司法試験合格後の職業は?企業に就職して活躍する人も

司法試験を目指す人は、法曹三者(弁護士、検察官、裁判官)を目指しているケースが多いですが、司法試験合格後に活躍できる職業はこの限りではありません。

この記事では、司法試験を突破した先にどのような進路があるのかを解説します。

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司法試験合格後の職業の王道は「法曹三者」

まずは、司法試験合格後の職業の王道である法曹三者(弁護士、裁判官、検察官)について紹介します。

司法試験の受験を検討している方や、合格後のキャリアに迷っている人はぜひ参考にしてください。

弁護士

弁護士は、裁判における訴訟代理や弁護などにおいて、法律の知識を駆使しながら依頼人の権利や利益を守ります。

弁護士の業務内容は、扱う案件が刑事事件か民事事件か、顧客が個人か企業か、裁判所によく行くかどうかなど、主な顧客や扱う案件によって大きく異なります。

司法試験に合格すると、まずは司法修習生の採用選考を受ける資格が得られます。

戸籍謄本や法科大学院・大学の成績証明書などの各種書類を提出して、問題がなければ採用が決定して司法修習が開始となります。

司法修習の開始時期は、令和6年(2024年)の77期からは従来の開始時期よりも遅い3月からに変更されています。

司法修習を受けて「二回試験」と呼ばれる修了試験に合格できれば修了です。

修了後は地域の弁護士会に登録すれば、弁護士として働けるようになります。

裁判官

裁判官は、最高裁判所、高等裁判所、地方裁判所、家庭裁判所に所属し、裁判で法のもとに判決を下すのが仕事です。

裁判官は、前述の司法修習修了試験に合格した者の中から任命されます。

法曹三者のうち、裁判官へのルートはとくに狭き門といわれています。司法試験・司法修習修了試験に合格できる人でも、裁判官として採用されるのは簡単なことではありません。

裁判官を目指す場合、教官からの推薦状があると選ばれやすいといわれています。推薦状をもらうには、勉強はもちろん普段の素行や生活態度にも気を配る必要があるでしょう。

なお、検事や弁護士になった法曹が、その後裁判官になったり兼任したりする非常勤裁判官というキャリアもあります。

ただし非常勤裁判官の数は非常に少なく、任命されるのも簡単なことではありません。

検察官

検察官は、刑事事件の捜査や起訴をしたり、公判に立ち会ったりして、被告人の正当な処罰を求めて主張・立証を行う仕事です。

「検事」とは、検察官の職位の1つです。検察官の職位は副検事、検事、検事長、次長検事、検事総長などがあります。

検察官は、前述の司法修習修了試験に合格した者の中から任命されます。司法修習修了後に、法務省が実施する採用試験に合格すれば検察官(職位は検事)になれます。

検察官になるには、採用側である検察庁から「検察官としての資質あり」と認められなければなりません。

法廷の場で公正な裁きが下せるよう裁判をリードする必要があるため、正義感や真実を曲げない強い精神といった資質が必要となります。

司法試験合格後に企業などで活躍する人もいる

司法試験合格者のキャリアは、法曹三者だけではありません。中には次のようなキャリアを選び、企業などで活躍する人もいます。

  • インハウスローヤー(企業内弁護士)
  • 自治体内弁護士
  • その他

1つずつ見ていきましょう。

インハウスローヤー(企業内弁護士)

