
税理士試験の消費税法とは、国税である消費税に関して、課税の対象、納税義務者、税額の計算方法、申告・納付など各種の事項を定めた法律です。
消費税法は、法人税法・相続税法などに比べると学習範囲が限られる一方、実務での必要性は高いこともあり、税法科目の中では最も人気の高い科目です。
この記事では、税理士試験の消費税法について解説します。
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消費税法とは
消費税法とは、国税である消費税に関して、課税の対象、納税義務者、税額の計算方法、申告・納付など各種の事項を定めた法律です。
消費税は、商品・製品の販売やサービスの提供などの取引に対して課税される税です。
消費者が負担し、事業者が納付することから、担税者(消費者)と納税義務者(事業者)が異なるため、間接税に分類されます。
なお、所得税・法人税・相続税などは、担税者が自ら税金を納付するため、直接税に分類されます。
消費税法は、法人税法・相続税法などに比べると学習範囲が限られる一方、実務での必要性は高いこともあり、税法科目の中では最も人気の高い科目です。
インボイス制度の導入などに伴い、社会的な関心も高まっています。
税理士試験における消費税法の位置づけ
消費税法は、税理士試験における選択科目の一つです。
税理士試験では、必修科目である簿記論・財務諸表論に加え、税法から3科目を選ぶ必要があります。
消費税法はその「税法」に含まれ、選択科目として選ぶかどうかは受験者次第です。
| 必須科目 2科目とも合格が必要 | 会計科目 | 簿記論、財務諸表論 |
| 選択必須科目 どちらか1科目以上合格が必要 | 税法科目 | 所得税法、法人税法 |
| 選択科目 残りの科目から選び、合計で5科目になることが必要 | 相続税法、消費税法または酒税法、国税徴収法、住民税または事業税、固定資産税 |
消費税法は比較的人気が高く、実務での需要も大きいため、多くの受験生が選択しています。
消費税はあらゆる取引に関わるため、税理士として活動する際に不可欠な知識といえます。
その一方で、計算問題の分量が多く、正確さとスピードが合否を大きく左右する点には注意が必要です。
試験対策では理論と計算をバランスよく学ぶことが重要となります。
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税理士試験の消費税法の出題内容
理論・計算がいずれも50点で合計100点満点の試験です。
消費税法の理論問題
理論では、消費税法の各種規定(意義、要件、計算方法を含む)を説明させる問題や、事例形式の問題が出題されています。
個別理論のほかに、複数の規定に関する応用理論として出題される場合もあります。
近年では、直近の改正論点が取り上げられる傾向にあるほか、解答量も多く、深い知識と解答のスピードが要求されます。
消費税法の計算問題
計算では、事例に基づく総合問題が出題されています。
各種取引が与えられ、納税義務の判定に加え、課税標準額に対する消費税額、控除対象仕入税額、納付すべき消費税額などを計算させる問題が出題されています。
各種取引の区別、仕入税額控除、簡易課税制度などの知識とともに、売上・仕入の集計も求められるため、素早く正確に計算するスキルも必要です。
特に、消費税の課税・不課税・非課税・免税の区別に関する知識は、理論・計算ともに必須です。
各種取引について、消費税の課税取引、課税対象外(不課税)取引、非課税取引、免税取引の判定を適切に行えるようにしておく必要があります。
税理士試験「消費税法」の対策に必要な勉強時間
消費税法に合格するための標準的な勉強時間は約300時間です。
ただし、この時間はあくまでも合格レベルに到達するための学習時間の目安です。
たしかに、法人税法・所得税法・相続税法に比べ、覚えるべき理論のボリュームが多いとはいえず、標準学習時間が長い部類には含まれません。
しかし、それはどの受験生にも共通の条件です。
合格レベルに近づくために必要な時間数は多くないとはいえ、他の受験生から一歩抜きん出るためには、学習に更なる努力と工夫が必要です。
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税理士試験「消費税法」の合格率と難易度
ここでは、税理士試験の「消費税法」について以下の3点を見ていきましょう。
- 消費税法の合格率
- 消費税法の難易度
- 選択科目として消費税法を選ぶべきか
順番に解説します。
消費税法の合格率
税理士試験の消費税法の合格率は下記の通りです。
| 年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
|---|---|---|---|
| 令和6年 | 7,206 | 740 | 10.3% |
| 令和5年 | 6,756 | 802 | 11.9% |
| 令和4年 | 6,488 | 740 | 11.4% |
| 令和3年 | 6,086 | 726 | 11.9% |
| 令和2年 | 6,261 | 782 | 12.5% |
| 令和元年 | 7,451 | 884 | 11.9% |
| 平成30年 | 7,859 | 833 | 10.6% |
| 平成29年 | 7,979 | 1,065 | 13.3% |
| 平成28年 | 8,508 | 1,104 | 13.0% |
| 平成27年 | 9,249 | 1,215 | 13.1% |
【参考】国税庁「税理士試験」
