
35歳から税理士を目指すのは遅いと思われがちですが、税理士試験の合格者は31歳以上が全体の4割以上を占め、現役税理士の多くも40代以上です。
税理士資格を取得できれば、キャリアアップや将来的な独立も視野に入るでしょう。
本記事では、35歳から税理士を目指すことの難易度や合格後のキャリア、合格者の体験談をご紹介します。
税理士資格への挑戦を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。
35歳で税理士を目指すことは十分可能!
税理士試験は31歳以上の合格者が多く、現役税理士の大半が40代以上であることから、税理士は35歳からでも十分目指せる資格だと言えます。
税理士試験の合格者と現役税理士の年齢層、取得後の転職先について詳しくご紹介します。
試験合格者は31歳以上が4割以上
税理士試験の受験資格に年齢制限はありません。
次の表は令和6(2024)年度税理士試験の年齢別の結果です。
| 年齢 | 受験者 | 合格者 | 一部科目合格 | 合格者合計 | 合格率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 41歳以上 | 11,543人 | 229人 | 743人 | 972人 | 8.4% |
| 36〜40歳 | 4,668人 | 104人 | 565人 | 669人 | 14.3% |
| 31〜35歳 | 4,990人 | 103人 | 784人 | 887人 | 17.8% |
| 26〜30歳 | 5,775人 | 94人 | 1,037人 | 1,131人 | 19.6% |
| 21~25歳 | 6,255人 | 47人 | 1,464人 | 1,511人 | 24.2% |
| 20歳以下 | 1,526人 | 1人 | 591人 | 592人 | 38.8% |
| 合計 | 34,757人 | 578人 | 5,184人 | 5,762人 | 16.6% |
試験合格者のうち、31歳以上が43.9%で4割以上を占めています。
この結果を見ると、35歳から税理士試験に合格することは十分可能と言えます。
ただし、受験は早ければ早いほどよいでしょう。
5科目全てに合格するには、3〜5年ほどかかると言われているからです。
また、税理士として登録するためには2年間の実務経験も必要です。
将来的なキャリアを考えれば、早めに挑戦を開始し、科目合格制度をうまく利用しながら資格取得を目指すのがよいでしょう。
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現役税理士は40代以上が大半
試験の合格者だけでなく、現役税理士のデータを見ても大半が40代以上となっています。
以下のグラフは、税理士会が公開している税理士の年齢別データです。

上記によると、20代の税理士は全体のわずか0.6%、30代も10%程度です。
40代以上が大半を占める背景には、税理士には定年がないことが挙げられます。
開業税理士の場合、顧客は自社の経営状況を把握している税理士と長期契約を望む傾向にあるため、高齢でも仕事を続けられることが多いです。
また、前述の通り、40代を超えて税理士を目指す方が多いことも、平均年齢が高い理由の一つです。
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転職も可能!ただし一定の専門性や実務経験は求められる
税理士になった後には転職も可能で、主な転職先は税理士法人から会計事務所、一般企業までさまざまです。
ただし、年齢によって求められるスキルが変化する点は、他の職業と同じです。
35歳以上になると、マネジメント経験や専門知識が求められます。
税理士が難関資格とはいえ、資格を持っているだけなら若い人の方が長く活躍できると考えられるからです。
税務の実務経験がない場合は、過去のマネジメント経験や業界経験と資格を掛け合わせるのがよいでしょう。
即戦力として扱ってもらえるよう、これまでのキャリアで培ってきた知識・経験をうまくアピールすることが大切です。
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35歳で税理士試験に合格したあとのキャリアは?
晴れて税理士試験に合格した後は、税理士登録を目指すほかに、一般企業などで専門知識を生かした働き方も可能です。
経験を積んだのち、独立開業するのもよいでしょう。
以下、3つのパターンをご紹介します。
- 現在の職場で専門性を生かす
- 税理士事務所などに転職する
- 経験を積んだあとに独立する
現在の職場で専門性を生かす
すでに知識を生かせる仕事に就いているならば、業務に専門性を生かしましょう。
税理士の資格を取得すると、税理士事務所や会計事務所だけでなく、市町村役場、一般企業など、幅広いフィールドで活躍できます。
一般企業の場合でも、会計や簿記の知識を備えていることから、経営・財務戦略の立案で重要な存在となります。
税理士としての専門性を生かしながら、自分に合った働き方を選ぶことが可能です。
税理士事務所などに転職する
税理士として登録するには、租税または会計に関する事務で2年以上の実務経験が必要です。
税理士事務所などに転職して、実務経験を積みましょう。
実務経験となる業務として、租税に関する事務は、税務署や企業などでの税務に関する業務を指します。
会計に関する事務は、企業での会計帳簿の作成、仕訳帳や総勘定元帳の作成・仕分けなどが実務経験とみなされます。
ただし、上記のような業務に携わっても、会計ソフトに数値を入力するだけでは実務経験と認められません。
税理士事務所に転職し、実務経験を積めばそのまま税理士としての活動が可能になるでしょう。
経験を積んだあとに独立する
税理士としての登録後、税理士事務所などで経験を積み、将来的に独立開業するのも一つの選択肢です。
独立に向け、実務能力を身につけるだけでなく事務所の運営方法を学んだり、顧客とのコミュニケーションの仕方を習得したりすることが大切です。
また、この期間に開業資金を貯めておくことも大切です。
開業時の必要経費だけでなく、軌道に乗るまでの数カ月分の生活費も蓄えておきましょう。
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35歳でも税理士合格は可能!参考になる体験談を紹介
オンラインで学べる「スタディング 税理士講座」にも、35歳またはそれ以上の年齢で合格をつかんだ方がいます。
ここでは、仕事や育児と両立しながら合格されるまでの体験談をご紹介します。
同世代で受験を検討されている方はぜひ参考にしてみてください。

