弁護士などの士業は資格の維持にかかる費用が高く、大変だという話を聞きました。 税理士もそうなのでしょうか。また、具体的にいくらほどかかるのでしょうか。 |
|
税理士については弁護士ほどではありませんが、やはり資格維持費用がそれなりにかかります。もっとも、費用を払っておくことで生じるメリットもあるので、そこにも目を向けておく必要があります。 |
税理士は税理士会に登録・所属しなければならない
税理士試験の合格者が税理士として登録し、税務に関する業務を取り扱うためには、税理士会への登録が必須の条件になっています(税理士法18条)。
税理士法 第18条(登録)
税理士となる資格を有する者が、税理士となるには、税理士名簿に、財務省令で定めるところにより、氏名、生年月日、事務所の名称及び所在地その他の事項の登録を受けなければならない。
登録の際には必要な書類を提出するほか、登録免許税として6万円、免許税とは別に登録手数料として5万円を、それぞれ納付する必要があります。
(日本税理士会連合会ホームページ *2より)
税理士会の会費
税理士会に入会する際には会費が必要です。毎年概ね10万円〜15万円と言われています。
この会費には大きく分けて2種類あります。
ご自身の所属する「ブロック単位の大きな税理士会の会費」と「支部単位の小さな税理士会の会費」です。
どちらの会費も、金額は会によって微妙に差があり、一律いくらと言うことはできませんので、正確な金額は開業したいエリアをの税理士会に問い合わせる必要があります。
ブロック単位の大きな税理士会、例えば東京税理士会では、入会金として4万円、会館建設費として2万円、年会費として7万5千円(月割りの支払い)になります。
支部単位の小さな小さな税理士会、例えば東京税理士会の日本橋支部で3万6千円、八王子支部で6万円など、支部によって異なります。
税理士会に所属するメリット
現行法上、税理士としての業務を行う者は税理士会に所属しなければならないのですが、所属することによるメリットもあるので、そちらを確認しましょう。
税理士の仕事は「納税義務者の信頼にこたえ」、「納税義務の適正な実現」をすることです。
一方で税務に関する法律や指針などはは毎年改正があり、頻繁に新しい知識を吸収する必要があります。
そこで、知識を更新するのに一番よい方法として税理士会の各種研修制度を利用する方法があります。
税務に関する様々な講義を受講することができ、受講料が無料〜数千円程度と比較的安いのでお得です。
これを活用することで、正しい知識で、顧客の期待に応えることができるようになります。
また、会社員として働いている方が登録を考える場合、税理士という肩書を名乗ることができるので、「クライアントからの対応が変わる」、「より難易度の高い仕事にチャレンジできる」といったメリットがあります。
さらに、別の会社に転職をする際には、税理士として登録をしていることが評価されることもあります。
なお、税理士として業務に就かない場合は、税理士会に登録する必要がありません。
その場合でも、税理士資格合格者としての地位は守られますので、税理士として開業するときに、上述の登録免許税や手数料、会費を支払うことで、税理士の肩書きを得ることができます。
税理士として独立開業する際にかかる費用は?
税理士として独立開業するのであれば、登録費用だけでなく、開業費用も必要になります。
開業時にかかる準備費用
独立した税理士として仕事を行うには、一般的に以下のような初期投資が必要になります。
- 税務会計ソフトの購入費用
- ホームページや名刺を作成するなどの営業ツールに関する費用
- 事務所に関する費用(家賃、敷金等)
- プリンタ・FAXなどの事務機器や必要に応じてデスクや来客用の応接テーブルなどの費用
開業後にかかる維持費用
開業後の費用で一番負担感があるのは「家賃」だそうです。
毎月何をおいてもまず、事務所の賃料を支払う必要があります。居住専用のマンション等に比べ、事務所として使用できるスペースは賃料も少し高くなる傾向にあります。
具体的な家賃相場は開業する地域によりますが、例えば都内の港区では15~25万円ほどが相場のようです。「レンタルオフィス」であれば、場所によりますが月5万円程度で借りることもできます。
まとめ
- 税理士登録:11万円(登録免許税として6万円、免許税とは別に登録手数料として5万円)
- 税理士会入会費:3~5万円程度
- 税理士会費:約10~15万円/年(ブロック単位の税理士会費、地域単位の支部費の合算)
- 開業準備費:最低100万円ほど(税務会計ソフト、ホームページ、名刺、物件の初期費用、什器類など)
- 事務所維持費:事務所間借りで約15~25万円/月、レンタルオフィスで約5~10万円/月 加えて、その他通信費や交通費など。
自宅開業するのか事務所の間借りを行うのか等によって、費用は大きく変わってきます。
弁護士や行政書士、医者のように、資格取得後すぐに独立せず、事務所やファームで実務経験を積み、給与をもらいながら活躍し、その後勤務先でデスクを間借りし独立準備を経て、独立開業されるケースも多いようです。
(出典・リンク)
* 2 日本税理士会連合会ホームページ