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税理士試験の簿記論とはどういう科目か教えてください。
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簿記論は税理士試験においての必須科目であり、全受験者が避けて通ることのできない試験科目となっています。 「日商簿記と何が違うのか?」という質問が良くありますが、「簿記」という意味では同じものなのですが、試験で問われるテーマや問題の難易度が大きく違います。したがって下記でも説明する勉強法もおのずと日商簿記と税理士の簿記論では異なってきます。
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目次
- 簿記論とは
- 税理士試験の簿記論の特徴
- 簿記論の合格率と難易度
- 簿記論 短期合格勉強法
簿記論とは
税務・会計のスペシャリストとして働く税理士にとって簿記の知識は不可欠であり、簿記論は、まさに税理士業務の中核にあたる試験科目です。
「簿記」とは「帳簿記録」の略で、企業などの事業活動を帳簿に記録して、その記録内容から経営状態を明らかにすることを目的としています。この経営状態を明らかにするために財務諸表という資料を作成しますが、この財務諸表を誰が見ても同様に解釈できるようにするためには、財務諸表を作る際のルールを決めておく必要があります。このルールが「簿記」ということになります。つまり、簿記や簿記論では、財務諸表を作るためのルールと実際の計算を学ぶことになります。
税理士試験の簿記論の特徴
簿記論は税理士試験においての必須科目であり、全受験者が避けて通ることのできない試験科目となっています。
「日商簿記と何が違うのか?」という質問が良くありますが、「簿記」という意味では同じものなのですが、試験で問われるテーマや問題の難易度が大きく違います。したがって下記でも説明する勉強法もおのずと日商簿記と税理士の簿記論では異なってきます。
税理士試験の簿記論では大問が3題出題されます。
例年、ほぼすべて計算問題で構成されており、正確で素早い計算能力が求められます。
また、簿記論の本試験は「基本的に全問解けない」とよく言われます。
その理由は、問題のボリュームが非常に多いことと、時に”解けない”問題が出題されることもあるからです。
国家試験で”解けない”問題が出る?というのも、初めての方は驚くかもしれませんが、簿記論に限らず税理士試験は
難問は飛ばすことも試験テクニックとして資格予備校や通信教育でレクチャーしているくらいです。
簿記論の合格率と難易度
税理士試験の簿記論の合格率は下記の通りです。
税理士試験の合格ラインは、建前上「満点の60%以上」とされていますが、実際には受験者の上位10~20%が合格するという競争試験です。年によって合格率の上下はありますが、一定の合格率で推移しています。
令和2年 |
22.6% |
令和元年
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17.4%
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平成30年
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14.8%
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平成29年
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14.2%
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平成28年
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12.6%
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平成27年
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18.8%
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平成26年
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13.2%
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平成25年
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12.2%
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平成24年
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18.8%
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次に難易度の面では、問題の難しさもさることながら、学習ボリュームが多いという点で他の資格試験より難易度が高いといえます。ただし、ものは考えようで、ボリュームが多い試験では、コツコツ努力すると他の人と確実に差をつけることができます。しっかり学習できる人にとっては逆に有利ということもできます。
また、税理士の他の科目と比較して難しいのか?簡単なのか?も気になるところです。
これについては、好き嫌いや得意不得意に依存すると考えます。
例えば、仕組みの理解や計算が得意な人の場合、簿記論は得意科目にしやすいでしょう。一方で暗記は得意だが計算が苦手という人の場合、財務諸表論に比べて簿記論で手こずることがあります。
一般的には、簿記論と財務諸表論は共通する部分が非常に多い科目ですので、同じ年に同時に学習するのが効率的だと言われています。
簿記論 短期合格勉強法
簿記論は何といっても計算力が問われる試験です。したがって、以下の項目と順番で学習するのがおすすめです。
◆論点の概要を理解する(100%完璧にするのではなく全体像をつかむ)
→インプットにあまり時間をかけすぎない
◆簡単な例題を解いてみる
→個別の計算の確認
◆少しまとまった分量(本試験ほどではない)問題を解いて、内容理解と具体的な計算を頭のなかでマッチさせる
→どういう形で出題されるか?を理解する
<次のテーマに進む>
◆しばらくしてからもう一度問題練習をして、定着しているか確認する
→定着していない場合は、復習して繰り返し学習で記憶に定着させていく
◆本試験レベルの問題で実力をチェックする(どこで間違えたか・忘れていることなど)
→復習する
◆本試験レベルの問題を本試験と同様に時間を決めて解く練習をする
→復習する
このように、繰り返し計算練習をして、知識と計算力を積み上げていくのが簿記論攻略の近道です。
簿記論はテキストを読んでいるだけでは合格力がつきませんので、問題練習を通じて知識の補充と定着を繰り返していくのが良いでしょう。