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税理士試験の難易度・合格率はどれくらいですか。 |
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税理士試験の難易度をさまざまな合格率の視点から見てみましょう。 |
試験の難易度を測るには、さまざまな視点がありますが、最も分かりやすい合格率から見てみます。
平成29年度以降の科目別合格率は、以下のように推移しています。
科目区分 |
科目名 |
令和2年度試験 合格率 |
令和元年度試験 |
30年度試験 |
29年度試験 |
必須科目 |
簿記論 |
22.6% | 17.4% | 14.8% | 14.2% |
財務諸表論 |
19.0% |
18.9% | 13.4% | 29.6% | |
選択必修科目 |
法人税法 |
12.0% | 14.7% | 11.6% | 12.1% |
所得税法 |
16.1% |
12.8% | 12.3% | 13.0% | |
選択科目 |
相続税法 |
10.6% | 11.7% | 11.8% | 12.1% |
消費税法 |
12.5% 13.9% |
11.9% 12.4% |
10.6% 12.8% |
13.3% 12.2% |
|
国税徴収法 |
12.2% |
12.7% | 10.7% | 11.6% | |
住民税 |
18.1% 13.1% |
19.0% 14.8% |
13.5% 11.0% |
14.3% 11.9% |
|
固定資産税 |
13.5% |
13.7% | 14.9% | 13.3% |
年度により多少のバラツキはありますが、10%から20%で推移しています。
令和2年度は、簿記論22.6%(前年17.4%)と合格率が前年比で大きく増加しています。
各科目とも満点の60%が合格基準とされていますが、実際には上位10%から15%が合格する相対評価による競争試験だということが分かります。
毎年、試験問題の難易度・分量は変わるにも関わらず、合格率はほぼ変わっていないからです。
模範解答や採点基準の公表はありません。
不合格の場合は、得点(59点~0点)が結果通知書に記載されます。
※税理士試験では、2018年度(平成30年度)より、不合格者の判定がランク(A~D)から得点(59点~0点)に変更されています。
なお、税理士試験には科目合格制度という特徴があります。
税理士試験は1回の受験で5科目全てに合格する必要はなく、1科目ずつ合格することができます。
そのため、1年間の勉強量を自分で決定することができるのです。
つまり、難易度も自分でコントロールすることができる試験と言えるでしょう。
仕事の忙しさなど、ご自身のライフプランに合わせて、受験計画を立てていきましょう。
学歴ごとに見た合格率は、以下のとおりです。
学歴 | 受験者数(A) | 5科目到達者数 | 一部科目合格者数 | 合格者数合計(B) | 合格率(B/A) |
大学卒 | 20,166人 | 509 人 | 3,387人 | 3,896人 | 19.3% |
大学在学中 | 1,143人 | 2人 | 371人 | 373人 | 32.6% |
短大・旧専卒 | 676人 | 13人 | 104人 | 117人 | 17.3% |
専門学校卒 | 2,409 人 | 72人 | 333人 | 405人 | 16.8% |
高校・旧中卒 | 1,912人 | 38人 | 418人 | 456人 | 23.8% |
その他 | 367人 | 14人 | 141人 | 155人 | 42.2% |
合計 | 26,673人 | 648人 | 4,754人 | 5,402人 | 20.3% |
受験者の中で最も多くを占めるのが、大学卒の受験者です。次に、専門学校卒、高校・旧中卒、大学在学中、短大・旧専卒、その他の順となっています。一方、最も合格率が高いのは、大学在学中の受験者です。合格率の面では、若く記憶力が高いうちに受験する人が若干有利といえそうです。
年齢ごとに見た合格率は、以下のとおりです。
年齢 | 受験者数(A) | 合格者数 | 一部科目合格者数 | 合格者数合計(B) | 合格率(B/A) |
41歳以上 | 10,105人 |
247人 | 1,087人 | 1,334 人 | 13.2% |
36~40歳 | 4,343人 | 136人 | 696人 | 832人 | 19.2% |
31~35歳 | 4,619人 | 126人 | 876人 | 1,002人 | 21.7% |
26~30歳 | 3,890人 | 96人 | 881人 | 977人 | 25.1% |
25歳以下 | 3,716人 | 43人 | 1,214人 | 1,257人 | 33.8% |
合計 | 26,673人 | 648人 | 4,754人 | 5,402人 | 20.3% |
受験者の中で最も多く占める年齢層は、41歳以上の受験者です。次に、31~35歳、36~40歳、26~30歳、25歳以下の順となっています。一方、合格率が高いのは、25歳以下や26~30歳の受験者層です。ただし、41歳以上の層でも合格率は10%超となっており、一定の割合で合格者が存在します。若いうちに受験すれば有利ですが、年齢にかかわりなく正しい努力をすれば合格できる試験ともいえます。
合格率が低いと難しい試験なのかと考えてしまいますが、実態が相対試験であることを考えると、個別の合格率で難易度を判断することはできません。むしろ、どの科目が自分に合っているのか?または、将来の仕事やキャリアを考えてどの科目が自分に適しているのか?という視点で科目選択をするのがベストです。
ただし、難易度という面では、各科目のボリュームには注目しておきたいところです。特に働きながら勉強される場合は、ボリュームが多い科目は学習するうえで「最後まで学習する難易度」が上がると考えられるからです。
簿記論、財務諸表論、法人税法、所得税法などは、他の税法科目に比べてボリュームが多い科目です。1年で複数の科目にチャレンジされる方は、科目の組み合わせを考える上で考慮する必要があります。
Point
合格率は安定している
実際には相対評価による競争試験である
科目合格制度によって、勉強量は自分でコントロールできる
合格率ではなく科目の必要性とボリュームを考える