結論から言うと、税理士試験の全科目に独学で合格するのは極めて厳しいでしょう。
独学が難しい理由は、主に次の2つです。
税理士試験は科目合格制で、合格した科目数が5科目に達すると試験合格(官報合格)となります。
5科目は、必須科目、選択必須科目、選択科目から所定のルールに沿って選びます。
必須科目(会計科目) | 必ず合格する必要がある | 簿記論
財務諸表論 |
選択必須科目(税法科目) | いずれか1科目を必ず。2科目選択も可能 | 法人税法
所得税法 |
選択科目(税法科目) | いずれかを選択 | 相続税法
消費税法法または酒税法 固定資産税 国税徴収法 住民税または事業税 |
各科目で独学の際に難しいポイントは、下記のとおりです。
▼【必須科目】簿記論
ほぼすべてが計算問題で、正確で素早い計算能力が求められます。
また、出題ボリュームが非常に大きいので、難問を飛ばすテクニックも必要です。
たとえ日商簿記の勉強をした経験がある人でも、テーマや難易度が大きく異なるため、勉強をやり直す必要があります。
▼【必須科目】財務諸表論
計算問題と理論問題が半々で、理論問題には論述式の問題があります。
会計に関する考え方を理解するとともに、限られた文字数でアウトプットする訓練が必要となります。
▼【選択必須科目・選択科目】その他税法科目
大学で税法を学んだ経験がある人や、職場で普段から税法に触れている人でない限りはかなり難しいでしょう。
税法科目に関する市販の書籍はありますが、スクールでの講義を受けた上で使うケースを想定されたものがほとんどです。
そのため解説も難解な文章が多く、独学で理解するには厳しい内容で、書籍だけを使って学びたい人向けとは言えません。
また、マイナーな税法科目に関する書籍は、あまり多く出版されていません。
税理士試験は、3〜5年など複数年をかけて試験合格(5科目合格)を目指すのが一般的です。
合格に必要な勉強時間は、選択する科目によって異なります。
たとえば、必須科目の簿記論と財務諸表論に加えて、法人税法、相続税法、国税徴収法を選択した場合、勉強時間の目安は合計2,100時間程度です。
年間では、600〜900時間の勉強を3年続けることになります。1日あたりの勉強時間にすると2〜3時間です。
働きながら税理士を目指す場合、毎日2〜3時間の勉強時間を確保することは、すべての受験生にとって大きな課題となります。
特に独学者の場合、1人で勉強に取り組んでいるので長期的なモチベーションの維持が難しく、合格までの高いハードルとなっています。
【あわせて読みたい】税理士試験の勉強時間・勉強法は?2〜3年で合格する受験プラン
オンライン通信講座「スタディング 税理士講座」を受講して税理士試験に合格した人の中には、かつて独学で挑戦したものの失敗してしまった人が少なくありません。
独学で失敗した理由について、必須科目の理解の難しさ、勉強時間の確保とモチベーションの維持を挙げる声が多くみられます。
kk70さん 2021年合格
まずは独学で本を読んでみましたが、あっという間に壁にあたりました。言葉一つ一つの意味や読み方から始めないといけないため、とても効率が悪かったんです。
MOMOさん 2021年合格
最初は独学で簿財の勉強をスタートしたのですが、会計理論の内容がどうも理解しづらく苦労していました。
YOさん 2019年合格
独学で勉強し始めた時には、市販のテキストで、まず簿記論から一通り勉強をして、次に財務諸表論……という風に取り掛かりましたが、理解にとても時間がかかり、効率が悪かったです。
中西 俊博さん 2022年合格
数年前は全くの独学で問題集を見ながら受験しましたが全然時間が足りませんでした。
松下さん 2022年合格
仕事をしながらだと独学ではなかなか集中して勉強できなかったり、ついついサボってしまったりして4回受験して不合格が続いていました。
わらびもちさん 2022年合格
独学の時はモチベーションの維持が難しかったですが、スタディングを通して他の受験生の方を見ることで維持することが出来ました。
