
令和8年(2026年)から、司法試験と予備試験にいよいよCBT方式(パソコン受験)が導入されます。 実現すれば、受験生は大量の手書きの負担から解放されますが、未知の新方式に対応できるように事前の情報収集と準備が不可欠です。
この記事では、司法試験・予備試験のCBT化によって「何がどう変わるのか」を詳細に解説するとともに、プレテストの概要や予約方法をご紹介します。 さらに、法務省が公開した最新の「体験版アプリ」で確認すべきポイントや、CBT時代に対応するための具体的な勉強法についても徹底解説します。
司法試験・予備試験のCBT化とは?
「CBT」とはComputer Based Testingの略で、コンピューターを使って試験を行う方式のことです。司法試験・予備試験でもこのCBT方式が導入され、試験会場に用意されたパソコンを使用して解答する形式へと移行します。
司法試験・予備試験のCBT化はいつから?何がどう変わる?
司法試験および予備試験のCBT化は、令和8年(2026年)の試験から導入されます。ただし、試験ごとにCBT化される範囲が異なるため注意が必要です。
- 司法試験:短答式・論文式の両方にCBT方式が導入されます。
- 予備試験:論文式試験のみCBT方式が導入され、短答式試験は従来通りマークシート方式で実施されます。
これまで、司法試験の論文式試験では、最大で4万字近い文字を手書きする必要があり、受験生にとって非常に大きな負担となっていました。CBT化により、この手書きの負担から解放されることになります。
オンライン出願(電子出願)の導入
試験方式の変更に伴い、出願手続きも大きく変わります。令和8年(2026年)の試験から、マイナンバーカードとマイナポータルを利用した「電子出願」が本格的に導入されます。
- メリットと注意点: 受験票や成績通知書がシステムを通じてオンラインで交付されるため、郵送よりも早く受け取ることができます。ただし、電子交付された受験票は、必ずご自身で紙に印刷して試験当日に持参する必要があります。スマートフォンの画面提示のみでは受験できないため注意してください。
- 受験手数料: 電子出願の導入に伴い、手数料の改定が予定されています。電子出願は紙出願よりも割安に設定されています(令和8年試験の場合:司法試験は電子出願31,000円/紙出願32,000円) ※正式な手数料は、ご自身が受験される年度の「最新の受験案内」で必ず確認してください。
- 紙出願の変更点: 紙出願自体は引き続き可能ですが、願書は法務省への郵送請求のみでの入手となります(法科大学院等での窓口配布は廃止)。また、受験案内(冊子)の紙媒体での配布も廃止され、法務省ホームページでの確認が基本となります。
CBT化の背景・目的とは?
最大の目的は、受験者および試験関係者の負担軽減です。 手書きによる大量の答案作成の負担をなくすとともに、採点担当者にとっても「読みにくい文字を判読する」という負担が解消されます。また、答案用紙の作成や運搬コストの削減、情報セキュリティの向上といった効果も期待されています。
パソコンを持ち込める?(使用される端末のスペック)
受験生が自分自身のパソコンを持ち込むことはできません。試験会場(テストセンター)に用意された同一スペックのデスクトップ型パソコンを使用します。不正防止のため、インターネット接続が遮断された環境で実施されます。
【予定されているパソコンの主な仕様】
- OS: Windows 11 Pro
- モニター: 23インチ以上(モニターの対角線の長さが約 58.4cm以上)
- キーボード: 特定の日本語キーボード
- マウス: あり
論文式試験で入力できる文字数は?
CBT方式の論文式試験では、文字数制限(ページ数)が厳密に設定されています。 1ページあたりの設定は「23行 × 1行最大30文字」です。
- 司法試験: 必須科目は1問につき最大8ページ、選択科目は1問につき最大4ページ。
- 予備試験: 法律基本科目・選択科目・法律実務基礎科目それぞれ1問につき最大4ページ。
※注意:解答欄を間違えた場合、試験終了後に申告しても救済措置はありません。『入力された解答欄の設問に対する解答』としてそのまま採点されてしまうため、事実上の零点(大幅な失点)に直結します 。 例えば「第1問の解答欄に第2問の答えを入力してしまった」場合、試験終了後に申告しても一切対応されず、零点となります。試験時間中に気づいた場合は、自分でコピー&ペースト機能を使って転記・修正する必要がありますが、文字数制限に引っかかる場合は「メモ画面」を一時的な退避場所として活用するなどの工夫が求められます。
配布される紙類は一切なし?
