税理士試験の概要は以下のポイントに分けられます。
税理士試験は年に1回、例年8月上旬に実施されています。
令和5年度の税理士試験の試験日程は以下の通りです。
項目 | 日程 |
試験実施官報公告 | 令和5年4月7日 |
受験申込受付開始 | 令和5年5月9日 |
受験申込受付締切 | 令和5年5月19日 |
試験実施 | 令和5年8月8日〜8月10日 |
※上記はあくまで予定であり今後変更となる可能性があります。
【引用】令和5年度(第73回)税理士試験実施スケジュールについて
税理士試験はその内容の難易度が高いだけでなく、受験資格が設けられているという点もハードルが高い理由のひとつです。以下の条件を満たしていなければ税理士試験の受験ができません。
▼学歴に関する受験資格(主な例)
▼資格・試験に関する受験資格(主な例)
▼職歴による受験資格(主な例)
▼令和5年度(2023年度)税理士試験より受験資格が変更!
令和5年度から税理士試験の受験資格が変更されています。
科目 | 変更前 | 変更後 |
会計学(2科目) | 学識・資格・職歴による受験資格あり | 受験資格なし |
税法(9科目) | 学識・資格・職歴による受験資格あり
(学識において法律、または経済学に属する1科目の履修が必須) |
学識・資格・職歴による受験資格あり
(学識において社会科学に属する1科目の履修が必須) |
まず、会計学の2科目については受験資格が撤廃され、誰でも受験できるようになりました。かつては高校生や大学1・2年生などが受験する場合、簿記1級の取得が必須条件でしたが、令和5年度試験からは誰でも挑戦可能です。
さらに、税法9科目の学識における受験資格では法律もしくは経済学に属する1科目の履修が必要でしたが、社会科学に属する1科目へと変更されました。社会科学に属する科目に変更されたことで、一部の理系大学など他の学部を卒業した方が受験できるようになり、より受験資格獲得のハードルが低くなっています。
税理士試験では、次の11科目の中から5つを選ぶことになります。
これらのうち、好きな科目を自由に選べるというわけではありません。
必ず選択しなければならない必須科目が会計学に属する「簿記論」「財務諸表論」のふたつ。
また、「所得税法」「法人税法」は選択必須科目で、最低でもどちらかひとつを選択しなければなりません(両方選択することも可能です)。
つまり、自由に選択できる科目は、先に述べた4科目を除き、7科目ということになります。
税理士試験の受験料は1科目ごとに発生するため、受験する科目数によって受験料は異なります。科目数別の受験料は以下の通りです。
税理士試験には科目合格や科目免除といった制度があるため、全員が全科目を受験するわけではありません。そのため、科目数によって受験料が変わるという仕組みになっています。自分が受ける受験科目数に合わせて確認しておきましょう。
また、受験料は状況に応じて変更されることがあります。そのため、申込時に改めて公式の情報を確認するようにしてください。
税理士試験の受験地は以下の通りです。
全都道府県で実施されているわけではないため注意が必要です。
受験地の希望をすることは可能ですが、受験申込者数などに応じて、必ず希望通りになるとは限りません。状況や受験申込者数などによって変更されることがあるので、事前に確認が必要です。
税理士試験は例年8月上旬に実施され、合格発表は11月末〜12月上旬に行われています。令和5年度の税理士試験合格発表は令和5年11月30日に予定されています(この日程もあくまで予定であり今後変更される可能性があります)。
税理士試験に申し込むには、交付された申込用紙に必要事項を記入し、必要書類をすべて同封して希望する受験地を管轄する国税局などに郵送します。申込用紙の交付は直接国税局などで受けることができますが、郵送で申込用紙を請求することも可能です。
令和5年度の場合、5月9日から5月19日までの間に申込可能です。
▼申込時には受験資格証明書が必要
すでにご紹介した通り、税理士試験には受験資格が設けられています。そのため、申込の段階で受験資格を証明する書類を用意する必要があります。学歴、資格・試験合格、職歴などの証明書類を用意して申込用紙と一緒に郵送します。具体的には以下の証明書を用意します。
この受験資格の証明書の発行日に制限はありません。そのため、いつ発行されたものであっても有効です。税理士試験の受験を考えているのであれば、直前になって慌てることがないように早めに用意しておくことをおすすめします。
