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税理士試験と日商簿記試験の関係

税理士試験と日商簿記試験の関係

日商簿記試験と税理士試験(会計科目)の関係について教えてください。

試験の分野は同じであっても、難易度や実施形態は全く異なります。

日商簿記検定試験との比較

税理士試験の会計科目を学習するにあたっては、簿記の知識がある程度必要になります。一般的には、日商検定の簿記3級・2級レベルの知識が必要と言われています。税理士試験の受験を考える方の多くは、すでに日商簿記3級・2級の学習を経験しているかもしれません。

よくあるパターンは、「簿記2級から税理士へ」という流れです。

ただしこれは、簿記の資格を持っていないと税理士の学習ができないということではありませんので誤解がないようにしてください。
もちろん簿記の知識があるに越したことはないのですが、簿記未経験なら簿記の基礎から勉強すればよいということです。


逆に、簿記に合格しているからと言って安心するのは危険です。簿記検定3級・2級の試験と税理士試験の「簿記論」・「財務諸表論」とでは、試験の分野は同じであっても、難易度や出題形態は全く異なります。

そこで、簿記検定と税理士試験とを簡単に比較しておきましょう。

簿記検定試験2級・3級 税理士試験の会計科目
出題範囲
級別に出題範囲が明確にされている
出題範囲は大ざっぱなものしか公表されていない
出題内容
過去問の類題が繰り返し出題されている
過去問の類題はめったに出題されない
新しい問題が次々と出題されている
出題傾向
あまり変わらない
出題分野にしても難易度や分量にしても毎年のように変わる
試験委員
大問ごとに登録された問題パターンから抽出されて試験問題が作成される
出題を担当する人がほぼ3年で交代している
答案作成
会場試験:鉛筆書き

CBT試験:PC入力

ペン書き
税理士試験の問題の表紙には、次のような注意事項が記載されています。
「答案の作成には、必ず黒又は青のインキ(ボールペンを含む。以下同じ)を用いてください。修正液又は修正テープの使用は認めます。鉛筆、赤のインキ、消せるボールペン等の修正可能な筆記具は用いてはいけません。」
解答・
採点基準
いずれも公表されない
いずれも公表されない
合否判定
100点中70点以上で一律に合格。
会場試験:あらかじめ固定された採点基準により大勢の担当者が分担して答案の採点業務を行う。採点基準の調整は行われない。

CBT試験:試験終了とともに、入力された単語と数値の正誤を判定し採点される。即時合否が発表される

100点中60点以上が合格。
ただし、競争試験
60点以上が合格となるように試験委員が答案を採点しながら採点基準を調整。
合格率が15%前後(10%~20%程度)に収まるように採点基準を調整。
難易度と
合否の
相関関係
問題が難しいと合格率が下がり、問題が易しいと合格率が上がる。
ちなみに、日商簿記検定2級の合格率は、第162回は20.9%、第161回は26.9%と20%台であったが、第157回は8.6%とかなりの変動がみられる。
問題が難しくても易しくても合格率に影響しない。
毎年一定程度の合格率(最低でも10%前後)は確保される。

簿記論・財務諸表論の学習内容を見る

出題範囲の比較

日商簿記検定試験と税理士試験の会計科目「簿記論」「財務諸表論」の出題範囲を比較してみましょう。

学習テーマ 日商簿記
3級 2級 1級
会計科目
会社計算規則 × ×
理論問題で
わずかに出題
簿記一巡の手続
一般商品売買
諸税金
現金預金
債権債務
貸倒れと貸倒引当金
有価証券 ×
固定資産
繰延資産 × ×
引当金
社債 × ×
純資産会計 ×
株主資本等
変動計算書
×
ストック・
オプション
× ×
リース取引 ×
研究開発費・
ソフトウェア
×
金融商品 × ×
固定資産の減損 × ×
退職給付 × ×
資産除去債務 × ×
工事契約 × ×
会計上の変更等 × ×
税効果会計 ×
外貨換算会計 ×
デリバティブ取引・
ヘッジ会計
× ×
特殊商品売買 × ×
製造業会計 ×
本支店会計 ×
本社工場会計 ×
帳簿組織 ×
連結会計 ×
企業結合 ×
事業分離 × ×
キャッシュ・フロー
計算書
× ×
財務諸表等規則 × ×
理論問題で
わずかに出題

×:範囲外
○:基本的な論点は押さえています。
◎:知識は十分。問題形式に慣れましょう。


このように、似ているようで違いがあることが分かります。「簿記の知識を生かしながら税理士の学習をする」というスタンスが重要になってきます。これを踏まえて、税理士試験にチャレンジしてみてください。