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税理士試験の財務諸表論とは?簿記論との違いや勉強方法も解説

税理士試験の財務諸表論とは?簿記論との違いや勉強方法も解説

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財務諸表論とは

財務諸表論は税理士の必須科目です。つまり、税理士になるためには必ず受験して合格する必要があります。

財務諸表とは、帳簿に記録した企業の経営状況や財産状況を、株主などに報告するための書類です。

財務諸表論とは、こうした財務諸表の作成手順や理論を学ぶものです。

簿記論で学ぶ、会計の具体的な処理方法の理論的な背景となるのが財務諸表論と考えると分かりやすいです。

したがって、簿記論と財務諸表論は、車の両輪のような関係であるため、同時に学習するのがおすすめです。

会計の理論は基本的に株式会社を前提としているので、株式会社の制度や用語も理解しておかなければいけません。

なお、財務諸表論が対象とするのは、企業会計のうち「財務会計」です。

【財務諸表論の理論学習において取り上げる会計の種類】

  • 企業会計:営利目的で経済活動を行う個人や団体、会社が行う会計
  • 財務会計:企業会計のうち企業外部へ報告するための会計
  • 制度会計:財務会計のうち法の規制を受ける会計・法に準拠し、実務で実際に採用されている会計

税理士試験の財務諸表論の特徴

財務諸表論も簿記論と同様に税理士試験においての必須科目であり、全受験者が合格しなければならない試験科目となっています。(※科目免除の場合を除く)

税理士試験の財務諸表論では計算と理論が50点ずつ、合計100点の配点で出題されます。

簿記論とは違い理論問題では論述式の問題があるため、計算力だけでなく会計に関する考え方を理解し、限られた文字数でアウトプットする訓練が重要になってきます。

出題範囲は以下の通りです。

  • 会計原理
  • 企業会計原則
  • 企業会計の諸基準
  • 会社法上の計算等に関する規定
  • 会社計算規則(ただし、特定の事業を行う会社についての特例を除く)
  • 財務諸表等の用語・様式及び作成方法に関する規則
  • 連結財務諸表の用語・様式及び作成方法に関する規則

税理士試験の財務諸表論について過去問を見てみよう

次に、財務諸表論の過去問を見てみましょう。以下は第72回(令和4年度)税理士試験での問題です。

問1
次の文章は、企業会計基準第29号「収益認識に関する会計基準」(以下「収益認識会計基準」という。)第16項、第35項及び第37項から引用したものである。これに基づき、以下の(1)~(3)の間に答えなさい。

本会計基準の基本となる原則は、約束した財又はサービスの顧客への移転を当該財又はサービスと( a )に企業が権利を得ると見込む( b )の額で描写するように、収益を認識することである。
企業は約束した財又はサービス…を顧客に移転することにより履行義務を充足した時に又は充足するにつれて、収益を認識する。(A)資産が移転するのは、顧客が当該資産に対する支配を獲得した時又は獲得するにつれてである。
資産に対する支配とは、当該資産の使用を指図し、(B)当該資産からの残りの便益のほとんどすべてを享受する能力をいう。

(1) 空欄( a )及び( b )に当てはまる最も適切な語句を答えなさい。

(2) 下線(A)について、資産に対する支配の移転を検討する際に考慮すべき指標として、適切でないものを1つ選び、記号で答えなさい。
ア 顧客が資産の所有に伴う重大なリスクを負い、経済価値を享受していること

イ 企業が顧客に提供した資産に関する対価を収受する将来の権利を有していること

ウ 企業が資産の物理的占有を移転したこと

エ 顧客が資産を検収したこと

オ 顧客が資産に対する法的所有権を有していること

(3)下線(B)について、資産からの便益とは、財の製造又はサービスの提供のための資産の使用等によって、直接的又は間接的に獲得できる( c )キャッシュ・フロー(インフロー又はアウトフローの節減)である。この( c )に当てはまる語句として最も適切なものを1つ選び、記号で答えなさい。

ア 確定的な

イ 固定的な

ウ 変動的な

エ 潜在的な

オ 平均的な

【引用】令和4年度(第72回)税理士試験試験問題、答案用紙及び正誤表

財務諸表論のポイント

前述の通り、財務諸表論は簿記論とは異なり、計算と理論の問題があることがポイントです。

計算問題では、貸借対照表や損益計算書を作成する問題が出題されます。

対して理論問題では、会計の基礎理論・応用理論に基づいた数行程度の記述や、文章の穴埋めを求める問題が出題される傾向にあります。

財務諸表論は、この理論問題があるため、正確な計算ができるだけでは合格できません。

合格レベルのスキルを身につけるには、会計の原理・原則などを理解してから、解答を限られた文字数でアウトプットする練習が必要となります。

財務諸表論の合格率

税理士試験の財務諸表論の合格率は、下記の通りです。

令和4年 14.8%
令和3年 23.9%
令和2年 19.0%
令和元年 18.9%
平成30年 13.4%
平成29年 29.6%
平成28年 15.3%
平成27年 15.6%
平成26年 18.4%
平成25年 22.4%
平成24年 20.7%

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財務諸表論と簿記論はどう違う?