弁護士の働き方は、法律事務所に所属したり、独立したりするだけではありません。

インハウスローヤーは、一般企業などに勤務する企業法務のスペシャリストです。

法務部門に所属し、M&A案件、知的財産権管理、外資系企業に対する契約書類の作成など、高度な法律知識を求められる業務を担います。

企業のために働く弁護士と聞いて、顧問弁護士を思い浮かべる方も多いかもしれません。

顧問弁護士は、あくまで「第三者的な立場」から企業法務のアドバイスや法的トラブルの解決を行います。

これに対してインハウスローヤーは「企業の一員」として企業利益を重視して働きます。

業務範囲も法的なトラブル処理だけでなく、知財戦略の立案や契約書の作成など、幅広い法律業務を担当することになるでしょう。

自治体内弁護士

自治体内弁護士とは、都道府県庁、市役所、町村役場といった自治体に所属して、法務部門で働く弁護士です。

最近は多様化する住民ニーズに対応すべく、自治体内弁護士を活用する例も増えつつあります。

自治体内弁護士の勤務場所は、各自治体の法務部や総務部のほか、児童相談所、障がい者センター、教育委員会や労働委員会などです。

近年は情報公開制度やマイナンバー制度なども進行してきましたが、同時に行政訴訟も多様化、複雑化の動きを見せています。

自治体内弁護士の業務内容は多岐にわたり、例えば次のようなものがあります。

  • 自治体ごとの条例や規則、要綱などの策定
  • 職員を対象とする法律相談
  • 行政訴訟や民事訴訟など訴訟案件の処理
  • 行政機関に対する不当要求への対応
  • 児童や女性、障がい者を守るための取り組み支援
  • 自治体が抱える未回収権の回収および管理
  • 行政代執行における近隣住民への対応
  • 職員研修

その他

司法試験に合格した後の職業について、その他の道としては、政治家、大学教授・講師、司法試験予備校講師といった仕事につく人もいます。

ただしこうした仕事は、本業で弁護士しながらの副業や、法曹として実務を一通り経験したあとのセカンドキャリアとして選ばれるケースがほとんどです。最初のキャリアとしてはあまり一般的ではないでしょう。

大学や予備校で働く場合は、司法試験の勉強や司法修習、実務経験を通して得られた法知識が大いに活かせるだけでなく、これから法曹で働く人たちの成長に貢献できます。

教えることが好きな人、実務を経て今後は後進の育成に貢献したいという人にとっては非常にやりがいのある仕事だと言えるでしょう。

また、弁護士をしながらこうした副業ができれば、収入アップも見込めます。

【Q&A】司法試験に関するよくある質問

ここからは、司法試験に関するよくある質問について解説します。

司法試験の受験を検討している人や、司法修習に関する疑問がある人は参考にしてください。

司法試験の合格率は?

法曹三者になるには、司法試験に必ず合格する必要があります。

「司法試験の合格率は低そう」というイメージを持っている人も多いかもしれませんが、司法試験の合格率は例年30〜40%程度です。

ほかの国家試験の合格率は、例えば宅建士が15〜17%程度、行政書士が9〜10%程度、社労士が6〜7%程度なので、数値だけを比べると司法試験のほうが高い水準となっています。

なお、法科大学院に進学せずに司法試験の受験資格を得ることができる「司法試験予備試験(予備試験)」の合格率は3〜4%程度です。

予備試験合格者の司法試験合格率は、近年では9割を超えていて、実質的な難関は予備試験となっています。

司法試験合格後に行われる司法修習とは?

司法修習では、法律のプロを養成するための本格的なカリキュラムを通じて、実務スキルとともに高い職業意識や倫理観も身につけます。

カリキュラムは、8カ月の分野別実務修習、2カ月の選択型実務修習、2カ月の集合修習で構成されています。

第一線で活躍する弁護士や裁判官から直接指導を受けることもでき、現場の雰囲気を感じながら法律実務が学べるのです。

こうしたカリキュラムを終えて司法修習生考試(二回試験)に合格すると、司法修習修了となります。

まとめ

今回は、司法試験合格後の職業についてご紹介してきました。

  • 王道は弁護士・裁判官・検察官の法曹三者
  • 企業や自治体でインハウスローヤーや自治体内弁護士になることもできる
  • 政治家、大学教授・講師、司法試験予備校講師などになる人もいる

どのキャリアを選ぶとしても、まずは司法試験に合格してスタートラインに立つ必要があります。

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