税理士バッジの「デザインの意味」と「花」
税理士バッジができたのは1956年(昭和31年)です。
税理士法の改正によって強制入会制(税理士の業務をおこなうには登録と税理士会への入会が必須)がはじまった年であり、
新たな制度にあわせて「統一会員章(税理士バッジ)」が誕生しました。
【参考】日本税理士会連合会「税理士制度」
税理士バッジのデザインは、二重の円の中に日本の国花である「桜」があしらわれたものです。
二重の円は、外側の円が日本の「日」を示しており、日とともに進行していくという意味が込められています。
また、中国税理士会のWebサイトでは下記のように紹介されています。
南九州税理士会史によると「章意は税の公正は税理士の手で、桜花は大蔵省、すなわち税を表す、日輪は日本税理士会連合会と公正を表す」とあります。
※大蔵省:財務省や金融庁の省庁再編前の組織
税理士以外の国家資格のバッジにも花などのモチーフが使用されており、さまざまな意味がこめられています。主なものを紹介しましょう。
資格 | 花と意味 | その他のモチーフと意味 |
弁護士 | ひまわり(正義・自由) | はかり(公正と平等の追求) |
司法書士 | 五三桐(法務省の紋章) | |
弁理士 | 菊花(正義)
五三桐(法務省の紋章) |
|
社会保険労務士 | 菊(公正) | SR(Syakaihoken Roumushi) |
行政書士 | コスモス(調和・真心) | |
土地家屋調査士 | 五三桐(法務省の紋章) | 「測」の文字 |
海事代理士 | 菊(公正) | 舵輪(海事)、円(調和) |
税理士バッジの色が白に変わった?
近年、現役税理士のブログやSNSに「税理士バッジの色が変わった」「白い税理士バッジを交付された」といった投稿が見られるようになりました。
また、全国に15ある税理士会の中には、白っぽく見えるバッジの写真をWebサイトに掲載しているケースもあります。
税理士バッジの色が黒から白に変わったのか、税理士会の1つに質問したところ、下記の回答を得ました。
- 税理士バッジのデザイン、サイズ、素材といった規格は全国共通だが、製作は各地の税理士会ごとにおこなっている。
- 当該税理士会では2020年ごろに業者を変更した。
「バッジが白に変わった」という声が出てきたことは、税理士会が依頼する業者の変更と関係している可能性がありそうです。
税理士バッジの「略章」とは
税理士は正規のバッジ(会員章)よりも少し小さい「略章」の着用が認められています。
正規のバッジをなくしたり壊したりしないように、略章のバッジを好んで着用する税理士もいるようです。
東京税理士会のWebサイトによると、使用手数料として2万円を支払うと略章を貸し出してもらえます。
※略章であっても、なくしたり壊したりした場合は各地の税理士会への届け出が必要です。
税理士バッジの入手方法
税理士バッジは誰でも購入できるものではなく、税理士名簿の登録者(税理士になった人のみ)が入手できます。
税理士になる(登録申請をする)までのルートはいくつかあり、下記のような流れが一般的です。
- 【税理士試験で5科目合格】+【2年以上の実務経験】→登録申請
- 【大学院で所定の分野を修了→税理士試験を一部科目免除で合格】+【2年以上の実務経験】→登録申請
税理士登録の申請手続きは、各地の税理士会を通じて日本税理士会連合会宛におこないます。
申請が承認されると、所属する税理士会から税理士証票交付式に招待され、この交付式にて税理士バッジを受け取ることができます。
税理士バッジはつける?つけない?
税理士バッジを交付されたら、どのように扱えばいいのでしょうか。以下の観点から説明します。
- バッジ着用の義務について
- 税理士バッジをつけるメリット
- 税理士バッジをつけるデメリット
税理士はバッジ着用が義務?
