女性税理士の年収は約595万円程度となっており、比較的高い水準の報酬が期待できます。税理士業界では年々女性の割合が増えており、キャリア形成におすすめの人気資格です。
この記事では、女性税理士の年収や働き方、税理士を目指すメリット・デメリットについて解説していきます。
女性税理士の年収はどのくらい?
令和4年度の厚生労働省「賃金構造統計調査」によると、税理士(※)の年収の全国平均は746.6万円となっています。
会社員など給与所得者の全国平均年収443万円(令和3年度「民間給与実態統計調査」)と比較すると、税理士は高収入を期待できる仕事と言えます。
一方で男女別の平均年収を見ると、男性が793.6万円、女性が595.0万円です。
男性の方が平均年収は高いものの、女性税理士も民間給与所得者の平均を超えています。
※統計の分類上は「公認会計士・税理士」
【引用】令和3年分 民間給与実態統計調査、e-Stat「令和4年度 賃金構造基本統計調査」
女性税理士の割合は年々増えている
女性の社会進出が進んでいることもあり、女性税理士の割合は年々増加傾向にあります。
平成26年の第6回税理士実態調査によると、当時の女性税理士の割合は全体の14.6%でした。
その2年後、平成28年度には女性の割合が約27%となっています。
女性税理士の登録者数推移を見ても平成18年に7,961名であったのに対して、平成28年の時点では10,859名にまで増加しています。
この傾向は今後も続くと考えられるため、女性税理士はさらに増えていくことが予測されます。
女性税理士が増え続けている点からも、女性に適している職業だと捉えられていることがうかがえます。
また、女性税理士が今後増加することによって、より女性が働きやすい環境へ変化していく可能性もあります。
女性税理士の働き方
税理士にはさまざまな働き方があり、どのような働き方を選ぶかによってライフスタイルや年収などが大きく左右されます。
これは女性のみでなくすべての税理士に言えることです。
女性税理士の働き方は大きく分けて以下の3種類です。
- 開業税理士
- 社員税理士
- 所属税理士
それでは、それぞれの働き方について詳しくご紹介します。
開業税理士
開業税理士は自分自身で税理士事務所や税理士法人を立ち上げて、顧客への税に関するアドバイスや、税務に関する代行業務などを行います。
専門分野である税金に関する知識に加えて、お金に関する周辺知識を身につけ、ファイナンシャルプランナーや中小企業診断士といった資格を取得することでコンサルタントとして活躍することもできます。
自分で営業をして顧客を獲得しなければならないといった大変な面もありますが、働き方の自由度が高いというメリットがあります。
また、多くの顧客を獲得できればより高い収入を得られる可能性があるという点も魅力です。
社員税理士
税理士として個人で開業するのではなく、税理士が集まって法人として会社のような形態をとって働くという選択肢があります。この勤務形態を社員税理士と呼びます。
一般的な企業の社員とは違い、所属する税理士それぞれが役員として経営・業務を行います。
税理士法人は2人以上の社員で構成され、そのうち1人が一般企業における社長のような立ち位置である代表社員となります。
そして、その他の社員は前述の通り役員扱いで、さらに所属税理士を雇うというケースも少なくありません。
税理士法人のメリットは組織として顧客の要望に応じることができるため、大企業など規模の大きな組織を顧客にしやすいという点が挙げられます。
また、税理士の常駐が可能であれば支店などの展開も可能であるため、個人事務所と比較して規模を大きくしやすいという点も魅力です。
所属税理士
所属税理士とは、個人開業した税理士事務所や、税理士法人などに雇われて業務を行う税理士のことを指します。
基本的には所属している税理士事務所や法人の指示にしたがって、顧客対応や税務などを行います。
現在では法改正によって所属税理士でも顧客から直接仕事を受注して税理士業務を行えるようになりました。
その都度、勤務先の承諾を得る必要があるという条件付きではありますが、以前よりも所属税理士の働き方の自由度は高くなっています。
キャリアや人脈が少ない税理士の場合、いきなり独立開業することには大きなリスクが伴います。
また、いきなり税理士法人の社員になるのも簡単ではありません。そこで、まずは所属税理士としてキャリアを積むという選択肢は多くの方に選ばれています。
【あわせて読みたい】税理士とはどんな仕事?資格取得はどうやってやるの?
