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税理士資格を取得する方法は?受験資格の要件緩和でチャンスが拡大!

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税理士になるには

税理士になるためのルートはいくつかあります。現役税理士がどのようなルートで税理士登録に至ったのかを調べたデータを見てみましょう。

税理士となった資格(グラフ)

【画像引用】日本税理士会連合会「税理士って? 〜一生の仕事を探すなら〜」

税理士となった資格 割合
試験合格 45.9%
試験免除 37.2%
特試合格 9.0%
公認会計士 6.2%
その他

(弁護士、計理士、税務代理士、資格認定)

0.73%

※日本税理士会連合会の調査「第6回税理士実態調査」(平成26年1月1日現在)
※「特試合格」は現在は廃止されています。


もっとも多いのは試験合格で、試験合格の割合は年々増加しています。このほか、試験免除や他の国家資格というルートで税理士になっている人も少なくないことがわかります。

では、税理士になるための各ルートについて解説します。

(1)【試験合格(5科目)】+【実務経験】

税理士になるルートとしてメジャーなのが、【試験合格(5科目)】+【実務経験】の組み合わせで要件をクリアする方法です(前述のデータの「試験合格」に該当)。

税理士試験は科目合格制となっていて、試験に合格するには会計2科目+税法3科目の計5科目の合格が必要となります。

1回の受験で5科目すべてに合格する必要はありません。科目単位の受験も可能で、1年に1科目のみでも受けることができます。

一度合格した科目は生涯有効なので、何年でも受験にチャレンジでき、自分のペースで試験合格を目指せることが特徴です。

5科目合格を達成するには、早い人で2年、一般的には3~5年が目安です。

そして、税理士になるには試験合格のほかに2年以上の実務経験も必要です。

(2)【大学院+試験合格(一部免除)】+【実務経験】

(1)に近い形として、【大学院+試験合格(一部免除)】+【実務経験】の組み合わせで税理士になる人もいます(前述のデータの「試験免除」に該当)。

税理士試験は原則として5科目の合格が必要ですが、大学院出身者を対象に一部科目を免除する制度があります。

<修士の場合>
大学院で会計系あるいは税法系の修士論文を執筆し、学位を得る
+
税理士試験を受験し、取得した学位に関する科目に1科目以上合格する
↓
取得した学位に関する残りの科目が免除される

下記記事でより詳しく解説しています。

【あわせて読みたい】税理士試験が免除されるって本当?免除の条件を分かりやすく解説

税理士登録に必要な「実務経験」

(1)と(2)のルートには(通算)2年以上実務経験も必要だと述べました。具体的な業務は下記のとおりです。

税務官公署(税務署や市役所の財務課など)での勤務のほか、一般企業での規定業務も実務経験とみなされます。

▼租税に関する事務

税務署、その他の官公署、企業などでの税務に関する業務です。

ただし、税を扱う部署に所属していたとしても、簡単な事務内容の場合は実務経験とみなされません。

(例:書類作成や数値のみを打ち込む作業など、簿記会計の知識を不要とする内容)

▼会計に関する事務

企業において以下のような業務を行っていた場合、実務経験とみなされます。

  • 企業の会計帳簿の作成
  • 仕訳帳や総勘定元帳作成・仕分け
  • 決算手続きに関する事務作業
  • 財務諸表の作成に関する事務
  • 帳簿組織の立案や整理

