税理士試験の消費税法とはどういう科目か教えてください。 | |
国税である消費税に関して、課税の対象、納税義務者、税額の計算方法、申告・納付など各種の事項について定められた法律です。消費税は、商品・製品の販売やサービスの提供などの取引に対して課税される税で、消費者が負担し、事業者が納付します。法人税法・相続税法などに比べると学習範囲が限られる一方、実務での必要性は高いこともあり、税法科目の中では最も人気の高い科目です。2019年10月の消費増税や軽減税率の導入に伴い、社会的な関心も高まっています。 |
消費税法とは
国税である消費税に関して、課税の対象、納税義務者、税額の計算方法、申告・納付など各種の事項について定められた法律です。消費税は、商品・製品の販売やサービスの提供などの取引に対して課税される税です。消費者が負担し、事業者が納付することから、担税者(消費者)と納税義務者(事業者)が異なるため、間接税に分類されます。なお、所得税・法人税・相続税などは、担税者が自ら税金を納付するため、直接税に分類されます。
消費税法は、法人税法・相続税法などに比べると学習範囲が限られる一方、実務での必要性は高いこともあり、税法科目の中では最も人気の高い科目です。2019年10月の消費増税や軽減税率の導入に伴い、社会的な関心も高まっています。
税理士試験の消費税法の特徴
理論・計算がいずれも50点で合計100点満点の試験です。理論では、消費税法の各種規定(意義、要件、計算方法を含む)を説明させる問題や、事例形式の問題が出題されています。個別理論のほかに、複数の規定に関する応用理論として出題される場合もあります。 近年では、直近の改正論点が取り上げられる傾向にあるほか、解答量も多く、深い知識と解答のスピードが要求されます。
計算では、事例に基づく総合問題が出題されています。各種取引が与えられ、納税義務の判定に加え、課税標準額に対する消費税額、控除対象仕入税額、納付すべき消費税額などを計算させる問題が出題されています。各種取引の区別、仕入税額控除、簡易課税制度などの知識とともに、売上・仕入の集計も求められるため、素早く正確に計算するスキルも必要です。
特に、消費税の課税・不課税・非課税・免税の区別に関する知識は、理論・計算ともに必須です。各種取引について、消費税の課税取引、課税対象外(不課税)取引、非課税取引、免税取引の判定を適切に行えるようにしておく必要があります。
計算では、事例に基づく総合問題が出題されています。各種取引が与えられ、納税義務の判定に加え、課税標準額に対する消費税額、控除対象仕入税額、納付すべき消費税額などを計算させる問題が出題されています。各種取引の区別、仕入税額控除、簡易課税制度などの知識とともに、売上・仕入の集計も求められるため、素早く正確に計算するスキルも必要です。
特に、消費税の課税・不課税・非課税・免税の区別に関する知識は、理論・計算ともに必須です。各種取引について、消費税の課税取引、課税対象外(不課税)取引、非課税取引、免税取引の判定を適切に行えるようにしておく必要があります。
なお、2020年度(令和2年年度)第70回試験の消費税法の受験者数は6,261人でした。
科目の中では、会計科目2科目(簿記論10,757人、財務諸表論8,568人)に次いで多く、税法科目の中では最も多い人数です。
※同年の受験者数は、法人税法3,658人、相続税法2,499人、所得税法1,437人でした。
消費税法の標準学習時間
約300時間が標準学習時間となります。ただし、この時間はあくまでも合格レベルに到達するための学習時間の目安です。たしかに、法人税法・所得税法・相続税法に比べ、覚えるべき理論のボリュームが多いとはいえず、標準学習時間が長い部類には含まれません。しかし、それはどの受験生にも共通の条件です。合格レベルに近づくために必要な時間数は多くないとはいえ、他の受験生から一歩抜け出すためには、学習に更なる努力と工夫が必要です。
消費税法の合格率と難易度
税理士試験の消費税法の合格率は下記の通りです。
税理士試験の合格ラインは、建前上「満点の60%以上」とされていますが、税法科目の場合、受験者の上位10~15%が合格するという競争試験です。年によって合格率の上下はありますが、一定範囲の合格率で推移しています。
税理士試験の合格ラインは、建前上「満点の60%以上」とされていますが、税法科目の場合、受験者の上位10~15%が合格するという競争試験です。年によって合格率の上下はありますが、一定範囲の合格率で推移しています。
令和2年(2020年) | 12.5% |
令和元年(2019年)
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11.9%
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平成30年(2018年)
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10.6%
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平成29年(2017年)
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13.3%
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平成28年(2016年)
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12.9%
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平成27年(2015年)
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13.1%
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平成26年(2014年)
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10.3%
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次に難易度の面では、理論の出題は比較的シンプルですが、出題内容に対し重要な論点をもれなく解答する必要があります。計算では各種取引の区分(課税・不課税・非課税・免税)とともに、売上・仕入の金額を集計して、税額を算出することから、集計のスキルも求められます。法人税法・所得税法・相続税法に比べると、学習ボリュームが多くないという利点がありますが、同様に考える受験生が集まりやすくなります。理論・計算ともに、他の受験生より精度の高い答案が求められることも頭に入れておきましょう。
消費税法 短期合格勉強法
消費税法は、理論の正確な理解と計算のスピード・解答力が問われる試験です。したがって、以下の項目と順番で学習するのがおすすめです。
◆論点の概要を理解する(完璧にするのではなく、まず全体像をつかむ)
◆簡単な例題を解いてみる
→個別の理論の確認
◆少しまとまった分量の問題(実際の本試験問題でなくても可)を解いて、内容理解を深める →どういう形で出題されるか?を理解する
<次のテーマに進む>
◆しばらくしてからもう一度問題練習をして、定着しているか確認する
→定着していない場合は、復習して繰り返し学習で記憶に定着させていく
◆本試験レベルの問題で実力をチェックする(どこで間違えたか・忘れていることなど)
→復習する
◆本試験レベルの問題を本試験と同様に時間を決めて解く練習をする
→復習する
このように、繰り返し練習をして、理論の正確な理解と計算のスピード・解答力を積み上げていくのが消費税法攻略の近道です。
消費税法については、まず一通り理論・計算の基本論点を学習し、理解を深めるとともに、問題練習を通じて知識を定着させていくのが良いでしょう。 特に、各種取引につき、課税・不課税・非課税・免税を確実に区分できるようにしておく必要があります。消費税法においても、他の税法科目と同様に、理論と計算の学習は連動しています。つまり、理論をしっかりと理解しておけば、計算も解答しやすくなり、また、さまざまな事例の計算問題にあたっておけば、理論も理解しやすくなります。お客様から消費税を預かるお店の事業主になったつもりで学習にあたると、消費税法の理論・計算ともに理解しやすくなり、短期合格の可能性も高まるでしょう。