CBT試験における問題文は、短答式・論文式ともに紙媒体では配付されず、パソコンの画面上で閲覧することになります。※マークシート方式で行われる予備試験の短答式は除きます)
ただし、以下のものは試験当日に配布されます。
- 試験用法文: 論文式試験において、画面上で閲覧できる機能に加えて、従来通り紙媒体の法文も貸与・配付されます。
- 下書き用紙: 試験時間ごとに、問題検討用のメモ用紙(A3用紙2つ折り)が1枚配付されます(持ち帰り可、追加配付なし)
受験環境を体験できるプレテストはある?
本番で初めてCBTシステムに触れるのは不安なものですが、実際のテストセンター環境を体験できる「プレテスト」の実施が決定されています。
※令和8年(2026年)試験向けのプレテストはすでに実施・受付を終了していますが、今後の参考として概要を記載します。
プレテストの概要
- 実施日程: 令和8年2月10日(火)・ 11日(水・祝)
- 受験料: 無料
- 内容: 過去の試験問題を使用し、論文式(50分)、休憩(5分)、短答式(15分)の合計70分間で実際のシステムを体験します。
プレテストは予約が必要?
プレテストを受験するには、プロメトリック社の専用ページからの事前Web予約が必須です。
予約時の注意点: 多くの人が体験できるよう「1人1回のみ」の受験に制限されています。また、会場ごとに定員が埋まり次第終了となる「先着順」です。予約期間(※令和8年度試験は令和7年12月中旬に予約が開始されていました。)に入ったら、早めに申し込むことを強くおすすめします。
法務省公開「CBT体験版」の内容・機能とは?
法務省は、自宅のパソコンでCBTシステムの基本的な操作方法を確認できる「体験版アプリ」を公開しています。実際の試験に近い環境を体験できるため、受験生にとっては必須の対策ツールです。
体験版の概要と実際の試験との違い
体験版は法務省のホームページからダウンロードし、自身のパソコン(Windows 11推奨)にインストールして使用します。
▶体験版アプリのダウンロードはこちらのページを確認ください。
(参考:法務省司法試験及び司法試験予備試験のデジタル化について)
※ページ内の「CBT方式の体験版について」をご確認ください。
法務省の発表によると、現在公開されている体験版(令和8年4月版)の画面構成や操作方法は、実際の試験で使用されるシステムとほぼ同じ仕様となっています。 また、令和8年(2026年)の試験に向けてはこのバージョンが「最終版」とされており、今後のアップデートは予定されていません。つまり、このアプリでの練習がそのまま本番の対策に直結します。
【体験版を利用する際の注意点】
なお、体験版アプリが実際の試験と異なる仕様として、以下の2点にご注意ください。
- 体験版には「自動終了機能」がありません
実際の試験は時間が経過すると自動で終了する予定ですが、体験版においては、設定した試験時間を経過しても自動で終了しません。 - 体験版には「答案の出力・保存機能」がありません
体験版のアプリ内で終了ボタンをクリックしたタイミングで、作成した答案の内容はすべて失われてしまいます。後から見直すための保存はできませんので御注意ください。
【短答式試験】体験版の便利な機能
- 見直し機能: 各問題にある「後で見直す」にチェックを入れると、解答内容一覧の該当問題にフラグ(✓マーク)が立ち、見直しがしやすくなります。
- スキップ・戻り機能: 解答内容一覧から問題番号をクリックすることで、解答を保留して別の問題に進んだり、後から戻ってきたりすることが可能です。
【論文式試験】体験版の便利な機能
論文式試験の画面は「問題エリア」「答案作成エリア」「試験用法文エリア」などで構成されており、自由なレイアウト変更が可能です。
- 問題エリアへの書き込み: 問題文に対し、ペンツールやマーカーツールを使って画面上で直接マーキングやメモ書きが可能です。
令和8年4月のアップデートにより、水平に真っすぐ線を引くための「水平モード」が追加され、よりマーキングがしやすくなりました 。 - 試験用法文エリアの検索機能: 目次からのキーワード検索や、算用数字による条文検索が可能です。また、よく参照する条文に「付箋」をつける機能も備わっています。表示は横書きになる予定です。
- メモ機能(旧構成用紙ツール): 答案構成用のデジタルメモ帳として機能します。注意点として、このエリアではマーカーやペンツールなどを用いた描画は一切できず、テキスト入力のみの仕様となっています。キーボードでのテキスト入力を用いて、画面上で思考の整理を行うことになります。
使用できるショートカットキーとIMEの制限
【ショートカットキー】 以下のショートカットキーが使用可能であり、作業効率に直結するためマスターしておきましょう。
Ctrl+C(コピー)、Ctrl+X(切り取り)、Ctrl+V(貼り付け)
Ctrl+Z(元に戻る)、Ctrl+Y または Ctrl+Shift+Z(やり直す)
Ctrl+A(全選択)
Ctrl+Home(文頭に移動)、Ctrl+End(文末に移動)
※注意点※ 法文や、自分が作成したメモ、答案のテキストはコピー&ペースト可能ですが、「問題文エリアのテキストはコピー不可」という制限がかけられています。
【文字入力(IME)の制限】 日本語入力(Microsoft-IME)において、入力履歴を反映する学習機能は有効ですが、予測変換機能は無効化されています。
CBT方式の体験版で確認すべきポイントは?