まず、公式な合格基準点は各科目とも満点の60%です。
ただし、実際は上位10〜15%程度が合格する競争試験と言われています。
本来なら60%以上の得点ができれば全員合格もあり得るルールですが、「傾斜配点」と言って、合格者の人数を調整する配点調整が行われているようです。税理士試験は問題の細かな配点が公表されないのであくまでも予想ですが、これから受験される方は「事実上の競争試験」と思っておくのが良いでしょう。
税理士試験は一般的に国家資格の中でも難易度が非常に高い試験として知られています。とはいえ、実際に受験するのであればどのくらいの難易度なのかを知りたいという方が多いでしょう。試験の難易度にはさまざまな考え方があります。そのため、いろんな角度から知ることが大切です。
ここでは以下のポイントから難易度について考えていきます。
それぞれのポイントについて以下で詳しくご紹介します。
直近の過去5年の税理士試験合格率は以下の通りです。
年度 | 平成30年 | 令和元年 | 令和2年 | 令和3年 | 令和4年 |
合格率 | 15.3% | 18.1% | 20.3% | 18.8% | 19.5% |
※上記の数値は、5科目に到達した方と一部科目に合格した方の合計を受験者数で割った数値となっています。
年度によって多少のバラつきはありますが、10〜20%前後で推移していることがわかります。
なお、他の会計・経営系の資格の合格率と比較すると以下の通りです。
資格 | 合格率 |
税理士
(1科目以上合格した人の割合) |
10〜20% |
公認会計士 | 約10% |
簿記1級 | 約10% |
中小企業診断士 | 約5% |
社会保険労務士 | 約6% |
税理士試験の合格率は1科目につき10〜20%前後と、低い数値では無いように見えます。しかし、税理士試験は他の受験者との競争であり、少なくとも成績上位10〜15%以内に入らなければ合格できません。さらに、この条件を5科目すべてで達成する必要があります。
よって、見た目の数字以上に税理士試験の難易度は高いといえます。
税理士試験に必要な科目ごとの勉強時間目安は以下の通りです。
科目 | 合格率
令和4年度 |
配点(例年) | 勉強時間(目安) | ||
理論 | 計算 | ||||
必須 | 簿記論 | 23.0% | 0% | 100% | 450時間 |
財務諸表論 | 14.8% | 50% | 50% | 450時間 | |
選択必須 | 所得税法 | 14.1% | 50% | 50% | 650時間 |
法人税法 | 12.3% | 50% | 50% | 650時間 | |
選択 | 相続税法 | 14.2% | 50% | 50% | 450時間 |
消費税 | 11.4% | 50% | 50% | 300時間 | |
酒税法 | 13.2% | 40% | 60% | 150時間 | |
国税徴収法 | 13.8% | 100% | 0% | 150時間 | |
住民税 | 17.2% | 50% | 50% | 200時間 | |
事業税 | 14.1% | 50% | 50% | 200時間 | |
固定資産税 | 18.4% | 50% | 50% | 250時間 |
前提として、初めて税理士の勉強をする人と、税務や会計に関わった経験がある人では、合格ラインに達するまでの勉強時間が異なります。
つまり、「平均勉強時間」はあくまでも目安に過ぎず、上記の勉強時間を満たせば必ず合格できるわけではありません。
さまざまなところで税理士試験の平均学習時間が発表されていますが、参考程度にとどめておくのがよいでしょう。
続いて、学習時間でも他の会計・経営系の資格と比較してみましょう。
資格 | 勉強時間(目安) |
税理士(5科目合格) | 3,000時間 |
公認会計士 | 4,000時間 |
簿記1級 | 500時間 |
中小企業診断士 | 1,000時間 |
社会保険労務士 | 1,000時間 |
比較すると、会計系の最高峰の資格である税理士と公認会計士は特に勉強時間を必要とするのが分かります。
他の資格であれば数カ月〜1年の学習で合格を目指すことができます。しかし、税理士と公認会計士は、数年をかけて試験対策をしていかなければなりません。長期的な学習計画を立て、モチベーションを高く保って勉強していく必要があります。