税理士試験の難易度を把握するには、科目ごとの合格率が目安となります。いずれの科目の合格率も、例年10〜20%程度です。
科目 | 合格率
令和4年度 |
配点(例年) | 勉強時間(目安) | ||
理論 | 計算 | ||||
必須 | 簿記論 | 23.0% | 0% | 100% | 450時間 |
財務諸表論 | 14.8% | 50% | 50% | 450時間 | |
選択必須 | 所得税法 | 14.1% | 50% | 50% | 650時間 |
法人税法 | 12.3% | 50% | 50% | 650時間 | |
選択 | 相続税法 | 14.2% | 50% | 50% | 450時間 |
消費税法 | 11.4% | 50% | 50% | 300時間 | |
酒税法 | 13.2% | 40% | 60% | 150時間 | |
国税徴収法 | 13.8% | 0% | 100% | 150時間 | |
住民税 | 17.2% | 50% | 50% | 200時間 | |
事業税 | 14.1% | 50% | 50% | 200時間 | |
固定資産税 | 18.4% | 50% | 50% | 250時間 |
合格基準は、各科目で「満点の60%」とされていますが、実際は、上位10〜15%が合格する相対評価による競争試験となっています。
ここまで見てきたように、税理士試験に独学で合格するのはかなり難しいといえます。
それでも「仕事やプライベートが忙しいから、好きな時間・好きな場所で勉強したい」という方は多いでしょう。
そこで独学合格を目指す人に向けて、勉強方法の7つのコツを解説します。
(1)出題範囲を「狭く濃く」勉強する (2)視覚・聴覚も使って覚える (3)徐々にレベルを上げて解答力を高める (4)スキマ時間の活用で勉強時間を確保する (5)問題・過去問は「解き方を覚える」ために活用する (6)試験本番を想定して練習する (7)最後まで諦めずに勉強を続ける
これらをすべて実現するには、独学サポートツールとしてオンライン通信講座「スタディング 税理士講座」を活用するのがおすすめです。
では、勉強方法7つのコツとスタディングでできることを1つずつみていきましょう。
税理士試験は試験の出題範囲が非常に広く、必要な知識量も膨大。しかも制限時間内に全問を解ききれないほど出題数が多いことも特徴です。
合格するには、持っている知識の幅広さよりも、限られた時間で正確に計算できることや学んだ理論を使い答案で的確に解答できることが求められます。
そのため、広く薄くではなく、本当に使える知識だけを狭く濃く勉強することが重要です。
スタディングでは、合格に必要なアウトプットから逆算した最小限の範囲を短時間で学習できます。
オンライン動画講義は、テキストを読み上げる講義を収録しただけの動画とは異なり、情報番組のような分かりやすい内容です。
1講座あたり30〜60分程度のため、繰り返しの復習がしやすく、効率的に知識を定着させることができます。
動画には倍速再生機能があるため、復習の時間短縮も可能です。
また、インプットをしたあとは、関連する問題演習や理論暗記が最適な順番で提示されるので、最短ルートで学習を進められます。
独学の場合は市販のテキストを利用するのが一般的ですが、テキストを読んでひたすら丸暗記をしようとしても、頭にはほとんど残りません。
短期間で合格する人は、知識を定着させるために、こんな工夫を取り入れています。
視覚と聴覚を両方刺激してエピソード記憶が促されると、単にテキストを読むだけよりも覚えやすく、忘れにくくなります。
さらに問題演習を繰り返し行うことで、「身体が覚える」感覚が身につくのです。
スタディングの動画講義では、わかりづらい条文や制度を視覚的なイメージに置き換え、音声で聴覚的な説明をしています。
動画講義の受講後は、学んだ範囲の問題演習をスマホですぐに行えるので、身体的感覚を使って記憶を定着させることができます。
また、覚えるべき箇所があらかじめ赤枠で塗りつぶされている理論暗記ツールを使えば、クイズ感覚で重要な箇所を効率的かつ集中的に暗記できます。