簿記論と財務諸表論は、どちらも税理士の必須科目です。

以下の項目に沿って、両者の違いを詳しく解説します。

  • 問われる内容
  • 出題形式
  • 勉強時間の目安

問われる内容

財務諸表とは、帳簿に記録した企業の経営状況や財産状況を、株主などに報告するための書類です。

財務諸表論とは、こうした財務諸表の作成手順や理論を学ぶ科目です。

対して簿記論では、企業の取引をどのように計算し、帳簿に記録するかを学びます。

なお、簿記の目的は、帳簿の記録内容から企業の経営状態を明らかにすることです。

この経営状態を明らかにするためには、財務諸表を作成する必要があります。

財務諸表を誰が見ても同様に解釈できるようにするためには、財務諸表を作る際のルールを決めておく必要があり、このルールが「簿記」なのです。

出題形式

税理士試験の財務諸表論では計算と理論が50点ずつ、合計100点の配点で出題されます。

一方で、簿記論は例年、ほぼすべてが計算問題で構成されており、正確で素早い計算能力が求められます。

勉強時間の目安

勉強時間の目安は、簿記論・財務諸表論ともに約450時間程度とされています。

ただし、これはあくまで目安のため「誰でも450時間勉強すれば合格できる」というわけではありません。

例えば、税理士試験の勉強を初めてする人と、すでに仕事で何年も税務に携わってきた経験がある人では、合格レベルに達するまでの勉強時間は異なるでしょう。

勉強時間と現時点のスキルは、必ずしも相関するものではありません。

時間の確保が難しくなってくると、つい「住民税はもう200時間勉強したから大丈夫だろう」などと考えてしまって、学習計画が乱れてしまいがちです。

目安時間の把握も必要ですが、あくまで参考として、目安にとらわれないようにするのが大切です。

財務諸表論と簿記論、どちらを先に受けるべき?

財務諸表とは、帳簿に記録した企業の経営状況や財産状況を株主などに報告するための書類です。

財務諸表論では、こうした財務諸表の作成手順や理論を学びます。

簿記論で学ぶ会計における、具体的な処理方法の理論的背景となるのが、財務諸表論と考えてください。

簿記論と財務諸表論は、車の両輪のような関係のため、同時に学習を進めていくのがおすすめです。

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財務諸表論は独学でも合格可能?

結論から言うと、独学で合格するのは極めて厳しいでしょう。

財務諸表論では会計に関する考え方を理解するだけでなく、限られた文字数でアウトプットする訓練が必要となります。

この知識とスキルを身につけるために、前述の通り目安として450時間の勉強が必要とされています。

さらに独学者の場合は1人で勉強に取り組むため、長期的なモチベーションの維持が難しく、合格までのハードルがより高くなっています。

財務諸表論を勉強するのであれば、通信講座などの教材を利用するのがおすすめです。

税理士試験は簿記論・財務諸表論からスタートするべき?

前提として、税理士試験の科目には順番が決められているわけではないので、どの科目からスタートしても問題はありません。

ただ、選択必須科目の法人税など、簿記論と財務諸表論の知識があった方が有利となる科目も存在します。

そのため、簿記論と財務諸表論を最初に受けるのが一般的となっています。

財務諸表論 短期合格勉強法

財務諸表論では理論学習が重要になります。

「理論暗記は苦手」という声をよく聞きます。確かに「覚える」という要素があることは事実ですが、そこは勉強法で工夫できます。

理論学習の上手なやり方は次の2点です。

  • 計算を学んでからそれに対応する理論を学習する
  • 少しずつでいいので繰り返し学習する

人は誰しも、意味を理解しないまま文章を覚えるのは苦手なものです。そのため理論を先に勉強するとなかなか覚えにくく、苦痛を感じることもあるかもしれません。

そこで、先に計算で具体的な事例を学んだうえで、「この処理はこういう理由だからこう計算しているんだな」というイメージと関連付けて覚えると断然覚えやすくなります。

ただその一方で、せっかく覚えても時間が経って忘れてしまうこともあるでしょう。

したがって、一度だけでなく時間をおいて何度も繰り返し学習しながら記憶に定着させていくことが重要になってきます。

コツコツ繰り返し学習を継続する秘訣としては、1週間サイクルで学習するのがおすすめです。

一週間を一番短いサイクルとして考えて、遅れた分は必ずその週のうちに取り返すという勉強スタイルを身に付けると、1年間コンスタントに勉強することが容易になります。

人間は機械のように決まった通りに動くことが苦手なものです。

いくら緻密に学習計画を立てても、毎日その通りにはなりません。

そこで、1週間というチェックポイントを作って、1週間分のズレを補正しながら着実に前に進めていくというやり方が効果的です。

まとめ

今回は、税理士試験の財務諸表論について、簿記論との違いや勉強方法などをご紹介してきました。

  • 財務諸表論は税理士試験の必須科目で、計算と理論が50点ずつ合計100点の配点
  • 簿記論と異なり、計算だけでなく解答を限られた文字数でアウトプットする練習が必要
  • 計算を学んでから対応する理論を学び、繰り返し学習すると効果的

財務諸表論に合格できるレベルのスキルを身につけるのは簡単ではありませんが、繰り返し学習することで、知識は定着させられます。

税理士試験に興味のある方は、ぜひ「スタディング 税理士講座」の無料お試し講座をチェックしてみてください。