件だった以前と比べて短期間で挑戦できることになります。

どのような影響があるか、メリット・デメリットを見てみましょう。

メリット

まずは在学中受験資格のメリットです。

▼法曹資格取得までの時間を短縮できる

司法試験を在学中に受験できることの最大のメリットは、大学院修了後に受ける場合と比べて受験が1年早まることです。

その後の司法修習の開始時期も前倒しできるため、法曹資格を得られるまでの時間が短くなります。

先ほどの図の通り、大学院修了後に司法試験を受ける従来のパターンでは、最短の1回で合格できても、大学院修了後から司法修習までに1年ほど空白が生じる形でした。

一方、在学中受験では合格後に大学院を修了し、直後に司法修習に進めることになり、空白期間が生じません。


▼費用の節約

スケジュールが前倒しされることで、費用面でのメリットも生まれます。

法曹資格を早く取得できれば、受験勉強に費用がかかる期間は短く、そして報酬を得られる期間は長くなります。

デメリット

次にデメリットを見ていきましょう。

▼司法試験の準備期間が短い

在学中受験資格の制度が始まる前の令和4年(2022年)までは、法科大学院修了後に司法試験を受ける流れでした。

法学既習者コースであれば、法科大学院入学から試験までの期間は「2年+α」です。一方、在学中に受験する新制度の場合は、試験までの期間が1年3カ月しかありません。

試験を早く受けられるというメリットは、人によっては準備不足に陥るというデメリットになります。

▼単位の修得と司法試験対策の両立が必須

在学中受験資格を得るには、所定科目単位の修得が必須です。

デメリットの1つ目が司法試験に向けた準備期間が短くなることでしたが、その短い期間に単位修得と受験勉強を両立する必要があります。

両立の厳しいスケジュールが待ち受けています。

【Q&A】在学中受験資格のよくある質問

最後に、司法試験の在学中受験資格に関するよくある質問に回答します。

合格後、大学院を修了できなかった場合はどうなる?

在学中受験資格を得るには、法科大学院を修了見込みであることが条件でした。

ではせっかく司法試験に受かったのに、大学院を修了できなかった場合はどうなるでしょう。

司法試験実施時点で在学中受験資格の要件を満たしていた場合、試験終了後に大学院の課程を修了できなかったとしても、司法試験の合格が無効になることはありません。

ただし、合格の取り消しはないものの、修了しなければ司法修習に進むことができません。次年度以降の課程修了を目指すことになります。

受験の回数制限はどうなる?

在学中に受験資格を得た場合、受験回数の制限はどうなるでしょうか。

司法試験を受験できるのは受験資格取得から5年間で、司法試験は1年に1回のため、受験できるのは5回です。

法科大学院を修了して受験資格を得た場合は、大学院修了後最初の4月1日から5年間です。

では在学中に受験資格を得た場合は?というと、最初に司法試験を受けた年の4月1日から5年間です。

1年早まるだけで、回数に変わりはありません。

【あわせて読みたい】司法試験は受験回数制限あり!何回で受かる?もし5回落ちたら?

まとめ

司法試験の在学中受験資格の要件やスケジュールを見てきました。

  • 在学中受験資格の制度では、定められた単位を修得した上で法科大学院の課程を修了見込みの人が受験できる
  • 従来のスケジュールより早く司法試験を受験でき、法曹資格取得までの時間を短縮できる
  • 短い勉強時間で試験にのぞむことになるので、準備不足に注意

大学院の修了を待たずに司法試験の受験が可能になりましたが、その分試験への準備期間が減ります。

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