税理士試験の法人税法とはどういう科目か教えてください。 |
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法人の所得等に対する税金である法人税について定められた法律です。 税理士試験5科目合格のためには、選択必須科目である法人税法または所得税法の合格が必要となります。全税法科目の中で学習範囲が最も広く、合格レベルに達するためには、理論・計算ともに多くの学習時間が必要となります。合格率は他の科目と同程度ですが、学習範囲の広さと受験者間の競争が激しいことから、難易度が高い科目といえます。 |
法人税法とは
法人の所得等に対する税金である法人税について定められた法律です。
日本では、法人に対する国税は元々所得税法において定められていましたが、1940年(昭和15年)に所得税法から独立し、現行の法人税法は1965年(昭和40年)に制定されています。
広い意味での所得税は、個人に対する所得税と法人等に対する所得税に分類されますが、このうち法人等に対する所得税について各種規定を定めているのが、法人税法です。
法人税法の目的は、「法人税について、納税義務者、課税所得等の範囲、税額の計算の方法、申告、納付及び還付の手続並びにその納税義務の適正な履行を確保するため必要な事項を定める」(第1条)とされています。
つまり、法人税法の主な目的は、法人から公平に課税することと解釈されます。
この法人税法には、納税義務者と課税所得等の範囲、納税地、所得計算、各種益金・損金、税額計算、申告・納付に加え、企業組織再編成、グループ法人税制、連結納税制度などが幅広く規定されています。
税理士試験の法人税法の特徴
理論・計算がいずれも50点で合計100点満点の試験です。
理論では、法人税法や租税特別措置法の各種規定を説明させる問題や、事例形式の問題が出題されています。
個別理論のほかに、複数の規定に関する応用理論として出題される場合もあります。
計算では、法人の各事業年度の所得の計算について出題されます。<br.所得金額・法人税額まで計算させる総合問題形式の場合もありますが、実務に即して個別規定が複数題出題される場合もあります。< p=””>
</br.所得金額・法人税額まで計算させる総合問題形式の場合もありますが、実務に即して個別規定が複数題出題される場合もあります。<>
税理士試験の5科目合格のためには、会計2科目・税法3科目の合格が必要です。簿記論・財務諸表論の会計2科目は必須科目となりますが、税法のうち法人税法または所得税法については選択必須科目となります。
つまり、官報合格のためには、法人税法または所得税法のうちいずれかに合格する必要があります。
法人税法・所得税法については、実務を見据えて両方の合格を目指す人もいますが、いずれの科目もボリュームが多く、多くの学習時間が必要となるため、どちらか一方の科目を選択する人が一般的です。
なお、これまでの税理士試験では、法人税法の方が所得税法よりも受験者数が多い傾向にあります。
2020年度(令和2年年度)第70回試験の法人税法の受験者数は3,658人、所得税法の受験者数は1,437人でした。
法人税法の標準学習時間
約600時間が標準学習時間となります。
この時間はあくまでも合格レベルに到達するための学習時間の目安です。
理論では税法の規定が全科目中トップクラスに多く、計算でも益金・損金、資産・負債の各種論点に加え、総合問題における集計にも慣れる必要があるため、必要な時間数は多くなります。
ただ、行うべき学習を一通り消化すれば、受験者層の中で上位に食い込むことは十分可能です。
合格のためのポイントは、各個別論点を正確に理解しつつも、深みにはまらないことです。
法人税法全体を無駄なく効率的に学習し、幅広い理論の知識を身につけ、苦手な計算項目を作らないようにすることが大切です。
法人税法の合格率と難易度
合格率
税理士試験の法人税法の合格率は下記の通りです。
税理士試験の合格ラインは、建前上「満点の60%以上」とされていますが、税法科目の場合、受験者の上位10~15%が合格するという競争試験です。
年によって合格率の上下はありますが、一定範囲の合格率で推移しています。
令和2年 | 16.1% |
令和元年
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14.7%
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平成30年
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11.6%
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平成29年
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12.1%
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平成28年
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11.6%
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平成27年
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11.1%
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平成26年
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12.4%
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難易度
理論の出題において、一つ一つの問題は比較的シンプルではありますが、幅広い試験範囲の中から求められている解答を的確に記述することが求められます。
上記の通り、選択必須科目で受験生の競争が激しいため、他の受験生より精度の高い理論答案を作成できるようにする必要があります。
計算の出題においては、総合問題の場合、各論点における正確な計算とともに素早く集計して所得金額を計算することが要求されます。個別問題の場合、計算過程も的確に記入した上で、より多くの正解を導き出すようにすることが求められます。
法人税法 短期合格勉強法
法人税法は、幅広く正確な理論に関する理解と、基本に忠実かつ素早く計算・集計できるスキルが問われる試験です。
したがって、以下の項目と順番で学習するのがおすすめです。
<理論>
- 各論点の概要を理解する(完璧にするのではなく、一通り全体像をつかむ)
- 簡単な例題を解いてみる
→個別の理論の確認 - 少しまとまった分量の問題を解いて、内容理解を深める →どういう形で出題されるか?を理解する
- 演習問題や過去問題を時間を決めて解き、解答力を身につける→演習後、解答・解説と照らして、自分に足りない記述や解法を補う
<計算>
- 個別論点の計算問題を練習する(完璧にするのではなく、一通り解いてみる)
- しばらくしてからもう一度問題練習をして、定着しているか確認する
→定着していない場合は、復習して繰り返し学習で記憶に定着させていく - 本試験に近いレベルの問題で実力をチェックする(どこで間違えたか・忘れていることなど)
→復習する - 本試験レベルの問題を本試験と同様に時間を決めて解く練習をする→復習する
このように、繰り返し練習をして、理論の幅広く正確な理解と計算・集計に関するスキルを積み上げていくのが法人税法攻略の道です。
法人税法については、テキストを読み理解を深めることは大切ですが、同時に問題練習を通じて幅広い知識の定着と補充を繰り返していく必要があります。
理論では学習初期の段階で各論点の概要を一通り理解しておけば、試験直前期の理論問題演習においてコンスタントに高得点を取りやすくなります。
計算では個別論点を着々とマスターし、直前期に各事業年度の所得計算や集計の問題を解けるようにすれば、本試験突破も十分視野に入ってきます。
法人税法では、学習のボリュームが多いため、各受験者の地道な努力が必要ですが、一方で全体の内容を効率良く頭に入れる工夫も必要となります。
スタディング 法人税法講座では、100時間以上の動画講義でに加え、繰り返し行うことのできる問題集・テーマ別演習を完備。さらに、理論暗記ツール・理論記述ツールによって、税理士試験では避けて通れない理論の暗記対策も行えます。