
「働きながら司法試験を目指したいけれど、無謀かな……」と考えているあなたへ。
たしかに勉強に使える時間の多さでは大学生やロースクール生のほうが有利ですが、社会人はビジネスの専門性や経験を備えているなど、学生にはない強みを持っています。
これらは受験勉強、そして合格後に弁護士などになって仕事を始める際に大いに役立ちます。
この記事では、社会人が司法試験・予備試験に挑戦することのメリットとデメリットについて、自身も社会人から合格を果たしたスタディング講師が解説します。

弁護士 漆原照大
漆原法律事務所 代表弁護士/スタディング司法試験・予備試験講座 講師
埼玉県庁で働きながら弁護士を目指し、2020年に司法試験に合格。自身の受験経験から、忙しい社会人が合格するには「完璧な答案」よりも「現実的な合格答案」を書く必要性に気づき、受験生に知識とテクニックを伝えるため講座開発に参画。「スタディング 司法試験・予備試験講座」2025年版より「論文対策講座・予備試験実践編」の一部を担当。
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司法試験・予備試験の社会人受験生の【メリット】は?
社会人が司法試験・予備試験を目指す場合、次のようなメリットがあります。
- 法的な紛争をイメージしやすい
- 精神力や体力が身に付いている
- 専門性・経験がアピールポイントになる
1つずつ見ていきましょう。
メリット1:法的な紛争をイメージしやすい
司法試験や予備試験は、社会問題や日常生活に関する具体的な紛争をテーマとして問題が出題されます。
非社会人受験生の場合、問題文の事情をイメージしにくく、その結果、事実から離れた法律論だけの空中戦になってしまうことがしばしばあります。
一方で社会人受験生は、日々の仕事において気づかないうちにさまざまな法律問題に直面していますし、日ごろから社会問題などに関するアンテナも高いです。
そのため、問題文のテーマとなっている紛争を具体的にイメージしやすいといえます。
例えば、企業の法務部の方であれば株主総会の運営、公務員の方であれば個別法の解釈や行政処分などに携わることが多いので、問題文の事実関係もより鮮明に見えてくるでしょう。
また、憲法は話題となっている社会問題をベースに作問されることが多く、背景事情を理解している社会人受験生であればその分理解もしやすいでしょう。
私は、受験生時代は公務員として働いていましたので、行政法でどのような個別法が出題されても政令や省令を参照しながら条文を解釈する癖がついていました。
また、手続法上の違法性と実体法上の違法性に関しても、日ごろから職員として実際に気を付けていた部分であったので、違法性の事実についてはとても拾いやすかったです。
このように、問題文をより具体的にイメージしやすいというのは社会人受験生ならではのメリットだと思います。
メリット2:精神力や体力が身に付いている
司法試験や予備試験は、知識も大切ですが、やはり最後は体力や精神力の勝負です。
例えば司法試験の場合、中日を入れて5日間にわたって行われます。朝から夕方まで問題を解くというのはそれだけで体力的にもきつく、そしてそれが長期間に渡るとなれば当然相当の体力を消耗し、精神的にも不安定になるでしょう。
社会人受験生は、日々の業務で体力や精神力が養われていることはもちろん、仕事終わりに勉強をしているということもあり、ここぞというときの踏ん張りが効きます。
私自身、司法試験の受験中に「辛い」、「きつい」と感じることが少なからずありましたが、社会人としてたくさんの山場を乗り越えてきた自信があったので、それほど苦には感じませんでした。
試験を乗り切るために必要な体力や精神力が自然と養われているという点も、社会人の大きなメリットだと思います。
メリット3:専門性・経験がアピールポイントになる
弁護士といえども、接遇、ビジネスマナー、電話やメールの受け答え、コスト意識などは当たり前ですが必要です。社会人受験生は、日々の業務を通して、社会人としての常識や教養を身に着けていますから、即戦力になります。
また、社会人経験で得た専門性や経験は他の弁護士との差別化に繋がり、自身のアピールポイントに直結します。
私自身、公務員時代の経験から、現在も多くの行政相談を受けますし、行政内部の実情もわかっているので、とても進めやすいです。
このように、合格後も弁護士としての個性や強みに繋がることは、社会人受験生ならではのメリットといえます。
司法試験・予備試験の社会人受験生の【デメリット】は?
一方で、社会人が司法試験・予備試験に挑戦する場合は、やはり「勉強時間の確保」という課題は避けて通れません。
デメリットへの対応策や社会人の勉強時間・勉強スケジュールについて解説します。
デメリット:勉強時間の確保に苦労する
これまでの勉強経験から「勉強=机に向かって行うもの」と考えている人も多いでしょう。
仕事が一日の予定の大半を占めている社会人にとって、平日に机に向かう時間を多く確保するのは簡単なことではありません。
しかし、早起きして30分でも時間を作ったり、出先でも学べるツールを使って通勤中や移動時間などのスキマ時間を活用したりできれば、社会人でも勉強時間を積み上げていくことは可能です。
そして、勉強時間を増やす努力だけでなく、勉強の効率を上げることを意識することも、社会人のデメリットへの重要な対応策となります。
社会人の勉強時間・勉強スケジュールは?
忙しい社会人におすすめなのは、朝時間とスキマ時間を活用することです。
働いていると、「思わぬ残業が発生して帰宅後に勉強できなかった」「疲れて机に向かう力が残っていない」ということがよく起こります。
しかし、始業前の時間であれば他の予定が入りにくく、気力・体力ともに充実している時間帯なので、まとまった勉強時間を確保するのに最適です。
通勤電車の中で論文の問題文を読み、会社近くのカフェで論文の起案を行う、といったようにスキマ時間と朝の時間を併用して1つの問題に取り組むというスケジュールも可能です。
また、勉強の効率を上げるには、いかに集中力を切らさないかが重要になってきます。
特に気をつけたいのはスマホです。電源を切ったり、勉強にスマホを使う場合は他のアプリの通知をオフにしたりして、誘惑を断ち切る仕組みを作りましょう。
社会人の司法試験・予備試験の勉強法については、自らも社会人受験で合格を掴んだスタディング講師が、こちらの記事で詳しく解説しています。

