税理士試験では、どのように選択科目を決めれば良いのか、教えてください。 | |
勉強を継続するためには、好きな科目を選ぶことが大切です。 |
税法の科目選択に迷われている方も多いのではないでしょうか?
ご存知のとおり、税理士試験は、簿記論及び財務諸表論の必須科目と法人税法又は所得税法のいずれか1科目を含む税法3科目の科目合格をすることで、「合格」とされる試験です。
簿記論や財務諸表論は、必ず合格することが必要ですので、選択は必須となりますが、税法はどのような視点から選択していくのが良いのでしょうか?
ここでは、いくつかの角度から、税法科目の選択についてお伝えします。
法人税法と所得税法のどちらを選ぶか?
法人税法又は所得税法は、選択必須とされていますよね。受験者数から見ても、法人税法を選択されている方が非常に多いことが分かります(令和5年度(第73回)試験の受験者数は、法人税法が4,666人に対し、所得税法が1,693人)。皆さんが、税理士試験に合格された後、実務につかれる場面を想像してみてください。実は、多くの会計事務所で法人税法の知識は必須となっています。所得税法と比較してみても、消費税法の知識と並んで、日々必要となる知識だということです。
受験科目として選択するか否かは別としても、必ず必要な知識となりますので、受験科目として選択されている方が多いことにもうなずけますよね。
各科目の難易度は?
受験科目の選択に当たって、それぞれの科目の難易度は、さほど気にする必要はないと思います。税理士試験は相対評価の試験ですから、難易度が高ければ合格ラインが下がり、難易度が低ければ合格ラインが上がるということにすぎません。
むしろ、しっかり考慮すべきは、各科目のボリュームだと言えます。
各科目のボリュームは?
皆さんは、それぞれ、様々な環境の中、税理士試験に挑戦されていることと思います。受験に専念できる方もいらっしゃれば、お仕事や家事、育児、介護などをされながら限られた時間で学習を継続されている方もいらっしゃるでしょう。
その限られた時間の中で、しっかり学習時間を確保していかなければなりませんので、その意味で、科目選択は重要です。
どの科目を選択されるかということも重要なのですが、今年、何科目受験するかということは、もっと重要です。
欲張ってみても、結果を出すのはなかなか大変です。受験に専念できる方以外の方が、複数科目を選択されるということは、相当厳しい選択になると思います。
おすすめは、毎年、1科目ずつ、確実に学習を継続していただくことが、結果として、受験期間を短くする最善策かと思います。
以下に各科目の標準的な学習時間を挙げておきます。
これらの標準学習時間が、各科目のボリュームの目安です。
- 簿記論 450時間
- 財務諸表論 450時間
- 法人税法 600時間
- 相続税法 450時間
- 消費税法 300時間
就職するときに有利な科目は?
ご存じのとおり、税理士となるためには、2年以上の実務経験が必要となります。多く受験生の方は、受験の先にある実務を考慮した科目選択をされています。具体的には、簿財法相消が最もスタンダードな選択となります。実務的に需要のある知識だからです。特に、法人税法と消費税法の知識は必須といってもよいと思います。少し先かもしれませんが、皆さんがどのような税理士になりたいと考えているのか。そのような視点から受験科目を選択されるのもよいかもしれません。
最後に
税理士試験は、他の国家資格試験と比較してみても、長丁場の試験といえます。本試験の直前の追い込みだけでどうにかなるような試験ではありませんので、いかに受験とうまく付き合っていくかということは大切なことだと思います。
いろいろと書いてきましたが、科目選択に当たって最も重要なことは、今、皆さん自身が一番興味を持っている科目を選択するということかと思います。
税理士試験では、継続することが最も重要で、その継続できることを最優先に考えるべきだと思います。一番興味のある科目を選択されることが、実は最も効率がよく、最短距離で合格をつかみ取る近道にもつながるものと思います。