これらはあくまで一例です。

(3)弁護士・公認会計士

「弁護士」もしくは「公認会計士」の資格があれば、税理士試験を受けなくても税に関する業務を行えます。

これらの資格を取得すれば、同時に税理士資格も得られるわけです(前述のデータの「公認会計士」「その他」に該当)。

司法試験や公認会計士試験も、法律や会計処理に関する知識が問われるため、この分野で十分な資質と技量が認められれば、税理士になる道が開かれます。

ちなみに、弁護士法3条2項には、「弁護士は、弁理士及び税理士の事務を行うことができる」と規定されており、弁護士が税理士業務を行える法的根拠となっています。

(4)税務署で23年以上勤務

税理士になるルートの1つに、所定の要件を満たせば税理士試験の全科目が免除されるというものもあります。

税務署で23年以上勤務し、指定の研修を修了すれば、試験を受けずに税理士となる資格を得ることができるのです(前述のデータの「試験免除」に該当)。

税務署を退職後に税理士として活動する方は、実際にたくさんいます。

セカンドキャリアとして、あるいは定年後も働き続けることを見据えているケースが多いでしょう。

なお、勤務年数が10年または15年以上の国税従事者が税理士を目指す場合は、税理士試験の税法に関する科目のみが免除されます。

税理士試験の受験資格

税理士試験は、令和4年税理士法改正により、令和5年度(2023年度)試験から受験資格の要件が大幅に緩和されています。ポイントは2つです。

(1)会計科目は誰でも受験可能に

(2)税法科目の「学識」の対象者を拡大

この変更点を踏まえた上で、受験資格の要件について解説します。

【参考・画像引用】日本税理士会連合会「税理士試験の受験資格要件の緩和」

変更(1)会計科目は誰でも受験可能に

前述のとおり、税理士試験は「会計科目」と「税法科目」で構成されていていますが、

このたびの税理士法改正によって「会計科目」の受験資格要件が撤廃され、誰でも受験可能になりました。

要件の緩和によって、従来は受験資格の要件を満たさなかった高校生や大学1・2年生も会計科目を受験できます。

科目合格を早い段階から積み上げていけるようになり、大学生にとっては在学中の5科目合格を達成しやすくなったといえます。

変更(2)税法科目の「学識」の対象者を拡大

一方、税法科目は、改正前と同じく受験資格が設けられています。

「学識」「資格」「職歴」の3つの区分のうち、いずれか1つの要件を満たせば受験資格を得られるのですが、令和5年度(2023年度)試験からは「学識」の対象者が拡大されることになりました。


税法科目の受験資格<1>学識

税法科目の受験資格「学識」において、下記に該当する人は要件を満たしています(一例)。

  • 大学・短大・高専卒業者
  • 大学3年次以上で62単位取得者
  • 一定の専修学校の専門課程修了者 など

上記の人が履修する必要がある科目について、令和5年度(2023年度)試験からは下記のように変更されました。

履修を要する学問の範囲(履修科目要件)を「法律学・経済学」から「社会科学に属する科目」に拡大

これまでは法律学又は経済学に属する科目を、少なくとも1科目は履修しなくてはなりませんでした。

社会科学の履修まで範囲が拡充されたことによって、文学部や理工学部といった学部の学生・卒業生も学識要件での受験が可能になりました。

税法科目の受験資格<2>資格

税法科目の受験資格「資格」において、下記に該当する人は要件を満たしています(一例)。

  • 日商簿記1級合格者
  • 全経簿記上級合格者 など

税法科目の受験資格<3>職歴

税法科目の受験資格「職歴」の要件として認められる業務の例には、下記のようなものがあります(一例)。

  • 弁理士・司法書士・行政書士・社労士・不動産鑑定士の業務
  • 法人又は事業を営む個人の会計に関する事務
  • 税理士・弁護士・公認会計士等の業務の補助の事務 など

いずれも通算2年以上の従事が求められます。

受験資格がない場合は?