勉強時間の観点からも、税理士は非常に合格難易度の高い資格といえるでしょう。
税理士試験はさまざまな人が受験していますが、具体的にどんな職業、学歴、年齢の方が受験しているのかを詳しくご紹介します。
区分 | 受験者数 | 合格者数等 | 合格率 | |||
学歴等 | 5科目到達者数 | 一部科目合格者数 | 合格者数合計 | |||
学歴別 | 大学卒 | 21,822 | 493 | 3,561 | 4,054 | 18.6% |
大学在学中 | 1,463 | - | 436 | 436 | 29.8% | |
短大・旧専卒 | 660 | 16 | 75 | 91 | 13.8% | |
専門学校卒 | 2,591 | 59 | 404 | 463 | 17.9% | |
高校・旧中卒 | 1,962 | 44 | 389 | 433 | 22.1% | |
その他 | 355 | 8 | 141 | 149 | 42.0% | |
年齢別 | 41歳以上 | 10,805 | 274 | 965 | 1,239 | 11.5% |
36〜40歳 | 4,407 | 112 | 743 | 855 | 19.4% | |
31〜35歳 | 4,581 | 114 | 901 | 1,015 | 22.2% | |
26〜30歳 | 4,131 | 82 | 911 | 993 | 24.0% | |
25歳以下 | 4,929 | 38 | 1,486 | 1,524 | 30.9% | |
合計 | 28,853 | 620 | 5,006 | 5,626 | 19.5% |
受験者の年齢層は20〜40代と幅広くなっています。合格率で見ると勉強時間を確保しやすい大学在学中の方がもっとも高いですが、30代の方の合格率も平均(約20%前後)以上です。つまり学生の方だけでなく、社会人として働きながら税理士試験に合格されている方もいます。
一方、受験者数が最も多いのが41歳以上です。
税理士試験は、科目ごとに試験が行われます。会計学に属する科目と、税法に属する科目があります。
税理士試験に採用されている科目合格制度では、決められた科目のうち、5科目で合格点を取れば合格とされます。税理士試験の出題科目は全部で11科目。その中の5科目を集中的に勉強し、合格すれば税理士の資格が取得できます。
一度合格した科目は、永久に有効です。科目ごとに勉強して合格点を取っていくため、税理士試験に合格するには年単位の時間がかかります。
税法や会計学は専門性が高く、税務になじみのない人にとってそれを習得するのは簡単ではありません。受験(合格)する順番に制限はありませんので、どの科目から受験しても構いません。
科目合格制度は働きながら勉強する社会人にも取り組みやすいシステムです。それでも、税理士試験に一発合格するのはかなりの困難を伴います。
いきなり一発合格を目指すとなると、5科目すべてを一度に相手することになり、かなりハードな勉強スケジュールとなるでしょう。特に仕事を持つ社会人受験者は時間も限られてくることから、5科目同時受験を選ばずに受験科目を絞り、多くの合格者は2〜3年のスパンで試験に臨んでいます。
1年で受ける科目が少なければ、科目ごとの勉強の質も高くなり、高得点も期待できます。合格した科目はその後も有効なので、あとは残る科目に力を振り向けるのみです。
1科目ずつのチャレンジだと最低5年はかかってしまうため、もっと短いスパンで考えるなら2科目ずつ試験に臨み、トータルで3年計画の対策を立てる方法がおすすめです。合格という的を確実に射止めるためには、じっくり腰を据え、地道に勉強を続けることが何よりの近道といえるでしょう。
税理士試験では、一定の条件を満たすことによって受験科目が免除される科目免除制度があります。
具体的には以下の条件を満たすことで、税理士試験の一部科目が免除される制度です。
大学院に通って科目を取得し、修士論文の執筆を行うという条件は決して簡単なものではありませんが、この条件を満たせるのであれば税理士試験で有利になります。
ここでは税理士試験の概要や科目合格制度などについて詳しくご紹介しました。それでは今回のポイントを詳しくご紹介します。
税理士試験は取得までに数年を要する難易度の高い試験ですが、効率的に勉強できれば何歳からでもチャレンジできます。
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