税理士試験に合格するには、基本的な知識のインプットは早めに終えて、問題や過去問を解くアウトプットの練習をたくさん行うことが重要です。
ただし、勉強を始めたばかりの人がいきなり本番レベルの問題に挑戦するのは非常に難しく、無理があるでしょう。
まずは基礎的な内容から始めて、レベルを計画的に上げていく必要があります。
スタディングの学習の手順は、各論点の基本的なインプットは動画の視聴で短時間で済ませ、関連する問題にすぐに取り組めるようになっています。アウトプットを重視した学習が可能です。
また、「動画講義」→「スマート問題集」→「トレーニング」→「テーマ別演習」→「実力テスト」とステップアップしていく流れで、解答力が身につくカリキュラム設計となっています。
前述のとおり、税理士試験の独学では勉強時間の確保が大きなハードルとなります。
「勉強」については、学生時代の名残で「机に向かって行うもの」という思い込みがある人も多いでしょう。
しかし、理論の理解や暗記、ちょっとした計算の解答や解法の確認などであれば、スキマ時間を使って場所を問わず勉強できます。
スタディング税理士講座は、動画講義の視聴と講義内容に対応した問題演習がスマホでできるため、いつでもどこでも学べます。
動画講義は1講座30〜60分程度で、内容ごとにチャプターが分かれているため細切れの時間でも受講しやすくなっています。
問題演習もわざわざ机に問題集やノートを開く必要がなく、スマホで親指1本で取り組めます。
こうしてスキマ時間を使って勉強を積み重ねていけば、まとまった時間がなくても合格ラインの実力が身につけられるのです。
あなたは、資格試験の過去問について次のような考えを持っていませんか?
「解説は読まずに繰り返し解いて、自分の実力で解けるようになるべき」
「レベルが高くて怖いから、試験直前まで取っておこう」
実はこれは、なかなか合格できない人の考え方です。
一方、短期間で合格する人は「問題・過去問は解き方を覚える教材だ」と考えています。
間違えても解説を読んですぐに知識を吸収し、次に似た問題が出たときに解けるようにしておけばいい、というスタンスなので、基本的なインプットをしたらすぐに問題演習に挑戦します。
間違いを恐れず、合格に必要な解答力をつけることを重視しているのです。
スタディングのスマート問題集は、練習モード、復習モード、本番モードという3つの方法で解くことができます。
練習モード | 解いた直後に正解と解説を表示。わからない問題に時間をかけずに解き方を覚えられる。 |
復習モード | 前回間違った問題や「要復習」に印をつけた問題だけ出題。間違った問題や理解不足の問題をつぶせる。 |
本番モード | 試験本番と同様の形式で出題。全問を制限時間内に解く練習ができ、最終チェックや仕上げが可能。 |
モードの使い分けができるので、解き方を覚えるために解いたり、実力の確認のために解いたりと、問題をフル活用して得点力を高めていけます。
税理士試験では制限時間ギリギリまで問題を解く場合が多く、大半の受験生が解けないであろう難しい問題も含まれています。
そのため、難しい問題は飛ばして基礎的な問題から解答していくという判断が必要です。
本試験レベルの演習を積み重ね、税理士試験の性質をよく理解しておきましょう。
そうすることで、試験本番でもあせらず、合格ラインに到達できるのです。
スタディングでは、税理士試験の対策に役立つ各種の試験ノウハウを、無料のセミナー動画やPDF冊子などで紹介しています。
また、動画講義やスマート問題集のあとには、トレーニング、テーマ別演習、実力テストと徐々にレベルを上げた問題演習ができるため、本番に向けて充実した練習を行えます。
コンプリートパックやアドバンスパックの直前対策講座では、答練・過去問演習の講座で、出題される可能性の高い重要テーマに絞った試験対策が可能です。
加えて、定期的にメルマガで、時期に合わせた過ごし方や準備方法もお知らせしています。
試験当日まで、準備や対策の参考になるはずです。
試験に合格できない最大の要因は、勉強を途中でやめることです。
勉強さえしていれば必ず合格できるわけではありませんが、最後まで続けた人はそれだけでも合格の確率がかなり高くなります。