高卒者や、所定の科目を履修していない大卒者など、受験資格要件を満たしていない人が税理士を目指す方法を2つ紹介します。

▼「資格」区分で受験資格要件を満たす

現時点で「学識」区分で受験資格を満たしていない人が税理士を目指す場合、「資格」区分で要件を満たせる日商簿記1級の取得がおすすめです。

日商簿記1級には受験資格の制限がないため、誰でも試験にチャレンジできます。

また、試験日は年に2回あり、1年に複数回のチャンスがあることもメリットです。

▼放送大学で単位を追加で取得する

「大学を卒業したが、受験資格の「学識」で認められる科目は履修していない」という場合は、放送大学を活用するという方法があります。

放送大学とは、15歳以上の人であれば誰でも学べる通信制大学で、自分が取得したい1科目から受講することが可能です。

もし所定の科目を履修できていない場合、その部分だけを放送大学で学べば「学識」の要件を満たせます。

税理士試験の受験資格については、こちらの記事で詳しく解説しています。

【あわせて読みたい】税理士試験の受験資格を分かりやすく解説

税理士試験の科目

税理士試験の科目(全11科目)には「必須科目」「選択必須科目」「選択科目」という3つの区分があります。

必須科目は必ず受験しなければなりませんが、その他は所定のルールの範囲内で任意の科目を選択できます。

税理士は数年スパンでの合格を目指す人が多いので、長期的な勉強の計画を立てておくことが肝心です。

科目には「必須」「選択必須」「選択」がある

税理士試験の「必須科目」「選択必須科目」「選択科目」の区分を表にまとめました。

必須科目

2科目とも合格が必要

会計科目 簿記論、財務諸表論
選択必須科目

どちらか1科目以上合格が必要

税法科目 法人税法、所得税法
選択科目

残りの科目から選び、合計で5科目になることが必要

相続税法、消費税法または酒税法、国税徴収法、住民税または事業税、固定資産税

会計科目の2つは必須科目となっており、それ以外の3つは税法科目から各自が選んで受験します(法人税法または所得税法はいずれかの合格が必須)。

科目によって難易度や勉強時間が異なりますが、「合格しやすいか」よりも「税理士になった後に何を専門としたいか」を考えて選択することが重要です。

科目合格率・合格基準点

合格基準は「各科目満点の60%」となっていますが、実際には上位10〜15%が合格する相対評価による競争試験となっています。

これは年による問題の分量や難易度の変動による不公平が生じないための仕組みです。

目標期間別の受験プラン

税理士試験は科目合格制のため、どれくらいの期間で5科目合格を達成するか自分で自由にプランニングしやすいことが特徴です。

たとえば下記のようなプランが考えられます。

▼2年で合格を目指す場合

  • 1年目:簿記論(450時間)、財務諸表論(450時間)、国税徴収法(150時間)
  • 2年目:法人税法(600時間)、相続税法(450時間)

年間1,000時間超の勉強時間を確保できる人におすすめのプランです。

▼3年で合格を目指す場合

  • 1年目:簿記論(450時間)、財務諸表論(450時間)
  • 2年目:法人税法(600時間)
  • 3年目:相続税法(450時間)、国税徴収法(150時間)

1年目は年間900時間、2〜3年目はやや少ない年間600時間の勉強時間のプランです。

税理士試験の難易度

税理士試験の難易度は高く、1回で全科目を合格するのは非常に難しいでしょう。以下では3つのポイントに絞って試験の難しさを解説します。

  • 合格率は?
  • 勉強時間は?
  • 独学合格できる?

合格率は?

税理士試験の科目別合格率10~20%程度で推移しており、難易度の高い試験といえます。

令和4年度の科目別合格率は、もっとも低いものは11.4%(消費税法)、もっとも高いものは23.0%(簿記論)でした。

【参考】国税庁(令和4年度(第72回)税理士試験結果)

なお税理士試験は相対評価による試験となっており、合格基準点は毎年同じではありません。

勉強時間は?

税理士試験は、科目ごとに勉強時間が異なり、どの科目を選択するかによって総勉強時間の目安も異なります。

たとえば、簿記論(約450時間)、財務諸表論(約450時間)、法人税法(約600時間)、消費税法(約300時間)、相続税法(約450時間)という科目の組み合わせで受験する場合、

総勉強時間は約2,250時間となります。

独学合格できる?

