第72回(令和4年度)税理士試験の主な過去問例
まずは第72回(令和4年度)税理士試験の主な過去問例を見ていきましょう。
税理士試験の出題形式はマークシート形式ではなく、すべて記述式です(財務諸表論では一部択一問題が含まれます)。
【過去問例①】財務諸表論
問1
次の文章は、企業会計基準第29号「収益認識に関する会計基準」(以下「収益認識会計基準」という。)第16項、第35項及び第37項から引用したものである。これに基づき、以下の(1)~(3)の間に答えなさい。本会計基準の基本となる原則は、約束した財又はサービスの顧客への移転を当該財又はサービスと( a )に企業が権利を得ると見込む( b )の額で描写するように、収益を認識することである。
企業は約束した財又はサービス…を顧客に移転することにより履行義務を充足した時に又は充足するにつれて、収益を認識する。(A)資産が移転するのは、顧客が当該資産に対する支配を獲得した時又は獲得するにつれてである。
資産に対する支配とは、当該資産の使用を指図し、(B)当該資産からの残りの便益のほとんどすべてを享受する能力をいう。(1) 空欄( a )及び( b )に当てはまる最も適切な語句を答えなさい。
(2) 下線(A)について、資産に対する支配の移転を検討する際に考慮すべき指標として、適切でないものを1つ選び、記号で答えなさい。
ア 顧客が資産の所有に伴う重大なリスクを負い、経済価値を享受していること
イ 企業が顧客に提供した資産に関する対価を収受する将来の権利を有していること
ウ 企業が資産の物理的占有を移転したこと
エ 顧客が資産を検収したこと
オ 顧客が資産に対する法的所有権を有していること(3)下線(B)について、資産からの便益とは、財の製造又はサービスの提供のための資産の使用等によって、直接的又は間接的に獲得できる( c )キャッシュ・フロー(インフロー又はアウトフローの節減)である。この( c )に当てはまる語句として最も適切なものを1つ選び、記号で答えなさい。
ア 確定的な
イ 固定的な
ウ 変動的な
エ 潜在的な
オ 平均的な
【過去問例②】法人税法
問1 内国法人が配当等を受け取った場合の課税上の取扱いに係る次の(1)及び(2)の問に答えなさい。
なお、解答に当たって、連結完全支配関係又は通算完全支配関係があった場合の課税関係
については触れる必要はない。(1) 法人税法第23条の受取配当等の益金不算入制度について、次の1~3の問に答えなさい。
1 非支配目的株式等の意義とその配当等の額の益金不算入割合を答えなさい。
2 この制度の適用除外要件について、「短期保有」に係るものと、「自己株式等の取得」に係るものとに分けて、それぞれ答えなさい。
3 関連法人株式等に係る配当等の額の益金不算入額の計算方法について、その計算に当たり考慮すべき事項を含めて答えなさい。(2) 内国法人P社(年1回3月末決算法人)が次の【事実関係】に基づき、金銭の交付を受ける場合の当期(令和4年4月1日~令和5年3月31日)の課税上の取扱いに係る次の1及び2の問に
答えなさい。
なお、【事実関係】に記載された内容以外の事項は考慮せず、処理方法が複数ある場合には、納税者が最も有利となる方法を選択しなさい。
1 当期において、みなし配当等に係る益金不算入額として算出される金額及びその計算過程並びに【事実関係】を踏まえてその金額が算出される法的な理由について答えなさい。
2 当期において、有価証券の譲渡損益の額として算出される金額及びその計算過程並びに【事実関係】を踏まえてその金額が算出される法的な理由について答えなさい。
(以下略)
【過去問例③】消費税法
問1 次の(1)及び(2)の間に答えなさい。
(1) 特定課税仕入れに係る対価の返還等を受けた場合の消費税額の控除に関して、「特定課税仕入れ」の意義、「特定課税仕入れに係る対価の返還等」の意義及び「特定課税仕入れに係る支払対価の額」の意義を述べた上で、当該消費税額の控除に係る内容と要件を述べなさい。
また、当該特定課税仕入れに係る対価の返還等を受けた場合の消費税額の控除で、相続、合併又は分割があった場合の取扱いについて述べなさい。
