税理士登録をした後に税理士法人で働く場合、どのような業務に従事することになるのでしょうか。 | |
税理士法人で働く税理士には、税理士法上の税務に関する業務のほか、経営コンサルタントとしての役割も求められます。 また、特に大手税理士法人ともなると、国際税務の仕事も任されるようになるため、英語力を活かして国際的な活躍もできます。 |
同じ意味で用いられることのある税理士法人と税理士事務所ですが、ちゃんと違いがあります。
それは、税理士法人が「法人」という事業形態のもと通常2人以上の税理士(及びスタッフ)で経営されるのに対し、税理士事務所は1人の税理士(及びスタッフ)による個人事業主です。そのため、税理士法人の上げた収益には法人税が課せられるのに対し、税理士事務所の上げた収益には所得税が課せられます。また、税理士法人は支店を展開できるのに対し、税理士事務所は1箇所でのみ営業を行うことになります。
もっとも、税理士法人と税理士事務所とでは、行うことのできる業務内容に違いはありません。
8:30 | 事務所に出勤。顧客や関与先からのメールをチェックし、一日の予定をおおまかに立てる。緊急の案件が入れば、それまでの予定を柔軟に調整していくことも。 |
9:00 | 事務所内のミーティング。出勤してきた上司やスタッフに伝達事項を伝えたり、様々な確認作業を行う。 |
9:30 | 外勤。クライアントを訪問し、税務書類の作成などについて打合せを行う。 |
12:00 | ランチ。時間に余裕があれば外食をすることもあるが、忙しくコンビニ弁当を買って事務所に戻って済ませることも多い。 |
13:00 | 内勤。税務書類の作成。スタッフから業務内容について質問を受けたりして作業が中断することもよくあるので、集中力を上げて取り組む必要がある。 |
16:00 | 再び外勤。新しく顧問先になってくれそうな新興企業への営業活動。自分の事務所を魅力的に感じてもらえるよう、コミュニケーション能力が大事。 |
18:30 | 事務所に戻る。再度メールチェックを行い、すぐに対応できるものは返信して退勤。 |
税理士法人は税理士事務所と異なり2人以上の税理士が勤務する経営形態です。そのため、事務所を円滑に運営していくにあたり他の税理士との密な連携が必要となる場面も出てきます。特に比較的大規模な企業の組織再編税制に関する業務など、より複雑な仕事はミスを防ぐため複数の税理士で携わることもあります。
また、経営パートナーの税理士ともなれば、アソシエイト税理士に給与を支払う立場として税理士法人の経営者としての役割を求められます。まさに一企業の社長と同じ立場になるわけですね。
大手税理士法人は海外進出をする企業をクライアントとすることもあり、国際税務の問題に対応することも、大手税理士法人の重要な業務です。
国際税務とは、国境を越えたモノやお金の取引が行われる場合に、その取引から生じた所得についてどちらの国の法律で課税されるか、あるいは両国の法律で二重に課税されてしまうか、という問題に対処する業務です。
こうした案件に税理士として携わり仕事を行うためには、当然のことながら取引相手の国の税法について熟知しなければなりません。そのため英語や中国語など、語学力を身につけることが求められます。
国際税務の問題は規模が大きいため、大手税理士事務所の複数の税理士がチームを組んで対応することもあります。そのため同僚の税理士と密に連携するために、コミュニケーション能力が重要であることは、大手でない普通の税理士法人と変わりありません。
もっとも、業務の規模が大きい分、仕事をやり遂げたときの達成感は大きいです。また、それに見合うだけの高収入も見込めるので、大手税理士法人への就職は現在も人気があります。