もさパパさん
2023年合格
(簿財2科目)
通勤時間と会社の昼休みを利用して効率的に勉強。スタディングだけをフル活用して、仕事、育児を両立しながら、簿記論・財務諸表論を同時合格することができました。
私は昨年の8月から税理士試験の勉強を始めましたが、同時に子どもが生まれ、土日は育児を中心にしていたので、通勤時間が主な勉強時間でした。
通勤時間が往復3時間超と長かったこともあり、行きは主に動画講義視聴・理論暗記ツール・AI復習問題などに取り組み、帰りは職場でのPC使用で目が疲れていたので、理論暗記ツールを音声のみで聞き、目を休めながら勉強していました。理論ははじめ呪文のように感じましたが、音声を何回も聞いていると不思議と頭に入っていきました。
昼休みは1時間のうち20分ほどで食事を済ませ、残りの40分は問題を解くことにあてました。机に向かう時間を中々とれなかったので、昼休みの40分は貴重な演習時間でした。
4月上旬までに簿財ともにスタディングの基本講座を一周し、直前期はひたすら演習にあてました。時間を確保するため、外回りのスキマ時間や就業前を利用して机に向かう時間を増やしました。本試験は2時間のため「いかに2時間を確保するか」を常に考えて生活していました。
特に簿記論は過去問をやり始めた際、30点~40点ほどしか取れずかなり落ち込みましたが、何度か繰り返し解いていくうちに類似問題を解けるようになり、スピードも正確性もあがっていきました。特に本試験第2問で出題された外貨建金銭債権債務は直前答練で繰り返し説いていたため「きた!」と思い、この問題をある程度解けたことが合格につながったと思います。初見ではほとんど解けなかったので「中村先生ありがとう…」と心の中で呟きながら解いていました。精度の高い答練をご用意いただき、本当にありがとうございます。
現在は消費税法を勉強しています。これからもスタディングを利用し、合格科目を一つずつ増やしていきたいと思います。

たいちゃんのママさん
2021年合格
(財務諸表論)
【勉強で心がけたこと】
計算
①満点を取るのではなく、時間内に一点でも多く得点することを意識しました。②過去問を解く
理論
①誰もが書けるであろう論点は確実に覚える。
②曖昧な知識を100個ではなく、50個を確実に書けるようにする。
私は、仕事をしつつ、5歳の子供の子育てをしつつの受験だったので、とにかく時間がありませんでした。
2時間というまとまった時間を確保することが出来ないので理論20分、計算90分と決めて分けて解いていました。
講義はダウンロードして、移動時間に聞いていましたが、1講義の時間が短いので、隙間時間に終わらせることが出来て良かったです。
マイノートの機能がとても便利でした。
時間のない中でも、効率的に勉強することが出来て、合格に繋がったと思います。
本当にありがとうございました!

JJさん
2020年合格
(簿財2科目)
最初に税理士試験に挑戦しようと思ったのは26歳の時でした。
約1年かけて勉強をしたにもかかわらず、当日、仕事の都合で受験そのものができず、とても悔しい思いをしたのを今でも覚えています。
それから14年。40歳の誕生日に新しいことに挑戦したいと思ったとき、前回挑戦すらできなかった税理士試験に再度挑戦したいと思いました。
(私はもともと国税局で約11年勤務しており、税法科目は免除対象ですので、簿記論、財務諸表論の2科目合格で、税理士試験合格となります。)
講義やスマート問題集を活用しつつ、市販の問題集を制限時間を意識して繰り返し取り組みました。間違えた問題や理解が不足している事項に関してのみ、講義に戻って復習するという形式をとり、できるだけ問題に取り組む時間を割くようにしました。
正直、試験当日は簿記論、財務諸表論いずれについても想定外の問題が出たので、焦りもしましたが、結果的に両科目とも合格することができました。
まとめ
今回は35歳から税理士を目指すことの難易度や合格後のキャリア、合格者の体験談を紹介しました。
- 税理士試験の合格者は31歳以上が4割以上を占め、現役税理士も大半が40代以上
- 35歳からの税理士試験合格は十分達成できる
- 試験合格後は、一般企業で専門性を生かす、税理士事務所で実務経験を積む、将来的に独立すると言った選択肢がある
- 転職を狙う場合は、マネジメント経験や業界経験をうまくアピールするとよい
35歳から税理士を目指そうと思っても、毎日忙しく、まとまった勉強時間を確保できないという方も多いでしょう。
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