なお、解答に当たって、消費税法施行令に定める事項について触れる必要はない。(2) 消費税法上の「価格の表示」について、義務付けられる対象者、対象となる取引及び対象から除かれている取引に触れながらその内容を述べ、それを踏まえて次のイ~ニの価格が、当該「価格の表示」の対象となるかどうかを答えなさい。
なお、解答に当たって、価格の具体的な表示例に触れる必要はない。
イ スーパーマーケットのチラシに表示する価格
ロ 卸売業者が小売店向けに作成した業務用商品カタログに表示する価格
ハ 見積書に表示する価格
二 口頭で伝える価格
税理士試験において過去問はあくまでも教材の一つ
税理士試験において、過去問はあくまで教材の一つとして利用することが重要です。
資格試験では過去に出題された過去問が数年後にまた出題されることがありますが、税理士試験ではそれがありません。
さらに出題範囲も膨大なので、「ただ過去問を繰り返し解いていれば合格できる」試験ではないということです。
もちろん、まったく同じ問題でなくても重要な論点に関しては年を空けて再び出題されることがありますし、過去問対策をすることで税理士試験の出題傾向をつかむことができます。
税理士試験にチャレンジするなら「過去問はあくまで教材の一部」であると認識したうえで学習するようにしましょう。
税理士試験で過去問を使って勉強するメリット
過去問を使うことのメリットとしては以下の3点が挙げられます。
- 勉強した内容をアウトプットできているかを確認できる
- 試験本番の練習ができる
- 自分の苦手箇所を見つけられる
勉強した内容をアウトプットできているか確認できる
過去問を使うことのメリット1つ目は、勉強した内容をアウトプットできているか確認できることです。
試験に合格するためには、まず問題を解くために必要な知識をインプットする必要があります。
とはいえただ知識をインプットするだけでは、実際の試験で問題を解けるようになるわけではありません。
そこで過去問を実際に解いてみることで、本当に正しい知識をアウトプットできているのか確認できます。
試験本番の練習ができる
過去問を使うことのメリット2つ目は、試験本番の練習ができることです。
過去問は過去の税理士試験で、実際に出題された問題です。
つまり、過去問を実際に解いてみることで、試験本番の練習ができます。
普段からどんなにインプットに時間をかけていても、本番で実力を発揮できなければ試験に合格することは難しいです。
まず知識をインプットし、後にアウトプットとして過去問を解き、より知識を定着させると効率的に学習できます。
自分の苦手箇所を見つけられる
過去問を使うことのメリット3つ目は、自分の苦手箇所を見つけられることです。
自分ではすべての範囲を網羅できているつもりでも、実際に問題を解いてみることによって理解不足な部分、知識が足りない部分が見えてくるものです。
実際に過去問を解いて採点してみると、自分が正解できていない問題、分野が自然と浮き上がってきます。
そして、その苦手分野を集中的に勉強することによって、より効率的な試験対策ができるでしょう。
税理士試験での過去問勉強法
ここでは、税理士試験での過去問を最大限に活かした勉強法を詳しくご紹介します。
今回ご紹介するポイントは以下の2つです。
- インプット後に過去問を解く癖をつける
- 制限時間内に解く練習をする
インプット後に過去問を解く癖をつける
過去問の勉強法1つ目は、インプット後に過去問を解く癖をつけることです。
短期間で合格した人の多くは、基本講座(インプット)の受講後にすぐ問題演習(アウトプット)を行っています。
インプットの後にすぐアウトプットを行うことで、自ら問題を解く力が身についている人は短期合格に近いといえます。
一方でなかなか合格できない人は、インプットの時間を多く取り過ぎてしまいアウトプットを十分行わずに試験に臨んでしまう傾向があります。
知識をいくら頭に詰め込んでも問題の解き方に慣れていなければ、問題の内容が少し変わっただけでも対応できなくなってしまいます。