また、成績がなかなか上がらず挫折する人も少なくありません。
これに対する解決法は、「小さな一歩を積み重ねる」という方法が有効です。
スタディングは、スキマ時間にスマホで勉強できるように作られているので、忙しい人も続けやすいことが特徴です。
また、講座を毎日クリアしていくことで小さな成功体験を積み上げやすく、継続のモチベーションを高めやすくなっています。
練習問題では前回からの伸びや全国平均との比較が毎回表示されたり、学習レポートでは毎日の学習時間や講座の完了数が確認できたりするので、これまでの学習の積み重ねも実感しやすいでしょう。
加えて、スタディングには「勉強仲間」機能という登録者専用のSNSがあり、受講生から「モチベーション維持に役立つ」と好評です。
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ここまでは効果的な勉強方法を解説してきましたが、最後に試験の制度にも着目しておきましょう。
冒頭で述べたとおり、試験に合格して税理士になるには、原則として5科目の合格が必要です。
しかし、実は5科目も受験しなくてもいいルートというものがあります。
税理士試験には大学院出身者を対象に一部科目を免除する制度があり、要件を満たせば少ない科目数での受験で試験合格(官報合格)を達成できます。
試験合格までの長丁場を数年短縮できる可能性が出てくるので、対象者は有効に活用したい制度です。代表的な例は下記のとおりです。
<修士の場合>
大学院で会計系あるいは税法系の修士論文を執筆し、学位を得る
+
税理士試験を受験し、取得した学位に関する科目に1科目以上合格する
↓
取得した学位に関する残りの科目が免除される
税理士試験の免除制度については、下記記事でより詳しく解説しています。
【あわせて読みたい】税理士試験が免除されるって本当?免除の条件を分かりやすく解説
最後に独学で税理士試験を目指す場合のよくある質問にお答えします。
税理士試験は年1回実施されていて、日程は例年8月上旬〜中旬の平日3日間です。
日程は3日間ですが、受験生が各自でその年に予定している科目だけ受験することになり、試験時間は1科目につき2時間です。
合格発表は例年11月下旬〜12月中旬となっています。
最新の試験日程についてはこちらの記事で解説しています。
【あわせて読みたい】税理士試験|令和5年度(第73回)のスケジュール
税理士試験は、令和4年税理士法改正により、令和5年度(2023年度)試験から受験資格の要件が大幅に緩和されます。
ポイントは2つです。
詳しくはこちらの記事で解説しています。
【あわせて読みたい】税理士試験の受験資格を分かりやすく解説
税理士資格を取得するメリットには、次のようなものがあります。
詳しくはこちらの記事で解説しています。
【あわせて読みたい】税理士になるとどんなメリットがある?
税理士になるには、試験合格以外にも「2年以上の実務経験」が必要となります。
税理士登録に必要な実務として認められる具体的な業務は、下記のとおりです。
▼租税に関する事務
税務署、その他の官公署、企業などでの税務に関する業務です。
ただし、税を扱う部署に所属していたとしても、簡単な事務内容の場合は実務経験とみなされません。
▼会計に関する事務
一例となりますが、企業において以下のような業務を行っていた場合は、実務経験とみなされます。
ただし、単に会計ソフトに数値を入力するだけの業務は、実務経験とは認められません。
「経理や会計の内容を把握して行う業務」と認められる内容のみが、実務経験の年数に加算できるのです。
【あわせて読みたい】【税理士登録】要件・実務経験の計算方法・費用・必要書類は?流れを解説
今回は、税理士試験の概要や勉強方法、独学ツールなどをご紹介しました。
税理士試験は簡単に合格できる試験ではありませんが、忙しい人でもスキマ時間を活用して勉強を続ければ、合格ラインに到達することは可能です。
あなたのライフスタイルに合った勉強方法を取り入れて、徐々に得点力を身につけていきましょう。