税理士試験の合格ラインは、建前上「満点の60%以上」とされていますが、税法科目の場合、受験者の上位10~15%が合格するという競争試験です。
年によって合格率の上下はありますが、一定範囲の合格率で推移しています。
税理士試験の他の科目の合格率は、こちらの記事で確認できます。
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消費税法の難易度
次に消費税法の難易度について解説します。
理論の出題は比較的シンプルですが、出題内容に対し重要な論点をもれなく解答する必要があります。
計算では各種取引の区分(課税・不課税・非課税・免税)とともに、売上・仕入の金額を集計して、税額を算出することから、集計のスキルも求められます。
法人税法・所得税法・相続税法に比べると、学習ボリュームが多くないという利点がありますが、同様に考える受験生が集まりやすくなります。
理論・計算ともに、他の受験生より精度の高い答案が求められることも頭に入れておきましょう。
選択科目として消費税法を選ぶべきか
税理士試験の選択科目の中でも、消費税法は受験者数が多く人気のある科目です。
理由としては、実務でのニーズが大きく、合格後のキャリアにも直結しやすい点が挙げられます。
一方で、計算量が多くミスが合否を左右しやすいため、得意・不得意が分かれやすい科目でもあります。
選択科目の中では必要な勉強量は少ないものの、実質的に競争試験であることを考えれば、自分だけが有利になるわけではありません。
他の選択科目(法人税法や相続税法など)と比較し、自分の得意分野や将来のキャリアビジョンに合うかを踏まえて選択することが重要です。
税理士試験「消費税法」の短期合格に向けた勉強法
消費税法は、理論の正確な理解と計算のスピード・解答力が問われる試験です。
したがって、以下の項目と順番で学習するのがおすすめです。
①論点の概要を理解する(完璧にするのではなく、まず全体像をつかむ)
②簡単な例題を解いてみる→個別の確認
③少しまとまった分量の問題(実際の本試験問題でなくても可)を解いて、内容理解を深める
→どういう形で出題されるか?を理解する
<次のテーマに進む>
④しばらくしてからもう一度問題練習をして、定着しているか確認する
→定着していない場合は、復習して繰り返し学習で記憶に定着させていく
⑤本試験レベルの問題で実力をチェックする(どこで間違えたか・忘れていることなど)
→復習する
⑥本試験レベルの問題を本試験と同様に時間を決めて解く練習をする
→復習する
このように、繰り返し練習をして、理論の正確な理解と計算のスピード・解答力を積み上げていくのが消費税法攻略の近道です。
消費税法については、まず一通り理論・計算の基本論点を学習し、理解を深めるとともに、問題練習を通じて知識を定着させていくのが良いでしょう。
特に、各種取引につき、課税・不課税・非課税・免税を確実に区分できるようにしておく必要があります。
消費税法においても、他の税法科目と同様に、理論と計算の学習は連動しています。
つまり、理論をしっかりと理解しておけば、計算も解答しやすくなり、また、さまざまな事例の計算問題にあたっておけば、理論も理解しやすくなります。
お客様から消費税を預かるお店の事業主になったつもりで学習にあたると、消費税法の理論・計算ともに理解しやすくなり、短期合格の可能性も高まるでしょう。
税理士試験「消費税法」に関するQ&A
ここでは、消費税法に関する以下2つの疑問にお答えします。
- 消費税法の独学合格は無理?
- 消費税法の過去問は入手できる?
消費税法の独学合格は無理?
税理士試験全般に言えることですが、独学での合格は不可能ではないものの、ハードルは高いのが実情です。
長期にわたる学習を計画的・効率的にこなしていくには、高い自己管理能力や忍耐力が求められます。
特に、消費税法は理論と計算の両方をバランスよく学ぶ必要があるため、独学では効率的に進めにくい科目といわれています。
また、計算問題も細かい論点や改正への理解が必要であり、最新情報を押さえにくい点も独学の壁となります。
したがって、不安がある場合は予備校や通信・オンライン講座を利用して体系的に学習を進めるのがよいでしょう。
税理士の独学は難しい!勉強方法の7つのコツと最適な独学ツール
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税理士試験は、独学で合格することが難しいと言われています。し…
消費税法の過去問は入手できる?
消費税法の過去問は、国税庁の公式サイトで公開されているため、誰でも無料で入手できます。
ただし、公開されているのは問題文や答案用紙のみで、解答や詳しい解説は付いていません。
そのため、独学で学習する場合は理解が難しいこともあります。
効率的に学習するには、市販の過去問題集や講座が提供する解説付き教材を活用し、出題傾向や重要論点を整理しながら取り組むのがおすすめです。
まとめ
本記事では、税理士試験の消費税法について解説してきました。
- 消費税法は、税理士試験の選択科目の中でも受験者数が多く、実務で役立つ人気科目
- 理論と計算の両方をバランス良く学ぶ必要がある
- 合格率は例年おおむね10%台で推移しており、他の科目と大きく変わらない
- 独学での合格は不可能ではないが、効率面から予備校や通信講座を活用する人が多い
- 過去問は国税庁サイトで公開されているが、解答・解説がないため注意
消費税法は、将来のキャリアに直結する重要科目です。
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