検事になるには。期間は理論上5~6年。検察官合格までのルート

検察官になるには、弁護士・裁判官と同じく、司法試験に合格して司法修習を修了する必要があります。

検察官の階級の一つである「検事」は、法治国家のもとで国民が幸福な生活を送るために欠かせない存在です。

ただ、司法修習修了生のうち、検事を選ぶのは4%ほどです。一体どんな人に向いているのでしょう。

この記事では、検察官の資質やなるまでのルート、直近の採用実績について説明します。

検事になるまでのルート

検察官になる最短ルートは、大学在学中に予備試験に合格し、司法試験を突破、司法修習を経て採用される道で、理論上「約5〜6年」です。

しかし、予備試験は難易度の高さから現実的には少数派です。

一方、法科大学院を経て司法試験の受験資格を得るルートでは約7〜8年かかるものの、体系的な教育と安定性が魅力で、毎年約2,000〜3,000人が受験資格を得ています。

検事職の拝命を受けるには、法科大学院を修了又は予備試験に合格して司法試験を受験・合格し、1年間の司法修習を受ける必要があります。

修了試験である司法修習考試(二回試験)に合格後、裁判官、検察官、弁護士の法曹三者になる資格が与えられます。

そしてその後さらに法務省が実施する採用試験に合格することで検事になることができます。

なお、検事とは、検察官の職位の一つです。検察官の職位は、副検事、検事、検事長、次長検事、検事総長などがありますが、

司法試験合格者が検察官に採用されると検事からのスタートになります。

【参考】令和6年(2024年)司法試験「合格率」で見る法科大学院ランキング

順位法科大学院名受験者数合格者数合格率
1予備試験合格者475人441人92.8%
2慶應義塾大法科大学院246人146人59.4%
3愛知大法科大学院9人5人55.6%
4京都大法科大学院217人107人49.3%
5一橋大法科大学院123人60人48.8%
6東京大法科大学院255人121人47.5%
7中央大法科大学院181人83人45.9%
8早稲田大法科大学院330人139人42.1%
9大阪大法科大学院177人72人40.7%
10神戸大法科大学院136人51人37.5%
11同志社大法科大学院111人41人36.9%
12九州大法科大学院107人37人34.6%
13名古屋大法科大学院103人32人31.1%
14南山大法科大学院18人5人27.8%
15上智大法科大学院44人12人27.3%
15専修大法科大学院33人9人27.3%
17広島大法科大学院34人9人26.5%
18北海道大法科大学院65人17人26.2%
19大阪公立大法科大学院36人9人25.0%
19金沢大法科大学院16人4人25.0%
21関西学院大法科大学院41人10人24.4%
22筑波大法科大学院60人14人23.3%
23東北大法科大学院95人21人22.1%
24立命館大法科大学院132人29人22.0%
25明治大法科大学院115人25人21.7%
26関西大法科大学院70人15人21.4%
27千葉大法科大学院52人11人21.2%
28岡山大法科大学院25人5人20.0%
28近畿大法科大学院5人1人20.0%
30日本大法科大学院100人19人19.0%
31創価大法科大学院34人6人17.7%
32福岡大法科大学院23人4人17.4%
33琉球大法科大学院29人5人17.2%
34横浜国立大法科大学院13人2人15.4%
35桐蔭横浜大法科大学院8人1人12.5%
36法政大法科大学院58人7人12.1%
37学習院大法科大学院36人4人11.1%
38東京都立大法科大学院92人10人10.9%
39駒澤大法科大学院32人2人6.3%
40甲南大法科大学院18人1人5.6%
41青山学院大法科大学院5人0人0.0%
41成蹊大法科大学院9人0人0.0%
41西南学院大法科大学院21人0人0.0%
41大東文化大法科大学院11人0人0.0%
41北海学園大法科大学院12人0人0.0%
41名城大法科大学院0人0人0.0%
41立教大法科大学院0人0人0.0%

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検察官になるには、前述の通り法科大学院を修了又は予備試験に合格した後、司法試験に合格する必要があります。