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こうしたスキマ時間での勉強を積み重ねることで、効率よくスキルアップできるのです。
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【Q&A】司法試験に関するよくある質問
最後に、司法試験に関するよくある質問に回答します。
社会人の予備試験合格率は?
令和6年(2024年)予備試験受験者のうち、有職者の受験者数(学生、無職を除いた受験者数)は5,798人でした。
このうち合格者数は95人で、合格率は1.6%となりました。

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司法試験合格率は?
令和6年(2024年)司法試験は、合格者数1,592人、合格率42.13%でした。
予備試験合格資格で受験された方の合格者数は441人で、予備試験合格者に受験資格が与えられた2012以降で、過去最高の合格者数となりました。

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旧司法試験と予備試験では何が変わった?
かつて旧司法試験を目指していた方は、受験勉強といえば「論点と論証パターンの丸暗記+吐き出し」だったのではないでしょうか。
「暗記できない」「覚えてもどう使えばいいのかわからない」と苦労し、諦めた方も多いはずです。
しかし、現在の司法試験(予備試験+司法試験)は、出題の形式が大幅に変わりました。
旧司法試験では丸暗記ができず挫折した人が、「今の問題は圧倒的に取り組みやすい!」と感じて再挑戦する動きも出てきています。
旧司法試験と予備試験の違いや、予備試験の勉強法について、現役弁護士であるスタディング講師がこちらの記事で解説しています。

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まとめ
この記事では、社会人が司法試験・予備試験に挑戦することのメリットとデメリットについて、自身も社会人から合格を果たしたスタディング講師が解説しました。
- 社会人受験生は勉強時間の量では専業受験生に劣るが、仕事で得た専門性・経験があることや、ニュースへの関心・理解度が高いことは、問題を解くうえでメリットとなる。
- 合格後も、社会人は「仕事で得た専門性・経験」が個性・強みで周囲と差をつけることができる
- 社会人受験生のデメリットは勉強時間が確保しづらい点だが、スキマ時間や朝時間の活用や、効率を重視した勉強法でカバーできる。
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