税理士会に登録している税理士は、税理士バッジの着用が義務付けられています。
推奨ではなく、業務中は必ずバッジを着用しなければならないため注意しましょう。
【参考】東京税理士会「バッジ(税理士会会員章)の紛失又は損壊の手続き」
しかし、移動中や休憩中もずっとバッジをつけていると目立ちやすいので、外したくなるシーンもあるでしょう。
こうしてバッジをつけたり外したりしていると、うっかり紛失・破損するリスクが高まります。
そのため、正規のバッジ(会員章)を紛失・破損したくない税理士は、前述した「略章」を日常的に使うケースもあるようです。
税理士バッジをつけるメリット
税理士バッジをつけるメリットは、「自分が税理士である」ということを証明できることです。
税理士バッジにより、相談者やクライアントに対して信頼性や安心感を示せます。次のようなシーンで、税理士バッジをつけるメリットを実感しやすいでしょう。
- 新規顧客の商談時
- セミナー開催時
- 公的機関での税務相談時
- 自社ホームページなどでのプロフィール
すでに取引のある企業であれば、改めてバッジを着用して信頼性をアピールする必要はありません。
しかし、セミナーや新規顧客など初対面のタイミングでは、税理士バッジを着用することで安心して相談してもらいやすくなるでしょう。
税理士バッジをつけるデメリット
税理士バッジをつけるデメリットは、税理士バッジをなくしてしまったり、壊れてしまったりする可能性がある点です。
税理士バッジを紛失・破損してしまうと、手間のかかる申請手続きが必要です。
税理士バッジを失くした・壊したとき
税理士バッジを紛失してしまったときや壊してしまったときは、再発行の手続きが必要です。東京税理士会のWebサイトを参考に詳しく紹介します。
失くしたとき
紛失してしまったときは、税理士会の本会事務局宛に「税理士会員章再交付願」という書類を届けます。税理士会員章再交付願には以下の内容を記載します。
- 氏名
- 登録番号
- 所属支部
- 事務所所在地
- 住所
- 紛失した理由
再交付にあたっては5,000円が手数料として必要です。また、申請の際は郵送ではなく、税理士本人が事務局に出向く必要があります。
基本的には本人が手続きをするよう求められていますが、やむを得ない事情で対応できない場合、委任状を持参した代理人の申請・受け取りも可能です。
壊したとき
税理士バッジを壊してしまった場合も、事務局に「税理士会員章再交付願」を直接届けに行き、破損したバッジも添付します。
再交付手数料として5,000円が必要です。また、紛失した場合と同様に代理人の申請・受け取りも可能です。
【参考】東京税理士会「バッジ(税理士会会員章)の紛失又は損壊の手続き」
以上が正規のバッジ(会員章)の手続きです。略章を失くしたり壊したりした場合も、所定の届出が必要です。
【参考】東京税理士会「バッジ(略章)貸与及び紛失又は損壊の手続き」
税理士証票とは
税理士証票とは、税理士登録の際に交付される、税理士としての身分を証明するものです。顔写真も貼り付けるので、税理士としての身分を明かしやすいです。
税理士は証票を常に持ち歩くことが求められ、国税局や税務署などの職員と面接する際などは証票の提示が求められます(税理士法第32条)。
証票は定期交換(10年ごと)の必要があり、時期がくると日本税理士会連合会から通知が届きます。
定期交換の費用は2,500円です。
また、税理士バッジと同じく、失くしたり壊したりした場合は速やかに再交付の手続きをおこないます。
まとめ
今回の記事では、税理士バッジのデザインの意味、入手方法、業務中の取り扱いなどについて解説しました。
- 税理士バッジは「桜」と「円」をモチーフにしている。
- 税理士はバッジ(会員章)を常に着用する必要があるが、小さめのサイズの「略章」の着用でもOK。
- 税理士バッジの紛失・破損の場合は再交付手数料がかかる
受験生のなかには、税理士バッジを交付されることをモチベーションに勉強を頑張っている人も多いのではないでしょうか。
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