予備試験の短答式試験はマークシート式で、判例や条文に関する知識を問われる試験です。
出題される科目は下記のとおりです。
法律基本7科目 | 憲法、行政法、民法、刑法、商法、民事訴訟法、刑事訴訟法 |
一般教養科目 | 人文科学、社会科学、自然科学、英語から出題され、20問を自由に選択 |
科目 | 試験時間 | 問題数 | 配点 |
民法 | 1時間30分 | 10問〜15問程度 | 30点 |
商法 | 10問〜15問程度 | 30点 | |
民事訴訟法 | 10問〜15問程度 | 30点 | |
憲法 | 1時間 | 10問〜15問程度 | 30点 |
行政法 | 10問〜15問程度 | 30点 | |
刑法 | 1時間 | 10問〜15問程度 | 30点 |
刑事訴訟法 | 10問〜15問程度 | 30点 | |
一般教養科目 | 1時間30分 | 20問
(40問程度の出題から自由に選択) |
60点 |
合計 | 5時間 | 90〜120問程度 | 270点 |
【参考】法務省「司法試験予備試験の試験時間について」、法務省「司法試験予備試験の実施方針について」
▼司法試験予備試験【短答式試験】の結果
試験実施年 | 合格率 | 合格点 | 合格点の得点率 |
令和6(2024) | 21.86% | 165点 | 61.11% |
令和5(2023) | 20.08% | 168点 | 62.22% |
令和4(2022) | 21.75% | 159点 | 58.89% |
令和3(2021) | 23.24% | 162点 | 60.00% |
令和2(2020) | 23.84% | 156点 | 57.78% |
令和元(2019) | 22.89% | 162点 | 60.00% |
上記は、近年の予備試験における短答式試験の合格点や合格率をまとめた表です。
合格率は例年20%台となっており、難易度は非常に高いと言えるでしょう。
短答式試験における科目ごとの配点は、法律基本7法が各30点×7科目=210点、一般教養科目が60点で、合計270点満点となります。
例年の合格点の得点率を見ると、合格するには6割強程度の得点率が必要なことがわかります。
予備試験の短答式試験の一般教養は、人文科学、社会科学、自然科学、英語の合計40問が出題され、受験生はこのうち20問を選択して解答します。
一般教養のための特別な対策は不要です。
より正確に言うならば、一般教養は出題範囲がほとんど無制限で内容も多岐に渡るため、有効な対策の取りようがないのです。
過去問に取り組んでおけば十分だと言えるでしょう。
また、予備試験の短答式試験における配点割合は法律科目が8割近くを占めています。仮に一般教養対策に力を入れたところで、タイムパフォーマンスは低いのです。
司法試験の短答式試験は、予備試験と同じくマークシート式で、判例や条文に関する知識を問われる試験です。
出題されるのは、民法、憲法、刑法の3科目で、予備試験よりもかなり少なくなっています。
▼試験時間・問題数・配点
科目 | 試験時間 | 問題数 | 配点 | 最低ライン |
民法 | 1時間15分 | 36問程度 | 75点 | 30点 |
憲法 | 50分 | 20問程度 | 50点 | 20点 |
刑法 | 50分 | 20問程度 | 50点 | 20点 |
合計 | 2時間55分 | 76〜77問 | 175点 | ー |
【参考】法務省「令和5年司法試験受験案内」、法務省「司法試験の方式・内容等の在り方について」
▼司法試験【短答式試験】の結果
試験実施年 | 合格率 | 合格点 | 合格点の得点率 |
令和6(2024) | 78.27% | 93点 | 53.14% |
令和5(2023) | 80.17% | 99点 | 56.57% |
令和4(2022) | 80.92% | 96点 | 54.86% |
令和3(2021) | 78.04% | 99点 | 56.57% |
令和2(2020) | 75.43% | 93点 | 53.14% |
令和元(2019) | 73.60% | 108点 | 61.71% |
【参考】法務省「司法試験の結果について」
上記は、近年の司法試験における短答式試験の合格点や合格率をまとめた表です。
合格点は100点前後で、短答式試験は3科目で合計175点満点のため、合格には6割強程度の得点率が必要なことがわかります。
司法試験における短答式試験の合格率は、例年70〜80%台で推移しています。予備試験の短答式試験と比べると、合格率はかなり高い傾向です。
また短答式試験は、前述のとおり予備試験よりも司法試験のほうがかなり科目数が少なくなっています。
そのため予備試験よりも司法試験の短答式試験のほうが、難易度は低いと言えるでしょう。
▼司法試験【短答式試験】の合格率
試験実施年 | 予備試験合格者 | 法科大学院出身者 |
令和6(2024) | 99.37% | 75.24% |
令和5(2023) | 99.72% | 78.24% |
令和4(2022) | 99.75% | 78.07% |
令和3(2021) | 100.00% | 75.13% |
令和2(2020) | 99.05% | 72.38% |
令和元(2019) | 98.96% | 71.21% |
【参考】法務省「司法試験の結果について」
また上記は、司法試験における短答式試験の合格率を予備試験合格者と法科大学院出身者に分けた表です。
例年、予備試験合格者の98%以上が司法試験の短答式試験に合格しているのに対し、法科大学院出身者の合格率は60〜70%台で推移しています。
ここまで、司法試験・予備試験における短答式試験の概要や合格率などを詳しく見てきました。
こうした短答式試験に合格するには、どんな勉強をすればよいのでしょうか。
ここからは、短答式試験の勉強方法について解説します。
まず予備試験における短答・論文・口述試験対策の時間配分は、上の円グラフのとおりです。
基本的には論文式試験の対策が中心となり、短答式試験の対策は全体の2〜3割程度とするのがよいでしょう。
予備試験の短答式試験は、出題科目が法律科目だけでも7科目と非常に多く、出題範囲もかなり広範にわたります。
短期集中で知識を詰め込みさえすれば、合格できるレベルの試験ではありません。
一度勉強しただけでは知識が定着せず、試験本番で解けない可能性もあるでしょう。
合格を目指すなら、演習を毎日繰り返し、間違った問題は復習をして知識を定着させることが重要です。
また、前述のとおり一般教養の対策に時間を使う必要はありません。
それよりも、配点割合の高い法律科目の対策を行ったほうが得点率を上げられるはずです。
予備試験と司法試験の短答式試験は、毎年同じ日程でほぼ同じ時間帯に実施されます。
なぜなら、司法試験と予備試験で同一の問題が出題されるからです。
予備試験から受験する場合、予備試験の短答対策がそのまま司法試験の短答対策となります。
また司法試験・予備試験ともに、短答式試験の問題で繰り返し問われるようなポイントは確立しています。
そのため司法試験の短答に対して、予備試験の短答と異なった対策を行う必要はありません。
予備試験に合格できた人なら、予備試験・司法試験の過去問を繰り返し解いておけばよいでしょう。
今回は、司法試験と予備試験における短答式試験の概要や合格率、勉強方法などをご紹介してきました。
司法試験・予備試験は、いずれも論文式試験の対策に多くの時間を充てるべきなので、短答式試験の対策は必要最低限に絞るのが望ましいです。
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