女性が税理士を目指すメリット
女性が税理士を目指すことには多くのメリットがあります。具体的には以下の4点です。
- 資格を一生活用できる
- 科目合格制度で1科目ずつチャレンジできる
- 場所を選ばず働ける
- ライフスタイルに合わせた働き方を選びやすい
ここではそれぞれのポイントに分けてメリットを詳しく紹介していきます。
資格を一生活用できる
税理士の資格は生涯にわたって有効です。資格の有効期限などはありませんので、税理士登録さえすればいつでも税理士として働くことができます。
家庭の事情で一度仕事を辞めたとしても、税理士の資格そのものは有効なので復職も容易です。
独立開業や所属税理士など働き方も多様で、税のスペシャリストとして一般企業への就職に有利になるというメリットもあります。
税理士の資格を取得することによって、ライフスタイルに合わせた仕事がしやすくなります。
業種を問わずビジネスと税は切っても切れない関係にあるため、需要が高い職業であるという点もメリットです。
科目合格制度で1科目ずつチャレンジできる
税理士試験は国家試験の中でも難関な試験であり、科目数も多く、対策に長い時間がかかります。
税理士試験では科目合格制度が採用されており、一度に全ての科目で合格しなければならないというわけではありません。
科目合格に有効期限などもないため、自分のペースで勉強をすすめながら1科目ずつチャレンジできるという点もメリットです。
1年で全科目の勉強をする必要がありませんので、働きながらでもチャレンジしやすい取得であると言えます。
さらに、税理士試験の科目合格は履歴書にも記載できるため、就職などにおいて強みになる点もメリットのひとつです。
場所を選ばず働ける
資格の種類や職業によっては活躍できる場所、地域が限定されてしまうことがありますが、税理士の顧客は中小企業から個人まで幅広いため、場所を問わず需要があります。
もちろん都市部と地方では需要に差はありますが、ライバルの数にも違いがあるため、安定して就職しやすい、仕事を得やすいという点もメリットです。
たとえ仕事や家庭の都合などで引っ越しをしなければならなくなったとしても税理士の資格があれば比較的仕事を見つけやすく、ライフスタイルに合わせて税理士として活躍が可能です。
地域に関係なく転職や開業しやすいという点は働く女性にとって大きなアドバンテージと言えるでしょう。
ライフスタイルに合わせた働き方を選びやすい
理想のライフスタイルは人によって異なります。独立開業するなどしてバリバリ働くこともできれば、逆に仕事をセーブしながら働くことも可能です。
税理士の働き方には独立開業や社員税理士、所属税理士などさまざまな選択肢があります。
また、税に関する知識を活かして一般企業で税務やコンサルティングなどを行うことも可能です。
働き方の選択肢が多い分だけライフスタイルに合わせた働き方を選びやすいという点は、税理士の大きなメリットであると言えます。
【あわせて読みたい】税理士になるとどんなメリットがある?
女性が税理士を目指すデメリット
前述の通り、女性が税理士を目指すことには多くのメリットがありますが、その一方でデメリットもないわけではありません。
女性が税理士を目指すことには、主に以下のようなデメリットが挙げられます。
- 繁忙期がある
- 試験が難しい
- 独立したら自分で顧客を探さなければならない
ここでは、それぞれのデメリットについて詳しくご紹介します。
繁忙期がある
税理士の仕事量は常に一定というわけではなく、時期によって差があります。
働き方によっても異なりますが、確定申告や税金に関する各種手続きが集中する年度末などは繁忙期となり、大変忙しくなります。
確定申告などの手続きには期限が設けられているので、それまでにすべての処理を終える必要があります。
時には家庭やプライベートよりも仕事を優先しなければならないこともあるでしょう。
ある程度の期間税理士としてのキャリアを積んでいけばどの時期が繁忙期になるのかもわかるようになり、それに合わせた準備もできるようになります。
とはいえ、繁忙期がある職業であることは頭に入れておくことが大切です。
試験が難しい
先にも少し触れましたが、税理士試験は国家試験の中でも難関試験として知られています。
科目数が非常に多いこともあって、合格を目指すのであれば入念な準備・対策期間が必要となります。
とはいえ、前述の通り税理士試験には科目合格制度が採用されているため、自分のペースで1科目ずつクリアするという形で資格取得を目指せます。
また、税理士試験は絶対評価でなく相対評価であり、一定の点数を取れたとしても成績上位に入らなければ合格できない仕組みです。
何年もかけて受験し続けているベテランたちとの競争になります。
税理士を目指すためには、数年単位の時間と労力をかけて挑まなければならないことを頭に入れておきましょう。
独立したら自分で顧客を探さなければならない
税理士は独占業務を持つ国家資格であるため、独立開業がしやすいという点も魅力です。
独立開業してうまくいけばより多くの収入を得られる、自由に仕事ができるというメリットがあります。
しかしその一方で、独立すると全ての業務を自分でこなさなければいけません。
特に悩みになってしまいがちなのが顧客の獲得です。
客を得るために自ら営業しなければならず、1件も獲得できなければ収入0円になってしまいます。
独立することでより高い報酬が得られる可能性がある一方で、収入が不安定になりやすい点が開業税理士のデメリットと言えるでしょう。
税理士になるには?スタディングで合格した主婦の方々の声
税理士試験は難関試験ではありますが、入念に準備することによって働きながら合格を目指すことは可能です。
スタディングでは、働きながら効率的に合格を目指せるオンライン講座「スタディング 税理士講座」を実施しています。
ここでは実際「スタディング 税理士講座」で税理士試験に合格した女性たちのリアルな声をご紹介します。
これから税理士を目指す女性の方はぜひ参考にしてみてください。
A さん 2022年合格
仕事や家事・育児のスキマ時間での勉強だったので、スマホやタブレットでテキストを読み返したり、音声学習できたのはとても便利でした。
横田 梨紗 さん(専業主婦) 2017年 簿財2科目合格
通勤講座を受講していくうちに時間の作り方が身についてくるようで、なんとなく『忙しくて時間がない。』と言い訳をしていた自分に気づきました。
まとめ
税理士は女性にとっても魅力的な職業・資格のひとつです。
年々女性の合格者や登録者は増加傾向にあり、それだけ女性が活躍しやすい職業であるとも言えます。
それでは最後に、今記事のポイントをおさらいします。
- 女性税理士の割合は年々増加傾向にある
- 税理士には「独立開業」「社員税理士」「所属税理士」など複数の働き方がある
- 女性が税理士として働くことには多くのメリットがある
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