体験版は単なる機能確認ではなく、「本番でどう戦うか」をシミュレーションするためのツールです。以下のポイントを意識して使い込みましょう。
- 画面操作とレイアウトへの習熟: 問題文、答案作成、法文、メモといった複数のウィンドウを効率よく配置し、自分にとって最適な画面レイアウトを見つけましょう。
- コピー&ペーストのテスト: どのようなテキストがコピペできて、何ができないか(問題文のコピー不可)を体感し、それに合わせた記述方法を練習します。
- 「メモ機能」の完全テキスト化への適応 : 従来の紙のように図や相関図を描くことはシステム上不可能です。箇条書きやインデント操作(スペースキーでの代用)を駆使し、デジタル上でテキストベースの答案構成を行う方法にどれくらい適応できるかを確認してください。
- 「画面上で解く」ことへの慣れ: 長時間、画面上で長文を読み続けることは眼精疲労に直結します。画面スクロールの感覚や、マーカーツールの使い勝手に慣れておく必要があります。
CBT時代を勝ち抜くための新しい勉強法
手書きからパソコンに変わることで、受験生に求められるスキルも変化します。CBT化に完全対応するための新しい勉強法を5つ紹介します。
- タイピングスキルの向上(法律用語特化) タイピングの速度と正確性は、そのまま思考に割ける時間に直結します。特に、予測変換が使えないことを前提とし、法律用語や定型的な論証フレーズを正確に入力する練習が不可欠です。
- デジタル読解力と分析力の強化 日頃から判例や文献をパソコンやタブレットの画面上で読む習慣をつけましょう。画面上での読解スピードを上げ、デジタルでのマーキング術を磨くことが重要です。
- デジタル答案構成術の確立 紙の図解に頼らず、箇条書き、インデント、ナンバリング(①、(1)、ⅰなど)を駆使して、論理構造をテキストベースで整理する技術を身につけてください。
- 時間配分の見直し タイピングによって入力スピードは上がりますが、ウィンドウの切り替えやスクロールなどのデジタル操作に時間を取られるリスクもあります。体験版を用いて、本番同様の時間配分でシミュレーションを行いましょう。
- 思考力・理解力重視の出題への対応 解答量(文字数)が増やしやすくなる分、表面的な論証の暗記ではなく、深い事案分析力や法的思考力がより厳しく問われる可能性があります。常に「なぜそうなるのか」という深い理解を伴う学習を心がけてください。
CBT対策は「型」の習得と実践環境から
司法試験・予備試験のCBT化は、試験の形式が大きく変わる歴史的な転換点です。体験版を触り込み、デジタル特有の制約(問題文のコピー不可、予測変換不可など)の中でいかに効率よく作業するかの戦略を練ることが第一歩となります。
しかし、手書きがタイピングに変わっても、「法的な思考力」や「論理的な答案の型」が合否を分けるという試験の本質は変わりません。むしろ、デジタルでの編集が容易になる分、より正確で筋の通った答案構成力が求められます。
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CBT方式にいち早く適応するためには、日頃の学習から「画面上で問題を読み、デジタルで思考を整理し、キーボードで答案を作成する」という環境に慣れておくことが最強の対策となります。
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まとめ
司法試験・予備試験のCBT化は、受験生にとって大きな変化ですが、避けては通れない道です。
この変化に対応するための第一歩として、法務省が公開したCBTシステム体験版は極めて重要なリソースとなります。
この記事で解説したように、体験版を通じてCBTの操作に慣れ、その機能と限界を理解し、自身の弱点を把握することが、効果的な対策の出発点です。
特に、タイピングスキル、デジタル環境での読解・分析力、そして構成用紙ツールを用いたデジタル答案構成術は、今後の学習において重点的に取り組むべき課題と言えるでしょう。
この変化を単なる困難として捉えるのではなく、現代の法曹実務に不可欠なデジタルスキルを習得する機会と前向きに捉えることも可能です。
不確実な要素も残りますが、早期に情報を収集し、体験版での実践練習を重ね、学習戦略を柔軟に見直していくことで、CBT化という新たな波を乗り越え、合格を掴み取ることができるはずです。
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