税理士試験の独学合格は、不可能ではないものの、非常に険しい道のりになるでしょう。


独学のデメリットの1つは、合格に必要な部分だけ効率よくインプットする方法がわからないことです。

とくに税理士試験は出題範囲が広いため、独学では余分な時間がかかりがちです。

勉強時間の負担が大きいと、次第に続けるのがつらくなり挫折の原因にもなってしまいます。

また、合格するにはインプットだけでなくアウトプット(問題を解くこと)にも時間をかけないと得点力が磨かれません。

「仕事と両立しながら計画どおりの年数で合格したい」という方には、独学はあまりおすすめできません。

税理士資格を取得するメリット

税理士資格を取得するメリットには、次のようなものがあります。

  • 定年がなく60歳代以降も働ける
  • 独立開業ができる
  • さまざまな人に出会える
  • どこへ行っても働ける
  • 自分のライフプランに合わせた働き方ができる

まず、税理士という資格には一般企業のような定年がありません。

独立開業に適していて、60歳代以降も継続して働ける点は、経済的に安定した老後を迎え、プライベートも豊かな人生を送りたい人にとって大きなメリットといえます。


また、飲食業やIT業界など担当する業界が幅広いため、さまざまな人に出会えることも魅力です。

中小企業では社長と直接やり取りすることも珍しくないため、知見が広がるでしょう。

働きやすさという点では、税務の仕事は日本国内のどこでも存在するため、場所に縛られない自由さが特徴です。

「地元に戻りたい」「結婚して転居した先で働きたい」といった自分のライフプランに合わせて働けます。

【あわせて読みたい】税理士になるとどんなメリットがある?

税理士に向いている人の特徴

税理士試験合格を目指す人は、自分に税理士の適性があるか気になるところでしょう。

税理士の職務を考えれば、次のような特徴を持った人が「適性あり」と認められるでしょう。

  • 税務計算が苦にならない人
  • 経営に携わりたい人
  • コミュニケーション能力が高い人

税務計算が苦にならない人

決算書や収支報告書など、数字が羅列する書類を扱い、正しく税額を導き出すのが税理士の仕事です。

これらの書類に記された数字を毎日のようにチェックし、間違いがないかきちんと計算する作業が欠かせません。

数字を見るのが苦にならず、なおかつ計算処理が得意という人は、税理士の適性ありでしょう。

経営に携わりたい人

税理士の仕事は、単に納税額を計算するだけではありません。

経営者にとって税負担の軽減は大きな課題なので、クライアントの支出状況や売上を見て、経営にとってプラスとなる節税対策のアドバイスをすることも重要職務のひとつです。

手元に残るお金がたくさんあればあるほど、事業活動や組織運営にもプラスに働きます。

税理士は間接的に経営に携わる仕事でもあるため、組織マネジメントに興味がある方ほど、税理士向きといえるでしょう。

コミュニケーション能力が高い人

税理士は、税のプロフェッショナルであると同時に「接客業」でもあります。

クライアントの要望を把握して的確に対応するには、高いコミュニケーションスキルが求められます。

クライアントに税務処理を安心して任せてもらうには、どのようなサービスをどのような形で行うのか、分かりやすく丁寧に説明することが大切です。

それができる税理士こそ、信頼され、多くの顧客を獲得できるのです。

まとめ

今回は、税理士の資格取得方法や試験科目などについて紹介してきました。

  • 税理士の資格を取得するには「税理士試験に合格」+「2年以上の実務経験」が一般的
  • 令和5年度(2023年度)から受験資格要件が大幅に緩和された
  • 受験科目は税理士になった後の専門分野も考慮して選択する必要がある

「税理士資格を目指してみたい」と思ったら、まずは税理士試験の受験資格を確認してみてください。

過去に受験を断念した方も、このたびの要件緩和で再チャレンジがしやすくなっているかもしれません。

仕事と両立して効率的に合格を目指したい人には、短期合格にこだわった「スタディング 税理士講座」がおすすめです。

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