予備試験も含めた合計の勉強時間は4,500~1万時間とも言われており、難易度の高さがうかがえます。

膨大な勉強時間が必要になるからこそ、いかに効率よく対策できるかが合否を分けると言っても過言ではありません。

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検事の採用実績

検事の採用人数は、例年70名前後です。近年の検事の採用実績は、次のとおりです。

任官年度任官者数平均年齢
平成29年度67名(男性:43名 女性:24名)26.8歳
平成30年度69名(男性:48名 女性:21名)27.2歳
令和元年度65名(男性:37名 女性:28名)27.2歳
令和2年度66名(男性:42名 女性:24名)26.7歳
令和4年度(4月期)72名(男性:44名 女性:28名)26.4歳
令和4年度(12月期)71名(男性:36名 女性:35名)26.2歳
令和5年度76名(男性:45名 女性:31名)27.5歳

【参考】法務省「検事の採用実績」

検察官の年収は?

検察官の給与は、「検察官の俸給等に関する法律」という法律により定められています。

初任給は月23万円前後、各種手当てやボーナスなども加え、年収にして500万円前後といわれています。

検察官の階級と一般的な昇格スケジュール

検察官は下から順に、副検事、検事、検事長、次官検事、検事総長という序列になっています。

司法試験に合格し司法修習を終えた方が検察官として任検すると、通常は検事(20号)からスタートします。そこからの出世速度は人により大きく異なり、業務実績はもちろんですが、司法修習での成績や、年齢なども考慮されるようです。

検察官の俸給等に関する法律を元に作成した、検察官の区分ごとの月収一覧表

検事に必要とされる資質は?

検事になるには、採用側である検察庁から「検事としての資質あり」と認められなければなりません。

どのようなタイプが検察官としてふさわしいのでしょうか?一般的にいわれるタイプを以下に記します。

正義感が強い

検察官の仕事は、法廷の場で公正な裁きが下せるよう、裁判をリードすることです。

そこには、一点の曇りもない高潔さと、不正や悪質な犯罪を許さない正義感が求められるでしょう。

資料収集から聞き取り調査、ひとつ一つの物事に対する判断まで、正しい心に基づいて職務を遂行しなければなりません。

そのような姿勢があってはじめて、被害者や遺族、その背後にいる国民から信頼を寄せられるのです。

真実を曲げない強い心

検察捜査は、正確な情報と公平な視点によって進める必要があります。

検察は国家権力の一部であり、政治権力にも影響を与えられるほど、その力は絶大です。

自分の立場を過信して真実を曲げることがないよう、公平で強い心を持ち続けることが重要となります。

検察官もしくは組織の一存で、白を黒に変えるようなことがあってはいけません。

検察もまた法の番人であることを自覚しつつ、まっとうな心で業務処理と判断をする必要があります。

常に勉学に励む向学心

司法試験に合格して司法修習を修了し、検察官として任官したとしても、その後も常に勉学に励む姿勢が求められます。

法律は、時代が変われば変化が加わるもので、新しい法案も作成されます。

時代に即した検察業務をまっとうするには、知識のアップグレードが必要不可欠。

検事として実務経験を積みながらも、向学心を失わない謙虚な姿勢と情熱が、プロフェッショナルな仕事を支えてくれます。

法律知識で社会に奉仕する仕事

弁護士と違い、検事もしくは裁判官は国民に奉仕する国家公務員という立場です。

そのため、検事職は弁護士ほど高収入を望めないかもしれず、がんばればがんばるほど報われる、という類いの仕事でもありません。

必要なのは、「高度な識見と豊富な法的知識でもって社会、国民に奉仕する」という気構えといえるでしょう。

正義感が強く、真実を曲げない高潔な精神、そしてアグレッシブに活動するバイタリティがある方は、検事に向いているといえるかもしれません。

【参考】
法務省「検事に採用されるまで」
法務省「「新司法試験において選抜すべき法曹像」についての意見等の整理」