知識をインプットしたら十分定着できているか確認するため、また問題の出題傾向になれるためにも、過去問をすぐに解いてみる癖をつけましょう。
制限時間内に解く練習をする
過去問の勉強法2つ目は、制限時間内に解く練習をすることです。
税理士試験には制限時間があります。どんなにしっかりと試験範囲のインプットができていても時間内にすべての問題を解くことができなければ得点にはなりません。
そのため、制限時間内に問題を解くためのトレーニングが必須です。
なお単に過去問を解くのではなく、本試験と同様に制限時間内にすべての問題を解く練習をすることが重要になります。
一通りの範囲のインプットが終わったら、必ず本番と同じ時間内で過去問を解く練習をしておきましょう。
税理士試験の学習ツールを使う方法もおすすめ
税理士試験は非常に難易度の高い試験なので、独学で合格を目指すことは大変な道です。
そこで、税理士試験対策用の学習ツールを使って学習する方法をおすすめします。
ここでは税理士試験の学習ツールを利用することで得られるメリットについて紹介します。
- 効率的に記憶しやすくなる
- スキマ時間を有効活用できる
- 本試験レベルの練習ができる
効率的に記憶しやすくなる
学習ツールは税理士試験に合格するためにさまざまな工夫を凝らして作成されています。
初学者の方が悩みがちな箇所や試験に合格するためのコツなど、独学では手に入りにくい情報が満載です。
スタディングでは動画講義、音声講義によって基礎知識からしっかりと学ぶことができます。
視覚、聴覚を使って勉強できるため、テキストなどを読むだけよりも内容をイメージしやすく、効率的に記憶として定着させることができます。
さらに動画講義、音声講義には通常の速さのもののみでなく倍速版も用意されています。
最初は通常の速さでじっくりと学び、慣れてきたら倍速で繰り返し学ぶことによって、短期間であってもさらに深く記憶できるという点もポイントです。
【参考】教材・カリキュラム
スキマ時間を有効活用できる
税理士試験に合格するために必要な勉強時間は約4,000時間と言われています。
1年間でこの時間を確保するとなれば1日あたり11時間前後、2年であれば5〜6時間、3年でも2〜3時間勉強しなければならないことになります。
1年での合格は現実的ではないにしても、働きながらの場合、2〜3年での対策も簡単ではありません。
そこで重要となるのがスキマ時間の活用です。通勤時間や待ち時間などの数分間を活用できれば、それなりの勉強時間を確保できます。
スタディングの動画講義、音声講義などはスマートフォンやタブレットなどで、いつでもどこでも視聴することができます。
そのため、通勤や通学の移動時間や休憩時間、待ち合わせの空き時間といったスキマ時間を有効活用して勉強することができます。
【参考】学習スタイル
本試験レベルの練習ができる
税理士試験に限ったことではありませんが、試験対策をするには模試を受けるなど本試験さながらの練習が必要不可欠です。
スタディングでは基本講座でインプットした内容をすぐにアウトプットし、記憶を定着させることができるスマート問題集が用意されています。
オンラインでいつでも利用できるため、スキマ時間を使って本試験レベルの練習が可能です。
問題の内容も過去問を分析することによって、本試験で出題される可能性が高い問題がピックアップされており、着実なレベルアップを目指すことができます。
まとめ
ここでは税理士試験の過去問の重要性や、過去問を使った勉強方法などについて詳しくご紹介しました。それではおさらいしましょう。
- 税理士試験では過去問を使って勉強することが大切
- 過去問を使って勉強することにはさまざまなメリットがある
- 税理士試験にチャレンジするなら学習ツールを使うのがおすすめ
税理士試験は難関試験であり、対策には長い時間がかかります。
それだけに必要最低限のカリキュラムで効率的に勉強することが重要です。
これから税理士試験にチャレンジする方には「スタディング 税理士講座」がおすすめです。
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